日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。   作:wakaba1890

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ドーピング検査。

ーーーー皇歴2685年 (西暦2025年) 5月21日 午前10:00 東村山競馬場。

 

 

「ーーーー・・おぉぉぉぉおっーーー!!!」

「テメェに慰謝料全部っぱしたんだぞぉお!!」

「負けたら馬刺しにしたるぞ!!」

「うぉぉぉっー!!!」

 

競走馬用にトレーニングされた馬型の召喚獣たちが、人に乗られケツをムチで叩かれながら、大地を蹴りただ一馬にのみゴールテープが切られる。

 

ーーーー3-10-4。

三連単の順位が巨大スクリーンへと映し出される。

 

「....才亮さんのいう通りになりましたね...」

 

「三回目も三連単全部当てるって、なんなんですか」

 

「まぁ....買ってないしな」

 

待ち時間の暇つぶしとして、何も賭けずに寸分の狂いもなく三回連続で的中させた彼は妙なことを言った。

 

「...え、いやいや...3億7千万分の1って意味不明ですよ。」

 

「ふふっ....勝馬ちゃんだから、馬に関してはなんでも見えるのよ」

 

「えっ?!そうなんですか?!」

 

「....無茶言うなよ。たまたまだ、たまたま。」

 

「わぁー..どこいくんですかー!」

 

競馬場へのとある調査へと同行する事になった召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合病院院長 西条 麻衣は取ってつけたような補足を時雨に吹き込むと、名前呼びに鳥肌が立った才亮はその場から逃げるように売り場の方へと向かった。

 

「...モツ煮美味しいですねー!」

 

「おんおん。うまいのぉ...」

 

未だに待たされている彼らは腹が減ってしまい、売り場の食い物で空きっ腹に足しになるものを食べていた。

「...34番の方!」

 

「よい!....ごくっ....ん...」

 

「っ...お、おい」

 

塩っ辛いモツ煮の後味を流すためにレモンティーを頼んだ武田であったが、レモンではあったがティーではなく、千鳥足になって才亮へと絡んだ。

 

「いっひひひ...こらレモンティーじゃないけぇ...おっ!ワシの馬!!」

 

「おま...おいっ...ん、レモンサワーか?!っと...おい!」

 

酒の周りが早い彼はパドックを走っていた真っ黒な競走馬へと向かおうとしており、才亮はイッタンモンメンで一時彼を拘束した。

 

「え、ぁ...ちょ、大丈夫ですか?!」

 

「はぁ....全く...」

 

初めて見る無防備な武田の様子に時雨は汗汗しており、汐留は一応の任務中での失態におでこに手を当てていた。

 

「ふふっ....意外な弱点。」

 

そして、西条は胸から生暖かいメモ帳を出して彼の弱点をメモしていた。

 

「ひひっ....ぅっ...わしの...愛馬ぁ」

 

「ツゥ...あの辺は、売りもんじゃねぇよ....買えても10億からだぞ。」

 

真っ黒な競走馬に惚れた武田はイッタンモンメンから手を無理に出して、ぴょんぴょんと向かおうとし、彼はすかさず補強して止めた。

 

「うむ、今しがた、馬券を当てねば」

 

「やめろ、タケ。お前の運をそこに使うな...っぅ、汐留。悪いが武田送ってくれるか?頼む」

 

元々出番はそこまでないと思っていたため、致し方なくグロッキー状態へと移行しつつある武田を汐留に任せた。

 

「っ....スゥ、わかりました。」

 

面倒な武田を即応科棟へと送り返すのは面倒ではあるが、才亮からの頼みに弱く了承した。

 

「あーっ!まだ...ここに居たいんじゃ!」

 

「はぁ....ほら、行きますよ。」

 

「わぁぁぁぁ...」

 

才亮のイッタンモンメンの糸とシゲモチさんに包まれて連行されていった。

 

「....本当に、大丈夫なんですか?」

 

「ん...あぁ、酒の周りも早いが回復も早いから夜には活動できる。」

 

酒の周り具合からも、何か特異体質が関わっていそうだったためより適切な対処が必要かと聞くが、武田は本当にただの下戸であった。

 

「すみませんお待たせしました。こちらへどうぞ....」

 

汐留は武田を市中引き回しの刑のようにしてプラプトルで出発したのを皮切りに、タイミングよく競馬場の準責任者が彼らの前に現れた。

 

そうして、競馬場に敷設されている厩舎へと到着すると早速、西条は所属している競走馬達へのドーピング検査が始まった。

 

「ーーー・・ドードー....ふふっ...良い子ですね。」

 

『ブルッ...フゥ...』

 

「嘘だろ...ブルホース....医者嫌いなのに」

 

牛角を生やした真っ赤でシャープな馬型召喚獣は医者の匂いがする筈の西条に一瞬で手なづけられ、パッチテストに大人しく身を任せていた。

 

「....才亮さん、才亮さん。」

 

「ん?」

 

淡々と手早くパッチテストが行われているのを少し離れた位置で眺めていた時雨は、少し背伸びをし彼を小声で呼ぶと、一応西条から目を離さずに腕を組んだまま耳元だけ彼女へ寄せた。

 

「そもそもドーピング検査で、私たち来る必要あります?」

 

「まぁ、馬型は飼育と管理に免許が必要な程強力だからな。普段は付属の召喚獣病院でやってるだろうが、ちょろまかしを疑われるのを予防するために、関東庁直属の俺らが呼ばれたんだろう。」

 

総合事案即応科と言う科目名上、警察が関わりすぎるのも他管理官が扱うにも判断がつかない、ないしは曖昧な事案はとりあえず即応科に任せるみたいな、ある種何でも屋的な立ち位置なため今回のような政治的な意思決定が絡む調査も対処範囲に準拠していた。

 

「うーん。農林水産省も管理省に監査してもらった。という事実で、改めてクリーンにしたいって感じですか」

 

「そんな所だ。」

 

「...ふむふむ、それで私が指名されたのねん」

 

一瞬目線を切って話していた所、おでこを出した長身の色々大きい白衣を着た女性は何もないところから現れる。

「っ....役職付き、他にいただろ。西条も断れよ」

 

「えぇー、やぁよ。私無しでもちゃんと回るのを確かめないとだし」

 

相変わらず気味が悪い姿現しを怪訝している彼がそういうと、彼らが警備していたパッチテストの道具箱から針を取り出し交換しながら隙のない回答をする。

 

「.....」

 

「管理職....うぅ、経験したくないです....」

 

才亮はそれ以上聞くこともないため黙っていると、時雨はそういうところまで考えないといけない管理職の過酷さに想像の中で苦しんでいた。

 

「ふふっ...結構イイものよ。意見は通るし、予算権限もあるし」

「お前の場合は元の権威性が違うだろ。」

 

科長や院長、局長になると予算権限を得れるため、彼女の言う通り責任に相当する力が授与されていたが、彼女の場合はまた少し異なっていた。

 

「ヤァーな言い方ー」

 

交換を終えた彼女はツンとした表情でそう言い残して現場へと戻った。

 

「ぇ...ん?西条さんって...えっ?!」

 

権威性という単語と西条という名字から時雨の中で合点が入った。

 

「あぁ、あいつは召喚獣管理省事務次官、西条 伊武方の一人娘だ。」

 

召喚獣管理省。

国家建国の日から二番目に古く設立された組織であり、現在そのNo.2に君臨するのが彼女の父であった。

 

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