カードが人を選ぶのだ 作:亜零
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「俺のターン……」
ライアートの手札は3枚、ボスの場には爆焔竜アブソートと【防御】を持つ居城を守る竜がいる。現状この3枚だけでは突破することができない。
そして、このターンで爆焔竜アブソートを破壊しないと次のターンに一気に追い詰められるのは間違いない。だからこそライアートは、次のドローが運命の分かれ道だと思っていた。
「俺は負けられない……負けられないんだ!!」
「……!?」
このデッキに込められたみんなの思いを無駄にするわけにはいかない。その力がライアートのデッキに変化が起こる。本人のライアートは集中していて気づかなかったが、デッキが一瞬だけ光り輝いたのだ。それを目撃したボスは目を見開く。
「ドロー!! 【防御】はあくまでも戦闘で起きる場合のみ、身代わりになる効果であってマジックカードは効果の対象外だ!! 俺は☆3を支払い、手札から瘴気の息吹を発動。対象は爆焔竜アブソートだ!!」
ライアート LP7→6
瘴気の息吹
☆3とLP1を支払って発動する。相手モンスター1体を選択して4000のダメージを与える。
有毒な成分が含まれた息吹が爆焔竜アブソートを包んでいく。万全な状態なら耐えられるが、突撃者の権兵衛の攻撃によって、HPが4000となっており、吸い込んでしまった爆焔竜アブソートの身体は地面に倒れて破壊される。
「……あの力は!?」
呆然と立ちつくすボスにライアートは、自分のエースカードが倒されたことで動揺しているのだと考えた。
「俺は手札から☆3を支払い、笠地蔵を召喚する」
笠地蔵
☆3/ロック/ATK0/HP3000/SKP0
これは攻撃できない。これはいかなる効果の選択にはならない。1ターンに1度、手札あるいは場のカードを一枚墓地に送らなければならない。送らなければこのカードは破壊される。この効果で破壊された時、このカードは蘇生することはできない。ターン終了時にこのカードをコントロールしているプレイヤーに3つの効果からランダムに1つ選ばれる。このカードが破壊された時、デッキから一枚墓地に送り蘇生する。
・デッキから一枚引く。
・ライフを1回復する。
・墓地にあるカードをランダムに手札に加える。
「俺は笠地蔵の効果で手札を1枚墓地に送る」
「残りの手札は1枚……まさか来るか!!」
「そのまさかだ!! 疾風のごとく現れ、主と共に窮地を脱せよ!! 窮地に立たされし竜騎士を効果で0コストで召喚!!」
窮地に立たされし竜騎士
☆8/ヒューマン・ドラゴン/ATK8000/HP6000/SKP3
手札がこのカードのみの場合に0コストで召喚することができる。この効果で召喚に成功した時、このカードは【速攻】を持つ。相手プレイヤーに攻撃してダメージを与えた時、デッキから一枚引くことができる。
ライアートの手札が残り1枚になった時、その手札が輝いて、目にも止まらぬ速さで現れたのは、竜に乗った甲冑を着た騎士。表情こそ見えないが、その姿はどこか気品がありつつも、力強く感じる。
「窮地に立たされし竜騎士でプレイヤーに攻撃……疾風突!!」
「居城を守る竜で攻撃対象を変更する」
「そのまま攻撃せよ!!」
敵に向かって一直線に進み、居城を守る竜は主を守るため立ちはだかる。主のため一矢報いた居城を守る竜は、主が無傷であることに安心して破壊される。
「ターン終了時に笠地蔵の効果を発動する!!」
笠地蔵が光輝くと、ライアートの手札に光の粒子が集まっていき、やがてそれは1枚のカードとなった。
「成程、墓地のカードを手札に加えたか」
「あぁ、これでターンエンドだ」
ライアート LP6 手札1枚 ◆
場 笠地蔵 窮地に立たされし竜騎士(HP3000)
ボス LP9 手札4枚
場 なし
強力な盤面を覆し、今度は優勢となったライアートだが、手札は残り1枚。対して場に何もないボスだが次のターン手札が5枚であり、手札の枚数の多さでこの盤面を覆されるのだろうとライアートは考えていた。
「私のターン……手札から☆2を支払い、火竜弾を発動する」
火竜弾
☆2を支払って発動する。相手モンスターに2000のダメージを与える。更に手札を1枚墓地に送ることで4000のダメージになる。
「火竜弾だと!?」
「何も火竜弾は君専用カードではないよ……手札を1枚墓地に送りダメージを増やすよ」
小さな竜は口から火の玉を放つ。途中で火の玉は一回り大きくなり、負傷している窮地に立たされし竜騎士を破壊する。
「そして手札から墓地に送った朽ち果てた竜の効果発動」
朽ち果てた竜
☆4/ゾンビ/ATK5000/HP1000/SKP2
カードの効果によって手札から墓地に送られた時、このカードを蘇生する。
「さぁ場に現れるといい、朽ち果てた竜よ」
地中から姿を現したのは、肉が朽ち果てて骨だけの形となった竜。もはやその竜には意思などはなく、主の思うがままに動く人形のようだ。
「モンスターを蘇生してくれて礼を言うぜボス……墓地の黄泉から舞い戻るゾンビの効果発動」
黄泉から舞い戻るゾンビ
☆6/ゾンビ/ATK?/HP?/SKP?
このカードは相手の墓地からモンスターが蘇生された時、そのモンスターを破壊してこのカードを蘇生することができる。このATKとHPとSKPは破壊したモンスターと同じ数値となる。
朽ち果てた竜の背後から現れたのは、腐敗が進んだゾンビであり、奇襲を仕掛けて破壊する。粉々になった骨を嚙み砕く黄泉から舞い戻るゾンビ。
「黄泉から舞い戻るゾンビの効果でこいつのステータスは朽ち果てた竜と同じになる」
黄泉から舞い戻るゾンビ
☆6/ゾンビ/ATK5000/HP1000/SKP2
「そしてモンスターの蘇生に成功した時、墓地から後続のゾンビを発動」
後続のゾンビ
☆4/ゾンビ/ATK1000/HP1000/SKP2
墓地からモンスターの蘇生に成功した時、墓地に存在するこのカードを蘇生することができる。
ボスのターンにも関わらず2体のモンスターの蘇生に成功して、盤面を有利にしたライアートの表情は少し明るくなる。
「迂闊にモンスターを蘇生したのが間違いだったなボス」
しかし、ボスは何の焦りも見せなかった。それどころかまるで予想通りに事が運んで口元を歪めるボスの表情に驚くライアート。
「間違いなどではない……そして君の実力を信用してよかったよ……礼を言うのはこちらの方!! 手札から☆4を支払い、霊能力者ウルハを召喚する」
霊能力者ウルハ
☆4/ヒューマン/ATK4000/HP4000/SKP2
召喚した時に効果を発動できる。LP2を支払うことで場にある蘇生したカードを消滅させる。
「私はLP2を支払って効果を発動する。お前たちの行く先は墓地ではない……この世から消滅して消え去るがいい」
ボス LP9→7
両手を合わせて念を唱えると蘇生した黄泉から舞い戻るゾンビと後続のゾンビがもがき苦しみやがてその姿は薄れていく。最後に南無阿弥陀仏と唱えると、ライアートの場には笠地蔵しか残らなかった。
「私はこれでターンエンドだ」
ライアート LP6 手札1枚
場 笠地蔵
ボス LP7 手札2枚
場 霊能力者ウルハ
「俺のターン……」
もはや絶望的だった。布石に墓地に送っていたゾンビらを消滅させられ、頼りのエースカードは墓地にいる。
もしもゾンビらが消滅されずに、墓地に送られたのであれば可能性があった。それで攻撃を耐えつつ、笠地蔵の効果でアドバンテージを作る予定だった。
「手札から☆6を支払い、屑鉄のロボットを召喚する」
屑鉄のロボット
☆6/機械/ATK4000/HP6000/SKP2
自分のLPが2以上差があり、かつ相手の場に2枚以上ある場合効果を発動する。これを☆4で召喚可能となり【襲撃】を持つ。
「手札のカードを墓地に送り、笠地蔵の効果発動」
ライアート LP6→7
「くっ……これでターンエンド」
ライアート LP7 手札0枚 ◆
場 屑鉄のロボット
ボス LP7 手札2枚
場 霊能力者ウルハ
「よくそのデッキでここまで粘ったものだが、そろそろ勝たせてもらおうか。手札から☆6を支払い、竜結集を発動」
竜結集
☆6を支払って発動する。デッキからランダムにコスト3のモンスターを2体召喚する。
竜に愛されし巫女
☆3/ドラゴン/ATK3000/HP2000/SKP1
このカード以外にドラゴンが存在する時、攻撃対象にすることはできない。1ターンに1度だけ、自分の場のモンスター1枚を選択する。それはATKとHPを+1000する。
奮い立つ竜
☆3/ドラゴン/ATK3000/HP3000/SKP2
「霊能力者ウルハでプレイヤーを攻撃」
ライアート LP7→5
「竜に愛されし巫女の効果で奮い立つ竜を選択して、ターンエンド」
巫女は両手を奮い立つ竜に向けると、白いオーラで身体を包んでいく。力がみなぎっているのか、雄叫びを上げる奮い立つ竜。
ライアート LP5 手札0枚
場 笠地蔵 屑鉄のロボット
ボス LP7 手札2枚
場 霊能力者ウルハ 竜に愛されし巫女 奮い立つ竜
「俺のターン……屑鉄のロボットで奮い立つ竜を攻撃」
屑鉄のロボットの拳が奮い立つ竜を殴り飛ばすが、想像以上の硬さだったのか、拳の部分が破損してしまう。
「手札のカードを墓地に送り、笠地蔵の効果発動」
ライアートの手札に光の粒子が集まる。それはつまり墓地のカードを手札に加えたことになる。
「ターンエンドだ」
ライアート LP5 手札1枚 ◆
場 笠地蔵 屑鉄のロボット(HP2000)
ボス LP7 手札2枚
場 霊能力者ウルハ 竜に愛されし巫女
「このターンて決めさせてもらおう……手札から☆7を支払い、竜の底力を発動」
竜の底力
☆7を支払って発動する。自分の場のドラゴンを1枚選択する。そのカードのSKPを+2する。
竜に愛されし巫女 SKP1→3
「くそ……俺の負けか」
「霊能力者ウルハと竜に愛されし巫女でプレイヤーに総攻撃」
「うわぁぁぁ!!」
ライアート LP5→3→0
総攻撃を受けてLPが0になったライアートだが、ここで摩訶不思議な現象が起きる。ライアートのデッキが光り輝いているのだ。その光はどこまでも強くなり、やがて光はライアートの身体を包んだ。
「眩しい……!!」
強烈な光を前に反射で目を閉じるライアート。慌てふためく男らの声を最後に、ライアートの意識は闇に落ちていくのであった。
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