魚に転生したと思ったら何故か人になっていた話 作:黒歴史製造機
「どこに、いるん、ですか…ユメ先輩」
ピンク髪の少女、小鳥遊ホシノは夜のアビドス高等学校校舎で静かに泣いていた
彼女の先輩である梔子ユメが行方不明になって3日、おそらく砂嵐に見舞われたであろうメールを残して消えていた
もちろんすぐに砂漠を探し回ったが見つからなかった。
行方不明になった日の付箋の言葉が頭の中をまわり続ける。
あの手帳、どこにあるんですか。
「ユメ先輩…ごめんなさい…私が…あの時…怒っていなかったら…」
「私が…私のs」ザーザー
「!?」
とても静かな夜に突然音が鳴り、驚き一瞬臨戦態勢を取る。しかしすぐに無線機の音だと分かり音が聞こえる方に近付くと案の定隠されており途切れ途切れの声が聞こえてきた
「 たし達は接続され いま か? ね、 る け か。 ま夜だもんね」
「…誰。」
「うぇっ!?何で!?あっちょっと待って落ちる落ちる落ち
あっ」
早口で喋る聞き慣れない声が聞こえてきて怪しんでいると向こうから何かが転がり落ちる音がした。それと同時に遠くで何かが落ちる音がした。
「いだだ…な、何でホシノがいるの?夜は寝ないと健康に悪いよ?あと何してるの?」
少し幼い声だった
「何で私の名前を知ってるの。」
どこかの学校のお偉いさんか、ただの不良か
「えっ?あー…それよりもう今日は帰ったら?もう夜遅いし女の子一人じゃ危ないよ。不審者とか出るかもしれないし。まあホシノなら心配いらないだろうけど」
露骨に話を逸らしてきた。しかもすごく早口。とても怪しい
「話を逸らさないで。というか今君が一番不審者だよ?」
「大丈夫だよ。私はホシノを危ない目にあわせる気はないからね」
ますます怪しい。兎に角ただの不良では無さそうだ。
「何が目的なの。返答次第では…
問答無用でとっちめるから」
「?もちろんホシノと話したいからだけど」
絶対嘘だ
「まあ本当にもう帰りなよ、明日に響くからさ」
急に馴れ馴れしい。なんだこいつは
「…帰れないよまだ」
まだ、ユメ先輩を見つけるまでは
「えっと…なんで?帰って早く寝た方がいいよ?すごい隈だし。可愛い顔が台無しだよ?」
無事ホシノと一方的に対面出来た私はテンションが上がりすぎていたせいか後で思い出すと絶対恥ずかしくなることを言ってしまう
ただカメラをズームするとやはり目にすごい隈が出来ていると分かる。それはそうとやはりホシノは言葉で言い表せないほど可愛い顔である。画面越しではなく現実で見られる……まだ画面越しであった。なにをやっているんだろう私は
「…君には関係ないことだよ」
思ったよりトゲトゲした言葉で返された。でも心配だ。
「本当に大丈夫?私に出来ることがあったら言ってね」
「…」
「えっ?あれ?あー…まあ私はずっとここにいるからねー」
気付いたらもうそこにはいなかった。校舎前のカメラに切り替える
帰っていったのが見えた。
また追いかけている方のカメラを見ると確かに校舎を出たが…ものすごいスピードで走っていった。しかも確かホシノの家はそっちではない。
そっちとは…
「こっち来てる!」
このことに気付き大きい声が出てしまいすぐに全速力で逃げる準備をする。確かホシノは無音で超高速移動出来たはず。足音で分かるとかそんなこと出来やしない。ならもう出来る手は一つしかない。
とにかく家がいっぱいある方で撒く!
だがそっちからホシノは来る。いや、待て。ここら辺にも撒ける場所はあったはず
廃れた家の塀から身を起こし川の方に向かう。そこまで逃げれば私の勝ちだ。
逆方向から回り道していった。見つからないように静かに、尚且つ速く。
多分こっちの方向から聞こえたはずだ。さっきの大きな声と落下音、何故か私が追おうとしているのに気付いたらしく銃と小さなモニターぐらいしかそこにはなかった。
おかしいな。私も結構本気で走ったはずなんだけど
どうやら画面越しにこちらを見ていたようでモニターには生徒会室や校舎前が写っていた。やはりストーカーらしい
…まだそう遠くには行っていないはず。そう思っていると走る音が聞こえた。この辺りのましてや夜は人はいない。そして人のいない方向へと走っていく。つまり自ずと正解は出る。
なんとしても他校の勢力か、それ以外からにもアビドスを、ユメ先輩が帰ってくる場所を守らないと
ここでは珍しく川のある場所でやっと姿を捉えた。外見は暗くてよく見えなかった。
左に曲がっていったがそこは袋小路だ。
曲がるとそこには…
誰もいなかった。
まさか川に逃げ込んだのだろうか。
その日はもう帰ろうとしていた時さっきと同じ音が聞こえた。無線機が付いていた
「だから私は怪しくないって言ってるでしょ!」
「…いつ付けたの。」
何時だろう?ここに来るまで人には全く会わなかったはず
「というかいい加減名乗って。今ならもとの自治区に返すだけで済ませるよ」
「しょうがないなぁ。ホシノの頼みなら断れないや。私の名前は…」
そこで沈黙が訪れた。
「私の名前は…」
私の名前、なんだっけ。思いだそうとする。と、急に鋭い痛みが脳に走る。あれ?
思い出そうとすればするほど頭が痛くなる。体が震える。何かに怯えているんだろうか。頭が割れるように痛い。早く思い出さなきゃ。答えないと。まるでそれは禁忌に触れようとしているような。何のために?それでも思い出そうとする。
頭を殴られた?いや、これは…頭痛?
次第にうまくあたまがまわらなくなってくる。
なんでこんなにくるしんでるんだっけ?
どうきがおきる。
はきけがしてめのしょうてんがあわなくなる。いたい。
「あ…?う…おえ」
そのまま意識が遠のいていった
「ユメ先輩…どこですか」
ユメ先輩が居なくなってから4日経っていた
突然聞いたことのある起動音がした。
「ストーカーか、ヴァルキューレに言えば今度こそ動いてくれるかな」
「追い続けてるのは私じゃないから私は捕まらないかな。あ、昨日言いそびれたから言っておくね。私の名前は…
忘れちゃったからそうだな、転生者とか傍観者とでも呼んでくれたらいいよ。そっちの方がかっこいいし」
そういう年頃なんだろうか。
「はあ…で、本当の目的は何。」
「?昨日も言わなかったっけ?私はホシノとお話がしたいだけだよ?深い意味もなく」
「…こんなところで道草を食っている暇なんてないんだけど」
なにやらホシノは今日は忙しいようだ。何かに焦っているような。迫っているような。ちょっと待って何かタイムリミットが迫っている?急に気付いた。ずっとあの人を見ていない。元のゲーム内ではいつも一緒にいた、居たかった人。いてほしかった人。
ああ、嫌な予感がする。何故今ホシノは一人でいるのか、昨日夜にあそこにいたのか。そう仮定すれば全て辻褄があう
「…ホシノ、ごめんね?変なことや辛いことを聞くかも知れないけどこんな私を許してほしい。」
頼む、違っていてくれ。"それ"は耐えられない。"それ"を変えられなかった事実は。恐る恐る聞く
「えっと。ユメ、君の先輩の梔子ユメはもう見つかったの?」
「…は?」
ホシノが走るのを止めたようだった
「嘘だよね。ユメはまだ生きてるんでしょ?そうだよね?」
声が震える。やはりこの世界の結末は変えることが出来ないのだろうか、そうであればまだ諦めがついただろうに
「…そうだよ。知っての通りユメ先輩は…今行方不明だよ。私のせいで。私が………あんな些細なことで怒らなければ………今頃ユメ先輩は」「行方不明なの!?今日って行方不明になってから何日目!?」
食い気味で聞く
「…今日で4日目だよ。」
「どこまで探したの?」
「今いる所とかいそうな場所は大体探したよ…。どうせgpsか何かでも付けてるんでしょ。ストーカーさん」
まだ間に合うかも知れない。まだ、もしかしたら生きているかも知れない。あの結末は避けなければ。すでに笑い話にすらなっていないというのに
もちろんホシノも知っての通りgpsは付けている。無線機がそれも兼ねている
…壊れているのか反応しなかった。やっぱり自作は難しかったようだ
「わかった。私も探すからあんまり無理はしないでね。絶対にユメもホシノも助けるから。」
ちょうど今は今回の責任者の処罰のために砂漠に来ている。そこだけは少し幸運だった。
遭難しているとはいえ目印はある。ユメもおそらくそこまで馬鹿ではない。いやまあ阿呆の子ではあるが
少し経って
ビルの廃墟の中を覗く。
「お前はここを探して。もしいたらすぐに知らせて。2時間後には戻ってくるから。」と引き連れている一匹に言う
捜索を続ける。ただしここは砂漠である。所詮水棲生物しか扱えない私にはとても相性が悪い。ただ、こうなってしまったのは私のせいだ。知っているのに防げなかった。その責任はとても重い
大量の砂を踏み歩き探す。
はやくユメ先輩を見つけなければ、あいつがユメ先輩を見つける前に。
多分、あのストーカーは信用してはいけない。ごめんなさいユメ先輩、全部私のせいで…
早く、早く。少し走るのが速くなる。
────5日後
「なんで…」
砂漠の真ん中で僅かしかない希望を探している。
未だ梔子ユメは見つからないままである。
砂嵐があったのはここからもう何kmも離れているというのに
少し休息を取っていると後ろで遠くに人影が見えた気がした。
もう少し時間が経つと存在が確信に変わる
「ユメ先輩!?」
やっぱり生きていたんだ。よかった、例のストーカーよりも早く見つけられた。帰ったらまずは謝らないといけない。
だが、違った。近付くとユメ先輩だったとしたら背が低すぎると理解する。だがここアビドスの砂漠の何もないところで人が歩くことなどほとんど、いや絶対にない。人に見られたくないことをしているか、遭難しているかの場合はその限りではないが。
見た目がちょっと分かるぐらい近付いていくと相手もこちらに気付いたようで歩みを一瞬止めた。そして、全力で走っていった。前者だったか。
青い髪で身長は私ぐらいだった。そんな子、アビドスにはいなかったはずだ。
何か落としていったのでそれを拾うと、あの無線機だった。見たことがある形。ああ、あいつだったか。ただ今はそんなことはどうでもいい。一通り休憩もしたしユメ先輩をまた探しにいかないといけない、一刻も早く。
─────────十五日目
今日も見つからない。何も成果が出ずに時間だけが過ぎていく。
突然、また無線機が起動した。
「…もう見つかった?」
返事をする元気すらない
「ごめんね…。全てわたしの所為だ。」
機械から啜り泣く音と砂が擦れる音が聞こえる。
どうか、無事で帰ってきてくださいよ…ユメ先輩。
沈黙が続く。
聞こえてくるのは砂を踏む音だけだ。
18日目
見つからない。見つからない。見つからない。
23日目
…
29日目
希望は遠く、崩れて行く
30日目
見つかった
一応コメントとかしてくれると作者の承認欲求が満たされて続きが速くなるかも?催促している訳ではない
ここあと何話欲しい?
-
そんなことどうでもいいから速く先生を出せ
-
2~3話
-
4.5話
-
6、7話