カードが人を選ぶのだ   作:亜零

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エモルとの決着

 今まで有利な盤面でターンを迎えていたが、今回不利な盤面となったエモルは、初めて焦りの表情を浮かべる。

 

「俺のターン……手札から☆5支払い、白夜の騎士を召喚する!!」

 

白夜の騎士

☆5/ヒューマン/ATK4000/HP2000/SKP2

相手の場にモンスターがいる時、これは【襲撃】を持つ。このカードが戦闘で破壊された時、ダメージを受けている相手モンスター1体を破壊することができる。これに成功した時、手札の極夜の騎士を0コストで召喚することができる。そして極夜の騎士の効果で墓地から蘇生された時、ATKを6000にする。

 

「白夜の騎士で屑鉄のロボットに攻撃」

 

 白夜の騎士を返り討ちにした屑鉄のロボットだが、白夜の騎士が戦闘で破壊されたことで効果の発動条件を満たす。

 

「白夜の騎士の効果発動!! 屑鉄のロボットを破壊せよ!!」

 

 効果によって破壊された屑鉄のロボット。盤面がお互いガラ空きとなったが、ここでエモルは手札から効果を発動した。

 

「白夜の騎士の効果が適用されたことで手札の極夜の騎士の効果を発動する」

 

極夜の騎士

☆5/ヒューマン/ATK2000/HP4000/SKP2

白夜の騎士の効果で召喚された時、これは【防御】を持ち、HPを6000にする。このカードが戦闘もしくは効果で破壊された時、墓地から白夜の騎士を蘇生することができる。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

ライアート LP7 手札3枚

場 なし

 

エモル LP10 手札2枚 ◆

場 極夜の騎士

 

「俺のターン!!」

 

 エモルの場にあるのは極夜の騎士。実物を見るのは初めてだったが、ライアートはこのカードの効果を知っていた。

 

☆☆☆☆☆

 

 エモルと戦う数日前、ヤクザにパシリとして使われていた身寄りのない子供たちは、それぞれ隠しもっていたカードを一人に集めることにした。

 

「このカードを託せるのはお前だライアート」

 

 ライアートに40枚のデッキを渡したのは、ライアートの親友であるカゲリ。ライアートは家族がいなかった。両親は行方不明でカゲリもまた同じ境遇で、二人は自然と仲良くなった。

 

「これは……まさかみんなのカードを集めたのか?」

 

 ライアートは仕事が終わり休憩しようとした矢先、カゲリから呼ばれて空き地に行くと、同じ地区の同年代の少年らが集まっていた。

 

「あぁ、俺はライアートを信用している。それにお前はコアデッキケースもある……アルカナでは40枚のカードがないとゲームができない。それなら一人に集めた方がいいと思ってな」

 

「俺たちのカードで戦ってくれ!!」

 

「お前に賭けるしかないんだ」

 

 周りの少年らに声をかけられるライアート。みんなが信用してくれていることに嬉しい気持ちの反面、自分が受け取って良いのだろうか? 自分なんかがアルカナで勝てるのだろうかと不安な気持ちも同じぐらいにあった。

 

「ライアート……俺たち二人は身寄りがない。だけどここにいる奴らは昔、家族がいた人たちもいるんだ……そうだろ?」

 

「僕は……僕には姉がいました」

 

 カゲリの視線の先には前髪で目元が見えない黒髪の少年がいた。緊張している様子だが、意を決して口を開くと姉がいたらしい。最初は都会に住んでいたのだが、親の事業の失敗で借金を背負って家族が離れ離れになってしまい、少年と姉はレフュースタウンに流れ着いた。

 レフュースタウンで流れ着いたが、エモルにアルカナで勝負を挑まれ、姉が少年の代わりに勝負を受けたのだが、結果は姉が敗北して連れ去られたとのこと。

 

「僕は姉を連れ去ったエモルが許せない!!……そしてこんな環境を作り出しているボスも許せない!! だから……戦ってほしいんです!!」

 

「ライアート……このデッキはお前に渡す……その代わりに約束してくれ。アルカナでエモルやボスを倒してお前が新しいボスになってくれ!! そしてこのレフュースタウンを変えるんだ!!」

 

「……みんなの気持ちはしっかり受け止めたぜ」

 

 カゲリから渡されたデッキをヤクザから隠し持っていたコアデッキケースに入れる。不安な気持ちは綺麗さっぱり消えていった。

 

「このデッキで俺は勝つぜ!!」

 

「頼んだぜ!! いいかボスに挑む前にエモルと戦うことになると思うが、俺とあいつは一度アルカナの勝負を見たことがある。恐らくデッキで注意するのは勇敢なる者、臆病たる者、白夜の騎士、極夜の騎士の4枚でその対策は……」

 

☆☆☆☆☆

 

「俺は☆3を支払い、瘴気の息吹を発動する」

 

瘴気の息吹

☆3とLP1を支払って発動する。相手モンスター1体を選択して4000のダメージを与える。

 

「残念だったな!! 極夜の騎士は効果適用で後HPが2000残っているぞ」

 

「まだだ!! ☆2を支払い、手札も1枚墓地に送り火竜弾を発動する」

 

火竜弾

☆2を支払って発動する。相手モンスターに2000のダメージを与える。更に手札を1枚墓地に送ることで4000のダメージになる。

 

 火竜弾の効果で極夜の騎士を破壊することに成功したが、この瞬間、極夜の騎士の効果が発動する。

 

「なに……? だが極夜の騎士が戦闘もしくは効果で破壊された時、墓地の白夜の騎士が召喚される」

 

白夜の騎士

☆5/ヒューマン/ATK4000/HP2000/SKP2

相手の場にモンスターがいる時、これは【襲撃】を持つ。このカードが戦闘で破壊された時、ダメージを受けている相手モンスター1体を破壊することができる。これに成功した時、手札の極夜の騎士を0コストで召喚することができる。そして極夜の騎士の効果で墓地から蘇生された時、ATKを6000にする。

 

「何故手札を墓地に送ったのか知らんが、惜しかったなライアート……これでお前の☆は全て使い切った。さぁターンエンドして俺に回すんだな」

 

「まだ俺のターンは終わってない!!」

 

 白夜の騎士の地面から突然腕が現れ、足を掴み引きずり込んでいく。その様子にエルモはうろたえる。

 

「いったい何が……」

 

「墓地の黄泉から舞い戻るゾンビの効果発動!!」

 

黄泉から舞い戻るゾンビ

☆6/ゾンビ/ATK?/HP?/SKP?

このカードは相手の墓地からモンスターが蘇生された時、そのモンスターを破壊してこのカードを蘇生することができる。このATKとHPとSKPは破壊したモンスターと同じ数値となる。

 

「まさかあのタイミングか!!」

 

 火竜弾を発動した時に、黄泉から舞い戻るゾンビを墓地に送っていたのだと考えたが、ライアートが笑みを浮かべていることに気づく。

 

「まだまだ!! 墓地の黄泉から舞い戻るゾンビが墓地から召喚されたことで墓地にある後続のゾンビの効果発動する」

 

後続のゾンビ

☆4/ゾンビ/ATK1000/HP1000/SKP2

墓地からモンスターの蘇生に成功した時、墓地に存在するこのカードを蘇生することができる。

 

「俺のモンスターを破壊したからっていい気になるなよ!! お前の手札は残り1枚だ……つまりそいらを破壊すればお前を追い詰めれるからな!!」

 

「確かに手札は1枚だけど、アルカナは多種多様なカードが存在する。手札が1枚のみの場合、0コストで召喚することができる……現れろ俺のエース!!」

 

窮地に立たされし竜騎士

☆8/ヒューマン・ドラゴン/ATK8000/HP6000/SKP3

手札がこのカードのみの場合に0コストで召喚することができる。この効果で召喚に成功した時、このカードは【速攻】を持つ。相手プレイヤーに攻撃してダメージを与えた時、デッキから一枚引くことができる。

 

「いくぞ窮地に立たされし竜騎士でプレイヤーに攻撃!!」

 

「くそっ……!!」

 

エモル LP10→7

 

「そして効果で俺はデッキから一枚引いてターンエンドだ」

 

ライアート LP6 手札1枚 ◆

場 黄泉から舞い戻るゾンビ 後続のゾンビ 窮地に立たされし竜騎士

 

エモル LP7 手札2枚

場 なし

 

「くっ……俺のターン……」

 

 デッキから一枚引くも、エモルの表情はあまりよろしくない。

 

「俺は☆5を支払い、兵士を集う団長を召喚する」

 

兵士を集う団長

☆5/ヒューマン/ATK5000/HP5000/SKP2

このカードが召喚に成功した時、自分の場に兵士を2体召喚する。このカードが場に存在する時、兵士に【防御】を持たせる。

 

兵士

☆1/ヒューマン/ATK1000/HP1000/SKP1 ×2

 

「俺は手札から☆1を支払い、騎士の招集を発動する」

 

騎士の招集

☆1を支払い、デッキから騎士と名がつくカードを手札に加える。

 

「これでターンエンド」

 

ライアート LP6 手札1枚

場 黄泉から舞い戻るゾンビ 後続のゾンビ 窮地に立たされし竜騎士

 

エモル LP7 手札2枚

場 兵士を集う団長 兵士×2

 

「俺のターン!!」

 

 盤面有利なライアートはデッキから一枚引いて自分の勝利を確信した。

 

「俺は☆6を支払い崩れ落ちる運命を発動する」

 

崩れ落ちる運命

☆6を支払って発動する。相手の場のモンスター全てに4000のダメージを与える。

 

 防御を持つ兵士が破壊されて墓地に送られる。もうエモルを守るモンスターは存在しなかった。

 

「3体のモンスターでプレイヤーに総攻撃だ!!」

 

エモル LP7→5→3→0

 

「俺の勝ちだエモル!!」

 

 序盤の劣勢な状況から一転して、勝利を手にしたライアートの姿と、崩れ落ちたエモルの姿を物陰で見ていた人物がいた。

 

「ふふっ……計画は順調に進んでいるようだ」

 

 そう言って二人からバレないよう足音を消してヤクザの本拠地を後にした。




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