死霊軍団   作:(゚∀゚)

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七話

 

 

 

◻️コセイヤ・前市長宅 【大死霊】夜天

 

 

 

 城壁での見張りを【アンデッド・オーガ】に任せた俺は前市長の屋敷に忍び込んでいた。

 正直な所、衝動的すぎたかとも反省しているが、アンデッドが来るかどうかの見張りや、来た方向と去る方向の確認など、怨念式ならともかく理性を保った魔力式のアンデッドならば問題なく出来るから大丈夫だろう。

 それに、【怨霊のクリスタル】の作成に必要な怨念はかなりの量だ。

 手記を見るに、あちこちで怨念を集める手間を嫌って人間を攫って拷問するような手合いも普通にいるらしい。

 俺からすれば見つけ次第首を刎ねるような所業だが、実際にそれ以外の方法だと何処か怨念の集積地でも見つけねば面倒極まりないのだろう。

 ならば、手元に【清浄のクリスタル】があり、大量の怨念がある現在のコセイヤの状況はとても好都合と言える。

 

「それに、【デッドリー・エクスプロード】なんかの燃料に使われずとも、怨念を放置するというのはダメだしな」

 

 当時、天地の霊が怨念はダメだと言っていた理由がよくわかる。

 怨念は、単純に人に悪影響を与えたり、呪いに転ずるだけでなく世界を彷徨っている霊たちにも悪影響を及ぼす。

 量が少なければ問題ないだろうが、この町の怨念の量は許容量を超えている。

 

「それじゃあ、とっととやろうかね」

 

 俺はそう呟き、【怨霊のクリスタル】の作成準備に取り掛かる。

 これが熟練の【死霊王】なら、材料さえあれば片手間で作れるらしいが、生憎俺はそんなのではない。

 なので、作成補助として地面に魔法陣を描き、魔法陣の中心に立って作業を進める。

 今回の作り方はシンプルだ。《死霊術》を使い【清浄のクリスタル】に怨念を注ぎ込むだけ。まあ、だけと言っても怨念が溢れて散らないように制御は必要だがな。

 

「作成開始!」

 

 言葉と同時に《死霊術》を発動。まずはこの屋敷の地下に溜まっている怨念を引っ張り出して【清浄のクリスタル】に叩き込む。

 同時に町中に広がっている怨念に対し、屋敷に集まるように干渉する。

 

「いや、ちょっとこれキツイわ。思った以上に負荷かかるな」

 

 本来、超級職でなければカンストの【大死霊】でも専用の工房とかマジックアイテムで補助するらしいから当然といえば当然なわけだけど。

 

「でも行けるはずだ」

 

 屋敷の怨念は順調に【清浄のクリスタル】に入ってるし、町中の怨念もここに集まって来てる。

 俺自身の怨念に対する操作力も現在進行形で上がっているし、【清浄のクリスタル】から浄化の力が消えて、だんだんと黒ずんできた。

 この調子なら問題なく【怨霊のクリスタル】を作れるはずだ。

 

 そして………

 

「っしゃあ!成功した!」

 

 俺の手には、全体が黒く染まり目やら口やらが出来た【清浄のクリスタル】……いや【怨霊のクリスタル】が握られていた。

 

「いやー、成功して良かった。町中の怨念も少しは残ってるけど大半は消費したみたいだし、これで残りは外壁に戻ってアンデッ

 

 

【【怨霊のクリスタル】作成を確認しました】

【条件解放により、【死霊王】への転職クエストが解放されました】

【詳細は専用のクリスタルでご確認ください】

 

 

……は?」

 

 ふー、いやちょっと待て。え?【死霊王】の就職条件クリアしたの?【怨霊のクリスタル】はわかるけど、5000年分の命のアンデッド化は……してたわ。《死霊術》の練習で【リトルゴブリン】とか【パシラビット】とか数百はアンデッドにしてたわ。

 ってことは、この後レジェンダリア行って転職クエストクリアしたら【死霊王】なれるのか。嬉しいけど、ちょっと予想外。

 

「とりあえず【死霊王】は一旦置いといて、今は外壁戻ってアンデッドが来てるかの確認だな」

 

 そう言って【死霊王】の事を頭の片隅に追いやった俺は、外壁に向かった。

 

 

 

 

◻️コセイヤ・外壁の上 【大死霊】夜天

 

 

 

「アンデッドは来たか?」

 

 前市長宅から外壁の上に戻って来た俺は、外を監視させていた【アンデッド・オーガ】にアンデッドについて聞いた。

 【アンデッド・オーガ】は俺の問いに対し頷き、手に持っていた【魔法カメラ】を手渡してくる。

 【魔法カメラ】に保存された映像にはアンデッドの群れが映っている。

 

「なるほど、聞いていたとおり群れだな。それに、一体だけとはいえ【亜竜甲蟲】をアンデッド化した【アンデッド・デミドラグワーム】もいるのか、それで来た方向と帰った方向は同じと。鳥のアンデッドを放って追いかけるか」

 

 そう決めた俺は、【ワイルドハント】から【ベーシック・バード】と言う弱いモンスターを元に作成した【アンデッド・バード】を放出する。

 

「《アウェイキング・アンデッド》」

 

 スキルによって動き出した【アンデッド・バード】の首ににさっきまで【アンデッド・オーガ】に持たせていた【魔法カメラ】を起動状態で固定し命令する。

 

「この方向に向かって飛んでいけ。途中で【アンデッド・デミドラグワーム】を含むアンデッドの群れを見つけたらそれを追いかけろ。行け!」

 

 俺の命令を聞いた【アンデッド・バード】は首の【魔法カメラ】に少し体勢を崩しながらも命令通りに飛んでいった。

 

 

 

……

…………

………………

 

 

 しばらく外壁の上で待っていると、【アンデッド・バード】か戻って来た。

 見た所傷なども無いようなので、相手に見つかったりはしていないだろう。

 

「ご苦労様」

 

 そう【アンデッド・バード】を労うと首につけたカメラを回収し、待機状態に戻して【ワイルドハント】にしまう。

 

「さてさて、何が映っているのやら」

 

 そう呟きながら映像を確認する。

 するとそこに映っていたのは詳しい種族名はわからないが、多種多様な亜竜級以下と思わしき【ゾンビ】と【スケルトン】、それ以外に先ほどの映像でも見た【アンデッド・デミドラグワーム】が十体に、その上位種である【ドラグワーム】をアンデッド化した【アンデッド・ドラグワーム】が二体。

 そして、その二種類よりは小さいが、映像越しでも明確に感じる威圧感放ってくる一体の牙が特に目立つ骸骨の竜。

 

 【死軍骨竜 ヴァラグ】

 

 話に聞いた前市長の切り札たる【ハイ・ファング・スケルトンドラゴン】と、それに乗り移った前市長自身の成れの果てと思わしき〈UBM〉が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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