デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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クキキ……これはただの日常回じゃ……


ドア、スヤァ、チーズ

「ぴえん……」

 

 項垂れるアサの前には、大量のテキストが積み上がっていた。

 隣には、丸められた画用紙と新聞紙の包み。そして6枚ほどの原稿用紙がホチキスで綴じられている。

 

 そして今、アサは最後の一冊をその山に投じた瞬間だった。

 

「……これで、全部か?」

「えーと……」

 

 うっすらと隈の浮かぶ目で、レゼはチェックリストを確認していく。

 髪も少しぼさっとしており、典型的な寝不足の様相だ。

 

「……うん、これで全部だね」

「よし……」

 

 冷めきったコーヒーをぐいっと飲み干して。

 

「夏休みの宿題、完了だ」

 

◆◇◆◇

 

 窓の外を見ればまだまだ日は登っていないが、実は現在の日付は9月1日。

 そのため、爆速でこれらの成果物とアサを東京へ移送しなければならない。

 

「大丈夫なの? 始発だって向こうに付くのは7時半とかでしょ?」

「まあ相当に荒っぽい手段にはなるが、大丈夫だ」

 

 バサバサと成果物をカバンの中に詰め込み、たれアサを布で体に括りつけて固定する。

 

 ここから登校できるだけの活力が戻るのかは知らないが、東京に着いたらエナドリでも流し込もう。

 コーヒーはもう効かないと思うし、今からやることを考えれば脱力しているぐらいでちょうどいい。

 

「ナユタも連れて行くのはちと厳しいんで、ここで待ってて後から回収するか、新幹線使って1人で東京に帰って欲しいんだが、どっちにするか聞いといてくれ」

「分かった……ていうか書置きでも残しといて……」

「あぁ、確かにそれでいいか」

 

 さらさらと適当なメモに同じ内容を書いておく。

 いやはや、こんなことも思いつかないとは。何度かリセットしているが、それでも溜まる疲れというのもあるのだろうな。

 

 残機として持って来ていた銃の悪魔の血液を飲み、コンディションをもう一度整える。

 

「ふー……さて、行きますか」

 

 アサも頑張ったのだし、俺も頑張らないとな。

 

 ここ山口県から東京都へ、それも学校の登校時刻に間に合うようにするのは結構難しい。

 まず公共交通機関の類は全てがまだ動いていない。新幹線は大阪からの始発が5時ごろで、2時間40分ほどかけて東京へ行くことになる。東京駅に着くのは7時40分ごろで、そこから始業時間の8時15分までは35分しかない。

 相当キビキビ動かないと間に合わないだろうが、そんな気力が今のアサにある訳もない。

 

 では車などの個人規模の移動手段となる訳だが、車で山口県から東京都というのは高速道路を加味しても一両日は掛かる大仕事だ。もちろん、船や航空機のチャーターなんぞできる訳もなく、いずれにせよ免許がない。

 

 最後の手段は銃の悪魔の能力で空をぶっ飛ばすことぐらいだが、無許可での飛行は普通に法律違反だし、バレないように高高度を飛んではアサが持たない。風ぐらいはどうとでもなるが、低温も低酸素も只人のアサには過酷すぎる。

 

 尋常の手段ではもう間に合わない。

 だったら、尋常ならざる手段を使うしかない。

 

 虚空へと手を伸ばす。

 そして意識を心臓に向けて、稼働率を上げる。

 

 すると、手を伸ばした虚空の先に『ドア』が現れた。

 

「じゃあな」

 

◆◇◆◇

 

 アサを背負ったジョージがどこにも繋がっていないドアの中へ姿を消す。

 まあまあ異常な光景だったが、眠気で頭が回らないレゼはあまりに気にしない。

 

 精々、徹夜明けで幻覚でも見たのかと後から回想するぐらいだろう。

 ほんの2徹で今更そんなことになるレゼな訳がないのだが、睡眠不足でパフォーマンスが落ちるのは変わらない。

 

「あ~、ねっむい……」

 

 レゼはふらふらと寝床スペースに歩み寄る。

 そこには安らかな顔で並んで眠るデンジとナユタ。

 

 その安らかっぷりに若干の怨嗟が燻らなくもないレゼであったが、そんなことより睡眠だ。

 

 体を投げ出すようにして、レゼもその輪に加わり目を瞑る。

 手近だったのでナユタを挟む形になってしまったが、この際構うものか。

 

 いっそナユタも巻き込むぐらいの気持ちで身を寄せ、3人は川の字になって眠った。

 

◆◇◆◇

 

 悪魔が領域展開をして来たら、こちらも領域展開で返す。

 

 対処法が確立していると言えば聞こえはいいが、返し手が1つしかないというのは、とどのつまりが相手に読まれてしまうという事。

 例えば複数体の悪魔が徒党を組み、ローテーションで領域展開を仕掛けてきたら、いずれガス欠で敗北するだろう。

 

 理想を言うなら3つ。最低でも1つは、領域展開以外の領域対策を持っておく必要があった。

 

 しかしここで言う領域展開とは、極々似通った技法に対して便宜的に付けているだけの名前であり、元ネタとは『内訳』が違う。

 故に元ネタで取られていた対策の多くが機能不全に陥るのだ。この世界には呪力も結界術も存在しないのだから。だが1つだけ、この世界にも流用できそうな対策があった。

 

 領域展延。

 

 何の効果も存在しない『空白の領域』を薄く展開し、空白の中に相手の能力を吸い取り破棄する事で中和する技法である。

 例えるなら、飛んでくるインクを大量のキャンバスで防ぐ様な技だ。

 

 思い出した時は『これだ!』と膝を打ったものだが、これが上手く行かなった。

 

 いや、上手くはいくのだ。

 元々領域展開を使えるのだから、そこから少し引き算をするだけで良い。だからそこまでは上手く行くのだ。

 

 問題は、その後に必ず『地獄へのドア』が生み出されてしまう事であった。

 その為に領域展延のリソースが全て食い潰されてしまうので、最終的には全く上手く行っていないわけだ。

 

 しかし、これは裏を返せばいつでも現世と地獄を行き来できるという事。

 

 この地獄を通る『裏のチャンネル』を使って、ジョージは新幹線を超える。

 

◆◇◆◇

 

 ドアを開けて地獄に踏み込み、後ろ手にドアを閉めると同時に大量の視線が突き刺さってくる。

 

 だが、その中に根源的恐怖の悪魔の視線は無い。 

 連中は存在が強大すぎて、『観測は干渉に値する』という量子力学の話を古典物理の次元に持ち込んでしまう。

 闇の悪魔に観測されたピンツイが自殺を請願したように、ただ見るだけでとてつもない影響を及ぼすのだ。

 

 そんな外れ値の連中がこっちを見ていない。

 まずは、第一段階クリアだ。

 

「じゃ、行きますか」

 

 ジャキン。

 

 変身と同時に、頭上に双眸のビジョンが浮かび上がる。

 勿論俺の能力ではない。大方、名前は『視線の悪魔』で能力は『視認した対象の行動阻害』とかそんな所だろう。

 

 その実態など無いビジョンを、しかし銃撃で打ち砕き、一歩踏み出した。

 

◆◇◆◇

 

 根源的恐怖の悪魔にビビりながら検証したところ、地獄やそこに繋がる『ドア』にはいくつかの便利な性質がある事が分かっている。

 

 まず『ドア』は生み出した現世の座標と対応した地獄の座標に生成される。

 しかし、この時地獄側の座標をかなり自由に操作できる。現世の建造物の上で生成しても、地獄ではちゃんと地面に生成されるのが最も顕著な例だ。そしてこの座標操作、なんと地獄から現世に戻る時にも使える。

 つまり、現世から見れば、限定的ながら2度の瞬間移動ができる訳だ。

 

 当然地獄に法律なんてないので、低空を銃の悪魔の能力でぶっ飛ばすことも可能だ。

 

 アサに掛かる風とGも銃の悪魔の能力で防ぎ、条件達成よりも早く移動すれば初見殺し系の能力も振り切れる。

 

 まあ『ドア』を通った直後は領域展延が一時的に使えるようになるので、そうすればより確実に防げるのだが、展延を使っている間は銃の悪魔の能力も使えない。

 急を要する今、取れる選択ではない。

 

 アサに掛かる負荷を最大限に軽減しつつ、同時に悪魔の能力に捉えられないほど早く飛ぶ。どうしても振り切れそうになければ、銃撃を入れて能力の発動を妨害。

 そして未来視が全ての判断を補佐する。

 

 剛腕にして繊細な能力のコントロールと、迅速にして的確な判断の連続。

 

 それぐらいできなければ、マキマを殺すことなどできなかっただろう。

 

◆◇◆◇

 

「到、着……」

 

 滞在していたホテルの屋上に『ドア』を開き、そこから這う這うの体でアサを背負ったジョージが現れる。

 アサは安らかに眠ったままだし、ジョージ本人も無傷ではあるのだが、実は内部に相当量の疲労が蓄積していた。

 

 まるで波の様に、寄せては返す悪魔の軍勢。

 銃の悪魔が嫉妬されているのか、デビルハンターとして目の敵にされているのか知らないが、仲間割れもせずに一致団結して襲ってきたものだから、いくらジョージでも手が足りなかった。

 

 それでもアサだけは完璧に守り通したのは意地の勝利であったが、その分だけ己の身を犠牲にしたのだ。

 持ち込んでいた輸血液(あかいポーション)は20本中15本を消費し、その度に負傷をリセットして地獄の空を駆け抜けた。

 

 ジョージは携帯を取り出して現在時刻を確認する。

 まだ空も白んでいないので間に合わないという事は無いだろうが、ジョージが確認したかったのは所要時間だ。

 

「……12分か」

 

 『ドア』の座標操作や銃の悪魔の能力による全力飛翔を差し引いても、かなり異常な値だ。

 

 これは地獄の構造が関係している。

 一言で言うと、地獄は現世の8分の1程度の面積しか存在しないのだ。

 

 つまり、地獄での1mは現世での8mに値する。

 

 以前、単独で同じルートを移動した時は1時間ほどで到着した。

 その8分の1となると、計算上では7分半程度で移動できるはずである。

 

 そこからプラス4分半。

 悪魔の妨害や、アサというお荷物を考えれば……まぁ、妥当な遅延具合といった所だろう。

 

 とはいえ、根源的恐怖の悪魔が何時絡んでくるか分かったものでは無いし、悪魔が多すぎて人にはかなり無理のある環境だった。

 いくら8倍移動できるとはいえ、軽々に使える手段ではない。

 

「はぁ……心臓に悪いぜ」

 

 そんな武器人間ジョークをかましながら、一度アサを背負いなおす。

 更に夏休みの宿題も全て持ってこれたことを確認すると、そのまま屋上の扉に向かって歩き出した。

 

 まずはアサを寝かせて、その後にシャワー。

 仮眠を取りたいが、普通にガチ寝になりそうなので却下。代わりに積んであるマンガでも読んで時間を潰すか。

 

 出迎えたクラムボンにフレーメン反応を起こされて傷つく未来など露知らず、ジョージはそんな算段を立てながら、屋上から姿を消した。

 

◆◇◆◇

 

「んぅ……」

 

 珍しく、というと失礼かもしれないが。

 その3人の中で、最初に目覚めたのはデンジだった。

 

 体を起こしたデンジは、まず隣の小さな体温に目を向けた。

 

 小さな体温の主……ナユタは更に隣のレゼに抱きかかえられ、少し暑そうにしながらも未だに目を覚ます様子が無い。

 そんなナユタを抱きしめるレゼは、2徹が響いているのだろう。無防備な寝顔で、すぅすぅと寝息を立てていた。

 

 こうして並べてみれば、親子とは言い難いにせよ姉妹であれば十分通りそうだ。

 一番目立つ差異である目が閉じられているのが大きいのだろう。端正な顔立ちと艶やかな黒い髪だけでも、十分そのように見えた。

 

 なるほどこれは、ジョージがこの2人を並べたくなるのもなんとなく分かる。

 

 まるで『世界平和』の具体例として教科書に乗せたくなる程に、見ているだけでも心が洗われるような気がする光景ではないか。

 あとはここに飼っているらしい猫でも足せば、この世界に存在する『可愛い』をおおよそ網羅してしまう事だろう。

 

 デンジはその感情を言語化する能力を持たなかったが、この光景をずっと見つめていたいという衝動は確かに存在していた。

 寝起きのコンディションも相まって、ぼーっと2人の顔を眺めるデンジ。

 

「あ」

 

 良い事を思いついた。

 確か、レゼが楽し気な表情で買ってきた『玩具』が、まだ残っていたはずだ。

 

 実際どうなるのかは知らないが、使い方ぐらいは分かる。

 

 デンジは静かに寝床を抜け出して、その『玩具』を探しに行った。

 

◆◇◆◇

 

 銃剣を立てて、刃の鋭さを確認する。

 傷なし、錆びなし、欠けなし、鈍りなし。

 

 すっと刃に指を滑らせれば……うん、俺の指に傷を付けれるんなら完璧だ。

 改めて表面を拭き取ってから、傷を舐めつつ銃剣をホルダーに入れる。

 

 今やっているのは『武器の手入れ』である。

 当初は積読を消化しながら時間を潰すつもりだったのだが、体を動かさないと普通に眠っちまいそうだったので、こういう程々に手を動かす作業をしているのだ。

 

 ぶっちゃけ、能力で新品の銃剣を生み出せば良いだけの話ではある。

 打倒マキマの目標を完遂し、デンレゼやら他の武器人間連中やらにも情報が広まり、岸辺もアサもヨルも知っている今、『銃の武器人間』という俺の正体を隠す必要性は随分薄れた。

 その為、ある程度あけっぴろげに能力を使っても問題ないだろう。

 

 しかし武器人間という存在の希少性と、銃の悪魔という存在の戦略的価値は全く揺らいでいない。

 

 後者についてはむしろ増してすらいるぐらいだ。なにせ、銃の悪魔に向けられる恐怖は現在進行形で増加の一途を辿っているのだから。

 

 まあ知っている奴が増えたという意味では、以前ほど躍起になって隠す必要は無いだろう。

 しかし、それで何かの拍子にぽろっと自分から零してしまっては本末転倒。

 

 故に、そうならない様に普段からこうして手間暇かけているわけだ。

 

「……そろそろ、ジョージ・スマイルズとしての仕事も受けておくか」

 

 デビルハンターなんて何時死んでもおかしくない。

 『生存報告』が全くシャレにならないのである。今後も利用していくペルソナだ。ただの怠惰で潰えさせるにはもったいないぞ。

 

 折角得物も研いだ訳だしな。

 

「どれどれ……」

 

 ぶっちゃけ本当にただの生存報告がてらなので、そこまでタフな案件を受けるつもりはない。

 宿題をちゃんと終わらせたアサのためにも、大きく日程が取られる仕事は遠慮したいところだ。

 

 ブログを開けて、届いている依頼をザッピングしていく。

 

 まあどうせ眠気でまともな判断などできないのだ。

 適当に候補を挙げるだけにして、本決まりは一寝入りした後にするべきだろう。

 

 しかし……こうして見ると、なかなかにもったいないな。

 

 なにせブログに届いている依頼の量は、さしずめ冒険者ギルドの塩漬け依頼コーナーだ。

 割に合わないものやきな臭いものは弾くとしても、どうしたって見送らざるを得ない依頼が多すぎる。

 

 戦闘そのものを巻きで終わらせても、移動や手続きや打ち合わせや各種の待機時間……とても処理しきれない。

 

「やっぱ作るかぁ? 民間軍事会社(PMC)

 

 要するに人手が足りないからこうして見送ることになっているわけで、だったら増やしてしまえばいいという話だ。

 

 ジョージ・スマイルズに届いている依頼は、国防に関わるレベルから新人教育の随伴まで多岐にわたる。

 そのあたりの簡単な仕事であればわざわざ俺が出張ることもあるまい。勿論看板を傷つけないだけの『品質』を確保した後になるが、長期的には利益の方が大きいだろう。

 

 法律の問題は公安の権限を上手く拡大解釈すれば何とかなるだろうし、管理や手続きの手間だって事務員を雇えばいい。

 俺という戦力を遊ばせるのももったいないので、雇われ社長を……いや、この際ナユタに任せてもいいかもしれないな。

 

 こと『人使い』において、ナユタが天賦の才を持っているのは間違いないのだから。

 

 俺は勿論の事、俺以外の人間だっていくらでも上手く使ってくれるだろう。

 そうしたら戦力を拡充して、戦術的な組織行動ができるように訓練して、ゆくゆくは全世界に支社を配置して……

 

 夢がひろがりんぐだな!

 

 唯一残った問題といえば、1999年には全部ひっくり返るから意味がないことぐらいだろう。

 多少組織的に動けるだけのアリが、落ちてくる核爆弾に対して一体何ができるというのか。

 

 うん、やっぱりPMCはナシだな。使えそうな在野を拾って弟子にする程度が限界だ。

 

 夢がせばまりんぐだな!

 

 在野といえば、この世界だとまだ吉田ヒロフミはフリーなのか。まだ生き残っていればの話だが。

 タコの悪魔と契約していたようだし、格闘の方もクァンシを相手に張り合えるレベル。2部で公安入りしたのも納得の実力者だ。

 

 ……冷静に考えるとクァンシを相手に、負けたとはいえ拮抗状態を維持できたのって凄くないか?

 あいつ純人間だよな?

 

 問題は女殴ってそうな顔してることぐらいだけど……まあ、俺は(マキマ)殺してるし今更か。

 あとコベニちゃんに強いお酒勧めてそう(偏見)

 

 てか、そっか。この段階だと、コベニちゃんってまだ公安にいるのか。

 2部では弟っぽい奴も出てきてたけど、アイツの学費もコベニちゃんが払ってたんだろうな……流石に不憫すぎる。

 

 あの悪運ならこの惨禍の中でも多分生き残ってるだろうし、公安に入って顔を合わせることがあったら気に掛けておこう。

 暴力の魔人に全部お任せしたいところだが、アイツは人権が無いからな……社会戦ではお手上げだろう。

 

 というか暴力の魔人はちょっと弱すぎないか?

 暴力って戦争はもちろん、イジメやDV、果ては悪口まで含むかもしれないほど広範な概念なのだから、それこそ銃の悪魔よりも強くても何らおかしくない名前だと思うのだが。

 

 悪魔と人体が何らかの形で融合すると弱体化するって言うのは間違いないと思うんだが、暴力の魔人についてだけは倍率がおかしいと思うんだよな。

 ガス(入り)マスクで弱めてるらしいが、毒で弱まる時点でって話だし。

 

 あれかな、人間の脳が割と残ってるのが原因なのかな。

 人間的な思考が悪魔の力を無意識にセーブしている可能性だ。

 

 でも人間の脳が完全に残ってるレゼに負けてるんだよなぁ……?

 

 魔人と武器人間を比較するのも違うかもしれないが、レゼの心臓の稼働効率が高いって事で片づけていいのだろうか?

 頭が切り離されても『心臓で考えて動く』って事が出来てたし、可能性はありそうだが。

 

 『心臓で考える』のはクァンシも出来てなかった技術だから、レゼの練度は相当な物だろう。

 

 しかしだとするとレゼの身体能力がクァンシに劣ってるっぽいのがなぁ……?

 単純な稼働率だけじゃないのか……?

 

「あー、いかんいかん。睡眠不足で思考が取っ散らかってるな」

 

 ちらりと時計を見る。

 6時半か……7時になったらアサを起こすか。

 

 もう少しの辛抱だな。

 

◆◇◆◇

 

「……これで良いのか?」

 

 デンジは自信なさげにそう呟いた。

 なにせ多少は漢字を読めるようになったが、すらすらとと言う訳にはいかない。側面に書いてある使い方なんてとてもじゃないが解読できる気がしなかったのだ。

 

 そのため、レゼが使っていた時の見様見真似でやってみたのだが……そのせいで、本当にちゃんと出来ているかが分からない。

 

 念のため、更に5,6回ほどボタンを押し込んで『カシャリ』という音を聞く。

 無駄遣いとは言われないだろう。成果物を確認してくれれば、レゼは勿論ジョージだって喜んでくれると思う。

 

「しっかし、これは……」

 

 デンジは玩具の側面に書いてある商品名を見る。

 

「『(うつ)ルンです』……って読むんだよな?」




デンジは 即死魔法 を 手に入れた

Q:この地獄周りの独自設定、なにこれ?
A:一言で言うと、チェンソーマン世界の”ドロヘドロ的”解釈。『呪術廻戦とドロヘドロを足して2で割った様な』世界観なので、前者だけじゃなく後者も入れたかった。
ドロヘドロでは魔法のケムリを凝集させると『ホール』という異世界へのドアが生まれる。ホールから帰ってくるときも同じことをすればOK。ただし、チェンソーマンの世界には魔力や呪力やケムリといった『超能力になる前のエネルギー形態』が存在しないため、悪魔の力を特殊運用した際の自然現象にした。
ただし、面積が8分の1なので8倍移動できるというのはMinecraftが元ネタ
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