デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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Present for You

「あ」

 

 説教も終わったことだし、お茶でも飲んで……話でもしようや……と言う訳でレゼが一杯入れてくれることになったのだが、茶請けを探して開いた冷蔵庫の前でレゼが静止した。

 

「ねぇー! もしかしてこれってジョージ君!?」

「どれの話だ?」

「ケーキ!」

「早速見つけたなこの食いしん坊め! 確かにそれは俺が持ってきた奴だ!」

「じゃあこれ持ってくねー!」

 

 できればロウソク立てたりして、サプライズな感じでお出ししたかったけど、見つかってしまったのならしょうがない。

 いやぁ、折角のバースデーケーキが台無しだな!

 

 まあサプライズについてはもう良いか。

 お互いに腹いっぱい驚いたところだしな。

 

「ちなみにこの家ってコーヒーあるのか?」

「ねえよ? 麦茶だ」

「麦茶とケーキか……新しい!」

「不釣り合いなだけだと思いますけどね」

 

 そんなことを言いながらレゼが来た。

 

 レゼの方は手慣れたもので、テキパキと茶を注いでは配膳しを繰り返す。

 そしてついに、大きなケーキの箱に手を付けた。

 

「オープ~ン……わぁ」

「おぉ~!!」

 

 2人は開いたケーキに注目していたが、俺はずっと2人の表情に注目していた。

 なにせケーキを手配したのは俺なのだ。どんなのが出てくるかなんて理解している。

 

 2人とも、まるで花が開いたかのよう、なんて比喩がぴったりの良い笑顔である。

 

 こういうので良いんだよ。サプライズとそれに対するリアクションなんてこれくらいで良いんだよ。

 何も暗闇とか奇襲とかクラッカーとか仕込む必要は無いんだよ。

 

 もしもそんなことする奴がいたら『デカけりゃイイってもんじゃないって事をキモに銘じておいてクダサーイッ!』と言ってやりたいね。

 女性の敵ですよまったく。

 

「すっげえデケェ」

「イチゴいっぱい乗ってるし、チョコプレートも大きいね。これ結構高かったんじゃない?」

「ケーキにしては、な」

 

 実際、東京の専門店で買ってきた奴だし、オプションも幾つか入れている。

 ケーキというよりもはや会食の値段になっているが、まあ俺からすればさっきの笑顔だけで元が取れたぐらいだ。

 

「一応ロウソクも持ってきたけど、立ててみる?」

「えー? 折角綺麗なのに足しちゃうの?」

「どうせ食うんだし大差ねえだろ」

「確かにな。腹に入れば同じだ」

「これ私が少数派なんだ……」

 

 えーと、一応レゼの誕生日って名目だから……確かデンジとレゼは同い年ぐらいで、デンジが16歳。そして誕生日でレゼにプラス1だから、17本だな。

 素数だなぁ……どう配置してもスッキリしねぇや。

 いや、真ん中に一本立てて、その周りを囲うようにすれば行けるか。

 

「じゃ、折角だし一旦暗くするぞ」

「おぉ」

 

 テレキネシスでシャッターを閉め、照明を落とす。

 正直まだまだ漏れ入る光もあるが、まあしょうがない。

 

 ジャキン。

 

「ん? ジョージ今変身した?」

「ちょっとな。すぐに解くさ」

 

 生理的な暗順応なんて待ってられん。

 暗視(ナイトビジョン)の眼球でさっさと済まして、変身を解く。

 

 視線誘導の為と言っていたが、元々ライターはこうして火を付けるためのものだ。

 

「おぉ……なんか雰囲気あるね!」

 

 17本のロウソクについた火が薄ぼんやりと照らす豪奢なケーキ。

 その中央に座する『Happy Birthday To Reze』のチョコプレート。

 

 確かになかなかムーディな光景である。

 それに照らされて、どこか恥ずかし気にするレゼの表情も趣深い。

 

 写真撮っとこ。(盗撮)

 

「さて、じゃあちょっと歌うんで、レゼはそれの終わり際にロウソク吹き消してくれ」

「? なにそれ、どういう風習?」

「この国はガラパゴスな文化が多くてな」

 

 アメリカを人種のサラダボウルとするなら、日本はさしずめ文化(ミーム)のサラダボウル。

 生来の保守的な傾向も相まって、『発祥の土地では廃れた文化が日本に保存されている』なんてこともままある。金平糖とか。

 

 だがそれ以上に顕著なのが、そうした文化の交雑だ。

 アメリカでも白人と黒人が子を為したりするのと同じ様に、日本ではあちこちの文化が混ざって意味不明な結論に至っていることが多い。ジューンブライドとか。

 

 挙句島国なので、それを止められる勢力が来ない。

 

 結果として、この国には外国人から見て意味不明な……何なら日本人視点からでも『どうしてそうなった?』みたいな文化が根付くのである。

 

「えふん……ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー……Happy Birthday Dear Jane Doe……ハッピーバースデートゥーユー……」

 

 目線で合図をすると、レゼはどこか渋面を浮かべながら、それでもちゃんとロウソクを吹き消してくれた。

 

「おめでとうー!!」

 

 クラッカーの代わりに空砲を鳴らしてから、テレキネシスで全部の光源を戻す。

 するとレゼが不満げな表情で、小さく頬を膨らませながら抗議してきた。

 

 綺麗系の顔面でそんなカワイイ事するなよな。このクソ美人め。

 

「……誰が名無しの淑女(Jane Doe)よ」

「俺は『これから』は勿論、『これまで』も等しく祝福したいのでね」

「そんな生い立ちじゃないことぐらいジョージ君なら知ってるでしょ?」

「知っているとも。だが、だからどうした。それがあったから今があるんだろうが。だったら今を祝福するために、それも肯定するべきだろう」

「……理屈は分かるんだけどね」

 

 苦笑と言うか、呆れと言うか、不満と言うか。

 レゼの表情は色々なものがないまぜになっていて、万華鏡の様に複雑だ。

 

「だろうな。だが、俺はお前の全てを肯定しよう。信仰の様に後押ししよう。そしてその全ては、お前の同意とは無関係だ」

「……あのさぁ」

「おう」

「多分だけどそれ、アサちゃんにも言ってるでしょ」

「ヨルには言ったな」

「この外道!!」

 

 なんて美しい投擲だ。

 いつの間にか俺の眼前に湯飲みが迫っているではないか。

 

「ポピーーーー!!」

 

 今日のポピー。

 

「ゆ、湯飲みが刺さった……てかなんだ今の鳴き声」

「あーもう! アサちゃんが可哀想だと思わないの!? 会う人会う人にすーぐそんなこと言ってさぁ!」

「べ、別に誰にでも言いはしないぞ……それなりに交流を深めて、『ああコイツのこと好きだなァ』って思った相手にしか……」

 

 床に沈みながら、とりあえず反論だけはする。

 それだとまるで俺が誰にでもI LOVE YOUと言いまくるナンパ師のようではないか。失敬な。

 

 俺はただ好きなものは好きと言える気持ちを抱きしめてたいだけなんだ。

 その結果そうなっているだけで、誰にでも言ったりはしないんだ。

 

 そもそもそういう気持ちを抱いていたところで、そういう話題にならなければ別に言及もしないし。

 

「言っとくけど! 私はデンジ君一筋だからね!」

「ほわぁ!?」

 

 急に腕を抱きしめられながら告白されたデンジが驚いている。

 

「それだよそれそれ! そう言う所が好きなのよ!」

「あれ、なんか急に元気になった」

「コイツ無敵か……?」

 

 やったぞ、遂に発作を克服できたぞ。

 キモは抑える事ではなく、その尊みを敢えて発散する姿勢だったか。

 

 ただ、これだと普通に話から脈絡がなくなってしまうから痛しかゆしだな。

 沈黙は金と言うし、これからも持病って事にしとくか。

 

「さぁて、そんな麗しのレゼにお誕生日プレゼントだ」

「誤魔化してきたね……そう言うのもあるの?」

「ケーキは皆で食べるものだからな。そいつだけの特権ぐらいは無いと、主役とは言い難いだろう」

 

 いそいそと取り出したるは、事前に用意しておいた小包1つ。

 プロにラッピングしてもらったので見栄えは良い。

 

「さぁどうぞ」

「……これ、ハンドクリーム?」

「どうせ家事炊事の類はお前が全部やってるんだろ?」

「まあ、そうだけど……うーん」

「……なんか引っ掛かることでも?」

「いや、なんか……キモイなぁって」

「なんで!?」

「その、実用品で消耗品でお高めの物だから順当にうれしいんだけど……なんというか、『置き』に行ってる感が露骨だなぁって。なんでこのセンスをアサちゃんじゃなくて私に発揮してるの? みたいな」

「HAHAHA、なるほどなぁ。もうちょっと冒険しても良かったかな?」

「いやまあ、私に対してはこれぐらいでいいと思うけど、アサちゃんに渡すんならそれぐらいの方が良いと思う」

「ふぅー、なるほどなるほど……」

 

 すっとこめかみに拳銃を当てて。

 

「希死念慮の発生を確認」

「落ち着けジョージ! 確かにスゲーしんどいこと言われたけど、『死ね』以上の罵詈雑言で殴られたけど死ぬなァ!!」

「お前って『罵詈雑言』とか言えるんだな」

「うわぁいきなり落ち着くな!」

 

 どうしろというんだ。

 

「ま、まあ、とりあえず受け取ってはくれる様で何よりだ」

「他人からの贈り物に文句付けるほど傲慢じゃないよ」

「え、さっきのは?」

「贈り物に至るまでの背景に対する罵倒だから」

「罵倒ではあるのか」

 

 生憎とそれで興奮できるような上級者じゃないぞ俺は。

 そういう嗜癖がある事は知っているし、特段否定もしないが。

 

「で、2つ目なんだけど」

「え、まだあるの?」

「まあこれはプレゼントというより、単なる『後払い』なんだが」

「後払い……?」

 

 カバンから取り出した、今度は特にラッピングなどされていない剥き身の箱だ。

 

「例の静音弾薬と、替えの弾倉(マグ)2つだ」

「あ、あーッ! そういえばそうだっけ」

「カレーのご相伴には預かってしまったからな。忘れてたのか?」

「公安行きが内定してたから、てっきりもう良いかなと……」

「まあ公安(あっち)で必要なら備品扱いで渡してやるがね。こっちはあくまでもお前の個人的な財産だ」

「でもこれ、要るのかなぁ? 日本だと銃と弾薬って、持ってるだけで違法でしょ?」

「だからどうした。いざって時の用心の為に持っておけ。違法だろうが何だろうが、まずは生き残ってからだろうが」

「……まさかジョージ君に言われるとはね」

「だが大切な心得だろう?」

「そうだから、微妙な気分なの」

「そんなものか」

「違法ならダメなんじゃねーの?」

「殺し合いの中で手段を選ぶ余裕など無いんだから仕方ない」

 

 まあそもそも人外扱いの場合は人権が適用されないため、同時に法律を守る必要性も無くなるわけだが。

 

 とはいえ法律を守るとは法律に守られるという意味でもある。

 国家よりも上の暴力を個人で保有していない限り、基本的には守った方が良いのは確かだ。

 運用する人間からの心証が良ければ、それこそ処罰の割引だって効くかもしれないしな。

 

 だが、同時にいざって時には躊躇なくかなぐり捨てる心の準備も必要だ。

 

「なぁに、特異課はマキマの暗躍のおかげで特権的な部署だし、いざとなれば圧力かけて不起訴にしてやるさ。もっとも、その銃なら発砲音もマズルフラッシュも極小だから、余計な事喋らない限りはまず間違いなく証拠不十分で釈放だ」

「考えるほどに悪辣な銃だよね、これ……」

 

 なにせさっきレゼが撃った時の銃声は『クンクンクン』って感じだったからな。

 事前知識が無ければ、とても銃声とは思えないだろう。

 

 まあ消しゴムから銃刀法違反を取れる国なので、逮捕はされると思うけど。

 

「で、3つ目なんだけど」

「まだあるの?」

「どんだけ用意してきてんだよ……」

「これで最後だよ。つーか、ハンドクリーム以外は前から用意してた奴だし」

 

 3つ目の品は、紙紐で雑に縛り纏められた本の塊であった。

 

「んだこれ?」

「……教科書?」

「そう、日本の初等教育から中等教育に使われる、厳密には去年に使われていた教科書と問題集だ」

「なんでこれを?」

「デンジの高校受験の一助になればと思って」

「……やっぱそれも必要な感じ?」

「当たり前だ。むしろ公安にまだ所属してない、時間的に余裕のある今のうちにやっとけ。レゼなら大体教えられるだろ」

「そーなの?」

「んー……国語はちょっと自信ないけど、それ以外なら多分?」

「まあ国語なんざ読書量がモノを言う教科だからな。そもそもレゼは外国人だし、仕方あるまい」

 

 裏を返せば、それ以外は努力次第で割と何とかなるという事だ。

 

 デンジは知識こそ無いが知能は高い様に思われる。

 無知ゆえの天衣無縫、とでも言おうか。それはデビルハンターとしてのデンジに間違いなく寄与していたが、学生としてのデンジには無用の長物。

 2部を見る限りでは『常識を知って狂気が薄れて弱体化』という懸念はない様に思われるし、とりあえず勉強しておいて損はあるまい。

 

 もっとも、損得で全てが片付くほど簡単ではないのが人情。

 そのあたりの手綱はレゼに握ってもらうとしようじゃないか。

 

 理解のある彼女って奴だな。

 

「後なデンジ、冷静に考えてみろ」

「あ?」

「仮にお前が勉強サボって、高校に落ちたとする」

「おぉ」

「となると同じ様に受験してたレゼは、まあまず間違いなく受かる訳だ」

「まぁ、そうなるだろうな」

「しかしレゼはレゼで警戒対象。監視員として恐らく俺が付くことになる」

「あ? なんで?」

「高校生前後の年頃で、レゼを確実に殺せる能力を持ち、かつある程度レゼ本人と信頼関係を有している……監視員として適任だからだ」

「まー、確かにそうか」

「で、その上でお前が来年受験して受かったとすると、俺とレゼが2年で、お前が1年になる訳だが、学年が違うと交流はほぼ無い」

「あー……」

「更に言えば、もしかしたらの話だけど、アサがお前と同じ学校に通うとしたらどうだ? あいつの受験って再来年だから、2年が俺とレゼで1年がデンジとアサってことになるぞ。シンプルに意味わからんわ」

 

 何が嫌ってまず学生デンレゼを見る機会が激減するのが嫌だし、デンジの監視を続行するために一留が確定している所も嫌だ。

 

「え、待って? ジョージ君、今私の事『確実に殺せる』って言った?」

「言ったぞ? 心臓の性能を見れば一目瞭然だろ」

「いやそうだけど、私の事好きって言ったよね? その上で殺せるの?」

 

 なんだか痴話げんかみたいな文言だな……まあ良いか。

 

「勿論殺せるぞ。お仕事なんだからしょうがない」

「割り切り過ぎでしょ……」

「まあ逃げなきゃいいだけの話だ。それに、よしんばソ連に攫われたとしても、絶対に俺が奪い返してやるから安心しろ」

「だからそれアサちゃんに言うセリフ!」

 

 ちょっと顔を赤くして机をバンバン叩くレゼ。

 

 別にソ連にも米国にも狙われていないアサを奪い返すシチュエーションとは一体?

 確かにワンチャン『お前はチーズだ』される可能性はあるけど、戦争の悪魔の力がある以上はそうそう拉致られることも無いだろうし、よしんばそうなっても俺は目の前のチーズ野郎を速攻で銃殺して、その後ゆっくり探していってね! するだけだし。

 

「……うし、やっぱ俺、勉強頑張るぜ」

「おぉ! 有史以来の待ち人! それでこそだ。俺の徒労を生まないためにも是非とも頑張ってくれ」

「お前とレゼを1年も一緒にするなんてこえーったらねえからな」

「失敬な、ちゃんと理由が無いと殺したりしないぞ」

「そういう意味じゃねーよ」

「というか選択肢の中に『殺傷』が割とカジュアルな感じで入ってるよね……」

「どうせ俺たち不死身の武器人間じゃん。殺されるなんて『一回休み』ぐらいのもんだろ」

「うーんこの死生観……」

 

◆◇◆◇

 

 その後も適当に駄弁りながら、時折ケーキを口にしては麦茶で喉を潤すほのぼのした時間を過ごした。

 途中からなんか俺に対する罵倒というか愚痴みたいなものが2人から無限に出てくる様になったので、俺としても仲のいい2人を見られて大満足の誕生日会となった。

 

 おかげでやっぱり定期的に発作を起こすことになったが、死ななきゃ安いはいつもの事だ。

 

 そんな帰り際、1つ問うた。

 

「で、東京はいかないんだな?」

「うん。流石にまだちょっと怖いかな。シェルターがある訳でもないんでしょ?」

「まあお前らほどの人外をセット収容できるようなのは無いな。一応、今俺が泊ってるのと同じホテルの部屋ぐらいなら用立てられるが」

「同じことでしょ」

「ま、日本で何かしようとしたら結局東京って所はあるからな。仕事も遊興も……諜報も、な」

 

 マキマの死は未だに世界に知れ渡ってはいないだろう。

 だが銃の悪魔が暴れて防諜施策が綻んでいると踏み、これまで以上に深く根を張ろうとする諜報員は必ず出てくる。

 

 ソ連出身のそういう奴と出くわせば、それだけでレゼには致命傷かもしれない。

 レゼの裏切りもまた、ソ連が知っているかは分からないが……見つからなければ行方不明で終わりだ。黒よりのグレーなら、そう本腰を入れてくることもあるまい。

 

 表も裏もがっちり固めた後ならともかく、まだまだ岸辺も再編に手間取っている現状、地方に潜伏するのは賢い選択と言える。

 あくまでも蓋然性の話なので、確たることは言えないが……まあ、それはしょうがない。

 

「俺とアサとナユタとお前らでシェアハウスって択もあるけど?」

「だいぶ魅力的な提案だけど、するとしても今じゃないでしょ」

 

 そりゃそうか。

 

◆◇◆◇

 

 さて、もう一度能力で思いっきり空を飛んで東京に戻る。

 

 携帯で時間を計ってみたが、普通に一時間を切れてしまった。

 この調子だと、方々への密入国も相当簡単だな。レゼと違って爆発音や爆炎が無い純粋な飛行なので、高度を保っておけばまず見つかることは無いだろう。

 

 いやぁ、やっぱ銃の悪魔って反則的に便利だわ。

 レゼもそうだけど、飛行持ちで射程持ちだもんな。身一つで制空権取れるのが戦略的に強すぎる。

 そんなのが2人とも日本の公安に所属するんだから、考えてみればとんでもない話だ。

 

 俺とレゼがバディを組んで、上空から火力投下するだけで一方的に倒せる相手って相当多いぞ。

 

 ……実際、レゼは誰とバディ組むんだろうな?

 個人的にはやっぱりデンジを押していきたいけど、パワーもビームもいるからなァ。

 

 戦闘力だけで見るなら俺だろうけど、非正規雇用をそこまで重用するかって言うと微妙だし、そもそも特記戦力をひとまとめにする戦略的優位性(タクティカル・アドバンテージ)が無いんだよな。

 

 まあその辺の人事は結局岸辺の胸先三寸か。

 あぁ、岸辺のバディって線もあるのか。あの人なら間合いの内なら変身阻止もできるだろうし、案外適任かもしれんな。

 

 なんてことを考えながら、ホテルの部屋につくと、未だにヨルが表に出ていた。

 

「うん? まだアサは起きないのか?」

「『ただいま』ぐらい言ったらどうだ?」

「ただいま伯爵」

「誰が伯爵だ……なにせ脳は半分私が使っているからな。休息の効率も半分なのだろう」

「ンな渡り鳥みたいな」

 

 俺もなかなか謎な生態してるが、こいつも大概だな。

 

「そうだジョージ、先程契約の対価を思いついたぞ」

「そうか? イイ感じの武器をくれるなら、俺としても助かるが……で、対価は?」

「うむ。私を半日から1日程度歓待して、もし私がそれを気に入ったら、一回だけ使わせてやるというのはどうだ?」

 

 ふむ、なるほど……歓待、ね。

 

「つまりデートだな」

「デートではない」




今更ですが、この章では本編で回収し忘れたアレコレとかねじ込み忘れたネタとかを消化するためという節があります。
その点トッポってすげえよな。最後までチョコたっぷりだもん。
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