悪魔の名を持つMSがダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:余楽

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まずは投稿遅れて申し訳ありません。リアルの方でガンプラコンテスト用にガンプラ制作してたんで遅れてしまいました。冬休みも終わるのでこれから投稿も遅くなりますがそれでも待ってくれると嬉しいです

話題は変わりますが、Arigs0709さん!暇隙さん!もるどさん!あるまじろの炊き込みご飯さん!浩司さん!投票ありがとうございます!!
そして、お気に入り登録100人突破しました!!




歓迎会

 

 

ザガンに恩恵を刻んでから翌日、アイズ達は今回の遠征で得たモンスターの素材や武器の整備を【ゴブニュファミリア】に依頼する為に街に出ていた

勿論、ザガンを連れて。今回の遠征も規模が規模の為、ダンジョンで戦利品の量も多くファミリア総出で手分けして換金をしたり、武具の整備もしくは再購入、消耗したアイテムの補充などする事になったのだが、ザガンはオラリオについて詳しく知らないので案内役が必要ということでアイズ達に案内役をしてもらうことになった

正門で準備を終えたアイズ達はホームを出発すると後ろからロキの声が聞こえてきた

 

 

「夜には打ち上げとザガンの歓迎会を『豊穣の女主人』やるからなー!遅れんようにー!」

 

 

アイズ達が向かったのは、北西のメインストリート通称『冒険者通り』と呼ばれている、オラリオの中でも特に冒険者の往来が激しい場所である

そんな大通りに一等級冒険者であるアイズが通るとどうなるかというと、冒険者達は勝手に道を開けるのだ。いつも此処を通ると冒険者達から羨望や憧れ、畏怖といった様々な目線で見られるのだが今回は違った。その視線は全てザガンに集まっていた

それも当然だ。2Mを超える巨体に全身が鎧のように金属で出来ており、モスグリーンに光っている目、どのモンスターとも当てはまらない異様に大きな角、背中から伸びている大きな盾。

それがモンスターでないにしても一目見れば分かる程の化け物だ一等級冒険者でなければ誰だってビビるだろう。実際レフィーヤはビビっていたし

 

 

「なんかやだなー、こういうの。ベートは喜びそうだけど。と言うかザガンめっちゃ見られてない?」

 

『当然だと思いますよ?私の見た目はどの種族にも当てはまらない上にモンスターだと勘違いされるくらいには人とはかけ離れてるんですから。それも出会い頭に全力で攻撃されるくらいには』

 

「ごめんなさい…」

 

『いえ、別に嫌味を込めて言った訳ではないので気にしないで下さい』

 

 

そんなやりとりをしながらアイズ達はある程度進んでいると途中で別れる事になった。アイズとティオナは【ゴブニュファミリア】の工房へ、レフィーヤとティオネは友人であるアミッド・テアサナーレが所属している【ディアンケヒト・ファミリア】が運営する店へ行くことになった

オラリオを詳しく知らないザガンにとってはどちらついて行っても良かったが、ティオネからアイズ達について行く様に言われた

理由を尋ねると友人であるアミッドに迷惑を掛ける可能性があるのと自分達は時間が掛かるがアイズ達の方は自分達よりかは時間は掛からないのでオラリオを案内してもらうといいと言われた。

 

 

確かに、この街について何も知らないままだど今後に響いてくるだろう

 

そう考えたザガンはアイズ達について行く事にし、ティオネ達から別れ歩くこと十数分後、【ゴブニュファミリア】の工房へ到着した

 

 

「到着!そんな時間掛からないからザガン待っててね!」

 

「すぐに済ませるから」

 

『私の事は気にしなくいいですよ、お二人ペースで大丈夫ですから』

 

 

そう言うと2人は工房へと消えて行った。後は2人が帰って来るのを待つのみで完全に手持ち無沙汰になったザガンは、2人が戻るまで周りに迷惑を掛けないようにシールドプライヤーユニットを背後に回し近場にあるベンチに座ろうとするが、ドスっと何かを蹴る音が聞こえた。

何かあったのだろうか?そう考えたザガンは、音の聞こえた裏路地へ向かって行った

 

裏路地に入って数分、進めば進むほど音が大きくなっていくザガンは警戒して進んでいると少し先に少しガタイのいい3人組の男達と何度も蹴られたのかボロボロの10歳くらいの少女が横たわっていた

きっとあの男達がやったのだろう。その行いはザガンをキレさせるにはあまりにも十分過ぎた

 

 

『…貴様ら何をしている』

 

 

男達に声を掛けたその声は凄まじ怒気が籠っており、男達はその声を聞いて不機嫌そうに振り返るがザガンを見るや否や震え上がった

それもそうだ。今のザガンは多少とはいえ殺気に近しい圧を放っている、それも一等級冒険者以外は逃げ出すレベルの圧だ。そんな圧にそこらのゴロツキ程度の実力しかない有象無象が耐えられる訳もなく男共は一目散に逃げて行った

ザガンはその少女を抱えるとアイズ達の居る【ゴブニュファミリア】の工房へと急いで戻った

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

小人族(パルゥム)として生まれた少女リリルカ・アーデは己の生を呪っていた

生まれた環境は劣悪そのものだった。親は幼くして亡くなり身寄りのない彼女は【ソーマファミリア】に身を置いたが、親が残した借金の返済の為にサポーターとして働き始めた。だが、サポーターは冒険者には見下されており、まともに稼げることはなかった

彼女は生きる為に冒険者から金品を盗み稼いでいたが、所属している【ソーマファミリア】の冒険者に目をつけられ、様々な暴行を受け稼いだ金品を奪われるようになった

 

たが、リリルカは賢かった。種族として弱ければ、ステータスも弱いだからこそリリルカはそれを逆手にとった弱いからこそ自分は利用価値があるのだと思わせた

リリルカの読みは正しかった、利用価値があると分かるや否や目の前にいる男達は痛ぶるだけになった。そして、稼いだ一部は別の場所に隠しそれ以外はワザと必死に守るように見せこれだけしか稼いでないと思い込ませることに成功した。

 

そして、現在。いつの男達は私を見つけるとすぐに裏路地へと連れ込んで暴行を加えた殴る、蹴るの暴行を受け金品を奪われれそうになり必死に守るフリをした。どのみち奪われるのは変わらないが騙す為に耐えるしかない   痛い、辛い……分かってたこれが私の人生なんだ。救いのないただただ虚しだけの人生…ダメだ考えるだけで更に辛くなってきた早く金品を取ればいいのにさっさと終わって……

 

そんな事を考えていると3人の内、1人が無理矢理リリルカから金品を回収し話しかけた

 

 

「リリルカ、まさかこれだけって訳じゃないだろ?」

 

「ゲホッ……これだけ……ですよ。最近持ってたじゃないですか」

 

 

そう言い返してしまうと男は思い切りリリルカのお腹を蹴り仰向けになったリリルカの頭に足を置いた

周りの男達はケラケラと笑いながら更にリリルカを痛ぶろうとしたその時、聞き覚えのない声が裏路地に響いた

 

 

『…貴様ら何をしている』

 

 

怒気の籠った声が聞こえる。こんな私を心配してくれる人が居るなんて思わなかった……でも、自分に関われば絶対に不幸になる。喉は痛いし声を出すのも少し辛い…でも言わなければ……

 

 

リリルカは必死に声の主に自分の事は心配しないで大丈夫とでも伝えようとしたが目の前にいる男達が振り返ると一瞬で真っ青になり震え上がっていた。

男達の見てる方向へ目線を向けるとそこにはモンスターが立っていた。それも凄まじ殺意に近しい怒気纏っているモンスターだ、しかも一目見るたげで生存本能が警鐘を鳴らした。逃げたい今すぐにでも逃げ出したいが何度も思い切り蹴られたせいで身体が思うように動かない

男共が逃げ仰たのを見届けるとモンスターは此方にゆっくりと歩み寄って来た

 

 

結局、意地汚く生きながられたのに最後はこんなモンスターに殺されるなんて……でも、苦痛から解放されるなら…それでも良いかな

 

 

リリルカは目を瞑り、自分の運命を受け入れ意識を手放した

意識を手放して数十分、太陽の日差しの眩しさ鬱陶しさを感じ目を開けると【ロキファミリア】の【剣姫】と【大切断】そして、先程のモンスターが此方を見下ろしていた

リリルカは飛び起き一気に後退った

 

 

「り、リリを食べても美味しくないですよ!!」

 

 

リリルカがそう叫ぶとアイズとティオナは、やっぱりこうなったかという反応をしつつティオナは、ザガンを注意した

 

 

「ほら!私の言った通りなっちゃったじゃん!」

 

『そうですね……ちゃんと貴方の忠告を聞いておくべきでした』

 

 

何故、【ロキファミリア】がモンスターと喋っているのだろう?と言うか何故モンスターは喋って意思疎通をしているのだろう?尽きない疑問が頭の中をぐるぐると周り少し混乱し始めたリリルカにアイズは言った

 

 

「えっと,あの人?はモンスターじゃなくて私達の仲間なの」

 

「えっ、本当にモンスターじゃないんですか?」

 

『彼女の言ってることは本当ですよ。私はモンスターではありません……こんななりで、言われても説得力はあまりありませんけどね』

 

 

表情こそ変わらないが声からは何処か諦めたかの様な声色を感じたが

 

 

『そういえば自己紹介はまだでしたね。私はガンダムザガン。皆さんからはザガンと呼ばれているのでそう呼んでくれると嬉しいです』

 

「あ!私はティオナ・ヒリュテ」

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン」

 

「え、えっと、よろしくお願いします!ザガン様!ティオナ様!アイズ様!」

 

 

互いの自己紹介を終えるとザガンは何があったのかを質問した

たが、リリルカは自分の事情に巻き込みたくはないと謝り俯いた

 

 

「えっと…その……すみません。言えません………」

 

 

アイズ達は、顔を見合わせた。

何か事情があるのは察することは出来るが、リリルカが話さない時点でかなり深刻な事情があるみたいだ。

アイズ達は、無理に聞かない事にしたがザガンはリリルカに優しく話し掛けた

 

 

『事情が話せないのは分かりました。ですのでもし何か困ったことがあれば私『個人』を頼って下さい。』

 

「え?いや、それは…」

 

『あくまでも私個人であって【ロキファミリア】は関係ありません。ですので気にする必要はありません。ですが、無理に頼れとも言いません。貴方が本当に助けて欲しい時に頼って下さい。それと回復薬です、痛む所があれば使って下さい』

 

「…ありがとうございます」

 

 

少し落ち着き始めた所で蹴られた箇所が痛み始めた。さっきまでは興奮してアドレナリンが分泌されたことで痛みを感じなかったが、落ち着いた今再び痛い始めた

リリルカは、回復薬を受け取るとすぐに飲み始め傷が癒えていくの見ているとアイズが話し掛けてきた

 

 

「ザガン、もうそろそろレフィーヤ達と合流する時間だよ」

 

『え?そんな話し聞いていませんが…』

 

「ごめん、昨日事前に決めてたの」

 

 

それは知らない訳だ。何せ今日、突然ロキからアイズ達について行くように言われたのだ伝え忘れるのも仕方ない

 

 

『それは知らない訳ですね。すみません、リリルカさん私が貴方と居られるのはここまでです。いつかまた会いましょう』

 

 

そうリリルカに告げるとザガン達はその場を後にした

そして、取り残されたリリルカは先程の出来事を振り返っていた

 

自分を気に掛け、助けてくれた。こんなことをしてくれる人は居なかった。こんな弱いだけの自分に手を差し伸べてくれたこんなに嬉しいことははない。リリルカは静かに目に涙を浮かべながら小さな声で感謝を告げた

 

 

「……ありがとうございます…」

 

 

 

リリルカと別れ、レフィーヤ達と合流したアイズ達はショッピングや散策等を済ませた頃には、辺りが暗くなり始めたのでロキが指定した【豊穣の女主人】に向かった

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【豊穣の女主人】で働くリュー・リオンはいつも通り料理の配膳をしていた。いつも豊穣の女主人は冒険者や一般人で溢れ忙しないのだが、今日ばかしは異常に慌ただしかった、理由としては【ロキファミリア】の面々の予約が入っていたがらだ。時間になるとロキファミリアの面々が店に入ってきた。注文が入る前に皿を片付けよう踏み出そうとした瞬間、今まで感じたことのない威圧感を感じた

その気配はおおよそ人のそれではない、【ロキファミリア】の一等級冒険者達とは比べられない程の威圧感だ

 

どうやら、店主であるミア母さんもこの気配を感じとったみたいだ。

シル以外が身構えてると神 ロキが声を掛けてきた

 

 

「あっ、ごめんミア母ちゃん。伝え忘れてたんやけど今から来る奴、ウチの眷属やから身構えなくてえぇで、ごめんな勘違いさせて!」

 

「一体どんな化け物なんだい……」

 

 

そんな会話をしているとモンスターらしき奴が姿勢を低くし店の中に入って来た。敵でないと分かっていても流石に身構えてしまう

周りの冒険者は一斉に武器を構えていた。そのモンスターらしき奴は、武器を向けられる状況に項垂れ神 ロキに話し掛けた

 

 

『ロキ様。ちゃんとこの店の店主や店員に私の事を伝えましたか?』

 

「…………テヘ☆」

 

『テヘ☆じゃないですよ。ちゃんと情報は共有して下さい現に周りに迷惑を掛けてるじゃないですか』

 

 

モンスターらしき者の方が神 ロキよりしっかりしている……

確かに重要な情報は共有して欲しい、敵でないと分かっているなら身構えずに済んだかも知れない……いや、知っててもこれは身構えるかも知れない

 

そんな事を考えているといつの間にか全員が席に着いており各々が注文をし始めた。急いで注文をメモに書き留め厨房に通し、作られた料理を席へと運んで行く。

料理を運び終えると神 ロキはお酒を片手に大きく声を上げた

 

 

「えぇ、これより無事に遠征が終わった事とそして!新たに加わった仲間の歓迎会や!!今日は呑み明かすでぇ!」

 

「「「「「「「おーー!!」」」」」」」

 

 

ロキの宣言と共に一斉にジョッキがぶつけあい、酒を飲み盛り上がった

リューは、騒がしくなった冒険者達を眺めつつも仕事に戻った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロキの宣言から20分程経過した頃、酒を最初に飲んだ者達に酔いが周り始めている人が居る中、アイズはレフィーヤとちょくちょく会話しながら食事を楽しんでいた。ふと、宴が始まってたから静かなザガンが気になり目をやると中身の減ってないジョッキを机に置き,運ばれた食事に一切手を付けず、騒いでいる仲間達を眺めているザガンが目に入った

 

何もせず眺めているだけのザガンが心配になったアイズはザガンに話し掛けた

 

 

「えっと……ザガン楽しんでる?」

 

『えぇ、楽しんでますよ。こうやって色々な人が怯えることなく笑いあっているのを見ていられるだけで私は満足です』

 

「…そっか」

 

『どうしたんですか急にそんな質問をして』

 

 

アイズはなんて返せばいいか思い付かなかった。アイズは不器用ながらと宴が始まってから何もしていないザガンを心配していた

 

 

「その…宴が始まってからザガンが何もしてないから、楽しんでるのかなって心配になったの」

 

『そういうことでしたか。本当であれば貴方達の様に食事を楽しみたいのですが生憎、私には口もなければ食事を消化する器官もないのです』

 

「あっ」

 

 

言われてみればそうだ。口が無ければ食べることは出来ないし、それにダンジョンから帰還している時もファミリアに戻った時も一度も食事をしていなかった。

忙しいといえは気付くべきだった

 

 

『私の事を心配してくれてありがとうございます。アイズさん』

 

 

そういうとザガンはアイズの頭を撫でた

その手つきは不器用ながらも優しいもので安心するような感覚に陥ったアイズはそのまま身を委ねた。

たが、そんな姿を見逃す者など、この酒場には誰1人として居なかった

 

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」」

 

 

酒場から鬱陶しい程の悲鳴が上がった

 

 

『うるさいです。静かにして下さい』

 

 

するとレフィーヤが勢い良く立ち上がると鬼のような形相で詰め寄り、ベートはすぐにでも飛び掛かろうとしティオナ達に抑え付けられていた

 

 

「ちょっと何やってるんですか貴方!?」

 

『何か問題でもありましたか?』

 

「大アリですよ!さっき……ア、アイズさんのあ、頭を撫でて……!!」

 

 

動揺と困惑、その両方を混ぜたようなレフィーヤは声にザガンも少し困惑してしまった。ザガンとしては乗り手であるアルゾナ・イシューが自分の子供にやっていたことを見様見真似でやっただけなのだが、どうやらそれがいけなかったみたいだ

 

 

『駄目でしたか?』

 

「駄目です!!私だってアイズさんにナデナデしてみた……じゃなかった、とにかく、駄目なものは駄目ですから!!」

 

 

私欲が少し垣間見えた気がするが敢えてザガンは触れることはなかった

そして、レフィーヤが席に戻った後、少しずつ酒場の騒がしさは戻り始めた。酒場からは笑い声が響く中、話題は変わり遠征の話しになった。

すると、ベートがアイズにあの話しをする様に促した

 

 

「そうだ、アイズ!お前の『あの話』を聞かせてやれよ!」

 

 

『あの話』と一体何のことだろうか?みんなに話せる様なものあったのだろうか?

アイズは身に覚えのない話題をベートに振られ首を傾げる

 

 

「あれだって、帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の一匹、お前が5階層で始末しただろ!?そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎の!」

 

 

ベートの言いたいことが分かった。あの子だ、自分が助けた、あの白髪の少年のことだ。嫌な予感がする

 

 

「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐに集団で逃げ出していった?」

 

「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!こっちは帰りの途中で疲れていたってのによ~」

 

 

酒が既に回っているベートは次々とあの時のことを大声で周りに話していく

 

 

「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえ冒険者が!」

 

 

止めて、とでも言いたいが言い出せない

 

 

「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際へ追い込まれちまってよぉ!可哀想なくらい震え上がっちまって、顔をひきつらしてやんの!」

 

「ふむぅ?それで、その冒険者どうしたん?助かったん?」

 

「アイズが間一髪ってところでミノを細切れにしてやったんだよ、なっ?」

 

 

アイズは表情にこそ出てはいなかったが、何処となく表情が曇りが見える。胸の奥がズキズキと痛む感覚、そして乱れる心、それらに整理をつけ落ち着きたいがそれが出来ない。

 

 

「それでそいつ、あのくっせー牛の血を全身に浴びて……真っ赤なトマトになっちまったんだよ!くくくっ、ひーっ、腹痛えぇ………!」

 

「うわぁ………」

 

 

ティオナが顔を顰めながら呻いた。

ベートに引いているのか、あの少年に引いているのかは分からない、分からないからこそ不安になる

 

 

「アイズ、あれ狙ったんだよな?そうだよな?」

 

「……そんなこと、ないです」

 

 

アイズは、ただ静かに短く口から言葉を絞り出した

すると、周囲から笑い声が聞こえてくる。きっと周りの冒険者も聞き耳を立てていたのだろう

 

 

「それにだぜ?そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまってっ………ぶくくっ!うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのおっ!」

 

 

それを皮切りに周囲から笑う声が聞こえる。仲間達から、周囲の客が笑っている

すると、少し後ろの方で椅子がガタンと倒れる音と共に誰かが走って逃げて行く。その後ろ姿には見覚えがあった

あの少年だ

 

 

「おっ食い逃げかぁ?ミア母ちゃんの店でやるとは度胸があるなぁ」

 

 

そうロキが言った所でザガンが静かに立ち上がった

今まであまり喋らず、置物の様に動かなかったザガンが突然動いき出したことに団員達や客が驚いた

 

 

「お?どうしたんやザガン?」

 

『あの少年を追いかけます』

 

 

客の一部はあの食い逃げ犯を捕まえるのだと思いどれくらい逃げられるのか賭けを始めた。だが、ザガンはあの少年を捕まえる気は一切無かった

 

 

『逃げたのは先程の話しでベートさんが言っていた少年です。きっと、ダンジョンへ行き無謀なことをするでしょう、下手すれば死んでしまいます。その前に連れ戻して来ます』

 

 

そう言うと店の出入り口へ近付きそのまま出ようとするが急に入口付近で立ち止まる

 

 

『最後にベートさん。先程の少年はまだ弱いのは事実です…ですが、いずれ強くなり私たちを助けてくれるかも知れませんよ

それと貴方のその態度は直した方がいいですよ』

 

 

そうベートに伝えるとザガンは店を出て行った

アイズとしてもあの少年が心配だ、ダンジョンは突然何が起きてもおかしくない。自分のせいであの少年が傷ついたんだ、死んでしまう前に助けに行かないと。

 

考えをまとめたアイズはリヴァリアにダンジョンへ行くと伝え、ザガンの後を追った

 

 





最後までご閲覧ありがとうございます
次回も投稿は遅いとは思いますがそれでも楽しんでもらえたのなら嬉しいです

ザガンをベル達と絡ませるか

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