日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。 作:wakaba1890
ーーーー皇歴2685年 (西暦2025年) 7月13日 16 : 50 立川市 セーフハウスB
ウルフヘアー女の隠蔽ファンネルで捕縛した男を運び、防音の尋問室内に縛り上げた。
その後、もう一人の協力者を待っていると思ったよりも早く到着した。
「は?なんで東元会の....なっ、才亮勝馬!!どういうつもりだ!」
双葉がデンライと共に彼のセーフハウスに到着すると、そこにいたのは東元会の情報収集担当である蒲原であり、組織対策の同僚が鉄製の椅子に縛り上げられていたため、一体全体どいう事態なのかを詰め寄った。
「今回は東元会は関わってない。こいつにも事情があって、一緒に来てもらった。」
「....撹乱目的か、同時期に建物ごとうちの組員が2人消し炭にされた。こいつか、その胴元か落とし前をつけてもらわんと、ひくに引けない。」
「うぅぅ....まぁ、いい。で、まさか....イブシが内通者とは、かなりの古株だぞ」
蒲原は認識阻害の黒煙ファンネルを彼女へ向けようとしたが、才亮がその前に簡潔に説明し、蒲原もやり合わない方を選んだため、双葉も彼への信頼と実績から話を進める方を優先した。
「色々調べたが....おそらくは魅了だな」
「っ....魅了、誰が?」
ぐったりしているイブシの方を一瞥し、双葉は彼が直接情報を引き出した事に胸ぐらを掴んで追求しようとするが、その単語に手を離す。
「あの現場にいたやつだ、俺の服にもラメがついていた。」
「っ...今すぐにでも、厳戒態勢をっ...ぅ」
魅了の条件がわからない中、どこまでそれが機能しているかわからず内部調査の号令を発信しようとしたが、彼が彼女のゴツい携帯を取り上げる。
「なっ!おいっ、才亮勝馬!かっ、返せーっ!」
「なんでテンパるといつもフルネームなんだよ...」
なんかタブレットキッズからタブレット取り上げた時みたいになっているのはともかくとして、最悪の場合の話へと向く。
「今、深みに潜られたら追えなくなる。1日時間をくれ」
彼女のいう通り情報を抜かれるだけ抜かれる事態もまずいが、それ以上に魅了能力を持っている奴を逃す方がまずいため、確実に捕まえるために泳がす必要があった。
「っ....誰が魅了されているか、わからないんだぞ?その間、好き放題されては...」
「いや、ラメがついた所でなんともないなら、寄生型以外にも、もう数段階の手順が必要だろう。」
「ん...っ、お前っ..いつの間に!」
それでも今もなお情報が流れているかもしれない事態に青ざめている彼女に、彼女の右手を指しながら彼がそういうと、いつの間にか試されていることに彼女は憤る。
『はっ....ぅ、わふぅ?』
蒲原に乗って顔をすりすりしていたデンライはラメの煌めきに呼ばれて、興味ありそうに彼女についたそれをクンカする。
「あの現場にいたやつか?」
『んー...わふぅー!』
「辿れるか?」
『わっふぅ!』
現場にいた人間全員にマーキングしていた糸とラメの匂いをライテイに嗅がせると、まっかせろい!とデンライは笑顔でそう応える。
「なっ....ムゥ...したものか、即応科から呼べるか?」
手がかりを掴んだ彼女らであったが、魅了の条件を把握できていない中、捜索チームを組むにしても把握しきれていない魅了済みの部下などのリスクから、どうやってバレずに、そしてどの程度のチーム編成にするかに頭を抱える。
「...最近は色々入れ込みすぎてるからな、俺一人で限度だな。」
「あー...まぁ、噂にはなってるな...」
宗教関連、地下闘技場での組織対策関連、麻薬関連など、即応科といえどもちょっと手広く関わりすぎではないかというのは他組織にも伝わっていたようだった。
「...双葉。」
『...ッ』
「っ...何...っぅ..」
しかし、初めから腹が決まっていた彼は彼女の名前を呼んでデンライへと目配せをする。
倒れた片手で持ち上げられるくらい軽い双葉を糸で軽く拘束して、仮眠室へと運び、再びリビングへと戻る。
「きつい役回りですまない。デンライ。」
『....わふぅ。』
デンライは同族同士わかってるよ。と静かにそういう。
「起きても1日はここから出さないでくれ」
名残惜しくデンライのふわもふ立髪を優しく撫でると、乾電池の味が臭いとなってお日様の香りと混じり鼻をくすぐる。
『....わふっ!』
「....おい、どういうつもりだ? 」
色々と好都合であったため彼女をベッドに送るまで眺めていた蒲原がファンネルを彼に囲って詰め寄る。
「当該関連の情報はくれてやる。ただし、手出しはするな。」
「....良いだろう.....その言葉、忘れるなよ。」
引くだけの要件は揃った蒲原はそう言って、ベランダから後ろ向きに飛び降りて影に消えた。
「デンライ、どの糸が該当する?」
『....スンスン...スンスン....わふ!』
右手から垂れた糸を順に嗅がせると、魅了能力を持った人間は特定された。
「っ....わかった。双葉を頼んだぞ。デンライ」
『わふぅーっ!』
後でめちゃくちゃ怒られるのが想像に難くない中で、いつの間にか頼もしくなったデンライの立て髪を優しくわしゃわしゃして立ち上がる。
「...悪いな、俺都合の弔い合戦にお前を巻き込みたくない。まぁ、終わったら好きなだけ愚痴は聞いてやるから許してくれ。.....っ!!」
ベランダの窓を開け、仮眠室の方で気絶している双葉の方へ向き届かぬ言葉を呟き、標的の方へと糸を伸ばした。