デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

27 / 40
アディショナル
そして何も無くなった


 マキマは死んだ。

 もう復活できないようになるまで、殺し続けた。

 

 残機を消し飛ばしても心臓があれば何かできるかもしれないから、その可能性まで喰い殺した。

 

「……」

 

 マキマの死体のそばで、力を失ったかのように座り込む。

 燃え尽き症候群……というよりは、もしかしたらまた復活してくるかも、という警戒が先立っている。だから一応、拳銃から手を放してはいない。

 

「綺麗な顔してるよなぁ。ウソみたいだろ? 死んでるんだぜ、コイツ」

 

 そんな冗談もぼやいてみるが、特に変化はない。

 

 実際、マキマは死んでしまえばただただ美しい女だった。

 こういうのを『黙っていれば美人』というのだろうな。厄介オタク拗らせた独身OLと抽象化してみれば、残念美人の方が近いかもしれない。

 

 マキマを殺すために執念深く立ち回り、事実殺し合っておいて言う事じゃあないかもしれないが、こんな美女と全力で殺し合っていたことが今では嘘の様だ。

 

「あーあ、もったいねえ……美女の命、撃ち落しちまった」

 

 何が100点のデビルハンターだというんだか。

 

 俺は孤児で、デビルハンターで、転生者だ。

 この世界に繋がっている柵が存在しない。だから、常人では思いとどまるハズの所を踏み切って、飛べる。

 たったそれだけの事で、人をまるでサイコパスか何かの様に……その辺さえ抜いてしまえば、俺なんてどこにでもいる極々普通の男だ。

 

 岸辺もそうだが、全く失礼な連中である。

 

「さて、まずは後始末でもしますかね」

 

 かこかことケータイをいじくって、岸辺に電話をかける。

 

「あ、岸部さん? 終わったんで死体(ロク)1つの回収お願いします」

『勝ったのか?』

「多分。身代わりになりそうなのは全員殺して、心臓は喰って奪いました。しばらく監視してたけど復活する気配も無いですし……」

『喰……まあいい。何処に居る?』

「公安デビルハンター本部の跡地です。後は煮るなり焼くなり二宮和也ってなもんで、よろしくです」

 

 電話を切った。

 

 考えてみれば、岸部には色々と苦労をかけっぱなしである。

 なにせ俺が銃の武器人間であることを最初に知ったのは彼だからな。銃の悪魔討伐を悲願とする者が多い公安で、ただ一人銃の悪魔を守る様な言動を強要されたのだ。それも疑われず、怪しまれず、あくまでも自然な形で。

 彼をはじめ、極一部の人間に共有されていた『銃の悪魔は既に討伐されている』という情報だって彼の罪悪感をちくちくと刺激していただろうに、ある意味でそれ以上の裏切りを働くことになった。

 

 当然、今日の決戦に際して起こる大災害についても沈黙を守ることになった。この情報を使って逃がすデビルハンターがマキマの残機ではない保証が無いからだ。

 悪し様に言ってしまえば、仲間を見殺しにしたようなものだ。

 

 すべては、支配の悪魔を殺すために。

 まさに悪魔の契約だ。

 

 まあ誰が悪いのかといえば、日本に根を張って好き放題に暗躍していたマキマが悪いのだが。

 どっちにせよお労しい事に変わりはないので、後でジュースをおごってやろう。経験が生きたな。

 

「さて……次だ」

 

 次に向かったのは、穴である。

 地面に空いて、遥か地下まで続く、長く深い穴。

 

 天使の寿命武器。三千年という他の追随を許さない最強の武器が、この穴の奥底に埋まっている。

 

 指からごく小さな肉片を生み出して、穴の中に落とす。

 

「3000年、か……」

 

 天使の能力における『寿命』が何を指すのかは不明だ。

 死に体の女の子を能力で看取るシーンがあったが、あれで吸っているのが『生命力』なのか『現在から死ぬまでの時間』なのか『本来であれば生きていた時間』なのか判別できないからだ。

 

 ただ、接触時間と奪う寿命の量は比例関係にあり、天使にそれを制御することは出来ないらしい。

 

 原作で使用された能力上限は1000年。

 生まれたのは投げ槍だったようだが、それはなんか不吉な感じの穴を広げて飛翔し、黒のチェンソーマンの肉体を貫く威力を発揮した。

 

 これは勘でしかないのだが、あれは多分概念系能力に近しい域の代物だと思う。

 世界を断つ斬撃ならぬ、世界を貫く一矢、みたいな……あの穴は光や空間さえも貫いた結果を人間の視座では『穴』という形でしか認識できないだけで、実際はもっと致命的な現象だったのではないだろうか。

 

 根拠も何も無いただの勘だが、これの3倍となると、はてさてどんな神器が生まれたのやら。

 

「お、着いた」

 

 考えいるうちに、落とした肉片が移動を止めた。つまり穴の底に到着したという事だ。

 その周辺を丸ごと銃の悪魔の能力で掘り起こし、地上までサルベージし始めた。

 

 天使は元々1500年程度の寿命貯金があった。確か、原作でマキマは千年使用槍と五百年使用剣あたりを使っていたからだ。流石にだいぶ曖昧だけど。

 3000年。普通にそれだけの貯金があったと見てもいいが……マキマの残機から、ギリギリまで絞った寿命が1500年分ぐらいだった可能性も高い。

 

 マキマの残機になったデビルハンターの平均年齢を30歳、平均寿命を80歳とすれば、一人頭50年絞れる計算になる。これが30人いれば1500年だ。

 言い換えると、公安に転移した時点でのマキマの残機の数は30個ぐらいだったと推定できる。

 

 生きている間は契約の触媒。寿命は武器に。

 公安のデビルハンターは、クジラの様に捨てる所が無いらしい。

 

「お、来たぞ。どれどれ……く、ふふふ……」

 

 サルベージしていた三千年使用武器が、ようやく俺の手元にまでやって来た。

 その姿を見て、俺は含み笑いを止められなかった。

 

 チェンソー。

 

 意図したのか、或いは無意識か。

 マキマがこの状況に対する完全勝利の切り札として使った武器は、チェンソーだった。

 

「三千年チェンソーか……お前にはぴったりの、豪勢な墓標だな」

 

◆◇◆◇

 

 岸辺は1時間ほどで到着した。

 マキマの死体からはずっと意識を逸らしていなかったが、その間ずっと微動だにせず、サーマルで見ても熱の動きは無かった。

 

 やはり死んでいると見ていいだろうが……念には念だ。

 

 死んでいるマキマをバラバラにして運びやすいようにしつつ、その都度氷詰めのクーラーボックスに放り込んでいく。

 この後の始末は岸辺がするらしい。煮るのか焼くのか食うのか埋めるのか溶かすのか沈めるのか知らないが、ともかく死んでいると確認してくれることだろう。

 

 解体には三千年チェンソーを使ってみた。

 チェンソーマンの頭に生えている様な戯画的な刃は付いておらず、基本的には大人しい普通のチェンソーだった。

 ガソリンも無しに動くことと、血を浴びると元気になって異常な回転数になることと、絶対に刃が届いていないはずの所まで切れること以外は普通のチェンソーだ。

 

 武器としての性能は結構イイと思う。何を巻き込んでも強引に飲み込んでグチャグチャにするものだから、殺傷能力は折り紙付き。この調子だとキックバック現象も起きないんじゃなかろうか。

 ただ、攻撃範囲が無駄に広い所為で、周辺への被害がえらいことになりそうだ。流石に使い手が傷ついたりはしないと思うが、この暴れ馬っぷりはチェンソーマンリスペクトって感じがするな。

 流石にチェーンを伸ばして振り回す様な機能は付いていないっぽい。

 

 総評、銃で良いわ。

 

 人類が千年以上かけて営々と研ぎ続けた殺意の象徴が、たかだか林業の仕事道具風情に後れを取ってたまるかってんだ。

 設計のコンセプトからして別物なんだから当たり前だろ……大体のバトルマンガが『どうやって銃を使わせないか』を必死こいて考えてる理由そのものだわ。

 

 使うとしても林業のバイトぐらいだな。

 

「さて、と」

「終わったのか?」

 

 マキマのバラバラ死体を箱詰めし、車でどこかに運び出した岸辺を見送った所で、アサ……いや、戦争の悪魔がやって来た。

 

「あぁ、これで復活しなければ、俺の大仕事は完遂だ」

「そうか。では契約完了……という事で良いな?」

「ん、まあいいだろ」

「では今度は私の用事を手伝ってもらうぞ」

「核兵器の復活に手を貸す、だったな?」

「その通りだ! そして力を増し、ゆくゆくはチェンソーマンにリベンジを」

「まあその辺は勝手にやってくれや」

「何? おまえも頑張んだよ!」

「俺が手を貸すのは核兵器までだ」

「何を言うかと思えば……子が親のものなのは当然だろう?」

「いや俺人間だから。お前以外に普通に両親いるから」

 

 多分。

 

「おいおい、そんなに全身銃塗れで人間ですは無理があるぞ」

「俺が俺の事を人間だと思ってるから俺は人間でいいんだよ」

「では私が人間として学校に通っていても気にしないとでもいうのか?」

「気にしないけど?」

「え?」

「気にしないけど?」

「えぇ……」

 

 死も支配も飢餓も学校には通っていたし、四姉妹で戦争だけ仲間外れと言う訳にはいかんだろう。

 

 ボムとチェンソーはむしろ通え。

 

 通って軽音部とかに入れ。

 爆発音に近いからボイスパーカッションが無駄に上手そう(偏見)

 

 そのまま高嶺の華子さんと野良犬男の美女と野獣カップルとして学校全体の名物になるんだ。俺は詳しいんだ。

 俺には特別な知恵があるからな。宇宙は空にある。ところでいい加減あの泣き声止めてくんない?

 

「あ、もしかして一回学校とか行ってみたかった系?」

「は? いや今のはただの例えで」

「皆まで言うな! わかるよ……ひとりぼっちは、さみしいもんな」

「わかってないが?」

 

 分かってる分かってる。

 

 そもそも戦争だって一人きりじゃできないからな。

 本能的に誰か、或いは敵を求めるもんなんだと思う。

 

「駄目だコイツ全然話聞いてないな……アサ、助けてくれ」

「息子がいきなり金髪にして帰って来た時のお母さんみてえな反応だな! お似合いじゃねーかオイ! ママって呼んでやろうか!?」

「いい、もうお前は私の子じゃなくて良いから、ちょっと大人しくしてくれ」

「オッケー分かった契約な?」

「ああもう、それでいいから」

 

 やったぜ。

 これで完全に自由の身だ。

 

 親子の縁を切られたようなもんだが、戦争の悪魔との縁なんざ無い方が良いに決まっている。

 

「じゃあお前と親子の縁を切られる代わりに、真面目な話をしようか」

「できるんなら最初からやってくれ」

「親子がどうとか言い始めたのはお前だろ。契約外の仕事をさせようと欲張ったお前が悪い」

「ぐ……」

「で、核兵器の復活に手を貸す、だったな」

「……そうだ。その為にはまず、チェンソーマンの居場所を」

「あぁ、それはいらない」

「何? ではどうやって?」

「今、アメリカでは新型爆弾の研究開発が進んでいる。原子の力を暴走させることで、既存の爆薬とは一線を画する攻撃力と毒性を超広範囲にバラまく……というものだ」

「それは、まさに核兵器の事じゃないか!」

「そう! 現在の完成予測はおよそ7年後! しかし今のアメリカは銃の悪魔が没収されている! この新型爆弾の研究開発になだれ込む資金は今後青天井に上がっていくことだろう!」

「つまり、実際にはもっと早く!」

「恐らく、5年そこそこで完成する! もしかしたら多少名前は違うかもしれないが、核兵器の復活だ!」

「なるほど! 完璧な計画だなぁ~ッ!」

 

 すると戦争の悪魔はスタスタと近づいて来て。

 

「お前が何もしないって事以外はなぁ!!!」

「へぶぅッ!?」

 

 ビンタされた。

 

◆◇◆◇

 

「ぶはぁっ!?」

 

 火炎放射器の武器人間、バルエムは起き上がった。

 

 バルエムに殺されて以降の記憶は無い。

 つまり、ジョージに心臓を貪り喰われた記憶も無かった。

 

「おー、生き返った生き返った」

 

 だが、ジョージの顔は覚えていた。

 

「なぁ”ッ!? じゅ、銃!?」

 

 バルエムが起きてまず真っ先に飛び込んできたのは、銃の武器人間、ジョージの顔だった。

 助けを求めて咄嗟に周囲を見回すが、仲間もマキマも周囲にはいない。

 

 バルエムは分を弁えていた。

 一言で言うなら、『銃』には勝てない。

 

 そりゃあバルエムは火炎放射器の悪魔の力を使える。それは他の人間と比較して圧倒的なアドバンテージだ。

 だが、それは火炎放射器の悪魔よりも遥かに強い悪魔の力に勝てるという意味ではない。

 

 まして『銃の悪魔』など、現実的である分だけ『死の悪魔』よりも恐ろしい。

 

「いやぁ、お前らって心臓壊しても生きてるんだな。普通の悪魔なら死んでるところなんだが」

「お前、どうして、俺を……?」

 

 心臓を喰われた記憶はなくとも磔刑だのなんだのと物騒なことを言われたのは覚えている。

 そして周囲に仲間がいない以上、自分を蘇生させたのはジョージだろう。

 

「いやぁ、お前の仲間は俺の仲間が『散らかし』ちゃったからさぁ……蘇生させる手間が一番少ないのがお前だったんだよね」

「散らか……?」

 

 なんだか妙な表現だが、それよりも気になることがあった。

 

「俺を、どうする気だ?」

「ちょっと聞いときたい事があってさ。マキマは覚えてるな?」

「マキマさん? そりゃあ覚えてる、が……」

「関係性はどんな感じだった? ガチガチの上司と部下って訳じゃあ無さげだったけど」

「……まぁ、割と緩い感じだった、と思う。結構冗談とか言い合ったりしたし……」

「じゃあ次だ。お前が公安に入ってマキマの部下に取り立てられた経緯を説明してくれ」

「それは……うん?」

 

 なにせ公安に入ってから機密事項も多く、話して良い事と悪い事を脳内で整理する。

 

 そのために経緯を思い返していると、明らかにおかしい点が余りにも多く存在する事に気付く。

 というか、完全に空白になっている部分もあった。『これこれこういうことがありました』というラベルだけが付けられて、実際にどのようなやり取りが行われたのかの記述がない、という様な記憶だ。

 

 バルエムの記憶の中では『マキマに言いくるめられて』となっているが、では具体的に何について言及したどのような会話だったのか、が出てこない。

 

 忘れただけ……?

 にしては、断片も出てこないというのはおかしい。

 

 押し黙ったバルエムに対して、ジョージが話しだす。

 

「質問を変える。記憶に何か不自然な点はあるか?」

「……ああ、ある」

「今、マキマの事をどう思っている?」

「奇妙と言うか、なんだか気味が悪い」

「以前につまりマキマの指揮下に居た時、自分の記憶に不自然な点がある事に気付いたことは?」

「……無い、と思う」

「マキマの指揮下に居た時、何故気付かなかったか。自分で思い当たることは?」

「……今思い返すと、マキマさんに従っていた時のことは、なんだか夢を見ている様な……現実味が無い感じだ。覚えてるような覚えてない様な……」

「なるほど。ちなみに、マキマの正体について知ってることは?」

「正体?」

「分かった、それだけで十分だ」

 

 ジョージは振り返ると、しゃがみ込んで何か作業をし始める。

 

「実はマキマは『支配の悪魔』という存在でな。自分より下等だと認識した存在を支配することができる。支配されている間の記憶は忘れるか、お前の様に曖昧なまま残るらしい」

「へ?」

「支配されている側は基本的にマキマに対して好意的な言動を取ることが多い。恐らく記憶を支配・操作されて、対象の人物評定におけるマキマの部分に『命の恩人』の様なタグが付与される。人間の女性に性欲を抱く存在の場合は、マキマを性愛の対象と認識するケースも散見された。好意を持たせることは確定だが、そこからどのような行動をとるかについては基本的に権限が移譲されていると思われる」

「……」

「また、マキマに対する不信感が高まったり、衝撃的な事態に直面した場合、マキマの支配を振り切ることは可能だが、格付け自体は基本的に変わらないのであまり意味は無い」

「それが、なんだって言うんだ?」

「なお、これら支配の悪魔の能力によるものである為、仮にマキマが死亡した場合は全ての支配は解除される」

 

 ジョージはバルエムに話しかけているわけではない様で、問いかけには答えない。

 

「つまり、マキマが本当に死んだかどうかを確認するためには、『以前に支配されていた存在』と接触して、マキマに対する偏向評価を確認すればいい」

「それで、俺を……」

「明確な干渉をすることなく、自力だけで補正ができればマキマの死を補強する根拠になる」

「てゆーか、マキマさん死んだのか」

 

 しれっと言われたが、結構な衝撃の事実である。

 夢現のままに従っていたわけだが、それでもそれなりに近しい立場だったのだ。その力量は十二分に知っている。

 

 どんな悪魔と契約しているのかは知らなかったが、まさかマキマ本人が支配の悪魔であったとは……これも大概衝撃的な話だ。

 

 ブゥン。

 

「よし、動いた」

「え?」

 

 ジョージは稼働状態のチェンソーを構えていた。

 

「……あの、それで何をするつもりなのかなぁ?」

「お前を殺す」

「だろうな分かってたよチクショウ!」

 

 奥歯を押し込む。それがバルエムの変身トリガー。

 何万回と繰り返した動作だけに淀みなく、変身は速やかに完了した。

 

 眼晦ましも兼ねて、ジョージに火炎放射を叩き込む。

 

 バルエムは知らなかったが、実は最適解の行動だった。

 ジョージの眼球が持つ3つの特殊感知能力。その全てを無効化するのが『高熱』だ。

 

 だが、それはそれとしてジョージには人間の視覚と悪魔の嗅覚があったので、最終的には無意味な行為であることに変わりなかった。

 

「『龍鱗』『反発』『番の流星』」

 

◆◇◆◇

 

「いやぁ~……エライことになったな」

 

 ひとまず戦争の悪魔とわかれた俺は、マキマの死を確認するために武器人間を蘇生した。

 ぱっと見で支配の力は抜けている様だったので、やっぱりちゃんと死んでくれたんだろう。

 

 しかしまともに復活させられそうな武器人間がバルエムしかいなかったので、渋々これを蘇生。

 他は本当に酷いことになっていた。パーツが全然見つからないんだもんなぁ……あれじゃ蘇生しても話ができるかどうか。

 

 戦争の悪魔が強いというのもあるだろうが、普通に俺の素体を使った銃が高性能だったこともありそうな戦闘痕だった。

 ただ働きをさせられたと怒っていたが、それ手に入れた時点で爆アドだから我慢して欲しい。

 

 さて、バルエムを処刑するべく試しに三千年チェンソーを叩き込んだ結果、殺せたのかどうかさえよく分からない様な威力が出てしまった。

 一応、チェンソーが元気になっているので血を吸ったことは間違い無いようなのだが、それが本当にバルエムの血液かどうか。

 

「おっと」

 

 強風が吹いた。

 追い風……というか、三千年チェンソーが切り開いた真空に、周りの空気が流れ込んでいるのだ。

 

 ふざけて詠唱を入れておいてなんだが、本当に世界を断つ斬撃みたいなのが出てしまって草が生えます。笑うしかねえや。

 

 望遠機能で遠くを見れば、空の雲が綺麗に割れている。

 人間の目で足元を見れば、アスファルトの大地が綺麗に割れている。

 

 他の機能も駆使してバルエムの痕跡を探すが、全く見つからない。

 

「……かえって不安だな……まあ確認のしようも無いし、しょうがないか」

 

 やっぱり総じてオーバースペックだわこれ。何に使えってんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。