デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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趣味、趣味、趣味

「レゼ先輩って、男の趣味悪くない?」

 

 アサが会心のコーヒーを淹れた翌日。

 喧噪賑わうフードコートで、アサはそう切り出した。

 

「男って……あの、デンジって人?」

「そう!」

 

 我が意を得たりとばかりに、アサは気炎を上げ始める。

 

「不良っぽいし、ガサツそうだし、品が無いし、目つき悪いし、頭悪そうだし! しかも貧乏舌!」

「まあ、確かに昨日のあの一杯を飲んで『ドブ味』は無いな」

「でしょ!? しかも実際に淹れた私の目の前で堂々と言うし! デリカシーってのが無いの!」

 

 その辺の処世術は必要無かったんだろうなぁ。特異課だし。

 卑怯卑劣は戦場の(なら)い。デリカシーなんぞ考えていては死んでしまう。悪魔の前ではなおさらだ。

 

 デンジが『普通』を学習するという事は、ある意味でデビルハンターとして弱体化するという意味でもある。

 ならば、今いる環境でそれを教える人間はいないだろう。デリカシー以前に人権があるかも怪しい所だ。

 

 公的な監視無しで自由に動けているあたり、それなりの信用はあるらしいが。

 

「かと思ったら、なにあの子供みたいな距離の詰め方! 今日日ボーダーコリーだってあんな雑な距離の詰め方しないって! あれで本当にレゼ先輩と同い年!?」

「環境が人を作るからなぁ……」

 

 しかしこれ、結構面白いな。

 今はアサがデンジをこき下ろしている訳だが、正史とでもいうべき原作では”その”デンジにアサが惚れている。

 

 『この世界』がチェンソーマンに酷似しているのは確かだが、だからといって俺は自分が紙面上におけるインクの染みだと思ったことは無い。

 だが、それはそれとして、決して無視できない程度には打率の高い『予言書』が頭の中にあるのも事実。

 

 その予言書からの乖離を最も象徴する存在が、三鷹アサである。

 

 世界は誰かの筋書き通りではなく、自らはインクの染みでは無い。

 そんなごく当たり前の事実が、アサの存在と言動によって証明されている。

 

 アサが原作から乖離していればいる程、マキマを前倒しで倒すという無茶な乖離が通る様な気がしてくるのだ。

 

 扱いとしては縁起物に近い。

 

 まあ、原作では最初の頃のアサはデンジに対して丁度こんな感じだったので、ここからデンジとくっつく()はまだまだあると思う。

 勿論、個人的にはデンジの隣にはレゼをねじ込んでいきたい所存ではあるが、レゼ編のラストでマスターが言った『デンジ君にぴったりの女の子』とは恐らくアサの事だ。

 

 何かしらのイベントで電撃的にくっつく可能性も0ではない。

 人間関係など、結局は当人らの納得以外に必要な事は無いので、それはそれで祝福するつもりだ。

 

 その場合のレゼは……まぁ、公安にねじ込むか。

 むざむざソ連に渡してやることは無い。

 

「レゼ先輩もレゼ先輩じゃん! ()()()()が眼に入る度に女の顔しちゃってさ! 声もワントーン明るくなって、電話口の母親じゃないんだから! 信じらんない!」

 

 そんな心持であれば、こうして激憤するアサもまたいとおかし。

 『女の愚痴を聞く』という人によっては最悪の労苦が、甘えてくる犬猫と戯れるが如き癒しの時間になる。

 

 アサの愚痴は根深い様で、随分長くなりそうだ。

 

◆◇◆◇

 

 ジョージがアサの愚痴を笑顔で聞いているころ。

 ちょうど昼飯時になった二道に、デンジが入店していた。

 

「おいーす」

「あ、いらっしゃいませー」

 

 そのデンジを迎えるのはレゼ。

 今日は……というか、今日も閑古鳥が鳴いている二道では、デンジ1人にレゼが付きっきりになるぐらいにはやることが無いのだった。

 

「昼食い来た」

「なにになさいますか~?」

 

 甲斐甲斐しくメニュー表を持ってきて、肩が当たるほど近くに座るレゼ。

 当然人入りの多いモーニングではやらないし、例え閑散としている時分でもジョージ相手にやることは無い。

 

 すなわちデンジだけの特別待遇な訳だが、当然デンジ本人がそれを知るはずも無く。

 

 しかしそのことについて問いかけるには、デンジはレゼに対して距離を測りかねていた。

 というより、このような『恋愛の途上』での距離感について、彼は経験が無さ過ぎた。

 

 問うべきか、問わざるべきか。

 それすらも判断が付かず、結果もやもやとしたものだけが胸中に残る。

 

 或いは本人すらも自覚できないほどささやかなその心情を、レゼは手に取る様に察知する。

 

「そうだなぁ……カルボナーラと、ナポリタン。あとアイス!」

「はぁい。待っててね」

 

 伝票には既に注文が記入されていて、マスターが受け取るや否や調理を始めるだろう。

 

 その一言と共に、デンジの肩を叩いて席を立つレゼ。

 そんな単純で些細なボディタッチで、面白いほど動揺してくれる。

 

 同時に、他の男(ジョージ)にも同じことをしているのでは、という疑念がデンジの執着を加速させる。

 

「……どうしたのレゼちゃん」

「え~?」

「なんだか、凄くご機嫌そうだけど」

 

 そう言われて、レゼは即座に自らを省みた。

 口角が不自然に吊り上がり、頬はやや赤らんで、目はわずかに細まっている。

 

 なるほど確かに、『ご機嫌』としか言いようのない状態である。

 

「さぁ、なんででしょうね?」

 

 誤魔化すようにそう言って、マスターに伝票を渡す。

 さて、誤魔化したのはマスターだったのか、それとも意図せぬ表情を呈した自分に対してだったか。

 

 レゼはしばらくの間、マスターの調理を眺めていた。

 この後どうするのか……そして、自分がどうなっているのかを俯瞰するために。

 

 マスターから見れば、その姿は初めての情動に戸惑い思い悩む、普通の少女の様だったが。

 

◆◇◆◇

 

 結局考えがまとまるよりも先に料理が完成してしまったので、店員としてデンジのテーブルへと配膳する。

 

「お待たせしましたっ。カルボナーラと、ナポリタンね。アイスは後でくるから」

「おぉ」

「ていうか食べ合わせおかしくない? パスタとパスタって」

「そうかなぁ……そうか?」

「普通サラダとか合わせるものだと思うけどなぁ」

「ま、いいじゃん。ウメーんだし」

 

 そう言ってレゼから皿を受け取ると、デンジはテーブルに備え付けてあるフォークを手に取る。

 

「……」

「……? どうしたの?」

 

 すると、デンジがレゼを見て少し固まっている。

 何かを考えているようで、視線の焦点はややぼやけていた。

 

「レゼってさぁ、いつもそのエプロンだよな」

「これ? まあここの制服みたいなもんですからねぇ」

「せーふくか。でも昨日の……アサ? は違うの着てたよな?」

「ああ。あれはね、この店ってほら、お客さん少ないじゃん? だから制服可愛くしたら、もうちょっと客入りが良くなるんじゃないかなって事で、試しに変えてみたの」

「変わんの?」

「ジョージ君の『いやこれ別の店になるわ』がその通り過ぎたから変わらないってさ」

「ふーん……そんなもんか……」

 

 レゼは事前情報として、デンジの生い立ちのおおよそを把握している。

 

 いわゆる常識的な感性を養う環境に無かった、ある意味で自分と似たような境遇だと。

 『そんなもんだ』と言われてしまえば、『そんなもんか』と納得するしかない環境。

 

 その点についてシンパシーを感じているからこそ、レゼはデンジの言葉に、額面とは別の含意があることを感じ取った。

 

「そんなもんですよぉ……もしかして」

 

 ここでレゼは一気に距離を詰めて。

 

「私が着てるトコ、見たかった?」

 

 耳元で、そう囁いた。

 

「見たいデェス!」

「あっははは!」

 

 デンジの速すぎる即答に、レゼが笑う。

 顔をやや赤らめて、飾らない本音を全力でぶつけてくる姿は、レゼとしても心動かされる物があった。

 

「はぁ~……いいよ」

「えっ?」

「可愛い版着てるトコ、見せたげる」

「マジっすか」

「大マジですよぉ」

 

 デンジの隣に座って、一度だけ肩を触れさせて離れる。

 

「あ、でもあれかぁ……あれってアサちゃんのサイズに合わせてあるから、私だと入んないなぁ」

「入ら……」

 

 思わず、レゼの顔から下に視線を向けるデンジ。

 そこにはデンジが求めてやまない『女の体』が、ファッションという名の丁寧なラッピングで飾られていた。

 

 デンジが憧れるマキマのそれと比較すれば、やや主張に乏しい部分もあるものの、それでも自分とは一線を画する体。

 

「ちょっと、何処見てるの?」

 

 文言だけを抽出すれば、ただ不機嫌になったかのように聞こえる言葉。

 しかし、その実態はニヤニヤと楽し気な笑顔を伴った揶揄いの言葉だった。

 

 デンジが何か言葉を繋ぐよりも先に、レゼが攻め手を増やす。

 

「女の子はそういうの敏感なんだから……ちゃんと見てもいいって時以外は見ちゃダメだよ?」

「そっ、それってもしかして……セッ」

「そう! 一緒に服を選んでいる時です!」

 

 デンジは体勢を崩した。

 そして、ジョージの発作に若干の共感を得た。

 

 確かにこれは、ああもなる、と。

 

「だからデンジ君、今度の休み、私とデートしない?」

「……デート?」

「近所のデパート行ってさ、私に似合う服をデンジ君が選ぶの。で、私もデンジ君に似合う服を選ぶ。どう?」

 

 デンジの中に葛藤が駆け巡る。

 それはつい先日に行ったマキマとのデートであり、ひいてはマキマに対する裏切りではないかとする、ある種の忠誠心であった。

 

「行きます……」

 

 が、その忠誠はすぐに砕けた。

 

◆◇◆◇

 

 翌日。

 上手い事休日が回ってきたデンジは、二道での昼食を済ませ、その場で退勤したレゼとデパートに向かった。

 

 なんとレゼは昨日デンジが帰った時点でマスターに話を付け、アサに代打を頼んでいたのだ。

 流石に翌日に休日が回って来たのは驚いていたが、まあダレるよりはいいという事で、アサもマスターも快く送り出してくれた。

 

 唯一、二道でその現場に遭遇したジョージは血反吐を吐きそうな表情で送り出していた。

 

 デンジはジョージがレゼに惚れているのかもしれないと不安になっていた。

 レゼはジョージが自分に対して恋情の類を持っていない事を理解しているが、それはそれであんな表情をされる理由が全く分からないという意味で、デンジと同様にだいぶ不安だった。

 

 それは表面的な言葉ではなく、人間性の根幹に近い部分での『共感』である。

 もうちょっと悪し様に言えば吊り橋効果である。

 

 無理もない。

 直感に優れるデンジも、膨大な座学を積み上げたレゼも、『特定の恋愛模様(デンレゼのカップリング)を観測して興奮する変態』の概念を知らないのだから。

 

 恐怖とは常に未知から生まれるものである。

 多分その内カップリングの悪魔が生まれる事だろう。

 

 本人は全く理解していないし、意図もしていなかったが、ジョージの言動は2人の仲を進展させる当て馬として確実に機能していた。

 

「なんかガクセーが多いなぁ」

「夏休みですからねぇ。おかげでアサちゃんも簡単に代わってくれたし」

「夏休み? なにそれ?」

「えっ、デンジ君夏休み知らないの?」

「おお」

「学生は夏の特に暑い時期は、ずっと学校お休みなの。その期間の事を、夏休みって言うんだよ」

「へぇー」

 

 そんな取り留めのない会話をしながら、レゼの先導で2人は歩く。

 

「ねぇねぇ、どっちの服から選ぶ?」

「あ? 一緒に選ぶ感じじゃねえの?」

「男性用と女性用の専門店がそれぞれあるのですよ」

「服ってそんなにあんのか……」

「日本は選択肢が多くて良い国だよね」

 

 そんな地元を匂わせる失言をしつつ、先にデンジの服を見る事に。

 

 服飾について、レゼはそれなりに学んでいた。これでもレゼは潜入調査員(スパイ)である。変装の技術はどれだけあっても足りないのだから。

 もっとも、その知識はあくまでも女性に対するものだし、着飾るというよりは溶け込むことに特化した知識であったが、レゼの応用力があればそれだけでも70点ぐらいは取れる。

 

 無難で汎用性が高く、野暮でないアイテムを数点組み合わせるだけで良い。

 

 それだけでいいのだが……。

 

「ね、ね。デンジ君こっちも着てみて」

「えぇ~? まあいいけどよォ……」

 

 レゼの勧めた服は、既に10を超えていた。

 それぞれが若干ずつ違った雰囲気を醸し出すようにコーディネートされていたが、デンジからすれば何が何やら。

 

 レゼ本人もまた、何がピンと来ていなくてデンジの服をとっかえひっかえしているのかよくわかっていなかった。

 デンジは確かに金髪で赤目でギザ歯と日本人離れ、というか若干人間離れした容姿をしているが、それでもどうにかなるだけの知識的素地が自分の中にある事をレゼは疑っていなかったし、それはある程度事実である。

 

 最低限不格好でないものを選んで終わりにすることはできる。

 できるはずだ。

 

 なのにしていない。

 したいと思っていない。

 

 無難で誰にでも使える様なものではなく、もっと『デンジならでは』の物を見つけようとしていた。

 

「ほい。どうだ?」

 

 試着室から出てきたデンジは、丸いサングラスをかけ、白いTシャツの上に革ジャケットを羽織り、ジーパンを履いていた。

 

 レゼは迷走していた。

 

◆◇◆◇

 

 しばらくの間、アレコレと悩んだり選んだりした結果。

 黒のハット、オレンジのワイシャツ、黒のベスト、黒のズボン、黒の革靴がデンジに渡された。

 

 中心にあるオレンジが派手に目を引き、それ以外の部分は引き立て役に徹する、というコンセプトである。デンジの髪色とも一応のシナジーがある。

 この『黒と橙』のカラーパターンがポチタを連想させるという事で、デンジ本人もそれなりに乗り気だったのが決め手であった。

 

 ちなみに、この時に黒のチョーカー……ちょうど今自分が着けているものと同じ首輪型アクセサリーを見つけたので、予備としてこっそり購入しておいた。 

 

「じゃあ次はデンジ君の番ね!」

「つっても、俺服とかよくわかんねぇぜ?」

「大丈夫大丈夫、私に着て欲しい服を見つけるだけで良いから」

 

 そう言いながら、デンジをレディース専門店に連れ込む。

 

「アサちゃんのエプロンとかはここで買ったんだよ」

「へ~」

 

 並の男であれば尻込みするレベルで少女趣味を前面に押し出した、内装がピンク色の店だった。

 だがデンジは空気を読まない事にかけては天下一品。レゼに導かれるまま、何ら臆することなく入店していった。

 

 商品のラインナップを見るに、アサが着ていたエプロンが『地味』な部類である事にデンジは気付いたが、さてここから何を選んでレゼに着てもらうべきか考える。

 

 正直な所、デンジとしてはとにかくえっちいのを着て欲しい。

 

 しかしそれを初動で出すのが不味い事はさしものデンジもなんとなく察していた。

 というか、そもそもこの店には()()()()()が無い。布地の量はむしろ過剰な物ばかりであり、ある意味でデンジの趣向とはソリが合わなかった。

 

 違った衣装のレゼが見れるならと当初は乗り気であったが、商品のラインナップでその感覚が麻痺してしまったともいえる。

 

「……マジで何でもいいの?」

「この店の中からだったら、いいよ」

「こん店かぁ~……」

 

 どれもこれもフリルまみれで何が違うのか分からなくなってきた。

 そうして途方に暮れるかのように視線を巡らせると、ふと眼に入るピンクチェックに白フリルのスカート。

 

 思い返してみれば、レゼはずっとズボンをはいている。

 女性であることは間違いないが、やや中性的な装いが主であった。

 

「何か気になるの見つかった?」

 

 不自然に止まった視線を敏感に察知したレゼが、その視線の標的を探し始める。

 咄嗟に誤魔化そうとしたデンジだったが、こうした人読みの技術はレゼの方が一枚上手。

 

「うわぁ、すっごい可愛い奴じゃん」

「レゼは、こういうの着ないよな?」

「そうだね。もっと動きやすいのばっかり着てるから新鮮かも」

 

 デンジが見ていたのはスカートだけだったが、実際には全身がワンセットで並べられていたものだった。

 流石にスカート単品だけを見ていたとは分からなかったレゼは、とりあえずその全身ピンクゴスロリを手に取ってみる。

 

「おぉ……スゲェ……」

 

 デンジはもうそうとしか言えなかった。

 それ以上に、これをどう形容したらいいのかが分からなかった。

 

「じゃあちょっと試着室いこっか」

「マジで着るの?」

「うん……デンジ君は、これ着てるところ、見たい?」

「見たいデェス!」

「ふふ、声デカ」

 

◆◇◆◇

 

「いやぁ、買っといてなんだけど、これ着るかなぁ……」

 

 店からの帰り。

 

 あれ以降もおよそ1時間にわたってレゼのファッションショーが開催されたが、結局最初にデンジが見立てた全身ピンクゴスロリの一式を買った。

 着替える度に『カワイイ!』とか『きゃわいい!』とかデンジが褒めちぎってくれるのは、レゼとしても気分が良かったものだから、ついつい長居してしまった。

 

 だが、それはそれとして、全身ピンクゴスロリで表を歩く勇気は、今のレゼには無かった。

 

「なんで? 似合うじゃん」

 

 そしてデンジにはそういうのを気にする側面が無かった。

 

「だってこんなに派手にカワイイやつ着てたら目立っちゃうじゃん。恥ずかしいよ」

「そういうもんかなぁ」

「そーゆーもんですよ」

 

 口を尖らせてデンジのデリカシーの無さに文句を言うが、デンジはどこ吹く風だ。

 こういう鈍感さは見習うべきかもしれない。

 

「ってことは、これ着てるレゼを見られんのは俺だけって事か」

 

 なんか得した気分だぜ、といいながら歩くデンジに対し、レゼは少し立ち止まってその背中を一瞬見送った。

 いきなり隣からいなくなったレゼに気付いて、デンジが振り返る。

 

「あん? どうした?」

「はぁ~~~~……デンジ君って、ほんっとズルい」

「え!?」

 

 彼女は足早にデンジの隣へ戻ると、その耳元でささやく。

 

「じゃあ、私もデンジ君の前でしか、これ着ないからね」

「……なんかすごくえっちじゃないですか?」

「えー? ただの服の話ですよぉ?」

 

 咄嗟に『レゼ』に成りなおした”彼女”は、楽し気なままで歩き出す。

 それはやっぱり、普通の少女と同じ様に。

 

◆◇◆◇

 

「うつべしうつべし」

 

 二道のカウンターで、1人のバカがカウンターに突っ伏していた。

 口から恐らく日本語と思しき言語を零しつつ、機械の様に時折コーヒーを口に運ぶ。

 

 これで本日20杯目である。

 

「……ジョージ君? もう店閉めるよ?」

「左内角を攻めて脇腹を抉る様にうつべし」

「これはもう駄目かも分からんね」

 

 バカはジョージだった。

 

 マスターは助っ人を呼ぶことにした。

 

「アサちゃん? ジョージ君の家ってわかる?」

「はい、分かりますけど……何か?」

「ジョージ君の事、家まで送ってあげてくれない?」

 

 アサはジョージの醜態を見る。

 

「……まぁ、そうですね、はい。必要な事だと思います」

 

 なんだか男女が逆な様な気がしないでもないが、アサは渋々その要請を引き受けることにした。





やりそうに無いイベントを起こしたせいで筆が進まなかったぜ!
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