デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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基本寝る前に書いてるもので……


銃なんて捨ててかかってこい!

 蜘蛛の悪魔、プリンシは死んだ。

 

 いやまあ、当然と言えば当然の事だ。

 なにせここは『戦争』、『支配』、『銃』というビッグネームが集う戦場である。

 今更蜘蛛なんぞ来られても……その、なんだ。困る。

 

 多分直接的には俺が殺したんだと思うんだが、ワンチャンマキマの攻撃の余波で死んだ可能性まである。

 それぐらいなんの存在感も無く死んでいった。多分石田のオッサンよりも静かに死んだ。

 

 まあこれでマキマの運び屋が1人減ったと考えれば、これもまた戦果だ。

 

 これにて、戦場は戦争と銃VS支配という2対1の構図になった。

 

 マキマの得物は、恐らく天使の寿命武器と思われる槍。

 戦争の悪魔の得物は、恐らく俺の素体を使ったと思われる拳銃。

 そして俺の得物は、全ての銃をケースバイケースで。

 

 これだけを見ると、こちらの陣営が射程の有利を押し付け続ける展開の様に思われるが、実態はやや違う。

 

 基本的な構図はそれであっているのだが、まずマキマの防御がとにかく堅牢だ。

 取り回しの都合で個人携行が可能な銃を使う事が多い俺からの射撃を槍で弾き、硬軟織り交ぜた戦争の悪魔の射撃を支配した悪魔の能力で防いでいる。

 未来の悪魔の能力も併用しての事だろうが、同時に防御8:攻撃2ぐらいの割り振りにしていることも大きい。

 

 次にマキマの攻撃だが、時折寿命武器と思しき槍を投げてくることが多い。

 投げるとそれで終わりだろ、とも思ったのが、どうやら即座に手元に呼び寄せることができるらしい。同時に、投擲に補正が掛かるのか、そうして投げた槍の鋭さは致命傷を与えるのに十分な物だった。

 まあいくら弾速が早かろうと、流石に予備動作が長すぎて『見てから回避余裕でした』って感じでもある。

 

 時折悪魔の能力も使ってくるが、使い勝手の良い所は大体が在庫切れになりつつあるのか、だいぶ消極的な運用方法だ。

 槍投げ以外の攻撃もあるぞ、という威嚇に近いな。それでも呪いの悪魔をはじめ、初見殺しの能力を抱えている可能性まで考えると、積極的に攻めるのも難しい。

 威嚇の効果は充分、と言う訳だ。

 

 だが、総じてマキマはジリ貧。

 

 現在の構図を維持していれば、その内にマキマを削りきれることだろう。

 それは勿論マキマも承知のハズ。

 

 ならば、相応に逆転の秘策を持っていると考えるのが妥当。

 

 であれば……付け入るスキを一切与えず戦い続けるか、秘策が功を奏するよりも早く殺し切ってしまうか。

 

 俺の答えは、後者。

 

「仕掛ける。合わせろ」

「分かった」

 

 言葉少なく戦争の悪魔に伝えると、戦闘の合間に拾い集めていたスモークグレネードを3つ投げつける。

 そのうち1つだけは拳銃で撃って更に遠くへ飛ばし、マキマを囲む形で煙幕を張る。

 

「何してるんだ!」

「黙って見てろ」

「……?」

 

 マキマは疑問符を浮かべながら、煙幕の中へと大人しく埋もれて行った。

 当然だ。スモークグレネードの役割は、元々視界を遮ることによって精神的な遮蔽物を展開する事。

 

 これではマキマにとって有利にしか働かない。

 

 俺の視界が、人間のそれなら。

 

「スコープだって銃なんだぜ」

 

 腕から銃剣を生やした時と同じ様に、ブローニングM2重機関銃に三脚がくっついてきたのと同じ様に。

 銃のアクセサリーとその特性も、俺は使える。

 

 レティクルでびっしりの瞳。

 その両目には、望遠(テレスコープ)機能と暗視(ナイトビジョン)機能と……熱源感知(サーマル)機能が備わっている。

 

 そして熱源感知機能は、スモークグレネードの煙幕を貫通する。

 

 ハッキリと見える。マキマの輪郭が。

 

「さて……未来の悪魔よ、これが見えるのはいつかな?」

 

 発砲。

 

 マキマが大人しくしているのをいいことに、最初にマキマの頭蓋の消し飛ばしたアンチマテリアルライフルを使った。

 取り回しが悪くて奇襲ぐらいにしか使えないが、やはり極上の威力だ。

 これと同じ弾薬を毎秒10発以上ぶっ放すブローニングは何かがおかしい気がする。流石車載機銃って所か。

 

 ブローニングなぁ……撃ってるだけで気持ちいいんだけど、コストがなぁ……昔の銃だから銃身は安いんだけど、弾薬とアクセサリーガガガ……。

 

 そんなことを考えながら煙の中のマキマを狙撃する。

 

 早川アキがそうであったように、正中線付近……特に丹田から鳩尾の間。この辺りに撃ち込まれると、飛び上がるにも仰け反るにも中途半端で、とにかく大きく横に動くことでしか回避ができない。

 しかし秒速850mを超える圧倒的な弾速に煙幕の目隠しが合わされば、未来視があろうと無傷の完全回避は不可能。

 人間では反応すら不可能であろうに、曲がりなりにも回避が成立しているあたりは、流石支配の悪魔といった所か。

 

 やがて残機が1つ2つ減っただろう頃合いにて、マキマがこちらに走り寄ってくる。

 

 そりゃそうだ。これでは煙幕が未来の悪魔の能力を阻害するだけだからな。

 戦争の悪魔は銃撃できないが、命中率が上がるならそっちの方が手痛い。

 

 ちなみにしれっとやっているが、銃の悪魔はスコープを使えなかったと思う。俺も結構頑張っていると、これだけはハッキリと真実を伝えたかった。

 

 さておき、走り寄って来たマキマに対して、俺は足元にスモークグレネードをもう1つ展開する。

 更に前後左右に1つずつ展開し、マキマを迎え撃つ。

 

 煙幕を張って未来視を妨害。それが俺の仕掛けだと思っただろ?

 接近戦はお前の土俵だから、絶対に距離は取り続けると思っただろ?

 

 だから、逆に俺が思いっきり踏み込むなんて思ってなかっただろ?

 

 違う。俺の狙いは接近戦だ。

 接近戦こそ、『ジョージ・スマイルズ』の独壇場。

 

 これまで散々に『銃の武器人間』の印象を植え付けた。だからこそ、この戦闘スタイルはマキマには初見。

 戦闘スタイルを切り返る瞬間は煙幕に隠され、マキマには直前まで分からない。

 

 マキマが慌てて槍を操作するが、そんな長物を振り回していては格好の餌食だ。

 銃は使わない。ナイフも不要。

 

 背後から腹を両足で挟み込み、白く細い首に両腕を巻き付け、頸動脈を締め上げる。

 

 裸締め。

 完璧に決まれば、返し技が存在しない『詰み』の組み技。

 

 レゼがチーズ野郎に決めたあの技だ。

 

「後は……これを残機が尽きるまで続けるだけだ」

 

 体重を思いっきり後ろに掛けて倒れ込み、マキマの首を締めながら空を見上げる。

 

「煙幕足りてないよ! 何やってんの!」

「あ、あぁ……瓦礫スモークグレネード」

 

 戦争の悪魔から煙幕の内部は見えないのだろう。

 困惑しつつあったが、一応俺の声に合わせて煙幕を張ってくれるらしい。

 

 悪魔の力は、主に視覚で対象を認識し、手で照準し、声で発動を制御するケースが多い。

 

 マキマもそうだ。ただ念じるだけではダメで、具体的にどうすればいいのかという命令文を実際の発声で入力しなければならない。全て捧げる契約をした後はまた別になるのだろうが。

 また、闇の悪魔と交戦した際は、指差す様な行動が見られた。狐の悪魔の能力を使う際のデビルハンターも、狐の影絵を結んでそれを突き出すことで照準とする。

 

 視界は煙幕で遮り、背後に回って逃れた。

 手の照準も関節の構造的に、この位置は照準できない。

 声は首を締めあげて気道閉塞。

 

 もう大部分の悪魔の力は使えない。支配の悪魔の力さえも。

 

◆◇◆◇

 

 どれくらいの時間が経っただろうか。

 なにせ首を締め上げるのにフルパワーを使い続けているので、時間感覚が曖昧だ。

 戦争の悪魔は地下に向かい、マキマの残機を直接減らすように言ったので、タイムキーパーも居ない。

 

 疲労もすさまじい勢いで溜まっていくが、腕を緩めるわけにもいかない。

 

 ジャキン。

 

 その度に変身トリガーを操作して肉体をリセットする。

 やがて血が足りなくなるので、外部から輸血させてこれをカバー。

 

 しかし一方で、これで首を引っこ抜いてしまうとそれはそれで復活の起点になってしまう。

 変に気を使うのだ。この状態は。

 

 ……マキマの残機は、流石にそろそろ尽きてきた頃合いだろうか?

 

 なにせ元の数字が分からないものだから、どれぐらい殺せば死ぬのかよくわからない。

 復活を保留させての死んだふり作戦もあり得るからな……そういう意味でも、デンジの喰い殺すという作戦は合理的だった。

 

 すると、マキマに動きがあった。

 足はずっとジタバタ動かしていたが、突如として上体を起こし始めたのだ。

 

 おいおいどうやって?

 

 困惑していると、マキマがゆっくりと手を動かし、掌をこちらに見せつけるかのように掲げた。

 その掌は半ばあたりで大きく裂け目が開いており、よく見ると中には歯と舌が形成されていた。

 

 口? 掌に? 何故? どうやって?

 

 いや、俺は知っている!

 これは、この能力は!

 

「人間のあく―――」

「三千年使用」

 

◆◇◆◇

 

 前に倒れ込む。

 

 支配の悪魔。

 そのビッグネームからは想像もつかないほど無様に。

 

 後ろに掛けられていた体重に対抗するため、その分だけ前のめりになっていたが、その後ろ向きの負荷がなくなったことで、勢い余って前へ。

 

 そうして倒れ込んだ己の体を支えるだけの腕力すらなく、地面に這いつくばった。

 地面から離れ露出した背中には、悪魔であっても致命傷であることが一目で分かる程大きな傷が、ドクドクと血を吐き出している。

 白いワイシャツが赤黒く染まり、ぜえぜえと息苦しげな呼吸が響く。

 

 弱々しい、あまりにも。

 かつて『魔女』と言われた威風は、もはやそこには無かった。

 

 しかし。

 

「勝った……」

 

 勝利だけは、そこにあった。

 

 マキマは、2つのプランを並行して走らせていた。

 

 その内の1つが監獄の悪魔による封殺。

 これはまさしく最善のプランだ。発動条件を満たしさえすれば、どれだけ不死の存在であっても関係ない。場合によってはある程度『銃』を手駒として使えるかもしれないという将来性も素晴らしい。

 ここまで甚大な被害を出し続けるジョージだが、マキマからすれば懲役50年分での働きでお釣りがくるとさえ考えていた。

 

 もう1つが、『天使の寿命武器による滅殺』。

 遥か上空で衛星兵器の様に待機している天使から放たれた、マキマにも完全に未知の領域である三千年寿命武器。

 それがクリーンヒットするように体勢を整え、直上からジョージの脳天に突き刺さり、脊髄と心臓と肉体のほぼ全てを消し飛ばしながら、地面へと貫通した。

 できれば完全な不意打ちの為に、最後まで寿命武器は出したくなかったが……そうも言ってられなかった。

 

 このプランを実行するためにどうしても必要だったのが、『銃の悪魔の肉片を集合させること』だった。

 

 監獄のプランでもある程度はそうなのだが、仮に全ての銃の悪魔が活性化した状態で統率者を失った場合、それぞれの銃の悪魔がどう動くのか確証が持てなかった。

 各国首都の直近で大暴れすればますます『支配』が望まれてマキマが弱体化してしまうし、悪魔全体への恐怖は他の四姉妹を呼び起こすことに繋がりかねない。

 そして仇討ちを考える様な個体が一体でもいれば、それですら今のマキマには手に余る。

 

 更に言えば、ジョージ本人が『肉体を乗り換える』可能性まであった。

 

 正直な所、マキマとしてもこの可能性は『一応考えはするけども……』ぐらいの薄い確率だった。

 そもそもそんなことが現実的に可能であるとは思わなかったし、可能であったとして実際にやることは無いと踏んでいたからだ。

 

 生まれ持った人間の肉を放棄し、全てを悪魔の肉に置き換える。自らの内から一切の人間性を排除する選択である。

 まともな精神構造の人間であれば絶対に選ばない。ある意味で自己の否定……アイデンティティの喪失そのものだ。そんなことに耐えられる人間はまずいない。

 

 これをジョージが選択できたのは、ジョージが『転生者』という存在であり、彼の中における『肉体』の価値が相対的に低い事に由来する。

 肉体を乗り換えても自分は自分。これが経験則として根付いているために、人間の肉体を悪魔のそれに置き換えても自分を見失う事が無かった。

 実質脳だけで銃の悪魔の半分に埋もれてなお、一切精神に異常をきたさず、曲がりなりにも制御できたのもそう言う理由だ。

 

 こうした諸々のリスクを排除するため、できるだけ多くの肉片を巻き込んで殺したかった。

 

 そのために、広範囲攻撃が必要な鼠の悪魔を繰り出し、ジョージ本人を土葬の悪魔……もとい、疱瘡の悪魔で行動を縛った。

 銃の悪魔を呼び寄せさせるために。

 

 狙いは全て上手く行った。

 

 組み技を選んだジョージは勝手に動かなくなってくれたし、後は寿命武器を叩き込むだけだが、首を絞められているので、トリガーとなる声が出せない。

 

 そこを、随分前に支配した人間の悪魔の能力、生体改造で補った。

 

 人間の悪魔は日本でジョージに殺された後、その死体は公安に引き取られた。

 しかし、人間の悪魔は死んでいなかった。彼は自らがジョージには絶対に勝てず、また逃げる事も能わないと理解して死んだふりを決行したのだ。

 

 たかが死んだふりと侮るなかれ。

 生体改造を得意とする人間の悪魔が行うそれは、生命維持に必要な最低限の部分だけを切り離し、それが失われて息絶える死体の中で潜伏するというものである。

 外側の死体は事実として死体なのだ。そこに偽りは一切無い。

 

 ではこのままほとぼりが冷めるまで死体の中で待機して……という所で、マキマに見つかった。

 

 珍しく死体の検分に立ち会ったマキマに支配された。

 なにせジョージの鋭い感覚を潜り抜けるために、そりゃあもうハチャメチャに弱体化していたものだから簡単な話である。

 

 おかげで『掌に口を作る』なんて些細な改造にずいぶん時間がかかってしまい、その間はずっと残機が減らされていた。

 

 だが……苦労の消耗の果てに、マキマは勝利した。

 

「武器は……無理か」

 

 貫通力が高すぎて、ここからではもうその武器が見えない。

 遥か地下深くまで埋まってしまっているのだ。果たしてここから掘りこせるかどうかも定かではない。

 ましてや支配している駒の多くを失い、息も絶え絶えで残機の1つも残っていない今のマキマでは尚の事だ。

 

 そう、マキマは既に、全ての残機を失っていた。

 

 最悪の場合、ここから戦争の悪魔と戦わなければならない。

 元々対処不能の事態だから対処しなくて良いか、と諦めていた事態だが、勝利した後に水を差される形となるとなんだか惜しい気がしてくるものである。

 

 三千年武器が手元にあればまだ目があったかもしれないが……。

 

「いや、まだイケる……かな?」

 

 マキマの視界は白いままだ。

 組み打ちの直前にジョージが撒いた煙幕がまだまだ残っている。

 とにかく貫通力に特化していたため、三千年武器の余波で散らされていると言う訳でもない。

 戦争の悪魔はまだ地下に居るかもしれないマキマの残機を探しているし、煙幕を見通すことができない。

 

 そして、この場所には急場しのぎができるだけの『食料』がある。

 

 ジョージの肘と膝から先が2本ずつ。

 三千年武器の攻撃を受け、ギリギリ血煙になっていないのがこれだけだった。他はもう血液なのかペーストなのかさえも微妙な有様で、瓦礫を舐めて集めるぐらいしかできない。

 

 悪魔は血を飲む事で再生できる。

 三千年武器の余波で出来た背中の傷はマキマの心臓にまで食い込んでいるが、これだけあれば命を繋ぐぐらいはできる。

 銃の悪魔に近似できるだろうジョージの肉を喰らう事もマキマの力を増してくれるはずだ。

 

 ここは引いて、もう一度根を張る。

 

 なに、以前にもやったことだ。慣れたものさ。

 ジョージの肉を掴み掲げて、まずは血を飲み干す。

 

 その後で肉を吸収して、脱出に必要な最低限を

 

「2手、遅れたようだな」

 

 マキマの背中の傷に何かが突き刺さる。

 その何かは肉と骨を無遠慮に掻き分け、心臓を握り込んだ。

 

 そして、そのまま引き抜かれる。

 

 マキマの……支配の悪魔の心臓は、煙幕の向こう側から現れたジョージの手に収まった。

 

◆◇◆◇

 

 血液を補給して再生しようとした。

 って事は、残機がもう本当にごく僅かか……完全に尽きたんだろ?

 

 だったら、もう一回首を締め直すより、心臓を奪った方がいい。

 こっちの方が確実に、最後のトドメになる。

 

 完全に脱力し、ただ寝転がるだけとなったマキマが、うわごとの様に何かを呟く。

 

「ど、どう……ぁって……」

「お前の三千年分の寿命武器、あれはクリーンヒットしたよ。完全に脳も心臓も消し飛ばされちまった。天使の悪魔も極めるとあんなことになるんだな、勉強になったよ……だが、残念。俺は銃の悪魔なんでな。眷属の能力を使ったのさ」

 

 ある小銃の名を冠する悪魔がいる。

 ジャンルではなく商品名という小さい幅ゆえに、弱小揃いであるはずだが……この銃は違う。

 

 安く、簡単に、大量に生産できて。

 10年以上泥に埋めたコイツが問題無く稼働したという逸話がある程の信頼性を併せ持ち。

 共産主義圏での開発ゆえにライセンス整備が不十分で、無許可でも合法的に製造可能。

 

 故に世界中がコイツのコピー品、模造品、粗製乱造品であふれかえっている。

 圧倒的な知名度と普及率によって、これだけで1つのカテゴリーに値するほどの銃。

 

 ()()()()()の傑作自動小銃、AK-47の悪魔。

 

 その能力は、世界一模造された事実に違わない、『自身の複製を生み出す』能力。

 

「俺が本当に未来視を妨害するためだけに、お前と接近戦に持ち込むためだけに、悪魔の力を使わせないためだけに、これほどの煙幕を焚いたとでも? すべては、AK-47の悪魔が持つ自己複製能力を隠すためだったって訳さ」

 

 そして、たとえ何かの秘策で裸締めから逃れられても、もう一回やり直すため。

 

「ごふ……その手の能力は、使用者の心が持たない、ハズ」

「あぁ、確かにそんな沼男問題(どろあそび)があったな。まあ俺は気にしないよ」

 

 咳き込んで血の塊を吐き出し、まともに喋れるようになったらしい。

 

「そうですか……全く、余計なことをしてくれましたね……アナタさえいなければ、人類には永遠の幸福を与えられたというのに……」

「そりゃそうかもな。死、戦争、飢餓……チェンソーマンの能力でこの辺がなくなれば、さぞかし幸福になるんだろうが……」

 

 若干マキマの私怨が入ってる気がしないでもないラインナップだが。

 

「氷河期の時代からずっと相場が決まってんだよ。『厄介オタクは碌な事をしない』ってな」

 

 そりゃあ俺は自分の行動が正義だなんて思っちゃいない。むしろただただ混乱と殺戮を招いただけの大罪人だろう。

 そんなことは分かっている。

 

 分かったうえで、やりたいと思ったからやったんだ。

 

「それに、ここらじゃよく言うだろ? 『この世を間違いで満たそう』ってな」

「……誰の言葉ですか?」

「解釈の悪魔」

 

 大罪が自由のツケだって言うんなら喜んで支払ってやるさ。

 誰が取り立てに来るのかは知らんがね。

 

「ま、来世じゃ程良い距離感ってのを見極めるんだな」

「……肝に銘じましょう。ハァ……」

 

 支配の悪魔の心臓に口づけをする。

 大きく口を開いて、そして……喰った。

 

「……久しぶりに、100点のデビルハンターを見ましたね」





「アキ(AK)君は死なな(47)いでね」を見つけた人はマジで天才だと思う。

やりたい事大体全部詰め込んだせいで大分間延びしたけど、これにて決着です。
くぅ疲くぅ疲。

悪い逆転劇のお手本みたいな逆転の仕方ですが、やっぱりソ連製をトドメにしたかった。
そして戦争の悪魔が空気。『物語の妥当性』と『やりたい展開』の狭間に落ちた哀れな地雷女。
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