カーラが目を覚ましたのは朝が終わり昼にさしかかる頃だった。他の3人はまだ寝ており、カーテンの閉め切られた部屋は十分に暗い。カーラは荷物を持ってそのままリビングに出る。
(キヴォトスでの一日が質の悪い夢だった…なんてことにならなくていいのやら悪いのやら。ま、そればっかりは考えてもしょうがないか。それより今後の方針をたてようか。)
カーラはニュースを調べながら比較的マシな評価を受けた携帯食を食べる。
(連邦生徒会からの公布?
(見方によってはチャンスか?発足してすぐの今なら比較的安全に接触できる。どうやら連邦生徒会は人手不足らしいしね。少なくともキヴォトスにおける身分がどうなってるのか確実に調べる力が
(もし接触するとしたらどうするべきか…正面から行っても取り合って貰えるわけがない。待ち伏せはさすがに印象が悪すぎるだろう。…ダメ元で依頼だけ出してみようか。それで連絡が返ってこなけりゃ縁がなかったってことで。)
カーラがシャーレに宛てた依頼文を考えているとリビングの扉が開く。
「おはよう、ずいぶん早起きだな?よく眠れなかったのか、カーラ?」
「ああ、おはよう。私はぐっすりだったよ。あんたたちが遅すぎなんじゃないのかい?」
「カーラが早すぎる気がするんだがなぁ…。朝食はもう食べたか?」
「ああ、これと昨日の残りを食べたばかりだよ。」
「あれ食ったのか…。別にキッチンにあるもの勝手に使ってくれてよかったんだが。昨日言っておくべきだったな。私はあいつらの分も作っておくから余裕ができたらあいつらを起こしてくれないか?」
「勝手に起きてくるのを待ってもいいんじゃないか?」
「そうしたいが刻田は起きない。あいつはくそ寝汚いからな、起こさなきゃ一日はベットから出てこないぞ。日向は待ち合わせがあるんだと。こっちは起こさなきゃ10時間睡眠コースだ。寝起きは悪くないんだけどな。」
「赤羽…あんたあの子らの親みたいだね?」
「あんな手のかかる奴らを産んだ覚えはないぞ。そんな年齢でもないしな。というわけで、頼まれてくれるか?布団から叩き出していいからな。」
「わかったよ。」
カーラは寝室に戻り、二段ベッドの下側で寝ている2人を観察する。赤羽は安らかによだれを垂らし、刻田は
顔を顰めて寝ている。手始めに赤羽を揺すってみる。
(この2人がそれぞれ下なのは起こすときに楽だからかい。…この程度じゃ起きないか。なら刻田の方は…唸り声は返ってくるのか。なら刻田を先に布団から引っ張り出そう。)
カーラが刻田を引っ張るが刻田は布団にしがみつき抵抗する。
「あんた、起きてるだろ?さっさとその手を離しな!」
「……やだ…ねる…。」
「こいつ…!いいから起きな!」
カーラが布団を握り締めた刻田の手を上から握り無理やり引き剥がす。そうして布団から出された刻田は音を立て床に放り出された。そうしてしばらく放り出された態勢でぼけっとした後座り直し、反応を返さない。
「起きたかい?…まぁあとでいいか。おーい?赤羽?あんたも起きな。」
しばらく揺すって無理やり座らせるといつの間にかヘイローが浮かび上がり、程なくして赤羽が目を覚ます。
「う〜ん…はっ!カーラ!?おはよう!早起きなんだね!」
「はいはい、おはよう。起きたなら刻田も連れて行ってくれないかい?」
「赤羽に頼まれたんだね?刻田ってばはっずかし〜wあとは私に任せてよ。ほら、顔洗いに行くよ〜。」
日向が刻田を引きずって寝室から出ていく。
(…うん?そういえば見に来たとき最初は赤羽にヘイローがなかったような?昨日追い剥ぎした奴らのことも合わせると意識がなくなるとヘイローが消えるのか。ということは…刻田、最初から起きてたね?)
カーラがリビングに戻ると赤羽がテーブルに配膳している最中だった。
「おお、カーラ。あいつらは起きたか?」
「ああ。日向が刻田を引きずってったよ。」
「ならもうすぐ来るな、ありがとう。カーラは朝牛乳とコーヒーどっちを飲む?腹に入るなら追加でパン焼くぞ?」
「ならコーヒーをもらおうか。」
「そうか。そういえばカーラ、今日はどうする予定だ?バイトを入れるなら今からだとすぐ出発すれば夕方まで、昼からならだいたいが日が落ちるくらいが目安だぞ。私たちは夕方から会議が入ってるからバイトに行くならついていけない。」
「さすがについてきてもらおうなんて思ってないよ。予定は…昼過ぎくらいにマーケットで買い物するくらいしか決めてないよ。」
「なにを買う気だ?補充くらいならうちのやつを持ってくか?さすがにタダじゃ渡せないがマーケットで買うより安く売ってやるぞ?」
「具体的にいるものが決まってないんだ。」
「2人とも〜!おっはよ〜!!」
「…おはよう。」
日向が扉を開け放ち入ってくる。後ろには形容し難い表情を浮かべた刻田が立っている。
「来たか、2人とも。もうできるぞ。ジャムは自分で持ってこい。」
朝は過ぎたが昼とは言い難い、そんな時間が穏やかに去っていく。食事食べ終え、談笑していた日向が時間に気づき慌ただしく出掛けて行ったのを皮切りに皆が自らの予定のために解散する流れになった。
「寝床が欲しくなったらいつでも連絡してくれ。かちあったら布団敷くかソファになるがな。それと今晩をどうするか決まったら連絡をくれ。ないと日向が騒ぐからな?そうだ、モモトークを交換するか。犯罪外ならこっちの方が便利だ。」
「あ~モモトーク?は無理な相談かもねぇ。ああ、嫌ってわけじゃない。これ、
「お前…想像以上にやることやってるな?なら仕方ない。そうだな…なら私たちの電番を教えておく。軽いメッセージくらいならこれで十分だろ。」
「…よし、バッチリだよ。それじゃ、ひとまず世話になった、ありがとう。日向にもよろしく言っといてくれ。」
「ああ、もちろんだ。いってらっしゃい、カーラ。」
見送りに片手を挙げて返しカーラはマーケットに向かう。
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昼間のブラックマーケットは当然ながら昨日よりも賑やかだ。バイトを受ける不良たちの数はほとんど変わらないが明らかにヘイローのない人型、いわゆる大人の数が倍近い。人混みに流されないようにカーラは通りを歩く。時折ポケットに突っ込もうとする手をしばきながら店舗を物色する。
カーラの目に留まったのは小汚い店だった。
一見すると入り口近くの露天商と見紛うその有様はハズレと思わせる。それでもよく観察すれば互いを傷つけないように最低限は整理されていることがわかる。商品の売り方はともかく、その価値自体を見分ける力があると言外に伝えるその在り方がカーラの気を引く。
カーラが店に入り、商品を物色していると程なくして店主が奥から現れ声をかける。
「不良品か役立たずを買う気がないなら帰りな。ここはお行儀のいい
「へぇ?ならこいつらはなんだい?」
「バカの作った玩具、基準の満たせなかった試作品、欠陥の見つかったガラクタ、好きなように呼べばいい。」
「いいねぇ。ちょうどそんな普通じゃないものが欲しかったんだ。」
「…口だけなら何とでも言える。1つだけ言っておく。うちは返品不可だ。」
「上等だよ。」
軽いやり取りを交わして2人は再び自分だけの時間に戻る。
(…なるほど。確かに欠陥品も混じってるね。これなんて明らかに構造に無理がある。こっちは部品が荒い。こいつは…見たところ粗はないが…この値段、こいつが試作品ってとこか。まともに動くのを探すのも大変だね。でも確かに光るモノも感じる。これはしっかり組み直せば笑えるモンになりそうだ。工房のアテがあれば買ったんだけどねぇ…。)
時間をかけて選別していくカーラをいつからか店主が眺めている。
「…ずいぶん不躾な目つきで見てくるじゃないか?」
「お前、その目、どこで仕込まれた?」
「答える必要あるかい?ま、これくらい朝飯前…とだけ言っておこうか。」
「そうか。…ようやく話が分かりそうな奴が来たか!この老いぼれの話し相手になってくれ!いや、なるまで逃がさん!」
「…急に性格が変わるじゃないか。もちろんタダじゃないだろうね?」
「ハハ、ちゃっかりしてるな?わかった、負けてやる。お前さんみたいなやつに会うために店開いてるようなもんだ。そんな辛気臭い話よりこいつらを語らおうじゃないか!…これだ!これをどう思う?」
そうしてカウンターの裏から箱を取り出した。どれも珍妙な形をしていたり用途不明、銃ですらないものが詰められている。
「…手にとっても?」
「もちろんだとも!壊してくれても構わんぞ。こいつらは売るもんじゃないからな。」
手にとって構造を確かめる。少し経って居ても立ってもいられなくなったのだろう店主が解説を加える。
「それは銃であることを極限まで隠そうとしたやつだ。わざわざ偽装のためにガワを別で用意して外からも操作できるようにされてるんだ。いざとなったら鈍器になる。」
「確かに銃には見えないけどね、こんなのだけ持ってても目立つだろ。それに銃なんてどれも鈍器になる。」
「その通りだ。わざわざ隠す必要がある場所ならこれはなんの偽装にもならない。銃以外に目立つ棒持ってる不審者そのものだ。性能自体はそのへんのと同じか劣る程度。つまりポンコツだ。」
「これはどうだ?お前にこの銃がなんなのか見切れるか?」
「これは…なるほどね。大雑把なやつ向けってとこかい?ここから弾流し込んでリロードする…違うかい?」
「その通りだ!これを作ったとこはガンスミスが本職じゃない。PMCが主な企業向け、マガジンに弾を詰める機械を作ってるところなんだ。で、なにをトチ狂ったか給弾機構に載せようとしたのがこれだ。少数生産されたレアモノだ。」
「…なら見るからに弾が入りそうにないこいつらはなんだい?」
「それはその状態だとわからないのも無理はないな。ダミー弾を持ってくる。」
店主が追加で銃も詰めて箱を裏から持ってくる。箱を置き、カーラが示したそれらに手榴弾を模したダミーを装着する。
「…どうだ、これならわかるか?」
「どっちも手榴弾用だったのか。3つぶら下がってるこっちはともかくスリンガーなこれは十分実用的だと思うけど?」
「確かにそうだ。が、使う意味が大してなかったんだ。スリンガーなんてちょっと練習したら速度も命中精度も追い抜ける奴らが一定数いる。撃つのが早い利点は確かにある、それ以上に暴発の危険性がある。これはピン抜いてセットする必要があるからな。もちろんそんな欠点はすぐに修正された…発射と同時に抜けるやつも発射前に手動で抜けるようにしたやつもな。」
「だがこれもこの間抜けな形のやつも致命的な欠陥があった。それのせいでウケが悪かったんだ。だからここで玩具になってる。」
「…ああ、かさばるのか。特にこっちは一度に3つ必要で、何回も使えない。スリンガーも本体がそこそこ邪魔だしわざわざグレネードのために買う奴はいないってところかい?」
「その通り。マーケットにいる連中には向いていない、学園の補助を受けてる奴らはもっと良いものを使える。それこそグレネードランチャーなんかも簡単に使えるしな。わざわざグレネードを選ぶ奴がこんなものに頼るわけがない。」
「…3つのこいつ、名前は?」
「なんだお前、それが気に入ったのか?投げるときにピンをそれぞれ抜かないと使えないポンコツだぞ?そもそもそいつは物好きが作ったハンドメイドだ。名前なんてないぞ。」
「少しパフォーマンスが必要なんだ。これはにぎやかしにはちょうど良い。」
「そうか?まぁそいつもこんなところで腐るより使われるほうがいいだろう。そいつはタダでやる。なんならホルスターもつける。だから使ったらその様子を教えてくれ!」
「交渉成立だね。遅くても一週間くらいで顔をだすよ。」
「言ったな?なるべく早くで頼むぞ?ああ、そのポンコツがどんなことをしでかすのか今から待ち遠しいぞ!」
「期待してくれていいよ、なにせ派手にキメなくちゃいけないからね。ああ、でも語りは期待しないでくれよ?」
「ならドローンを貸すから撮ってくれないか?約束の証代わりに持っていってくれ。」
「おいおい、ちょっと不用心じゃないかい?」
「お前さんになら騙されてもいいさ。そう思わせてくれた。深く考えなくてもいいぞ?若者の間で流行ってるSNSの一環とでも思ってくれればいい。お前さんもやってるだろ?」
「…わかった。ならこれはお近づきの印として受け取ろうじゃないか。今から感想を考えておくんだね?」
「任せておけ!夜を明かすまで語り合おうじゃないか!」
「なら私も楽しみにしておくよ。」
そう言ってドローンの入ったアタッシュケースを手にカーラは店を出た。
マーケットにて新たにグレネードを持てるだけ買い、マーケット外れの空き地にて仕事の物色を始める。
(さて、大見得切ったからには仕事から相応しいものを選ばないとね。と言ってもばら撒きでそんな良いものはそうそうない…なら選ぶべきは明らかにきな臭いやつだ。カイザーやらなんやらに恨みを持たれてる企業はどれだ?)
(………ツヴィング、こいつだね。軽く調べても技術盗難に襲撃、黒い噂がどんどん出てくる。見逃されているのか退けてるのか…少なくともなにかは起きる、間違いなく。)
(今晩こいつの護衛依頼が出ている。場所もマーケット側が開示している場所のどこでもない。ブリーフィングの場所もマーケットより自治区の方が近いっていえる位置だ。仮に移動があったとしても、マーケットが用意した取引場所へは遠すぎる。)
(他にも幾つか見繕っておいたほうがいいか。だけどこいつほどの好条件は無さそうだね。さて、そうと決まれば準備をしないとね。おもちゃの使い方もマスターしないと。)
ツヴィングはドイツ語のzwingenから取りました。おもちゃとして登場した銃もモチーフのやつがあります。(というか0からなんて私じゃ無理無理)本当はメタルギアのイージーガンやらをモデルにしようと思ったんですが描写が難しくて断念しました。
原作介入ってどこまで見たいですか?参考までに
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先生にほぼベッタリくっついて介入するべき
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アビドス第一章から全てに個別で顔出すべき
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偶然遭ったなら手伝うべき
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メインストーリーには非干渉を徹底するべき
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なんでもいいからエタらないよう完結すべき