デンレゼ過激派転生者   作:翁。弁当

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レゼ編の4回目摂取に行ってきたので初投稿です
まじで1期をちゃんと仕上げてたら200億行っただろ……100億の女じゃ役不足だろ……

4回目にして「パチモンでもいい」でカフェ店員のレゼが映ることと、「もう少し賢くなった方が良いよ」といって去るレゼが手を握り締めていることと、ラストの路地を走りながらデンジの背中を見つけて「あ、いた」って口パクしてることに気付いた不心得者は私です




ソード、ブレード、バヨネット

 岸辺から『3人目の名前』の正解が出たので、用意しておいた手荷物を渡して正解と言っておいた。

 その荷物の中身を見れば、俺の能力が分かるようになっている。岸辺の察しが悪ければわからないだろうが、そこはまあ最強のデビルハンターを信用するという事で。

 

 その際に雑談の体で色々聞き出したのだが、どうもデンパワの強化合宿は現在進行形らしい。

 

 個人的にあの中にも結構好きなシーンがあって、パワーが「一緒に逃げるか?」とデンジに提案するところ。

 つーかあの2人は言動の節々でお互いの事が大好きなのが滲み出てて良いなと思う。2人に限らず、早川家全体の話でもあるか。

 

 ともかく、沢渡アカネは未だ存命で、サムライソードも自由の身であることが確定したわけだ。

 つまり例のビルにはまだまだお宝があるという事。

 

 なぁに、どうせレゼ編以降の原作はぶっ壊すのが前提なのだ。

 それ以降の展開に対して気を遣う必要は無い。

 

「それに、実戦での切れ味が鈍って無いかも確認しておかないとな……」

 

◆◇◆◇

 

 貧乏ゆすりの音が部屋の中に満ちている。

 

 刀の武器人間、通称サムライソード。

 ヤクザの若頭としての立場もあるその男は、しかしここ最近はその立場に似つかわしくないほど、ソワソワイライラしていた。

 

 つい先日、ついに決行した公安襲撃。

 銃の悪魔……正確には、その代理人である沢渡アカネから、現金2万円と引き換えに拳銃を調達する取引を行い、その拳銃で方々にいる公安デビルハンターの面々を撃ち殺した。

 

 デビルハンターも所詮は人間。銃には勝てない。

 

 だが、この計画の本命であったマキマは殺せなかった。

 計画のスポンサーである銃の悪魔の要望だった『チェンソーの心臓』も奪うことは出来ず、緒戦においてこそ大戦果を挙げたが、最終的には失敗と言わざるを得ない結果となった。

 

 そして、いざそうなると状況が一転する。

 

 彼らの有する1番のアドバンテージは、ただひたすらに公安に関知されていないという点であった。

 だからこそ長期に渡って計画を立てることもできたし、入念に準備をすることもできたし、完全に不意を打つこともできた。

 

 戦力の量も質も、そして統率も行動力も、公安とは比べるべくも無い。

 故にとにかく短期決戦。対応も適応も出来ないうちに攻め込み、一気呵成に目的達成。

 

 それだけが勝ち筋だった。

 

 だが、それが失敗したという事は、その唯一の勝ち筋が消滅したことを意味する。

 

 今や彼らは俎上(そじょう)(うお)

 警察を突撃させるなり、民間のデビルハンターに依頼を出すなり、公安の新人教育、作ったはいいが出番の少ない特殊部隊の慣らし……なんにでも使える便利なサンドバッグだ。

 

 サムライソードはそのことを理解している。理解しているから、こうして苛立ちを隠せない。

 

 長の苛立ちは部下に伝わる。組員たちもイマイチ落ち着きがないというか、地に足が付いていない感じだ。

 全員が作戦の際に調達してきた銃で武装してこそいるが、気持ちがこれでは使い物にならない。

 

 唯一落ち着き払っているのは、沢渡アカネ。

 

 先の作戦を主導し、銃の悪魔との契約を仲立ちした女。

 彼女自身もまた蛇の悪魔と契約した存在であり、その実力は公安のデビルハンターに勝るとも劣らない。

 最も、結局は外部協力者。いくら実力充分であろうと、あまりにアテに出来る存在で無い事も確かだった。

 

 総じて、今のビルには戦う態勢が整っていない。

 

 しかし、この場を離れる事もできない。

 なぜなら、地下の方にはサムライソードの祖父の遺産……ゾンビの悪魔の力によって作られた、大量のゾンビが居るからだ。

 

 ゾンビに噛まれた人間はゾンビになる。

 このお手軽パンデミック装置は、どこまで行っても人間である公安のデビルハンターに対しての切り札だ。同時に、これを移送するためには相応の人的被害を覚悟する必要がある。

 

 戦力的な不安を考えれば、ゾンビは手放せない。

 しかし同じく戦力的な不安から、ゾンビを移送して拠点を移すこともできない。

 

 結果として、彼らはこのビルに封殺されていた。

 

 ここから彼らが生き残る道はただ一つ。

 このビルで迫りくる敵をとにかく迎撃し続けて、マキマがやってくるまで耐え続ける。そしてマキマがやってきたらマキマを倒して、この場所から逃げ出す。 

 

 そんな、どう考えても上手くいくはずもない活路のみ。

 

「クソ……」

 

 袋小路。

 しかし立場や体質の都合上、自害もできない。

 逃げた所でマキマが存命では時間の問題だ。特に国内なら。

 

 そんな中、突如鳴り響く呼び鈴の音。

 

「なんだ?」

「誰かピザの宅配でも頼んだのか?」

「おいおい、勘弁してくれよ……」

 

 今は若頭も組員も公安の襲撃に怯えている。

 そんな中でピザの宅配を頼むなんて、よっぽどの平和ボケだ。

 

 インターホンに一番近い組員が、げんなりしながら顔を確認する。

 

「誰だ?」

「……公安じゃないです。でも、なんか……ふざけた野郎です」

「はぁ?」

 

 痺れを切らしたサムライソードがインターホンを見に行く。

 

 そこには……まぁ、確かに組員の報告通りとしか言えない人間が立っていた。

 

 黒スーツは着ていないので、公安で無い事は間違いない。

 しかしどう考えても8歳児程度の身長と、全身を隠す異様なまでの着込み、そして顔さえもチープなにこちゃんマークの仮面で隠している。

 

「……本当になんだコイツ?」

 

 と、言いはするものの。

 サムライソードには、何か既視感があった。

 

 この異様な存在。

 低身長に、チープな仮面。

 

「なんだ……どこで見た?」

 

 記憶を探る。

 確か結構最近の話だったはずだ。

 

 あれは、そう。

 デンジという従順な犬が居なくなって、代わりのデビルハンターを探していた。しかし全然見つからないので、折角作ったルートが消滅して、悪魔の死体というデカいシノギが無くなってしまった。公安襲撃に乗ったのは、そうした懐事情の都合もあったのだ。弱体化できるだけでも動きやすくなり、ルートの再打貫が挑戦できるようになる。

 シノギ云々を抜きにしても、デビルハンターはやはり巨大な戦力だ。ヤクザという稼業には欠かせない暴力要員としてスカウトするべく、同時に余所の組のスカウトを察知するべく、民間のデビルハンターは日々チェックしている。

 

 そうだ、その中のどこかだ。

 

「……ジョージ・スマイルズ」

「え?」

「オイ、浅井! おまえ確か、前に何とかネットでデビルハンターを見つけたって言ってたよな!?」

「インターネットです、若頭」

「うるせぇ! それもっかい見せろ!」

「客の方はどうします?」

「適当に待たせてろ!」

 

 仮に公安から送り込まれた刺客だとしたら、わざわざインターホンでこちらに来訪を知らせる必要など無い。

 つまり、大なり小なり交渉の余地があるという事だ。ならば多少待たせても大人しくしているだろう。

 

 ひとまず保留だ。

 

 時間稼ぎをしているうちに、携帯電話と電話回線で四苦八苦しながらネットに繋いで、『ジョージ・スマイルズ』で検索する。

 やはりブログの名前と完全に一致しているだけあって、検索画面の一番上に出てきた。

 

「……コイツだ」

「デビルハンター、ですか」

 

 そこには、ナイフ一本で魑魅魍魎の悪魔たちを惨殺し続ける、正直どっちか悪魔なんだかよく分からない日々がつらつらと記されていた。

 驚くべきことに、日本語で書かれたブログでありながら、中には『海外での仕事』も散見される。

 依頼フォームにも不自然な日本語で書かれた依頼文がちらほらある。外国人の依頼者が機械翻訳で書いたのだろう。待ち合わせ場所も海外の空港が指定されている。

 

 そして写真の中に映り込む、今インターホンの先にいる奴と同じチープなにこちゃん仮面。

 『スマイルズ』とはそういう意味なのだろう。

 

「コイツ、めっちゃ強くないですか?」

「流石に傭兵なんてやるだけの事はあるな。悪魔の質も量も桁違いだ」

 

 中国にて『(イナゴ)の悪魔』討伐。

 米国にて『狂犬病の悪魔』討伐。

 インドにて『牛の悪魔』討伐。

 ドイツにて『サリンの悪魔』討伐。

 日本にて『人間の悪魔』討伐。

 

 記事として面白くない悪魔についてはある程度カットしているものと思われるが、だからこそ掲載されている悪魔がその一線を越える存在ばかりであることが分かる。

 

「生身じゃないな。明らかに契約悪魔がいる」

「それでも、能力の部分はちゃんと隠してますね」

「……確かにな」

 

 2人は悪魔の死体の写真を見つめ、時折拡大しながらそう言った。

 本人はブログ内で『ナイフ一本』を公言しているが、死体に付いた傷はナイフではないものも多い。

 

 ではその傷が本当の能力なのかと言うと、これが傭兵型の厄介な所。共闘する相手がその都度変更されてしまう為、それぞれの戦闘での共通項が見つかりにくい。

 公言している武器がナイフなのも難しい。刃物は基本的に全員が使う装備なので、どの傷が誰のものかなんてわかりっこない。

 

 だが、この圧倒的な戦績。

 

 記事にしていないものまで含めれば、その数は計り知れない。

 当然、こんなものは人間業ではありえないのだから、そこには悪魔の力が介在していると考えてしかるべきだ。

 

「ただ実力があるだけじゃなく、頭も回るか……厄介だな」

「でも、この感じだったら悪魔の死体とかこっちに流してくれそうじゃないですか?」

「確かにな。利鞘は悪くなるだろうが、緊急時の仕入れ先としちゃ悪くない」

 

 実際、長期にわたって商品を卸せなかったから関係が途絶えたわけで、付き合いを維持するためのツナギ……申し訳程度の頻度で卸せていれば、わざわざ公安襲撃なんてリスクを冒す必要は無かったのだ。

 

 ジョージ・スマイルズが求めているのは金。

 国に悪魔の死体を引き渡すのは雇い主の意向であり、国から得られた報奨金から彼の依頼料は賄われる。

 そうしないと依頼料が払えないからそうするだけで、依頼料さえ払うなら別に国に引き渡す必要は無い。

 

「だが、これは良い情報だ」

 

 金で動く人間は更なる金で裏切る。

 ならば、やはりジョージ・スマイルズとは交渉の余地がある。

 

「よし、通せ」

 

◆◇◆◇

 

 闇金の事務所に単身乗り込んで交渉。本来絶対に行ってはいけないタブーである。

 外から隔離された空間に粗末な応接セット……これは外界との隔絶、民主主義や法治からの隔離を意味する。

 

 唯一許されるケースがあるとしたら。

 それは、その単身乗り込んだ人間が、相手が持っているすべての暴力を優越する場合に限る。

 

「初めまして、デビルハンターのジョージ・スマイルズです」

「どうもジョージさん。俺は若頭の」

「早速で申し訳ないが、要件を良いですか?」

「……どうぞ」

 

 自己紹介を遮るほど火急の要件か。

 

「殺さないでやるから、銃の悪魔の肉片を寄越せ」

「……テメェ、ヤクザ舐めてんのか?」

 

 サムライソードの怒気が空気を支配する。

 しかしジョージはどこ吹く風だ。

 

「君たちに対する、正当な……いや、むしろ過大な評価だと思うがな。旧態依然の『骨董品』には」

「……ッふぅーー……じいちゃんが言ってたなぁ……まずは、深呼吸しろってよォー……」

 

 ソファにドカリと座り直したサムライソード。

 

「深呼吸してよォ、頭に酸素を送るんだよ。そうすりゃ頭が回って、冷静に物事を考えられる」

「アンガーマネジメントって奴か? そりゃ頭を回して意味がある状況でやることだぜ」

「ああ、全くだ」

 

 懐から煙草を出す。

 それは、事前に取り決めてある『抹殺』の通し(サイン)

 

 周囲に控えていた、ジョージの死角にいる組員が銃を取り出し、頭へ発砲した。

 何度も何度も繰り返した滑らな手並みで。

 

 隣の組員の頭を撃った。

 

「は?」

 

 撃たれてなお、その銃撃は止まらない。

 同じ様に滑らかな動きで、 次々に組員を撃ち殺していく。

 

 本人はもう死んで倒れ込みつつあるというのに、腕だけが正確に射撃を遂行し続ける。

 

「ちなみに、今の状況は『頭回しても意味が無い』じゃなくて『何しても意味が無い』だぜ」

「テメェッ!!」

 

 左腕を撫でながら、何処か他人事の様な呑気さでそんなことを言うジョージに向けて、サムライソードが手首を引き抜く。

 彼は刀の武器人間。その行動は変身へのトリガーであり、蘇生のスイッチでもある。

 

 だから、彼はまだ生きていた。

 

 変身が終了した時、ジョージは既に背後にいて。

 自分の中には、首を冷たい刃物が通過した感触が残っていた。

 

 つまり、自分は一度断頭された。

 しかし変身のタイミングが直後にまで迫っていたので、その断頭がリセットされたのだ。

 

「もう一度言う。銃の悪魔の肉片を寄越せ」

 

 そういうジョージの左腕からは、サムライソードのそれに酷似した剣が生えていた。

 仕込み武器? 否、サムライソードは直感する。アレはもっと肉に根差した、生体的なものだと。

 

 悪魔との契約か? 

 或いは……同類か?

 

 予想外の現象に動揺するが、その動揺を隠すかのように声を張り上げる。

 

「テメェッ! ただのデビルハンターじゃねえな!?」

「俺はスポーツマンだ! てめえらこそただのヤクザじゃねえだろ。銃の悪魔の肉片なんざ何に使う気だ?」

「テメェが知る必要はねえ!」

 

 ソファを挟んで相対する2人。

 

 サムライソードがソファの影に身をひそめる。

 ただ隠れたのではない。両足を思いっきり折りたたんだ『居合』の構えだ。

 

 ソファで隠れてお互いは見えない。

 しかし足音がする。その足音めがけて、渾身の居合。

 

 ソファごと切り刻む勢いで、足首を狙う。

 今いる死角から狙える上に、機動力を奪い、これ以降の戦闘を有利に進める布石にもなる。

 

 その斬撃は常人の動体視力の限界を遥かに超えて……空振りに終わる。

 

「そうすると思ったぞ。『正解』だからな」

 

 声は、上から。

 

 ジョージは跳躍していた。

 ソファで隠れ、足首狙いで更に身をかがめていたサムライソードからは見えないように。

 そして空中で構えるのは、自分の背後に配置していた組員が懐に隠し持っていた拳銃1丁。

 

 撃たれる。

 

 その確信を得たサムライソードが、腕の刀を盾にして正中線の急所の大部分を守る。

 

「それもまた、『正解』だ」

 

 クンと小さく銃口を逸らして、発砲。

 落下しながら曲芸染みた動きの中で行われたほぼ同時の2連発が、サムライソードの両肘へ吸い込まれていくかのように着弾する。

 

「ぐぁッ……」

 

 両腕が、ひいてはそこから生える刀が無力化された。

 サムライソードがそれを自覚すると同時にジョージが着地する。

 

 豹を思わせる四つん這いの姿勢は、ただの着地ではない。

 即座の追撃、爆発的初速を実現するための変則的クラウンチングスタート。

 

 だが、それならサムライソードも負けていない。

 

 幸いにも両足は無事だ。全身を沈みこませ、居合の構え。

 何万回と繰り返してきた動きだけに淀みなく、対照的にジョージの動きはアドリブが大きい。

 

 攻撃のタイミングは同時。

 

 2人前の殺意が、爆ぜる。

 

「ヘビ、丸呑み」

 

 よりも先に、沢渡アカネの契約悪魔、『蛇の悪魔』の能力がジョージを丸呑みにした。

 

「何やってんの」

「……悪い、熱くなった」

「全く……」

 

 アカネはサムライソードの手首を引っこ抜いて再生を始めさせる。

 元々が対人の拳銃による小さな傷だ。関節に叩きこまれたから動かなくなっただけで、規模自体は大したものでも無く、時間も体力もあまりかからず再生は終わった。

 

 勿論、人間なら普通に一大事だ。

 実際、『丸呑み』を使う代償として爪を引っぺがしたアカネはしばらくモノを持つのに苦労するだろう。

 

「どんなだった?」

「コイツ、こっちの動きが分かってやがった」

「……それが契約悪魔の力って事?」

「あと、腕から刀が生えてた」

「アンタと同じ?」

「いや、頭が変わってなかったから多分違う。それに片方だけだった。アレは……」

 

 『クックック……下手だなぁ、サムライソード君……へたっぴさ……能力の使い方が下手ッ』

 

 そんな言葉が、何処からともなく聞こえてくる。

 

「……ヘビ? どうした。なぜまだそこにいる」

 

 蛇の悪魔の頭に、大量の赤い線が走る。

 まるでレゴブロックの城を蹴り破る様な気軽さで、中からジョージが出てきた。

 

「もっと術式の解釈を広げないと……って、これはまた別の話かスマンスマン」

「化け物が……」

「おっと、そっちの女性は新顔だな? どうだろう、君が仲裁役になってくれると嬉しいんだが」

「……そう言えば、そもそもどういう経緯で戦闘を始めたんだ?」

 

 蛇の悪魔のミンチの山から下りながら、ジョージが話す。

 

「いやね? 命は助けてやるから銃の悪魔の肉片を寄越せって言ったら急に襲い掛かって来たんだ。理不尽な暴力だと思わないか?」

「……どこが?」

「君たち全員の命を合わせて二乗したって、銃の悪魔の肉片1.4㎏とは比べ物にならないだろう? それで等価交換を成立させてやろうと言うんだ。これほど慈悲深く太っ腹な契約は無いと思うが?」

「……分かった」

「オイ!」

「ヘビは今のでダウンしてる。お前も手玉に取られ、こっちは能力の概要すら分からないのに、向こうは肉片の量まで正確に把握してる。銃の悪魔の肉片はこれからも有用だが、命に比べれば二の次だ」

「……クソッ!!」

 

 サムライソードは変身を解いて、懐から鍵を取り出してジョージに投げつける。

 

「金庫の合い鍵だ。沢渡、お前が案内しろ」

「……分かった」

 

◆◇◆◇

 

 1.4㎏にも至る銃の悪魔の肉片をしまい込んでビルを出た。

 出来るだけ人目に付かないルートで川へ行き、飛び込んで流れに従い距離を取る。蛇の悪魔の血で全身が赤黒くなっていたのを緩和する目的もあった。

 

 血でずぶ濡れと水でずぶ濡れなら、まだ後者の方がマシってもんだ。

 

 幸い流速の速い川であったおかげで、3㎞程を10分かからずに移動できた。

 息継ぎは全て水遁の術のアレで何とかしたし、追手はまず掛かっていないだろう。

 

 さしものマキマも、水棲生物を耳にする理由はあるまい。

 

 橋の下で水を含んだ服を絞りながら反省する。

 

「あ~……イカンな、調子乗ったわ。完全に浮かれてた」

 

 普通の女の子のレゼという栄養素を摂取して、ついでにマキマを殺す方法に見当が付いて、柄にもなく浮かれていた。

 サムライソードはマキマに支配される。つまり、サムライソードが取得した情報は全てマキマに流れてしまう。

 

 少々の情報漏洩でどうにかなる能力ではない。

 しかし、今日のサムライソードが完全に手玉に取られていたように、情報とは武器なのである。

 

 サムライソードは強い。

 その強さの根幹にあるのは『居合』だ。超高速で動き、強烈な斬撃を叩き込む。

 

 そういう『出し得の必殺技』をブッパして有利を押し付ける。

 命懸けの戦闘においては、一度勝てばそれでいい。相手に二度目は無いのだから、初見殺しこそ完全回答。

 

 だが、その戦法を知っていればいくらでも逆手に取れる。

 サムライソードの弱点は、この初見殺しが強すぎるあまりに、対人戦の妙味である『駆け引き』に未熟な点。

 

 リスクとリターンを両取りができる模範解答が見つかれば、そこに飛びついてしまう。

 その『正解』がもっともらしく聞こえる理由の全てが、そっくりそのまま、そこに罠を張る理由になるというのに。

 

 ではなぜこの弱点が付けたのかと言えば、結局俺がサムライソードの弱点を知っていたからだ。

 多分デンジも、言語化は出来ずとも知っているだろう。

 

 つまり俺というデビルハンターが知られれば知られるほど、攻略の糸口を与えてしまいかねない。

 

「さて、今回の動きでどこまでバレるか……あー、やっちまったなァ……」

 

 暗躍と謀略は地味な準備が基本。

 改めて、肝に銘じなくては。




特に理由のない暴力がサムライソードを襲う――――!!

実際、サムソはなんで銃の悪魔の肉片なんて持ってたんでしょうね?
銃そのものは現金取引したことからして密造品っぽいから、別に肉片から生成したわけでもなさそうだし……
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