「新しいご友人! さあ、楽しみましょう!」
火炎放射器に変えた腕を元に戻した俺は、折角なので火炎放射器らしいふざけ方をしながらマキマと戦う。
まあこれ以上使うと嘘がバレるので、火炎放射は使わないけど。
マキマの動きは完全に力任せの荒っぽい戦い方。
頭に血が上っている証拠だ。
「私は貴方と上手に踊れるでしょうか? 心配だ……けれどそれより、ずっと楽しみです」
「黙って死になさい」
はっは、完璧だな。
そうなるように演出したとはいえ、ここまで完璧にはまってくれるとなかなか嬉しいものがある。
当然だが、銃の悪魔にチェンソーマンの様な能力などありはしない。
先ほど行った火炎放射の様な攻撃は、単なるショットガンによるものだ。
『ドラゴンブレス弾』と呼ばれる、鉄球の代わりに焼けたマグネシウムをばらまく実在の弾薬である。
これをバルエムを喰い殺した直後に使う事で、さも火炎放射器の悪魔の能力を奪ったかのように演出しただけだ。
武器人間の殺し方として『心臓を喰う』というのがどれぐらい有効なのかは正直不明だ。
何なら、変身トリガーを使えば心臓さえも再生するかもしれない。
だから『喰い殺して奪った』という印象を植え付けた。
俺が言えたことじゃ無いかもしれないが、こいつ等は無限残機と悪魔の力という2つのチートでイキっていただけの凡人だ。
それらが引き剥がされ、奪い取られては冷静でいられない。
そして、この演出は同時にマキマも観客としている。
チェンソーマンに並び立つ者がいる。
そんなものをマキマが許せるわけがない。
更に俺が狂的で奇妙な言動を繰り返せば、より一層チェンソーマンにダブるかもしれない。
そうなればもう冷静でいられない。
案の定、マキマは吶喊してきた。
そして俺のおふざけにもイライラしているようだ。
「スロー、スロー……クイッククイックスロー……」
「この……」
攻撃の間を縫って、拳銃で心臓を狙う。
完全に血が上ったマキマは避けも防ぎもせずそれを受けるが……すぐに再生する。
悪魔であることを差し引いても異常な再生力。やはり契約の非活性化は失敗か。
となると俺はもうマキマを殺し切ることは出来ないわけだが。
であるなら、俺はマキマに殺し切られた方が良い。
俺が支配されると……マキマが自分の『負け筋』を認識してしまう。
そのために、マキマに俺を嫌悪させた。
無限の利用価値を持つ銃ではなく、チェンソーマンを穢す人間として認識させた。
もう支配なんてしたくも無いだろ?殺したくってしょうがないだろ?
ほら、完璧に殺せよ?
それまで……俺も好きにするからよ。
「”来い”」
東京タワーの傍にたたずんでいた肉片に命じる。
必死になって張子の虎を演じていたのを中断し、一瞬で元のサイズに縮小。
そして自らを銃弾とする高速移動によって、俺の手元まで即座にやってくる。
肉片は流れ込むように俺に取り込まれ、そのまま糧となり、俺の肉体が成長する。
「……素晴らしい」
その賛辞が漏れたのは、俺の口からだ。
自画自賛である。
マキマの肉体に6つの銃創が開く。
拳銃の早撃ちだ。
悪魔の力を使わない……言い換えれば、人間形態でも出せる早撃ち。
それが6発撃ち切るまでに、0.3秒とかからない。
「ん~……分散している自覚はあったが、もう少し集中させても良かったかもなぁ……」
体の調子が物凄く良い。
流れる時間がゆっくりになっているようにさえ感じる。
例えるなら、小学生の時に、10分休みで校庭まで降りて行ってドッジボールを始める様な、あの行動力。
あれをもっと極端にしたような感じだ。
「しかし……お前はほんと、どういうカラクリだ? その再生力」
また新品の体になったマキマに問いかける。
「アナタに教える必要はありません」
「ま、そりゃそうか」
考えてみれば、原作でも岸辺に教えた理由が大分謎だったしな。
チェンソーマンと久々に会ってテンションが上がっていたので口が滑った、ぐらいしか無かったような気がする。
「だが、血が出るなら殺せると相場が決まっている。死ぬまで殺せば死ぬんだろ? まずは、ちょいと100回ほど死んでみな」
ここでどれだけぶっ殺しても、デンジとレゼは死なない。
2人は武器人間なので、悪魔の契約上その命に価値が無い為だ。
それで成立するなら、武器人間たちに押し付けの契約を施して、復活担当の人間を傍に置いて、適当な監獄に拘留するのが一番確実だ。
これなら契約について知る存在の数も最小限で済むし、わざわざ内閣総理大臣なんて面倒な奴と契約する事は無い。
実際、こうしてまず真っ先に武器人間を大量に召喚したのは……
「……あ?」
こうして、武器人間を真っ先に召喚したのは……多分、こいつ等の命がマキマの盾として機能しないから、だろ?
待て、落ち着け。
この感覚は、マキマの契約の突破口を見つけた時と同じ、直感。
何か光明がある、そんなときの勘。
「隙有りゃああああああ!!!!」
「ぐあっ!」
考え事をしていたせいで、サムライソードの居合をもろに喰らってしまった。
やはり、こいつだけはヤクザ稼業をしていただけあって、まだ肝が据わっている様だ。
被害は……変身トリガーのある左腕が吹っ飛ばされてしまったな。
「これでもう再生できねえだろ!」
「そうだな」
ガコン。
「左腕、ではな」
再生した左腕を見せつけてから、散弾銃で雑にぶっ飛ばす。
「……何が起きた?」
「上だ。上にあるあの……リボルバーの弾倉みたいなのが回転したら、傷が治った」
「変身トリガー複数持ちだぁ……? なんでもアリかよ、コイツ……」
「銃の悪魔が別格なことぐらい察しが付くだろ」
肉体がどれだけ分割されても、ある程度集まったらそれぞれが独立した悪魔として活動可能で、脳や心臓らしきものも後から生み出すのだ。
普通に闇の悪魔よりも意味不明な生態である。
では、これがどういった理屈から生まれる現象なのかと言うと、銃の悪魔には複数の『予備心臓』とでもいうべきものがあるだけだ。
最初に米国大統領によって呼ばれた銃の悪魔がアサルトライフルを使っていたが、戦争の悪魔に呼び出された銃の悪魔はスナイパーライフルを使っていた。
これはそれぞれが厳密には『アサルトライフルの悪魔』と『スナイパーライフルの悪魔』とでもいうべき存在であった為だ。単純に”そういう所”の肉片が偏ったのだろう。
構造的には、戦争の悪魔が銃の悪魔と戦車の悪魔で義腕を作ったのと同じだ。
その義腕をちょっとリモート操作で動かしてるだけだ。
結果として、銃の悪魔の心臓を持つことで、それら『予備心臓』へのアクセスも解放されるわけだ。
そして全ての予備心臓は銃の悪魔の心臓に繋がっているので、迂回経路を通る形で銃の悪魔の心臓を動かせる。
そのため、俺の肉体には銃の悪魔のトリガーの他に、『拳銃の悪魔』と『機関銃の悪魔』と『狙撃銃の悪魔』と『散弾銃の悪魔』のトリガーがある。
予備心臓のトリガーは変身しないと凄く小さいので、変身してない限りはあまり意味も無いが。
で、こうなると、俺は当然それらの悪魔の能力も使える。
レゼがミサイル出してたのと同じ理屈だな。
「”動くな”」
その一言で、全員がもう近づけない。
だが、それ以上の力があるマキマだけが、俺に近付いて攻撃できる。
『機関銃の悪魔』の能力、敵を近づけさせない。
第一次世界大戦で食傷気味なほど生まれた、機関銃陣地VS歩兵の構図を象徴する様な能力だ。
乱戦を物凄く雑に拒絶できるのも強いが、銃のポテンシャルをフルに発揮できる『距離』を簡単に保護できるのも強い。
ちなみに、なんかそれっぽく発している言葉には何の意味も無い。
できれば『呪言の悪魔』とかかと勘違いして欲しいが、蛇の目と牙の刻印とか入れてるわけでもない無課金ブラフだ。引っ掛かればまあ何でもいいかな。
しかしこういうブラフというのは中途半端に冷静な奴に向けて使うものであって、ガチギレしているマキマには全く効果が無い。
どうもマキマは直接手を下して俺を殺したいらしく、他の武器人間たちには明確に指示らしい指示を与えられていない様で、戦闘圏の外側からまごまごとしているだけだ。
挙句、わざわざ呼び寄せたレゼに至っては、地面にめり込んだままピクリとも動かない。
レゼの肉体強度を見るに、あれだけで死んだわけでもあるまいに。
……いや、レゼについては本当に意味わかんねえな?
レゼを呼んだ理由が俺への対抗策だとしても、デンジを呼び寄せたいのだとしても、もっと派手に能力を使わせた方が効果的だ。
これも単純に指示を出していないだけ……? だからって、あんな電源が落ちたみたいな止まり方するか?
とはいえ、マキマとしても割と一杯一杯という可能性もある。
「BANG」
「何度、やっても、無意味です」
それがこれだ。
フェイントも何も入れていない、完全に『生』のままの銃撃を、そのままに受けてしまう。
おかげで俺は何回でもマキマを殺せてちょっとスッキリするが、この格闘の攻防に気を取られて指示を出せないのかもしれない。
「たとえ私を食い殺した所で無意味ですよ。あなたはチェンソーマンではないのだから」
「どーかなぁ? 契約次第じゃあ、案外、胃袋ぐらいは貸してくれそうだけどなぁ。お前と違って。お前と違って!」
攻防の全てを放棄し、両手を使った全力のファ〇クサインと変顔で煽る。
「残念ですが、チェンソーマンは契約なんてしません」
「いや悪魔なんだから契約ぐらいするだろ」
「チェンソーマンは契約なんてしませんし、誰かと仲良くなったりもしませんし、まして同列の存在などあり得ません」
「……コワ~。そんなんだから行き遅れんだぞ」
「うるさいですね。私には関係ありません」
「ほーら、若いのはすーぐそう言う事言うんだから! 自分が若くなくなった時のイメージができないんだよ! さっさと身を固めないと、優良物件程どんどん売約済みになって行くんだからな!」
「アナタよりは年上ですよ」
そうだった。
コイツ信仰心が強すぎて煽りが通じないタイプの厄介オタクじゃん。
契約ぐらいさせてやれよ悪魔なんだから。そもそもデンジと契約してるって言ったのお前だろ。
……んー、ちょっと膠着してきたな。
マキマの格闘能力は、ハッキリ言ってそこまで強くない。
動き自体は結構なものではあるのだが、いくらダメージを受けても『攻撃の押し付け』でリセットできるので、攻撃にとにかく偏重している。
おかげで隙が生まれるので、そこを狙い撃てばいい。
「”ぶっ飛べ”」
考える時間を確保するために、『散弾銃の悪魔』の能力を使う。
能力は、『敵を
これもまたシンプルながらに強力だ。
なにが強いって、機関銃の悪魔の能力とのシナジーが強い。
機関銃の悪魔の能力はあくまでも近づけさせないだけで、追い払う効果が無い。
どれだけ堅牢な金庫であろうと中に入れる黄金が無ければ無意味であるのと同じ様に、距離を詰められた後に発動しても意味が無いのだ。
散弾銃の悪魔の能力は、守る黄金を生み出す能力だ。
まあこれもマキマには抵抗されそうだったので、対象をマキマ1人に絞る事で効力を底上げする。
さて考える。
それは戦闘が始まってから、ずっと薄ぼんやりと抱えていた疑問。
マキマは何故、人命を気にしている?
武器人間がマキマの盾にならないのは間違いない。
しかしそれでわざわざ武器人間を持ってくるほど、マキマは人命に配慮する様な質ではない。
というか、武器人間なんて存在自体が相当の機密事項であるはず。
にもかかわらず、何故最初から武器人間を呼び出す? そりゃあ移動速度が常人と比較して高いのは認めるが、そんなものはマキマが不死性で耐久すればいいだけの事だ。
そもそも、現時点でもここらに公安の者と思われる人間が来ている様子はない。
先日のレゼによる爆破テロを加味しても、対応が遅すぎる。
……なんだ? どういう理屈だったら、筋の通る説明ができる?
マキマが人間を守る理由。
守るというよりは、保護して前線に送ってこない理由、とした方が近いな。
既にいる早川アキは除外するとして、それ以外の人間をこの場に呼ばない理由。
人間は恐怖という悪魔の力を生み出す家畜の様なものだから、人間の数が減れば恐怖の総量が目減りして悪魔全体が貧することになる、とか?
ちょっと弱いな。チェンソーマンを支配した後まで含めた、超長期的な意味ではそう間違ってもいない様な気がするが、短期的には違いそうだ。
支配構造にはある程度まとまった数が必要だから?
これも微妙だな。支配の悪魔にとっての利益は支配そのものではなく、支配という構造に対する恐怖であるはずだ。まあ娯楽ぐらいの意味合いはあるかもしれんが。
それこそ、戦力的に見れば『誤差』だから?
結構ありそうだが、それだと武器人間たちを引かせてないのが気になるな。誤差でもあった方がマシって言うなら、人間を呼ばない理由として成立しない。
いやまて。
そもそも、こいつ等ってどうやって呼ばれたんだ?
電話とかしてない、よな?
いや、単純に支配の悪魔の力か。
『全て捧げる』系の契約をしてるとすれば、意思伝達ぐらいはできる。実際、俺も銃の悪魔の肉片に同じ様なことができるしな。
となると、マキマが呼べるのは『全て捧げる』契約を結んだ相手だけ……?
そんな人間が居ない……って事は無いだろう。
チェンソーマンとの決戦を見る限りじゃ、30~40人って所か?
確かに、今の俺なら一瞬で蹴散らせるが……悪魔の中には『呪いの悪魔』の様な初見殺しの即死技を持っている奴もいる。
まあ武器人間の俺は殺してもあんまり意味が無いが、同じ様な仕様の拘束技があるかもしれない。第8部の『ファン・ファン・ファン』みたいな奴だな。
動物系の悪魔に丸呑みでもされればそれだけで少しの間は動けないし、狐の悪魔にぶん殴られれば吹っ飛ぶぐらいはする。
ぶっちゃけ支援にならないという意味では周囲の武器人間の方が戦力外だ。
こいつ等搦め手が全然使えないんだよな……正直、こいつ等と比べて銃、爆弾、弓矢が強すぎる。
話が逸れたが、少なくとも人間であれば何かしらの支援要員ぐらいにはなる可能性が高いのだ。
ナユタを見るに、支配の力にはキャパシティがある。逆に言えば、その分厳選されているハズだ。この状況でも何の役にも立たないなんて奴しかいないわけがない。
落ち着け、一旦整理しよう。
推測を省き、事実だけを抜き出す。
マキマは不意打ちを受けた。
折を見て復活。
この後デンジが離反。
武器人間到着……これだ。ここがおかしい。
たとえ武器人間がどれだけ早い移動手段を持っていたとしても、それは決して瞬間移動ではない。
恐らくこいつらが収容されていると思われる公安からここに到着までにはある程度の時間が必要だ。
つまり、マキマは俺が銃の武器人間であることを知る前に召集命令を下した。
本来の、つまり原作の展開において、天使の悪魔は早川アキをここに連れてこなかったが、その点についてマキマは何も言わなかった。
言い換えれば、元々意図していただけの戦力が集まらなかった事をさして不服に思わなかった。
更に言い換えれば、この場に明確な脅威が存在するとは思っていなかった。
そして、同じ編成を命じてこの場に来た以上、その認識は特に変わっていなかったはず。
にもかかわらず、不意を打たれて1億を超えるだろう残機が1つ減ったぐらいで武器人間を招集。
これは明らかに過剰反応だ。
なぜか?
過剰に反応するだけの何か……異常事態が起きていたからだ。
残機を気にするような、残機とは無関係な武器人間の出動。そして、それ以外の人間の保護。
……これは、希望的観測か?
だが、いずれにせよ、確認しなければ。
◆◇◆◇
突如としてマキマとの戦闘を切り上げ、能力を発動して上空に退避したジョージ。
即座にマキマもそれを追って飛行するが、ジョージは全く相手にせず、明後日の方向へ舵を切り、飛んだ。
「……逃げた?」
疑問が、マキマの中の激情をわずかに中和する。
これまで散々強気に戦い、延々とこちらを挑発し、事実ずっと優勢だった男が。
特別何らか不利になった訳でもなく、恐らくはまだまだ多くの仕込みがあるだろうに、逃げた。
何故?
飛び去るジョージの背中を見ながら、マキマは考える。
そして、その方角に気付いて思い至った。
◆◇◆◇
背後で轟音が鳴り響く。
移動しながら振り返ると、レゼが爆発を起こしてこちらを追いかけてきていた。
再起動したのか。
あの武器人間たちの中で、明確に飛行能力を持っているのはレゼだけだからな。俺を追撃するには一番都合が良い人選だったのだろう。
追撃が必要と判断したという事は、俺の推測がおおよそ間違っていなかったことを裏付けるようなものだが、それにしてはマキマ本人が来ていないのが気になるな。
プリンシあたりに呼ばせて先回りするつもりか? にしてはレゼを使った追撃が早すぎるか。
というか、レゼはあれ……大丈夫なんだろうか?
爆発で飛んではいるが、スクリーンや実際に見た時の様なスマートな感じじゃない。
とにかく『こっち側に爆発を起こせばいいんでしょ?』といわんばかりで、姿勢がグチャグチャだ。爆発の度に錐揉み回転してるじゃないか。
その割に飛行ルート自体は精密だったりするのだからよくわからん。
レゼの支配は完全じゃなかったりするのか?
支配以前の技量を自由に引き出せるのは間違いないはずだが、現時点でのレゼを見る限り、そう言う凄味は感じない。
なんというか、マリ〇カートで50ccしかやったことのない人間が、いきなり200ccをプレイしているかのような……不慣れというか、アンバランスというか。
オートパイロットで動かすにはそれなりに『調教』が必要という可能性もあるな。
強力な力を発揮するには、相応のコストを払う必要があるのは俺にも覚えがある。
デンレゼに手土産として渡した高分子ポリマー銃なんかがそれだ。時間もそうだが、若干量の銃の悪魔の肉片を消費して作っている。
HPとMPの最大値を減らす様な行為だが、それぐらいあの銃は”重い”。
「ん?」
何かが地面からくる。
速い、しかも、デカい。
両腕をクロスさせて心臓を防御。
しかし攻撃が来たのは腹。上半身と下半身が真っ二つになった。
斬撃。
誰だ!?
「誰か知らねえがテメエ悪モンだろぉぉぉおお! レゼはどこだぁあああ!?」
デンジだった。
正確には、サメライドデンジだった。
「この駄犬がぁぁああ! 確認してから斬れや!」
墜落した。
◆◇◆◇
結構なスピードで飛んでいたものだから、慣性で随分転がってしまったが、何とか態勢を立て直す。
下半身が無いなった……場所は分かるので、運動エネルギーを与えて呼び寄せる。その間、上半身にも運動エネルギーを与えて浮遊させる。
「っとにもう……レゼが来た以上は、どこかのタイミングでデンジも来るとは思ってたが……」
できればマキマに切りかかって欲しかった。
その直前に『助けてチェンソーマン』って言ってマキマを煽りたかった。
「……ジョ、ジョージ?」
「あ?」
名前を呼ばれたのでそちらに向く。
そこには、銃の悪魔の混乱を物陰でやり過ごしているのだろう、アサの姿があった。