カードが人を選ぶのだ 作:亜零
誤字・脱字などがありましたら教えてくれると助かります!
膝から崩れ落ちたエモルだが、下を向いて独り言を呟いている。勝者であるライアートはエモルからボスの情報を聞き出そうとした時、突然エモルが立ち上がる。
「ふざけるな!! 俺がテーマも統一してない寄せ集めデッキに負けるだと……そんなことがあってたまるか!!」
負けたことを認められないエモル。何故なら今まで手足のごとく使っていた存在に、しかも寄せ集めデッキに負けたことが認めることができるはずがなかった。
「このデッキは……大会に出場してもおかしくないほど強いデッキのはずなんだ!!」
「文句なら後にしてくれ……俺はこの勝負に勝った!! 約束通りにボスの現在地を教えろ!!」
「ぐっ……このガキが……!!」
エモルは悔しそうな表情を浮かべながら、ライアートには見えないように右手で、ポケットに入れてあるナイフを取り出そうとしていた。
「現在地はここだ」
部屋の奥から現れたのは壮年の男で、ライアートは初めて見たが、声に反応して振り返ったエモルの表情は一転、驚愕して徐々に青ざめていく。
「今の勝負を始めから見させてもらったぞ。中々に素晴らしい腕を持っているなライアート。デッキ格差があったはずだが、プレイングで埋めるどころか、随分と高い格差が生まれていたようだ」
「お前がここのボスか」
「いかにも……私がこの地区を支配しているボスだ」
今自分の目の前にいる男こそ、この地区を仕切っているボスであると思ったライアート。そして男は自分の口でボスであると認めた。
「それにしても情けない奴だ……負けただけに限らず、挙句には強硬手段を取ろうとは……お前のような弱者など必要ない!!」
「そんな……お許しくださいボス!! もう一度私にチャンスをください!! 次こそ必ず勝ってみせます!!」
ボスの後ろから現れたのは黒スーツ姿の青年が二人。その二人はエモルを挟むように立つ。その後、片方は手にしていたエモルのデッキを掴み取り、もう片方はエモルを後ろから拘束して玄関から出ていく。
「さて、邪魔者はいなくなったな」
「あぁ、ボスのアンタなら今俺が考えていることはわかるよな」
見つめ合う両者。沈黙した空気を破ったのはボスの方だ。
「ふむ、お前は私をアルカナで倒して新たなボスとなる。そして仲間たちから託された願いを叶えるといったところか……地道の成果が実を結んだというわけか」
「なに……まさかお前知っていたのか」
「私はこの地区のボスだぞ? お前たちが良からぬことを考えているのはわかっていた……わかっていたが敢えて見過ごしていたのだ。デッキを組ませて挑戦させ、そのデッキを奪い取り、お前たちの淡い希望を絶望に変えようとしたのだよ」
ボスは以前から子供たちがカードを隠し持っていることを部下から話を聞いていた。その上で部下たちにある指示を与えた。
「子供たちがデッキを完成させて勝負を挑むまで、カードを奪うような行動を取る行動を起こすなとな」
「成程な、でも俺は勝ったぜ……さぁ俺とデュエルしろボス!!」
「そうだな……お前は私と戦う権利がある。いいだろう君が私に勝てばボスの座を譲ろう……ただし、君が負ければその仲間から託されたそのデッキを頂くとしよう」
「いいぜ……お前を倒して俺がボスになる!!」
ボスからの提案にライアートはそれを承諾した。それを見たボスは薄ら笑いを浮かべながらコアデッキケースを取り出す。
「「デュエル」」
「先攻は俺だ」
今回はライアートが先攻となった。初期の手札5枚を見て、ライアートは考える。
(エモルはデッキの一部を知っていたから対策できたが、ボスのデッキの情報は何一つとして得られなかった。)
その点、ボスは先程の対戦を見ていたことから、自分のデッキが知られていることは明白だった。全てを明かしたわけではないが、それでも情報の差が大きくついている。
(元々不利な対戦だが……それでもボスと対戦できる機会を逃すわけにはいかない!!)
本来であればライアートはボスと対面していることが貴重なのだ。この機会を逃せば次出会うにはかなりの時間を要することになる。
「俺は手札から☆2を支払い、同志を持つ骸骨を召喚する」
同志を持つ骸骨
☆2/ゾンビ/ATK1000/HP1000/SKP1
デッキから同志を持つ骸骨を一枚召喚することができる。
「これでターンエンド」
ライアート LP10 手札4枚 ◆
場 同志を持つ骸骨
ボス LP10 手札5枚
場 なし
「私のターン……先ほどと同じ滑り出しか……ならば手札からサポートカードの強者の余裕を発動」
強者の余裕
☆なしで発動できる。1ターンに1度、☆を支払ってもよい。支払った数だけ、このカードに☆が追加されていく。☆を使用する場合は代わりにこのカードから支払ってもよい。このカードの☆が0になると破壊する。
「サポートカード!?」
サポートカードとは、モンスターと同じように場に置くカードで、モンスターの攻撃に対して対象に取ることはできない。ただし、マジックやモンスターカードの効果破壊は選択の対象となり、破壊することができる。
「私は☆2を強者の余裕に支払い、ターンエンド」
ライアート LP10 手札4枚
場 同志を持つ骸骨
ボス LP10 手札5枚 ◆
場 強者の余裕(☆2)
「俺のターン!! 手札から☆3を支払い、平和を愛す修道士を召喚する」
平和を愛す修道士
☆3/ヒューマン/ATK0/HP5000/SKP0
これは攻撃できない。ターン終了時にカードを一枚引くことができる。
「同志を持つ骸骨でプレイヤーに攻撃!!」
「ふっ……」
ボス LP10→9
衝撃がボスに伝わるもその表情に痛みはなく、どこか余裕があるようにも見える。
「ターンを終了すると同時に平和を愛す修道士の効果でカードを一枚引く」
ライアート LP10 手札5枚 ◆
場 同志を持つ骸骨 平和を愛す修道士
ボス LP9 手札5枚
場 強者の余裕(☆2)
「モンスターを出しつつ、手札補充か……なら手札から☆2を支払い、豪傑なる竜を召喚」
豪傑なる竜
☆2/ドラゴン/ATK2000/HP2000/SKP1
相手にモンスターがいる場合、これは【襲撃】を持つ。
「豪傑なる竜で同志を持つ骸骨に攻撃!! そして☆1を強者の余裕に支払いターンエンド」
ライアート LP10 手札5枚
場 平和を愛す修道士
ボス LP9 手札5枚 ◆
場 豪傑なる竜(HP1000) 強者の余裕(☆3)
先にLPを削ることに成功したライアートだが、その表情はどこか不安そうにしていた。それはボスのプレイングに嫌な胸騒ぎがしてならない。そしてこの後、ドラゴンの恐ろしさを味わうことになるのであった。
ここまで読んでくれてありがとうございます!もし良ければお気に入り、評価、コメントなどしてくれると嬉しいです!