デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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V6


嵐の前の……?

「へい人間君。大丈夫かい?」

 

 人外魔境決戦が起きていた二道の前。

 その台風の目が遠くに逃げ出したことを確認して、天使の悪魔はアキに近付いていた。

 

 天使がみるに、アキの状態は想像以上に良好だった。

 脇腹を射抜かれている時点で良好もへったくれも無いが、後遺症なく復帰できる見込みが大きいという意味で。

 大口径の銃だったらしく筋肉繊維はズタズタだが、強引に体を捻ったおかげで内臓は無傷。折られた両足も随分綺麗な折られ方をしていて、前よりも強くなる公算が高い。

 

 もっとも、それは充分な療養をしたら、という前提に立つ話である。

 なにもしないで放置していたら出血多量、止血しても消毒が不十分だったら破傷風、安全な場所に移動しないと巻き添え……まだまだ予断を許さない状況であることに変わりない。

 

 まして、今、この瞬間、この戦闘においては戦力外も甚だしい。

 天使の悪魔はマキマからこの場に残る様に指示を受けていたからここにいるが、アキはとっとと救急車か何かで戦線離脱するべきだ。

 

 銃の悪魔による混乱が無ければ、迷いなくそれを選択できたが……

 

「大、丈夫だ……大丈夫……戦える。俺は、まだ……」

 

 アキは唯一自由になる右腕で床を引っかき、左側だけになった瞳は何か芯を失ったかのように揺れていた。

 

 銃の悪魔。

 天使の悪魔もその悪魔について知っていることは少ないが……全てのデビルハンターが血眼になって殺そうとしている、特級の化け物であることぐらいは知っている。

 

 そして、その中の1人が早川アキであることも。

 

 例えば、自らの知らない所に再臨して大暴れしたというなら、その殺意をただ研ぎ澄ますだけで済んだだろう。 或いは、これが既に討伐されているだとかそういう話であったなら、意気消沈こそすれそれで終わりだっただろう。

 

 だが、アキの目の前に現れた銃の悪魔は、ある意味で慣れ果てともいえる姿。

 

「銃、銃を……銃と……」

 

 デンジと同じ。

 後ろから見ていてすぐに気づいた。

 

 どうもデンジの心臓はチェンソーの悪魔の心臓になっているらしい。とても珍しい状態だ。名称すらついていないほどに。

 そして、その心臓は色々な存在から狙われているらしい。

 

 アキはつくづく思っていた。

 それがデンジと何の関係がある、と。

 

 別に持ちたくて持った心臓ではあるまい。なりたくてなった状態でもあるまい。

 にも拘らず、義務教育も受けてない16そこらのガキを、大人も悪魔も寄って集って何をしているのかと。

 

 デンジの粗野で直截な振る舞いに、当初はアキも反発していたが……そうした事情まで知ってしまえば、アキの心には違和感ばかりが降り積もる。

 

 まずは保護だろう。

 状況を出来るだけ詳細に把握して、説明するべきなんじゃないか?

 当人が望むなら心臓移植とか、デビルハンターを続けるにしたって、こんな人権のない犬みたいな扱いは違うだろう。

 

 アキは組織人で常識人だ。どれだけそういう風に思っていても、それを表に出さないぐらいの分別があった。

 だがそれはそれとして、『国が許して良い事じゃない』という想いはいつもあった。

 

 結局デンジは公安から逃げて、どこぞの女と駆け落ちするらしいが……それでいい、とアキは思った。

 

 別に公安が悪だなんて思ってはいないが、デンジとは水が合わないだろうとも思っていたからだ。

 それに、デビルハンターをせずに逃げるのであれば、死んでいなくなるという事は無いのだし。

 

 ”その”デンジと全く同じ境遇に、銃の悪魔は居た。

 

 これまでに生まれたデンジへの情が、全て己の憎悪を否定する。

 チェンソーの悪魔が何をやっていたとしてもデンジには関係ない……じゃあ、銃の悪魔は?

 まずは保護だろう。状況を確認して、説明して……じゃあ、銃の悪魔は?

 人権のない犬みたいな扱いは違う……じゃあ、銃の悪魔は?

 

 振り上げた拳を振り下ろす先を失ったのではない。

 拳を振り下ろす”正当性”を失ったのだ。

 

 恨みにヒビの入った復讐者ほど脆い存在は無い。

 

 そして脆くなった人の心のスキマに。

 

 悪魔はするりと、甘言を囁く。

 

「早川君」

「マキマ、さん……」

「大丈夫? 立てる?」

「俺はっ、俺は、大丈夫です。マキマさんは」

「私も大丈夫」

「……撃たれてたでしょ? 本当に大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。そう言う悪魔と契約してるの」

 

 嘘か真か。マキマの言葉からはいつもそれが伺い知れない。

 

「ああもう、こんなに傷ついて……」

 

 マキマがアキの両足を撫でる。

 綺麗に、とはいえ折れているものは折れているのだから、撫でられるだけでも結構痛い。

 

「銃、銃は……?」

「分からない。けど、飛んでいった方角は公安デビルハンターの本部だったね」

「ッ!!」

 

 アキの脳裏に最悪のイメージが湧き出る。

 銃の悪魔が公安の直上に出現して、周囲の人間に攻撃を加える。即座に逃げればまだ何とかなるだろうに、銃の悪魔にはアキも含めて多くの人間が恨みを抱いているから、全力で攻撃を始める。

 

 そして、ことごとく鏖殺(おうさつ)される。

 

 そんなイメージが。

 

「まあ、早川君には関係ないよ」

「え……?」

「その足じゃ何もできないでしょ?」

 

 あくまでも優し気に、まるで慈母の様に、マキマはアキに戦力外通告を下した。

 しかしアキは反射的に言い返す。

 

「でき、出来ます。俺は、俺はまだ……」

 

 デンジへの情。銃の悪魔への恨み。公安としての使命感。同僚たちへの仲間意識。マキマに対するカッコつけ。

 何もかもがグチャグチャになってアキの中を渦巻く。

 

 何ができるのか。

 アキ自身もよくわからず、ただできるとだけ口が動いていた。

 

「できる? なにができるの?」

「マキマさん……俺は、契約。契約ができます。どんな悪魔と、どんな契約でもします。俺に……力を貸してください」

「早川君、それじゃあ私と契約しようか」

「……え?」

「早川君の全部をくれるなら、私が銃の悪魔を倒してあげる」

「な、何を言ってるん、ですか……? 契約は、悪魔と人間の間で行うもので」

「早川君」

 

 アキの疑問を誤魔化すように、どこか強い語気でマキマが遮る。

 

「これは命令です。契約すると言いなさい」

 

 瞬間、天使の脳を駆け巡る、『存在しない記憶』。

 

 最初に居た場所。言葉を教えてくれた人。家を建ててくれた人、泳ぎを教えてくれた人。

 そして自分が好きになった人。自分を好きになってくれた人。

 

 どうして? 何故?

 今までずっと忘れていたのか。彼らの存在を。

 

 そして、マキマが自分を支配して、彼らに何をさせたのかを。

 

 天使が意識を戻した時、既に手遅れだった。

 

「契約する」

「……マキマ。マキマぁッ!」

「あれ? 天使君、記憶を思い出しちゃったかな?」

「10年使用!」

 

 『天使の悪魔』の能力、触れた相手の寿命を奪い、奪った寿命で武器を作る。

 

 在庫が十分にあれば、最強のデビルハンターと名高い岸辺の次ぐらいには強い天使の悪魔。

 だが、それもマキマに比べれば細やかなもの。

 

「伏せ」

「ぁぐっ!」

 

 マキマの首めがけて振るった10年使用剣。

 その全力の一撃は、しかしたった一言で完全に無効化されてしまった。

 

「マキマ……お前、お前一体何をする気だ!」

「よく私の力を振りほどけたね。天使君……私に全て捧げると言いなさい」

「ぅぁ……マキマに全て捧げる」

「いい子」

 

 マキマはアキの傍にしゃがみ込み、囁くように独り言ちた。

 

「ごめんね、2人とも。でもこれで、ようやく勝ちの目が出てきた」

 

 アキの折れた両足をマキマが撫でる。

 撫で終わった頃には、骨折は既に完治していた。

 

◆◇◆◇

 

 上半身だけの状態で浮遊するという、ジオングみたいな俺を見たアサは完全に絶句していた。

 無理もない。本来であれば致命傷だし、そうでなくとも現在は武器人間としての変身形態。俺は頭部の変形を最小限に抑えているので、顔を見れば誰かは分かりやすい方だが……それでも、明らかに異常な身体をしているのはすぐに分かるだろう。

 

 あ、さっき銃の悪魔の肉片を補給して素体がちょっと成長したから、それもあるか。

 

「なんだアサ。お前逃げてなかったのか。ちゃんと大阪行きの新幹線のチケット渡したよな?」

「もら、貰ったけど……」

「デビルハンターが大捕り物するとエライことになるって昨日見ただろうに」

「えと、えぇ……?」

「ま、いいけど」

 

 ようやく下半身が追い付いてきたので、断面を合わせて左腕をジャキンとスライド。

 これぐらいなら血液の補給は不要だな。温存するか。

 

「うん、機能良好。じゃあアサ、死なないように気を付けろよ……この駄犬がぁああああ!!!」

 

 能力を使って空を飛び、サメライドデンジへ突っ込んでいく。

 

◆◇◆◇

 

 アサは、初めてだった。

 

 命懸けの混乱が、ではない。

 悪魔との鉄火場が、でもない。

 身近な人の変貌が、でもない。

 

 種ヶ島譲司から、こんなにおざなりな扱いを受けたことが、初めてだった。

 

 忠告を無視して逃げなかった事を責める訳でもなく、ただその事実を冷淡に受け入れて、それで終わり。続いたのは、ともすれば無責任・無関心にも思える程粗雑な、自己責任論じみた改めての忠告だけ。

 その忠告すら、どこか事務的で形式的だった。

 

 まるで、アサの生死に関心を抱いていない様な。

 

「ッ!」

 

 思い浮かんだその考えを、アサは首を振って振り払った。

 

 そんなことは無いはずだ。

 だって、ジョージはいつもアサの事を一番に考えてくれていた。

 

 アサだってバカではない。

 昨日のジョージが自分に対してどれだけ配慮を重ねていたのか、一晩眠って改めて振り返ってみればよくわかるというものだ。

 意味不明だと思っていた『今日は風呂に入らない方が健康的』なんて言葉も、確かにそうかもな、と思えるぐらいには冷静になった。

 

 そりゃあ、瞬間的に別の所に目を向ける事もあったのは事実だが、それでも最後には結局アサに視線が戻るのだ。 

 少なくとも、これまではそうだった。

 

 だから、これからもそうなのだと、勝手に決め込んでいた。

 

 ここで敢えて残酷な事実を語るなら。

 仮にジョージが持つ全てのリソースを100とした場合、その中でアサに注ぎ込まれているのは精々が10といった所だった。

 マキマ包囲網の構築、デンレゼの鑑賞、銃の悪魔の肉片の管理、ブログ運営を含むデビルハンターの仕事や雑務、岸辺との連絡……ハッキリ言って、戦略的合理性のないアサとの付き合いは、ジョージにとって優先順位が低い。

 

 なにせやることはいくらでもあり、体がいくつあっても足りないぐらいだった。

 何なら、実際に『人手』を増やして対応するようなことも時折あった。

 

 その上での、10%。

 

 大きい。間違いなく大きい。

 一躍時の人となった売れっ子芸能人のスケジュールを10%圧迫していると言い換えれば、その大きさは伝わるだろう。

 プライベートの可処分時間の10%ではなく、仕事も含めたうえでの10%なのだから。

 

 だが、同時に10%でしかない。

 

 そして認識の齟齬を更に大きくするのが、人生経験の差。

 ジョージは転生者。前世の記憶が……対人経験がある。当然、女性の扱いにもある程度経験がある。

 社会の荒波に揉まれて色々と擦れた女性を相手に、セクハラというワイルドカードを切らせないよう立ち回るぐらいの経験が。

 それに比べれば、捻くれ者とはいえまだまだ純真でそれなりの信頼関係があるアサをエスコートするぐらいはそう難しい事ではない。たとえ10%であってもだ。

 

 しかしアサからすれば、そのエスコートのクオリティは同級生たちから漏れ聞こえるそれと比較してずば抜けて高い。

 故に60とか80の様な、相応のリソースを蕩尽されていると誤認してしまう。

 

 勿論、ジョージがアサの生死に無関心だとか、そういう事は無い。

 だがそれはそれとして、今はそれよりも優先度の高い事があるというだけだ。

 

 そうした優先順位を即座に、そして完全に割り切れるから、ジョージ・スマイルズは『100点』なのだ。

 

 アサには、その機械的なまでの割り切りに耐性が無い。

 ジョージも一般人に見せる様な側面で無い事を自覚していたので、意図的に遠ざけていた。

 

 アサはそのまま、物陰でうずくまっていた。

 もしかしたら、本当にもしかしたら、ジョージが助けに戻ってきてくれるかもしれないと思ったから。

 

 しかし当然の様に、ジョージは助けに来なかった。

 

◆◇◆◇

 

「テメエまだ生きてやがったか!!」

「違う違う違う! 俺だ、ジョージだ!」

「あぁ!?」

「顔を見ろ声を聴け!」

「……よくわかんねぇ!」

「そーだよなぁ! おまえ男に興味ねーもんなぁ!?」

「チェンソー様ヤバいです足場が無くて落ちる!」

「テメエはもうちょっとサメらしくしろやぁ!!」

 

 能力発動。

 ビームに運動エネルギーを与えて引き連れ移動を再開する。

 

「うぉぉおお!? ビィイーム!! レゼはあっちだァ!」

「浮いてる……す、すげぇ……」

「言ってる場合かぁ!!」

 

 このっこのっ、といいながらこっちにチェンソーを振ってくるデンジ。

 危ないからやめて欲しい。落っこちても拾わんぞ。

 

「寄せろビーム!」

「ハァイ!!」

 

 いやいや、お前らを動かしてるのはエネルギーそのもの。

 自分で言うのもなんだが、大分無理筋の理屈で使えるようになったサイコキネシスだぞ?

 

 ははぁ悪魔の力とは法則よりも認識が優越するんだなぁと感心した覚えがある。

 これが術式の解釈を広げるって奴か、と。

 

「って嘘だろなんで本当に寄れてんだよ!?」

「愛の力だァアァァァ!!」

「よしんばそうだとしてもテメエの力ではねえよ!!」

 

 ははぁ悪魔の力とは法則よりも認識が優越するんだなぁ。

 これが術式の解釈を広げるって奴か。

 

「いや言っとる場合かぁ!!」

 

 そうだ。これならどうだろう。

 

 1つ案を思いついた俺は、口元を隠していた仮面を取り、眼球部の変身のみを解除した。

 これなら顔だけはひとまず元通りになる。視界が人間のそれに戻ることで探知能力が落ちるが、背に腹は代えられない。

 

「ほら見ろ! 俺だ、ジョージだ!」

「うわ本当じゃん! あ、ビーム! もう寄せなくていいぞ!」

「ハァイ」

「やっとわかってくれたか……」

 

 外見を元に戻して、話を続ける。

 

「で、ジョージ! レゼはどうなってんだァ!?」

「支配の悪魔っつー悪魔に操られてる!」

「何ィ!? そいつすんげー悪モンだな!?」

「そうだ! だが支配の悪魔は俺の獲物だ、お前は考えなくていい!」

「あぁ!? 操ってる奴倒さねーと意味ねーだろ!」

「支配の悪魔ってマキマなんだけど、お前斬れるのか!?」

「うっそだろ!? マキマさんって悪魔だったの!?」

「そうだ! 流石に気が引けるだろ!」

「まあ、それはそう」

「だからお前はレゼの足止めだけ考えてろ! 俺が支配の悪魔を始末するまで、大人しくさせてろ!」

「レゼは訳分かんねーぐらいつええぞ!」

「操られてはいるが、レゼも抵抗してて動きが荒い! 付け入るスキはいくらでもある!」

「動きとかスキとか言われてもわかんねーよ!」

「何とかしろ!」

「ひっでぇ指示だな! 全然勝てるイメージ湧かねえ!」

 

 分かる。

 実際問題、レゼVSサメライドデンジは『水に濡れると弱体化する』という弱点を突いただけで、純粋な戦力としては9:1でレゼ優勢だ。

 

 今のレゼは実質『めっちゃ跳ね回るねずみ花火』みたいなもんだが、一番大きかった機動力の差はほぼ何も変わっていない。

 それに、これから支配がどんどん進行していく可能性まで考えると、あまり悠長にもしていられない。

 

「デンジ! そのサメは荒っぽく扱ってもいいのか!?」

「ッたりめーだろ! ビームは俺に後悔をさせなかった唯一のサメだぜ!!」

「チェンソー様最強! 最高!」

 

 流石レゼ編における真のメインヒロインとか言われるだけの事はあるな……というかまるでデンジを後悔をさせたサメならいくらでもいるかのような言い草だ。

 

 まあ、言質は取った。

 

 拳銃を生み出してビームに発砲する。

 威力としてはカスも良い所だが、今回の目的には十分だ。

 

「ジョージお前何した今!?」

「ぎぎゃあ……気が高まる……溢れる……」

「本当に何をした!?」

 

 なんか伝説の超サ〇ヤ人みたいなことを言いだしたビーム。

 

 それに伴って、流線型の体には血管が浮き、堅牢な鱗が織りなす鮫肌をも歪ませるほどに筋線維が膨張する。

 そして尾びれの周りと鼻先に筒状の突起が形成されていく。

 

「銃の悪魔の肉片を打ち込んだ」

「あ? 肉片?」

「銃の悪魔の肉片を摂取した悪魔は、強さが大きくブーストされる。銃の悪魔は強いからな」

 

 サービスで銃の悪魔の血液も付けておいた。

 使ったのは拳銃だったが、弾薬は麻酔銃の様なもので、液体を注入できるような機構になっているのだ。

 

「まあ魔人に効くかは微妙だったが……この調子だと、上手く行ったらしい」

「つまりビームがすっげえサメになったって事だな!?」

「……まあ、そんなところだ」

「っしゃあッ! 行くぞビーム! レゼにリベンジマッチだァ!」

「ハァイ!!!」

 

 元々そいつスゲーサメだろ。

 と、思ったが、まあ良いか。

 

 ビームは尾びれの筒……というか銃身からエネルギーを噴射すると、その反動を利用してレゼの方に飛び去って行った。

 

「なにそれ……知らん……怖……」

 

◆◇◆◇

 

 プリンシを使って公安デビルハンター本部に瞬間移動したマキマは、管制室に向かった。

 武器人間は外に出ている。岸辺は先日の爆破テロの後始末。天使はまだ二道に居る。

 

 つまり、今本部にいるのは全員がマキマの『下』だ。

 

「『マキマに全て捧げると言いなさい』」

 

 その支配の言葉を大音量で放送した。

 ジョージのやっていた恐怖喚起の放送を参考にした、放送設備による超同時契約。

 

 流石のマキマも東京タワーをジャックする準備は無い。

 だが、内線放送であれば、管制室の数人を支配するだけで可能。

 

 効果は、劇的だった。

 

「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」「マキマに全て捧げる」

 

 本来、そう多くは起こりえない『全て捧げる』契約の大合唱。

 

 そもそもが悪魔と契約しただけの人間。まして組織構造的にはマキマの部下。マキマの意向、指先1つで進退が決まる様な存在ばかり。

 スピーカー越しとはいえ、支配の悪魔からすれば簡単な事だった。

 

 ものの30秒でマキマの伏魔殿となった公安デビルハンター本部。

 

 迎え撃つは『銃の悪魔』。

 そのために全ての構成員が個我を抹消し、超個体となる。

 

 支配の力によって強要されたものではあるが、その光景はまさしく総力戦の様相を呈していた。






悲報:アサちゃん、厄介オタクになる
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