幻想我執風人記帳   作:Askm47

1 / 1
第一話 【ネタとは……?】

今日も世界は、緩やかに動いている。

 

 「『次は、新宿、新宿です』」

 

変わりない日常。変わりない風景。

 

      『こんにちわ』

   『やっほー』

 

    変わりない人生。

 

          『ローン…』

『残高が…』

 

そして、それは幻想郷に於いても同じである………はずだった。

 

 

幻想郷。

外界から忘れ去れた者の行き着く最後の土地、森羅万象様々な者が存在する"桃源郷"である。

 

 

朝霧の立ちこめる川辺。

此処は、山奥の小さな掘立小屋。

無数の木と岩に覆われた天然の出版社だ。

 

「んんん、あぁ〜ネタが、ネタがぁ!」

 

その中に、締め切りに追われる者が一人。

名は射命丸文。

妖怪の山に住み【文々。新聞】を掲載している文屋だ。

 

そして、彼女の側でお茶を立てる者も一人。

 

「あまり頭を使いすぎるとパンクしちゃいますよ〜」

 

名は犬走椛。白狼天狗で、文の実質的な部下である。

 

「はいお茶です」

 

椛は茶杓を置き、茶碗をゆっくりと机の上に乗せた。

 

「あ、ありがと」

 

文は筆を一旦止め、一服した。

そして、乱れた心を整えようとする。

しかし、すぐに頭を掻き始め、肘を机に置いて悩み始めた。

 

「でもさ、ネタがないとお茶がいくらあっても足りなくない?」

「は、はぁ。そこの所は私には分かりかねます」

 

文の萎んだ顔つきに、椛は助言しようと頭を捻らせた。

椛は手を合わせて言った。

 

「そういえば、森の魔法使い伝いで聞いた話なのですが…」

 

前置きを始めると、文の耳がピクリと動いた。

「…どんな?」

 

「確か、人里で妙に噂が広まり易くなったとか。それも、どれも信憑性のない悪い物ばっかりだそうで…」

 

そう言い終えた途端、文は机を思いっきり叩いて立ち上がった。

「ほぉ!」

「うわぁっ!、びっくりした」

「これは、っいい匂いがしますね。行きますよ!」

 

文は慌ただしく戸棚を開け、中から正装とカメラを取り出す。

今までの憂鬱さが嘘の様に、寝巻きを速攻で着替えてフィルムの準備をし始める。

 

そんな彼女の横で、椛は口を開けたままぽかんとしている。

そんな椛に文は一言。

 

「なにやってるんですか?、行きますよ!」

「…え?」

 

 

 

呆気に取られる椛の腕を掴み、彼女は錆だらけの扉を蹴破った。

 

「あぁ!?、何してるんです!?」

「椛、捕まってください!、それと目も閉じといて!」

椛は慌てて文の腕に抱き瞼を固く閉じた。

すると、文は腰に巻きつけたベルトから八手を取り出し、頭上へと翳す。

 

軽快なステップを踏み、文は口を大きく開けて叫んだ。

 

「いざ、特ダネの地へ!」

 

 

その瞬間、疾風が巻き起こり、近くの大木がゆらゆら揺れた。

落ち葉は、また木に生えようと思う程に高く飛び上がり、彼女らの背景を淡い緑で覆い尽くした。

 

「…………ウググゥっ…!」

強風で煽られながらも、椛は文の腕を離そうとはしない。

速度はマッハ10、話したらひとたまりもない。

 

「………、もう開けていいですよ?」

 

そう言われ、彼女が目を開けると。

そこには、朝日に照らされ黄金に輝く、天にまで届くかの様な、白雲の姿があった。

 

文はにんまりして言った。

「ラッキーですね。普段は私しか見ないですから」

 

「…えぇ、素晴らしい景色です」

「でも、目的はこれではありませんよ。下に見えるでしょう?。あれが人里です」

 

文は下の家々を指差す。

しかし、人生初めてなのだろう。

椛はその黄昏に目を輝かせて居た。

 

「……でも、ここまで綺麗な雲は久方ぶりですね。….それに、貴女も見惚れて目が離せない様だし、後もうちょっとだけ、私も見惚れていますか」

 

こうして、彼女らの取材一日目は朝日と共に始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 




今日2025年十二月二十五日!
皆はクリスマスでワイワイしてるなか、主はこの世界、ハーメルンに初めて足を踏み入れて居た。
友達がいない…?     ハハっ
そんな中で書いた文章です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。