ドMだからついでに仲間庇ってたら全員病んでた   作:恒例行事

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184 ヘタレ幼馴染とダークエルフ師匠

「今日は、フィンにお話があります」

 

 朝一番、神妙な顔をして部屋を訪れたのはアリアだった。

 

 目の下には濃い隈がある。

 暫く眠れてないのか目もなんだか据わっており、まるで子供の頃のアリアのような感じだ。

 

「話か。長くなるか?」

「えっ。……ま、まぁ、そうかも?」

「なら飲み物を用意しよう。たまには二人でゆっくりお茶会もいいだろ?」

「う、うん」

 

 どこからどう見ても疲れた様子のアリアを部屋に置いて、キッチンでホットミルクとホットティーを用意して戻る。

 

 部屋に戻ってくると、アリアは俺のベッドの下を必死に覗き込んでいた。

 

 フッ……甘いな、アリア。

 確かにベッドの下や本棚は男がえっちな本や道具を隠すのに利用することが多い。金持ちの貴族の坊ちゃんなんかもそうするらしいからな。なお、使用人や親にはバレているらしい。【リリーガーデン】の貴族令嬢、ルシールが弟が色気付いてさぁとため息混じりに話すのを聞いて、俺は心の中で弟くんに謝罪することしかできなかった。

 

 そして、これまで【払暁】のパーティーメンバー、つまり美女三人と共に暮らしていた俺が、果たしてそんなわかりやすいところにえっちな道具を隠すだろうか?

 

 答えは否。

 隠すわけがない。

 

「アリア、俺はそんなわかりやすい場所に置いてないぞ」

「わヒャぁっ!!!?!?!?」

 

 俺の声を聞いて飛び上がったアリアはそのまま勢いよく椅子に着席する。

 

『……我が巫女もそうだけど、担い手も惨めよね……』

 

 惨め?

 一体何を言っているんだ闇マリ。

 今の動作ひとつでアリアがどれだけ頑張ってきたかがわかるだろう。

 

 昔のアリアは俺を轢き殺しかけてマゾ性癖を目覚めさせてくれたのだが、あの頃と比べて比較にならないほど身体操作が上達している。

 

 不意を突かれて驚いたというのに壁や天井を突き抜けない。

 昔は天井に首だけ突き刺さってプラーンとぶら下がることもあり、その度に師匠が助けに来ていたものだ。

 

『…………そうね…………』

 

「あ、あああ、えっとね今のはなんていうか、うん、フィンも男の子だしさ大人になったし? どんな好みなのかなって知りたかっただけなの。決して、うん、邪な考えで漁ってたわけじゃないんだよ!」

「いや、男が性的なものを隠す場所を漁って邪な考えがないとは言えんだろ……」

「ええっ!? 私たち、幼馴染なのに!?」

「そりゃまあ、アリアの果物柄のパンツなんて見飽きてるけどさ」

「あああああーーーっ!! あ゛ぁ゛ーーーっっ!!!」

 

 頭を抱えたアリアが絶叫した。

 

 師匠とアリアに置いていかれる時、荷造りしたのが誰だったか忘れたのか。

 

 あと、俺は一人立ちが確定してたから師匠に家事仕込まれてるからな。

 

 洗濯も出来るし掃除も出来るし食器も洗える。

 最低限の自炊も出来るし、長年の馬小屋サバイバルで汚部屋への耐性もあるのだ。アリアの生活力がどれだけ向上したかは知らんが、師匠に世話してもらったお前に負けるわけがない。

 もしこれで負けたら?

 その時は俺のお尻を女の子にしてくれても構わない。

 棒と穴に誓おう。

 

『得するのは我が使徒だけなんだけど…………』

 

「う、うぅ、ううっ、も、もうお嫁に行けない……」

「安心しろ。お前は可愛いし魅力的だ。嫁に貰ってくれる男は絶対にいる」

「…………そ、そこは、俺が貰ってやる、くらいのこと、言ってくれてもいいんだよ?」

「む。そういうこと言うなら容赦なく抱くけど」

「だっ抱く!!!!!!?!?!???」

 

 がバッと飛び上がり部屋の隅に逃げ込んだアリアが己の体を抱きしめて俺にフシャーっと唸る。

 

 いや、当たり前じゃん。

 そんなこと言ってきて俺が興奮しないと思ってるのか?

 フッ、甘い、甘いなアリア。

 この部屋に充満する若い女性特有の香りよりも甘い。

 

 アリシアさんにマゾバレしエッチする仲になってから、俺の女性経験は怒涛の勢いで積み上げられている。

 

 パーティー組み立ての頃、俺の身体を何度も切り刻んで悦ばせてくれた高嶺の花のカルラ。

 あの素晴らしき身体に欲情しないように俺がどれだけ我慢を重ねてきたことか。

 そんなカルラとも、今ではエッチして屈服させる仲である。

 あのカルラが俺の剣を納める鞘となったのだ。

 これでまず男としての自信が付いた。

 

 さらにアストレア、アリーシャと続いた。

 

 ハイエルフ三姉妹とのエッチは本当に極上と言っていい。

 

 正直めちゃくちゃ興奮した。

 本当に死ぬかと思うレベルで興奮した。

 この三人でこんなに興奮するんだったら、もし師匠とエッチしたら俺は興奮で死ぬだろうとすら思った。

 

 そんなこんなで今やエヴァとの戦にも勝てるようになった俺だ。

 

 そんな誘うようなこと言われて躊躇うわけがない。

 

「ああ、抱く。男として、お前を抱く」

「え、ええええぇぇえぇっ!!? ちょ、えっ、い、いきなりそんなこと言われても心の準備がっ!!」

「お前から言ってきたんだろ……」

 

 まあそんなことだろうとは思ってたよ。

 

 揶揄われてるんだろう。

 いつの間にか男遊びを覚えたアリアのことだ、俺のような男を揶揄い遊んできたに違いない。くそっ、俺は幼馴染なんだぞ!? 幼馴染でお前と一緒にいたってのに、俺以外の男とエッチしたってのか!? 

 お、俺が以外の男がっ、お前を、抱いたってのか!?

 ハァッハァッハァッ、うっ、あ、頭がおかしくなりそうだ……♡

 

『元から頭はおかしいですよ』

 

 いきなりデザート!?

 

「ふーっ、ふーっ、フィ、フィンっ、一つだけ、一個だけ教えて!」

「別になんでもいいけど、冷めるぞ」

「あ、うん。いただきます……」

 

 息を荒げて顔を真っ赤にしたアリアにホットミルクを差し出せば、戻ってきて椅子に座って大人しく飲み始める。

 

 うん、こういうところは昔から変わらない。

 アリアの好きなところだ。

 

「…………ふぅ、おいしいなぁ……」

「口にあったようで何よりだ」

「んふふ、フィンが作ってくれたからいつもよりおいしいかも。なーんちゃって」

「嬉しいこと言ってくれるじゃないか。ん? 抱いてやろうか?」

「だっ……も、もうっ! えっちなんだから!」

「男の冒険者なんてそんなもんだ。大体な、お前はかわいくてスタイルも良くて男に狙われまくってることを自覚した方がいいぞ」

 

 アリアは推し黙る。

 こういう時、大体聞いていないわけではないので、そのまま話を続けた。

 

「幼馴染だから我慢できるが、普通の男はお前にいつもの調子で近寄られたら狂ってもおかしくない。距離感は近いし気安いし元気でかわいい。胸もでかいのに全く気にせず引っ付いてくるし、いい匂いもするし……」

「ぅぇっ」

「俺たち、もう二十歳になるんだ。あのな。俺にも性欲はある。カルラのおかげである程度耐性はついてるが、厳しいものは厳しいってことをだな…………アリア?」

 

 話を続けていたのだが、アリアの様子がおかしい。

 

 ピクピク震えてブツブツと何かを呟いている。

 

「……おい、アリア? おーい。おい、どうした?」

「……あっ、あばばばばっ!! あばーっ!!」

「ぐうおおおおおおっ!!?」

 

 熱ッ熱いッホットミルクが俺のフィンフィンに!!!!!?

 

 やばいっ興奮でホットミルク()精るっ!!!

 

『死ね』

 

 いきなり聖撃!!!!!!!!

 

「がああああああぁぁあっ!!!」

「な、なんだ!? どうした!? 何があった!!?」

 

 あっ頭が割れてフィンフィンが熱いッ!!

 あと師匠の声が聞こえる!?

 なんで!?

 

「こ、これはっ……いや、一体何が……?」

「ぐ、ぐうううっ、し、師匠……♡」

「フィ、フィンっ! 大丈夫か!? この匂いは……ミルク?」

「お、俺は平気だ。それよりアリアを……!」

「アリア? アリア……なぜ、気絶しているんだこの娘は……」

「わ、わからんッ。誘うようなこと言ってきたから、危ういことを言わないようにと魅力を羅列していたらッ、突然叫んでミルクをッ……!」

「……そ、そうか……それは、ちょっと気まずいね……。なら置いておこう。それよりフィン、急いで治療を──」

「ぐ、ぐううっ♡ た、頼むッ、師匠!」

「────…………あ、ああ。そうだよね。そんなわけ、ないよね……?」

 

 おっ、おおっ、バレちゃうっ、師匠にマゾ性癖バレちゃってるっ♡

 

 もうおしまいだぁっ!

 俺はもう終わりなんだぁっ!

 師匠ッ、俺が苦痛で興奮して逝くところ見てて!

 実は師匠を想って致したことがあります!

 気持ちの悪い弟子でごめんなさい!

 罵って、蹴飛ばして、俺を奴隷にしてくれぇっ♡♡♡

 

「……闇森人よ……」

「ッ!!? め、女神ルルクス様……!?」

「早く治してこの愚かな使徒を黙らせるのです……」

「えっ、お、愚かな使徒……? 黙らせる……?」

「いいから早くしなさい」

「わ、わかった……」

 

 闇マリにせかされた師匠は、そのまま手に治癒の光を灯して、俺を見た。

 

「…………これは治療、これは治療、これは治療……患部を見ないと、治療のしようもないからね……」

 

 股間にホットミルクを浴びた俺の患部を見るために、師匠は、俺のズボンに手をかける。

 

 そして一度止まり、苦痛で喘ぐ俺と目が合う。

 

「……いいかいフィン。私はやましい気持ちは決してない。弟子をね、そんな目で見るとか、本当に良くないからね。子供の頃の君と一緒にお風呂に入ったことはあるけど、今は一緒に入らないだろう? 君は一人前の男だ。私のような年増で、親のような存在に、陰部を見られるのは心苦しいだろうけど……これは治療行為だ。だから、決してやましい気持ちを抱いているわけではないんだ。どうか信じてほしい。私は君の師なのだか、ら──……?」

「…………我が使徒……」

 

 …………いや、違うんすよ。

 

 決して、決して師匠に興奮したわけじゃないんですよ。

 

 ただそう、単純にこう、避けようもないってだけじゃないですか。

 

 だって痛くてヒリヒリしてて燃えるような痛みがあるんすよ。

 こんなん気持ちよくて当然じゃないですか。

 むしろ喘ぎ声をあげず堪えてたのを褒めてほしい。

 師匠、俺、耐えたんだ。

 耐えたんですよ、必死に!

 必死に耐えた結果がこれ(勃◯)なんですよ!!

 どうすればよかったんですか!

 マゾだから仕方ないでしょ!?

 苦痛は喘ぐものなんだからッ!

 

「…………」

「…………」

「…………」

「あ、あが、あッ、ああっ……」

 

 顔を赤くしつつ、股間の膨らみから目を離せない師匠。

 

 呆れた顔で天を仰ぐ闇マリ。

 

 極めて無表情、まともなフリをする俺。

 

 そして一人虚空で喘ぐアリア。

 

 気まずい。

 非常に気まずい空気が形成されてしまった。

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