The Stardust Path   作:イクラ系鮭

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スタレは宇宙列車の話
warframeはストーリーが難解
スタレはストーリーが難解
warframeは惑星開拓が重要
スタレは宇宙を開拓する話

みんなもwarframe、やろう!



ベロブルグ#1

1

 僕にとって、void――物理法則が不安定な別次元の空間――の寒さは残念ながら馴染み深いものだった。だが、この惑星、ヤリーロ-VIの寒さは物理的で、絶対的で、不屈のものだった。それは、温もりとともに脈打とうとするあらゆるものの心臓を止めようとするような冷気だった。

 見渡す限りの白。吹き荒れるブリザードが世界を不透明な帳で覆い尽くしている。外縁雪原の深いクレバスの中に、一隻の船が休眠状態で横たわっていた。

 オロキンの金銀細工と有機的な曲線を持つ滑らかな船、オービターは闇に沈んでいた。いつもの心臓のような唸りは静まり返っている。船内の明かりは、死に行く脈拍のように明滅していた。

「オペレーター……システム……停止……」

 霜に覆われ暗くなったコンソールから、オービターに搭載された二重人格AIのオーディスの歪んだ声が響いた。

「予備電力ハ……無視デキルレベル……デス。スリープモードニ……」

 僕、オペレーターは、そっとコンソールに触れた。僕は「漂流者」の装備を身に着けていた。デュヴィリという歪んだ夢の世界で生き残るために作られた頑丈な僧衣だが、この凍結には苦戦していた。

「休め、オーディス。ここは任せる」

 僕はそう言ったが、言葉は死んだ空気に漂うだけだった。オーディスの光はすでに消えていた。

 何もかもがいつも通りの筈だった。いつものように新しい武器の試運転にvoidへ潜ろうとした瞬間、大規模なvoid嵐に巻き込まれたのだ。回避は不可能だった。

 そう、あれは仕方のない事故だ。切り替えなければ。

 僕は一先ず強化外骨格たるframeと武器を装備することから始めようとした。それさえあれば、少なくとも死にはしない。しかし、アーセナル(武器庫)を開こうとしても反応がない。void嵐は航行システムをかき乱し、アーセナルの亜空間収納の接続を断ち切っていた。僕は精神を伸ばし、アーセナル内のframeたちが眠る亜空間に触れようとした。……何もない。ただのノイズの壁だ。どうも、この惑星の混沌としたエネルギーが転移リンクを妨害しているようだった。

 僕は深呼吸した。棘のような冷気が肺を突き刺した。事態は思っているよりも悪かった。

 武器なら、体内のvoidエネルギーをアンプで増幅して放出するだけでも事足りるか? いや、アンプにエネルギーを込めようとしてもうまくいかない。漏れ出ているような感覚がある。これも使い物にならないか……。

 でも、ここには留まるという選択肢はない。オービターは墓場へと変わりつつあった。このままではジリ貧だ。船を再起動させるための外部電源、あるいは少なくとも、急速に凍りつかない避難場所が必要だ。

 食料は僅かしか積んでいない。frameも、武器もない。voidエネルギーもどこか調子が悪い。

「サバイバルか」

 最悪のコンディションでのミッション開始だった。

 

 ホワイトアウトは容易に視界を奪うものだった。

 僕は黙々と雪原を進んだ。嵐の中の幻影のように。僕は走らず、跳躍した。深い雪が僕を捕らえようとするたび、僕の体は煙のぼやけへと溶け、voidの狭間を通って前方にダッシュし、数メートル先で再び実体化した。色々あってvoidで遭難したときの副作用のようなもので、僕はvoidの力に適応した。獲得した力は、voidエネルギーの運用と一体化だ。

 その応用が、Void Sling。一時的に身体をvoidエネルギーに変換し、アンカーに向かって自身を転送し、転送先で実体化する。

 それは効果的な移動法だったが、かなり消耗するものだった。跳ぶたびに、こめかみの痛みは鋭さを増した。だが、voidの中にいる時だけは、この寒さも和らぐ気がする。吹雪の中を凍えながら歩いて進むよりはずっとマシだった。

 

 そうして、雪原を彷徨う内に数時間が過ぎた。あるいは数日かもしれない。過酷な白の世界は僕から時間間隔を奪うのに十分だった。

 その時、僕はそれを見た。「生」だ。

 鋭く突き出た氷の尾根の上にかがみ込み、僕はVoid Modeを起動した。僕の体は次元の一枚向こう側に移動し透明になり、voidの襞の中で安全に隠れた。こうなれば、いかなるセンサーも僕を捉えられない。

 見ると、僕の下を人影が雪の中をせっせと歩いていた。モノクロームの世界にあって、奴らは鮮やかでカラフルな点だった。金属の棒を持つ少女。弓を持つピンクの髪の少女。そして槍を構えるストイックな衛兵。そして、それを囲うように、鎧に身を包んだ者たちがのしのしと歩いている。

 僕は見られないように忍び寄った。風に乗って奴らの声が聞こえた。

「……寒い……」「……ベロブルグ……」「……ガーディアン……」

 僕は眉をひそめた。音は一貫しており、言語のように構築されていたが、僕の脳はそれを解読できなかった。僕の知るどの言語とも体系が違う。解析して翻訳するオーディスがいなければそれらはただのノイズに過ぎなかった。(後から知ったことだが、この世界には共感覚ビーコンという万能翻訳機があるらしい)

 だが、奴らの意図は明白だった。奴らは文明の方へ向かっている。

 僕は逡巡し、追跡することに決めた。今は奴らが生命線だった。

 

 連中は僕を都市へと導いた。名前は恐らく、ベロブルグ。

 それは永遠の冬を拒絶する鋼鉄の要塞だった。壁にある巨大なヒーターを見るだけで、僕の凍え切った指先がぴくりと動いた。

 しかし、入るのは見るからに簡単ではなかった。ハッキング出来そうなパネルもないし、自動ドアでもなさそうだ。

 僕は影から見守った。一行は銀色の鎧を着た兵士の別部隊によって止められた。雪の中を進んできた銀の隊長は、街から現れた兵士と話を始めた。合間合間でピンク髪が声が荒げ、緊張が走る。

 僕は冷ややかに分析した。地元の当局が難民を処理しているのか? それとも何かの容疑者?

 その時、大きな門が開き始めた。どうやら、彼女らは受け入れられたらしい。依然銀の鎧に囲まれたままだが、彼女らは門をくぐって暖かい街へ入っていった。

 最後の一人が境を超えた瞬間、重厚な鋼鉄の扉が唸りを上げて閉じ始めた。都市を堅く閉ざすためだ。

 あ、まずい。想定よりも閉じる速度が速い。隙間はみるみる内に狭まっていく。4メートル。3

メートル。

 僕はあまりにも遠くにいた。50メートル後方の岩陰に隠れていたのだ。走るだけでは間に合わない。やるしかない。

 僕は立ち上がり、不可視化を解除した。調子は依然最悪だが、他に選択肢はない。

 僕は全力で跳んだ。

 フルパワーのVoid Sling。

 僕は空間を引き裂き、一筋のライトシアンの光となった。

 一度目のダッシュ。20メートル。

 僕は着地を待たず、即座に再び跳躍した。

 二度目のダッシュ。30メートル。

 門が閉まるまで数センチ。もう一度だ。僕は前方に身を投げ出し、最後にもう一度voidへと溶解した。

 三度目のダッシュ。26メートル。

 

「ん? 今何か……」

「丹恒? どうかしたの?」

 

 耳をつんざくようなガーンという音とともに重い鋼鉄の扉が閉まるのと同時に、僕はその反対側で息を吐いた。突然の温もりが、凍傷になった頬を刺した。まだだ。まだ安心するな。もう一度で、人目のないところまで移動する。

 四度目のダッシュ。20メートル。

 薄暗い路地に着地した僕は、一度実体化して息を整えた。問題なく出来たが、いつもとは感覚が違った。この星の物質が干渉しているのか? いや、スキャナーもないのに迂闊な妄想はしない方がいいか。今は、辿り着けた安心をかみしめよう。

 内部の空気は……外とはかなり違っていた。原始的な石炭の匂い。だが最も重要なことに、それは暖かかった。

 僕は一度Void Modeで木箱の山の後ろに転がり込み、街の様子を伺った。

 三人組はいつの間にか、通りのずっと先にいた。自分たちに影がついていることに気づかずに。銀の鎧たちは門の管理に忙しく、あの理解不能な言語で命令を叫んでいた。

 僕は木箱に背を預け、長く、震える息を吐き出した。僕は異質の都市でたった一人であり、言葉も話せず、最大の武器であるwarframeは干渉によって封じ込められていた。

 僕は自分の手を見た。指先でvoidエネルギーが弱々しく明滅していた。

「ステージ1クリア」

 僕は誰にともなく囁いた。

「次は観察と適応だ」

 僕はフードを目深に被り直し、湯気の立つ混雑した都市の通りへと姿を消した。

 

 

2

 ベロブルグという都市は分断されていた。壁によってだけでなく、高度によっても。

 僕はすぐにそれを理解した。上層区は清潔で、秩序があり、官僚的な意味で冷たかった。銀の衛兵があちこちに配置され、彼らの磨き上げられた鎧は、外の氷壁のように煌めいていた。

 僕は数日間、異邦者たち――灰色の髪の少女、ピンク色の髪の少女、そして槍使い――を尾行した。彼女らは最初見た時と変わって、恐ろしいほど大人しかった。

 観察を通して、僕は意味の断片を繋ぎ合わせていった。手を振るのは「挨拶」または「安全」。眉をひそめ、武器に手をやるのは「脅威」。文化は僕の知るそれと変わらないようだった。

 銀色の兵士たちの口調は敵対的で、市民の口調は疲弊していた。それほどまでに、この寒波は強烈なものらしかった。

 だが、言葉は未だ解析できておらず、ただのノイズだ。

「……大守護者……」「……裏切り……」

 やはり意味を持たない音の羅列。僕は建物から出る三人をボーっと眺めていた。逃走劇が始まるまでは。

 僕は広場を見下ろすガーゴイル像のような高みから、三人組が国家の敵となり、逃亡者となるのを見守った。僕はエリートの衛兵と、それを指揮する女性によって彼らが追い詰められるのを見た。voidの裂け目のようなものに飛び込んだはいいものの、出た先であっさりと囲まれてしまったようだ。

 しかし、運は彼女らに味方したらしい。見知らぬ男性が煙幕で視界を妨げ、昏倒した三人を抱えて退却した。あの足取りは、間違いなく現地人だった。ということは、あの三人はどうにかしてこの地に溶け込んだということだ。状況の打開に協力は不可欠。彼の善性に賭けて、僕もそれに続いた。

 が、僕はあっさり撒かれてしまった。予想以上に鋭い人物らしい。ただ、ここまで来れば目的地は分かる。僕はリサイクルされた空気の流れを感じ取り、メンテナンス用ダクトをこじ開けた。

 僕は人間が足を踏み入れることのできない闇の中、ケーブルと配管を伝って滑り降り、地面に激突する直前にVoid Slingで勢いを殺して着地した。

 

 空気は錆とオゾン、そして「地髄」の塵で澱んでいた。薄暗く、太陽ではなく、採掘用ランタンと地髄のオレンジ色の輝きによって照らされていた。

 僕は何となく、フォーチュナーを思い出した。数世代かけても返せるか分からない、莫大な負債を抱えた者の掃きだめだ。肉体部位を担保にとられ、頭部くらいしか残っていない連中だったが、それでも、ソラリス連合を再結成したあそこは大分明るくなったように見えた。ここも同じような雰囲気が漂っていた。

 僕はボルダータウンを見下ろす放棄された坑道の足場に、仮の寝床を見つけた。エネルギー残量は、微弱な環境放射線を吸収してゆっくりと回復していたが、空腹はどうにもならなかった。盗むしかなさそうだ。幸い、僕のステルス能力はかなりのものだ。さっきは見破られたけど。

 僕は現地人を観察した。上層部の人間よりも無骨で、疲れているが、強靭だった。坑夫たちは煤けた顔で乏しい配給を分け合っていた。子供たちは玩具の代わりにスクラップで遊んでいた。

 僕は開拓者たちが白衣の女性と接触しているのを見た。

「彼女らは拠点を築いた」

 僕は考え、静かに鳴る腹を押さえた。

「やはり、味方を見つけたようだ」

 ここならば、自分も受け入れられるのではないか? ふいに浮かんだその考えを振り払う。先ずは、観察からだ。

 

 トラブルは、リベットタウン近くの隔離された大鉱区の一画で起きた。僕が近くで暖を取るための燃料セルをあさっていた時、それを聞いた。

 甲高い子供の叫び声。恐怖は万国共通の言語だ。翻訳の必要はない。

 僕は物資をその場に置いて、Void Modeに入った。

 僕は亡霊のように音もなく素早くVoid Slingを繰り返し、声の源へと向かった。

 見れば、状況は直ぐに分かった。彼らは袋小路に追い詰められていた。3人の子供たちだ。リーダーらしき大きな黄色い帽子を被った小さな少女が、その体格には大きすぎる機械式の掘削用クローを構えていた。確か、彼女の名はフック(そう発音されていたように聞こえた)。この地下の名物的存在だ。

 岩盤に亀裂が走り、そこから駆動音が這い出してきていた。3体の暴走した自動機兵だ。2体のクモのような機械ユニットと、1体の巨大な人型の機械。少女は採掘クローを振り回そうとしたがうまく動かない。先頭の機体がノコギリを振り上げ、致死速度まで回転させて火花を散らした。

 僕は頭上の錆びついたガントリーの上に立ち、見下ろした。

 助けるか、助けないか。答えは決まっている。だが、どうやって。アンプは調子が悪い。武器は他にない。いや、一つある。

 転移。自身をvoidエネルギーに変換し、中身のないものに転移する。端的に言えば、憑依だ。

 本来の用途は生体強化外骨格のwarframeへ転移し、操縦することだ。だが、僕は戦闘用ロボットのネクロメカや、オロキンの金の蛇ゴールデン・マウにも転移したことがある。これくらいなら、容易く制御を奪えるだろう。

 僕は足場から飛び降りた。空中で手を伸ばし、自分の意識をvoidへと押し出す。voidの光が舞い散って、僕は機械に入った。

 視界が切り替わる。肉眼ではなく、赤みがかったサーマルセンサーを通して景色が見える。油にまみれた重い四肢が、まるで自分のものであるかのように感じられる。エンジンの轟音が彼の鼓動となる。

 人型の粉砕機は振り下ろす動作の途中で凍りついた。回転ノコギリは、恐怖に歪むフックの顔から数インチのところでぴたりと停止した。

 よし。制御は完全に奪った。感覚はネクロメカに似てる。これなら余裕だ。

 再び手のチェーンソーを吹かす。上半身を反転させ、小さな2体の暴走機を荒れ狂う刃で切り伏せた。センサーユニットを切り裂き、金属が金属を削る絶叫が響く。2体は火花を激しく散らして崩れ落ちた。勢いあまって地面も削ってしまったが、それはご愛敬だろう。

 あとは、このデカブツ自身だ。再びチェーンソーを最高速にして、エンジンに向けて振り上げる。勢いをつけて装甲を突き破ると同時に転移を解除し、直ぐにVoid Modeで隠れた。デカブツはチェーンソーが貫通した状態で一瞬硬直し、爆散した。voidの体を土煙が通り抜けていった。

 スクラップが転がる微かな音だけを残し、鉱山に静寂が戻った。

 フックは顔を覆っていた手をゆっくりと下ろした。目は大きく見開かれ、敵だったものの残骸を見つめていた。

「うわぁ……」

 彼女は囁き、その言葉が静寂の中に響いた。

「助かった……。けど、なんで勝手に戦い始めたんだろう?」

 頭上のガントリーの影の中で僕は壁にもたれかかり、頭を押さえていた。やはり、一度に大量のvoidエネルギーを使うと頭痛が出るようだ。これは、無視できるレベルの物じゃないな。

「まずいな。視界が……ぼやける……」

 僕は荒い息を吐き、体温が急速に低下していくのを感じた。

 

 トンネルの入り口から足音が響いた。

「フック? どこー?」

 ピンクの髪の射手と、灰色の棒使いだった。彼女らは武器を抜いて広場に飛び込んできたが、急停止した。

「一体何が……?」

 ピンクは息をのみ、弓を下ろした。彼女は鉄くずの山と歩み寄った。

「これ、フック、様がやったの?」

 彼女は拉げた鉄塊をつま先で突いた。

「うーん、思ったよりずっと強いんだね!」

「いや、誰かがここにいたのかも」

 灰色の彼女はガントリーの方を見上げた。だが、そこには何もなかった。ただ錆と影があるだけだ。積もった塵の上に残された一組の足跡だけが、唐突に虚空へと消えていた。




 warframeのストーリーは難解だけど、理解できると脳汁とまらないんだよな。
 void周りの設定とか、あ、そういうことも出来るの!?っていう興奮がある。
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