あの子が見たい、怪生物 作:あのみた執筆委員
レンズを閉じれば、閃光。
『~~~』
世界を揺らす、大きな音。
『氷憐』
終わりの見えない、死で満たされた日々の中
『私は君を───』
家族を私から奪い去った、あのソラの様に綺麗な瞳の
『攫いに来ました』
あのひとに、私は遭遇した。
*
『作戦時刻だ。MHT36は直ちに出撃せよ。繰り返すMHT36は───』
MHT36、それが私たち───否、私の名前。私以外にこの名前を持つ存在は、この世界には居ない。
「ハッチ開放確認。MHT36、出撃」
「...いきたく、ない」
でも、そんなことは許されないのだろう。なぜなら、私は
『おい、あれを見ろ!』
『英雄兵器だ!英雄兵器が来た!』
世界は、私を求めていない。
「...」
私には、それに抵抗しようとする気持ちも、世界を救うという志も、明日を生きる希望もない。
「目標捕捉」
私に残されたのは、地球世界を守れという
「発射」
それと、あと一つ。
「排除───「おはよー氷憐!」」
「...おはよう、マキナちゃん」
T2A-マキナ。私にたった一つだけ残された、最後の友達。
「やっば!氷憐の射撃精度高すぎ~!」
「...ありがとう」
貪欲に強さを求めた。力さえあれば、皆を守れると思っていた。私はその成れの果て。
「...じゃあ、競争ね!」
「競争?」
「どっちが多く
その言葉を残して、マキナちゃんは戦場の彼方へと飛んで行った。
「競争...」
あまり気乗りはしないけれど、頑張るしかない。
「絶対に」
この願いを、悟られてはいけないから。
*
『全ユニット突撃!』
「...了解」
『踏ん張れ!ここを突破すれば───』
大地が、大空が揺れている。履帯が地面を蹴る音が、膨張した空気が放出される音が、砲撃音が、連続した突発音が、爆発音が聞こえる。
『いやぁぁぁ!』
『~~~~!!』
悲鳴が聞こえる。怪生物の雄叫びが聞こえる。そしてその雄叫びの聞こえる方へ砲を向ける。
「発射」
もう、この
「誰か」
誰でもいい。人間でもいい、兵器でもいい、怪生物でもいい、それ以外でもいい。誰だって構わない。
「誰でもいいから...!」
この先
「...「氷憐ー!」」
「マキナちゃん?」
「早く逃げるよ!ほら!」
人型のマキナちゃんが指をさす。その方向には、歪んだ鉄塊、溶けた鉄塊、千切れた鉄塊、叫ぶ怪生物。
「また負けたね」
「そうだね...」
人類は負け続けた。現代と異世界の戦場において、鉄の塊は肉の塊に勝つことが出来なかった。それは恐らく、私たち以外は対人を予想して設計されたからだろう。
「じゃあ、戻ろうか」
「急いで急いで!」
反重力装置を起動して空へと舞い上がる。
「....にしても、ほんっとに氷憐ってなんでもできるよねー!」
「まあ、多目的重装戦車だから...」
マキナちゃんはかすれた声で笑う。まただ、わたしはまたこのひとを...
「次はどこだと思う?」
「次は...下関じゃない?」
...私たちがさっきまでいた美祢市は陥落した。
「ん~でも、山陽小野田は...なんだっけ?黒色で人型だった気がするんだけど...」
「デストラクションじゃない?」
「そうそれ!デストラクションが防衛に成功したとかなんかでそっちに行くかもよ!」
あっちは臨海部ということもあって最新鋭の無人兵器群:デストラクションが配備されているらしい。
「そっか...」
「ほんとーに、臨海部だけ過剰戦力だよねぇ...」
世界は今緊迫していて、世界規模で協力しなければならない。輸送手段が多い方が、世界とつながりやすい。単純なことだ。
「うん、私もそう思うよ」
でも、考えても仕方ないことだと思う。だって...
「でもしゃーないのかねぇ...人間は私たちと違って色々必要だし」
どうせ、死んでしまうから。
*
『今回の作戦目標は美祢市からやってくる怪生物からの山陽小野田市防衛だ。ここには英雄兵器とデストラクションが揃っている。負けることはないだろうが気を抜くな』
「...了解」
マキナちゃんが言う通り、次の戦場は山陽小野田市になった。
『えっと、氷憐ちゃん...でいいんだよね?』
『あなたは?』
『デストラクションの隊長、セイバーだよ』
デストラクションから、通信...?
『何の用でしょうか?』
『その...辛かったら後ろから援護するだけでいいからね?』
『はい。お心遣い、ありがとうございます』
そうだった。
「
結局、マキナちゃん以外には腫れ物扱いされるんだな。
シリアスは百合いい...私にはそれが必要なんだ。