ダンジョンに正義の味方がいるのは間違っているだろうか   作:ラブコメは正義マン

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土日アルバイトで更新できなかったぜ...
少し遅れましたが読んでいってください

追記 ルビ反映されていなかったので修正しました


誤算

──翌日。オラリオ、中央広場。

 

ベルと士郎は、今日もダンジョンへ潜るため、バベルへと向かう。

その道すがら、ベルは昨日エイナに言われたことを士郎に話していた。

 

「──って言われたんだけど…」

 

「成程、サポーターか……」

 

サポーターとは、文字通り冒険者を支援する役割を担う者だ。

一人いるだけで、魔石やドロップアイテムの回収が楽になり、戦闘中の視野や余裕も大きく変わってくる。

特に、ベルたちのような少人数のパーティーにとって、その存在は心強い。

 

「いいと思うぞ。俺もダンジョンには詳しくないし。人手が増えるなら好都合だ」

 

「そっか。士郎もそう言うなら、探してみようかな」

 

士郎の言葉を聞き、その表情を明るくしたベル。

仲間から背中を押されたことで、サポーター探しに本腰を入れる決心がついたようだ。

「エイナさんにも相談してみようかな」と、小さく呟いている。

 

──その矢先の出来事だった。

「そこのお兄さん達、サポーターを探しているんですか?」

 

高い、鈴の音のような声が彼らを呼び止めた。

思わず足を止め、振り返るベルと士郎。

 

そこに立っていたのは、彼らよりも一回りほど小柄な少女だった。

背にはその小さな身の丈には不釣り合いに見える程の、大きなバックパックを背負っている。

 

「初めまして。私、リリルカ・アーデと申します。

お兄さん達──」

 

サポーターは要りませんか?

そう尋ねる少女──リリルカ・アーデ。

あまりにも唐突な申し出に、ベルたちは一瞬反応が遅れた。

そんな彼らを特に気に留めることもなく、丁寧な物腰で少女は続ける。

 

「驚かせてしまって申し訳ございません。実は、先ほどのお二方のお話が耳に入ってしまいまして……。サポーターを探しているんでしたら、私を雇っていただけませんか?」

 

上目づかいでベルを見つめる少女。

目が合って、ようやくベルの思考は活動を再開した。

同時に、思い出すのは昨日の路地裏での出来事。

彼女は、昨日そこでぶつかった少女ととてもよく似ていた。

 

「あれ?君は昨日の──」

 

「昨日の?なんのことをおっしゃっているか分かりませんが、リリたちは初対面ですよ?」

 

ベルの言葉を遮り、少女はおもむろにフードを脱いだ。

甘栗色をした髪の毛があらわになる。

それと同時、フードに隠れていた、犬のような耳がぴょこりと姿を現した。

 

「──犬人(シアンスロープ)?」

 

「はい。リリは犬人(シアンスロープ)ですが……それが何か?」

 

ベルは、もう一度少女を見つめた。

 

(似てるけど……確かに犬人だ。なら、これ以上の理由はない)

 

種族が違う。

それは、昨日の少女とは別人であるという決定的な証拠だった。

早合点してしまったことに、ベルはわずかな罪悪感を覚える。

しかし、そんな内心など意に介した様子もなく、少女は続けて言葉を紡いだ。

 

「そんなことより……。お兄さん達、サポーターは要りませんか?私、実はここのところあまり仕事が無くて……。このままでは、生きていくのすら難しく──」

 

言葉とともに、リリの様子は見る見るうちに萎んでいく。

あからさまな演出だと分かっていても、ここまでされてしまえば、ベルと士郎のようなお人好しが断れるはずもない。

二人は顔を見合わせ、小さく頷いた。

 

「むしろ大歓迎です。僕はベル・クラネル。一先ず、今日はよろしくお願いします」

 

「俺は、衛宮士郎だ。よろしく頼む」

 

返事を聞いた瞬間、リリの表情は一気に明るくなった。

顔を上げると、その特徴的な耳が、感情を映すようにぴょこぴょこと跳ねる。

 

「ありがとうございます、ベル様、士郎様。私の事は気軽にリリとお呼びください」

 

「「よろしくね(な)、リリ」」

 

ベル達へと向き直り、丁寧なお辞儀をした少女。

やがて、ダンジョンへ向かうため三人は歩き出した。

 

 

 

──その後ろで、狙いが上手くいったリリは内心ほくそ笑む。

二人を追いかけるリリの視線の先には──ヘスティアナイフ

サポーターとして自分を売り込んだ彼女の狙いは最初からそのナイフただ一つであった。

 

(パーティーを組んでいるのは少し予想外でしたが……まあ、大きな問題ではないでしょう)

 

視線を横へ流し、リリはちらりと士郎を見る。

長くオラリオに身を置いてきたが、彼のような人物に心当たりはなかった。

 

──駆け出し二人のパーティーなら、どうとでも出し抜ける。

そう結論づけた彼女は、今日中にでもナイフを盗み、そのまま雲隠れする算段を立てていた。

 

──しかし、ダンジョンに入って間もなく、自分の見通しがいかに甘かったかを思い知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

***

──ダンジョン。7階層。

 

──誤算だった。

ぎり、と奥歯が音を立てて軋む。

昨日、たまたま出くわした冒険者──ベル・クラネル。

彼に声をかけた理由は、ただ一つ。

彼の持つナイフに興味を引かれたからだ。

 

その刀身には、かの有名なヘファイストスファミリアのロゴが刻まれている。

今もなお、目の前で紫紺の輝きを放ちながら、易々とモンスターを屠っていく。

多くのモンスターを屠り、刃こぼれ一つしないその様子は、そのナイフが紛れもない業物であることの証明だ。

 

多少強引でもいい。

彼らに取り入ってナイフを盗み、姿をくらます──そのハズだった。

 

「──シッ!」

 

ナイフを閃かせ、ダンジョンを駆けるベル・クラネル。

その動きはまだぎこちなさが残るものの、冒険者を始めて一か月も経っていないなんて信じられないほどの動きだ。

この階層のモンスター相手に、苦戦する光景はもはや期待できない。

よって、ナイフを盗むには、彼が油断する瞬間を狙うしかない。

だが──

 

「──せいっ」

 

──同じく、モンスターを易々と屠る男──衛宮士郎が、それを許すとは思えなかった。

Lv1だと語っていた彼の動きは、明らかに戦い慣れている者の動きだ。

動きには迷いがなく、隙が無い。

特に、技量という面においては、既に完成されているようにも見える。

今まで多くの冒険者を見てきたが、その中でも彼の実力は上位といえるだろう。

 

その推定│潜在能力≪ポテンシャル≫は──Lv3。

オラリオにおける第二級冒険者の動きと比べても、まったく見劣りしない。

少なくとも、この階層にいるべき人材ではないことは確かだ。

 

──では、なぜ。

これほどの実力を持つパーティーが、未だこの階層に留まっているのか。

その疑問を確かめるため、すべてのモンスターを討伐し終えた彼らに声をかける。

 

「ベル様たち、お強い!この数のモンスターをあっという間に倒してしまうなんて!──あの、差し出がましいようですが……。何故、まだこの階層に潜っているのですか?その実力なら、もう少し下の階層に潜っても問題ないと思いますが……」

 

特に、衛宮士郎(おまえ)

わずかに恨みがましい視線を向けてみても、彼はそれに気づいた様子もなく、終始穏やかな笑顔を崩さない。

その視線に代わるかのように、投げかけた問いにはベルが答えた。

 

「リリ、それは僕のせいなんだ。前に身の丈に合わない階層で死にかけちゃって……だから、ちゃんと強くなるまでは士郎も僕と同じ階層に留まってもらってるんだ」

 

「そういうことでしたか……。それがベル様たちの方針であれば、リリは意見いたしません。他のファミリアなのに、出しゃばってしまい申し訳ございませんでした。」

 

ここで彼らの反感を買う事態は、どうしても避けておきたい。

内心ではまったく納得していないが、それを表に出すほど愚かではない。

私は素直に頭を下げることにした。

その様子を見て、慌てた様子で取り繕うベル・クラネル。

どうやら筋金入りのお人よしらしい。

これなら、彼を出し抜くのも難しくはないだろう──そう判断した。

 

──問題は。

未だ笑顔を崩さず、息も上がっていない衛宮士郎。

彼もまたお人よしであることは間違いないが、その洞察力には舌を巻いた。

先の戦闘では、私の背後に忍び寄っていたモンスターを視界に捉えることもなく、彼の魔法が正確に打ち抜いた。

すでに魔法を自在に行使していることにも驚かされたが、問題はその威力と精度だ。

彼の魔法で形作られた剣は、ヘファイストスファミリアの最高級武具にすら劣らないように思えた。

それをほぼ無尽蔵に生成して自在に扱えるというのだから、驚かずにはいられない。

 

──私にも、そんな魔法があったら。

もっと違う生き方を選べていたのだろうか。

 

私にあるのは、小さな体と、わずかに姿を変えられるだけのちっぽけな魔法。

目の前の彼と自分とを比べてしまい、胸の奥に鈍い自己嫌悪が広がっていく。

 

──ナイフを盗むのは至難の業。

これ以上、彼らと行動を共にしても、得るものはないだろう。

今日の収穫は、この探索でくすねる魔石のみ。

そう結論付け、私は思考を切り捨て──

 

「さあ、ベル様たち!立ち止まっている時間はありませんよ!どんどん、モンスターを倒しちゃってくださいね!」

 

浮かべたのは、よく出来た偽りの笑顔。

胸の内を覆い隠しながら、私は何事もなかったかのように彼らへ声をかけた。

 

 

***

──同日。オラリオ、中央広場。

 

「「「五万、七千ヴァリス!?」」」

 

探索を終え、魔石を換金した俺たち。

だが、今日得られた報酬は、これまでベルと探索した時のものとは比べものにならないほど跳ね上がっていた。

その額、実に五倍以上。

この世界での金銭感覚に疎い俺だが、興奮冷めやらぬ様子のベル達を見れば、相当な額を稼いだことは明らかだった。

 

──サポーターが一人いるだけで、ここまで変わるものなのか。

いや、それだけではない。今日のリリの指示は終始迅速かつ的確で、無駄が一切なかった。

状況判断、立ち回り、回収の手際。そのどれを取っても、経験に裏打ちされたものだ。

きっと彼女は、サポーターとして非常に優秀なのだろう。

事実、今日の稼ぎの大半は、彼女の働きによるものだと言っていい。

そんな彼女が、どこか遠慮がちに報酬の話を切り出す。

 

「あのー、それで……今日の報酬なんですけど──」

 

「はい!これリリの分ね!」

 

ベルはそう言って、迷いなく報酬の三分の──一万九千ヴァリスをリリへと差し出した。

あまりに即断だったためか、状況を呑み込めないまま、リリはその場で固まってしまう。

差し出された金袋とベルの顔を、交互に見比べることしかできない。

 

やがて、ようやく現実を理解したのだろう。

はっとしたように目を見開き、慌てて声を上げる

 

「ベ、ベル様!士郎様!

リリがこんなにもらうことに不満はないんですか!?

リリはサポーターなんですよ!?」

 

必死さの滲む訴えに対し、ベルはきょとんとした表情を浮かべる。

 

「何言ってるの?リリのおかげでこんなに稼げたんだから、もらって当然でしょ?」

 

それに続くように、俺も口を挟んだ。

 

「そうだぞ。寧ろ、もっと多くもらってもいいくらいの活躍だったと思うぞ?」

 

「そんな……ことって……」

 

リリは、信じられないものを見るような目で俺たちを見つめた。

これまで、正当な報酬を受け取ったことがなかったのだろうか。

──だとしたら、おかしな話だ。

これほど優秀な人材を、正当に評価せず放置するなんて。

 

「そうだ、リリ。良ければ、明日も僕たちとダンジョンに潜ってくれないかな?」

 

そう言って、ベルは手を差し出す。

突然の申し出に、リリは戸惑ったように視線を揺らし、その手を取るべきか逡巡している様子だった。

俺とベルの顔を見比べ──やがて、迷うようにその手を取った

 




なんか会話というか話が飛び飛びになっていっている感が否めない......
中盤士郎一回も会話してねえぞ!?
もう少し丁寧な描写を心がけていきたい
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