(Ζガンダム異伝)エグザべ・オリベ戦記別伝 作:ガンダム初心者のミリオタ
作中のカミーユくんのお友達は130さんの『カミーユ・ビダンの反逆の狼煙』より
「やはりサメは至高…」
「はっ?」
唐突に消化器内科のテキストを見ながらうっとりした表情で変なことを言いだしたシゲルに思わず聞き返す。
…サメ…サメってあれだよな、水の中に住んでて、魚の仲間で、歯がすごいやつ。
次の定期試験対策と称して、シゲルと二人で休日の朝から学習室にこもって早数時間。
隣で肝内胆管の位置と名称がなかなか一致しないと頭を抱えながらブツブツ言ってると思いきや、勉強に飽きたんだろうか。
まぁ、確かにいいかげん自分も集中力が切れてきたのを感じたし、そろそろ昼食の時間も近いしここらで切り上げてもいいかもしれない、と机の上を片付けようとしたらいきなりシゲルに肩を鷲掴みされた。
「なぁ、カミーユ、お前の『父親』てジオンの人だよな?」
「…まぁ、だいたいは」
エグザベさんはジオンの人といえばそうなんだけど違うといえば違うし…でも一応今はジオン国籍取得してるからジオンの人かな…どうでもいいけど肩を放してほしい。痛いって。
「頼む!金は出す!
ジオン限定スペシャルエディション・宇宙メガシャークMSプラモの代理購入お願いしてくれ!」
「…なんて??」
「で、ジオン以外のお店では売ってないしフリマサイトにでてもやたら高くて買えないし、
…ってことで密輸入してほしいってことみたいです」
「密輸入て。
いや、なんかこのサメのアニメ評判良いんだって?
でっかい8つ足のサメのぬいぐるみ抱えてご満悦のマイネの写真をアマンダからこの前見せてもらったが」
面会希望者がきていると寮監さんに教えられて面会室にむかったら、いたのはまさかのアムロさんだった。
配送するより直でもってきたほうが早いだろ?と大きな袋を差し出しながら、のほほんと笑うアムロさんに恐縮する。
エグザベさんにダメもとでプラモの購入を頼んでみたら、いいよ、ちょうど本国に戻る用事があるし、とものすごい気軽な感じでOKをもらえて、そのあとすぐにPXで購入できたよ、と連絡をもらったのはつい先日。
エグザベさんとは最近ようやく一か月に一回ほど、お互い監視下という制限はあるものの時間限定で通話をすることが可能になった。
基本的には日時と時間指定があって、こちらの面会室に先方から派遣された連邦軍の情報部の誰かが通信用デバイスを抱えてやってきて、エグザベさんにつないでくれる。
この前はアーガマでも一時期一緒に行動したことがあるガルーダが来た、いつの間にか昇進していた、おめでとう。
どれくらい会話できるかどうかはその都度変わるし、直前で『都合により中止』といわれたり、代理の人がでてエグザベさんからの伝言を伝えられるだけだったりすることもあるけど、例え一言でも話せるってだけで本当にありがたい。
が、相変わらず基本はアナログでのやり取りが多い。
僕からは言いたいことがたくさんありすぎて、ほぼ毎回便箋にいっぱい書き込んで送るけど、エグザベさんからは多分手続きや検閲が早いからだろう、ポストカードで返事がくることが多い。
いや、僕からの手紙には返事は不要って添えてるし、言えないことも多いだろうけど重要なことはちゃんと返信してくれてるし、比較的こまめに出してくれてるから文量差は気にしてないけど。
たまにはもうちょっと長い手紙が欲しいな、なんて思ってない。本当に。
とはいえ、プラモの箱を持ったエグザベさんと、その隣で購入完了と書かれたやたらポップなフォトプロップスを持ったイマニュエルさんの写真がそのままポストカードになった手紙が届いたときは、ちょっと笑ってしまった。
写真を無遠慮に覗き込んできたVがイケメンの周りにはイケメンが集まる…とつぶやいていたけど、イマニュエルさんは…まぁいいか。
なるべく早めに届けるよ、とは添えられていたけど、流石に小包は配送にちょっと時間かかるかな…と思っていたらアムロさんがたまたまこの近くで行われるMS技術者向けのセミナーに参加する予定があったそうで、ついでだからと配達人をしてくれることになったらしい。
場所を聞いたらここから車で一時間はかかる場所だったから、”近く”というほど近くない気がしたけど、道一本でいけるんだから近いだろ?とアムロさんに言われた、そうなのかな?
運転できる人からみたらそうなんだろうか?
内心首をひねりつつ、検閲済みのチェックが入ってる袋をアムロさんから受け取る。
通常版とは別バージョン塗装だったか武器が別バージョンになってるんだったか、とにかくジオン国内のみで売られているサメ型MSプラモのレアバージョンらしい。
渡された袋を開けて確認してみると、無造作に入れられているプラモと一緒に、PXで購入したのだろう軍用スナックバーやミリタリー仕様のパッケージになってるカップ麺、普通の市販品のお菓子などもいくつか入れてくれてあるようだった。
あ、このクッキー、確かいつかファとエグザベさんと一緒に食べたやつと同じだ。
スナックバーはチョコバーとかグラノーラバーとかプロテインバーとか、何か色々入ってる。
ジオンの軍用パッケージで見た目がちょっとレアだし賞味期限も長いから、いわゆる”袖の下”がわりに使えそう。というかそれ目的でも使えるように入れてくれてあるんだろうな。せっかくだしこの前資料借りた先輩に一つ後で渡しに行こう。
カップ麺も色々な味が入ってる、チキン味やビーフ味なんかの見慣れた味から聞き覚えがあんまりない味まで…ボルシチ味はともかく、ハリッサは何味だかよくわかんないけど、差し入れとして入れてくれてあるくらいだし、一応食べられる味ではあるんだろう、多分。
そして一緒に添えられてるこれまた検閲チェックが入ってるカードには、すっかり見慣れたエグザベさんの手書き文字で「You can do it!」の激励の一言。
「サメのアニメじゃなくてMSに乗ってサメ型宇宙生物と戦うパイロットが主役のアニメ、らしいですよ。
これはそれに出てくるサメみたいな形のMSです」
「似たようなもんだろ?」
それはだいぶ雑な認識のような気がするけど、僕もちゃんと見てるわけじゃないからそうじゃないとは言い切れない。
とはいえ、敵もサメだし出てくる機体もサメモチーフだし、キャラの名前もサメの別名や学名由来だそうだし、だいたいサメのアニメで合ってる、かも…?
さっき言ってた8本足のサメもたしか作中に出てきてた敵サメの一匹だったような。
MSのプラモや主役キャラのフィギュアが出てるのはともかく、何故か敵サメのぬいぐるみも謎に豊富に出てるんだよなこのアニメ…
「まぁいいや、エグザベにカミーユは友人とも仲良く元気にやってるよってことは伝えておくよ。
他になにか言っておきたいことあるかい?」
「…たまには直接会いたいです、って言っておいてください。写真や画面越しじゃなくて」
アムロさんが自分のデバイスに保存していたエグザベさんの近況の写真を見せてくれながら聞いてきたので、難しいだろうな、とは思いつつもとりあえず言うだけ言っておく。
流石に前線に立つ将校の立場くらい僕にだってわかってる。
とはいえ、アムロさんのデバイスの中のエグザベさんやほかの人たちは、休憩時間や休息日など、オフのタイミングで撮った写真だからだろうけど皆楽しそうだから、まぁいいとしよう。
「カミーユからも、エグザベに見せたい写真は何かあるか?
この端末は私用のだから、コピーしていれても大丈夫だぞ」
「いいんですか!?ありがとうございます!
じゃぁ、ええと…これと…こっちは前にプリントアウトしたのを送ったからこっちかな。
あと…」
好きなだけ入れてもいいぞ、と言われたので、アムロさんの好意に遠慮なく乗っかって、自分の端末から写真をピックアップしていく。
ああ、こんなことがあるならもっと自撮りもしておけばよかった!
シゲルやVから送りつけられた盗撮じみた間が抜けた顔をした自分の写真に感謝するタイミングがあるなんて思わなかった、消してなくてよかった。
ついでにアムロさんと並んで自撮りして、彼の端末と共有する。
ってよく考えたらコレ一年戦争の英雄とのツーショットだな、あんまり他人には見せられない気もするけどあいつらにはすぐバレそう、というか既に面会室の外にいてそわそわしている気配を感じる。
「すみませーん、そろそろ時間なので退出準備お願いします」
写真をアムロさんの端末にコピーし終えたところで、部屋の外からノックの音と一緒に寮監さんから声をかけられた。
「…面会時間…儚い…」
「はは、また許可をとってくるよ、それまで頑張れよ。
次はエグザベが来れるといいな」
落ち込む僕の肩を軽くたたきながらアムロさんが苦笑する。
部屋を出て、アムロさんと別れた瞬間に待ち構えていたシゲルにつかみかからんばかりの勢いで言い寄られた。
「カミーユ!
今のまさかアムロ・レイか?!いや、それよりもそれがメガシャークプラモだな?!
まさかこんなに早く入手できるとは…というかあのアムロを配達人扱いってどういうことだ??
うぉ、よくみたらこいつジオン限定品の上PX専売商品だと!!?
ネットオークションどころか転売でもなかなか出てこない超激レアバージョンじゃないか!
伝説のアムロ・レイをこんなに間近で見られるとは…いやすげぇなマジ超絶感謝だわ」
なんか情緒が忙しいやつ…あとアムロさんを呼び捨てるな、不敬だぞ。
とはいえ
「エグザベさんからなんかいっぱい差し入れもらったしさ、後で賞味期限の短いやつみんなで食べよう」
「おっいいな!
Vも呼ぼうぜ、アイツの隠し持ってる本物のコーヒー淹れさせよう」
まぁ、こういう悪友との交流も悪くはない、かな。
作中のサメのアニメイメージはこちらのスレをお借りしました。
架空アニメ『機動戦士ガンダムJ(ジョーズ)』について語ろう
https://bbs.animanch.com/board/6598718/
カミーユくんの御学友方、クセ強めでいいキャラしてて好きです。
ということでお借りしましたありがとうございます>130さん
プラモに実際に限定品があるかどうかは浅学なのでわかりませんが、あることにしました。といってもガンダム工場の売店限定品みたいなものがあるらしいので、この世界ならそんな感じで各種限定プラモがあってもいいだろ…くらいのノリです、捏造万歳。
軍用スナックバー、いわゆるレーションバーとかエナジーバーとか言われるやつです。
創作で軍人キャラがかじりがちなアレ。実際そんなポリポリ気軽にかじるものでもないけど…
チョコバーは本当のチョコレートじゃなくて代用チョコかもしれません、キャロブとかごぼうとか多分その辺。
ボルシチ味のカップ麺は中欧や東欧のほうで実際に商品として存在します。
ハリッサとは主に北アフリカのあたりで使われている唐辛子入りスパイス調味料のことです。
つまりスパイシーでちょっとエスニックな味付けのカップ麺。
某カップ麺の世界の味シリーズ、トムヤムクンやラクサみたいな割とピリ辛風の味付けのものがでてるので、ハリッサ味もありうるかなーと。
…今後マジで出たらどうしよう…まぁいいか…
車で一時間の距離を近いと思うかどうかは人によると思います。
サメぬいイメージ↓
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