ドMだからついでに仲間庇ってたら全員病んでた   作:恒例行事

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192 光のマリアンヌと闇のマリアンヌ

 

 ベッドに寝て天井を眺めながら思う。

 

 ここ最近、俺は夢を見てるんじゃないかって。

 

 アリシアさんにマゾバレして以降、俺の人生は急激に変わり続けている。

 

 師匠の元で修行を行なった五年間、王都にやってきてから地道に積み上げた数年間と比べても異常だ。なんというか、本当に激動っていうか……闇のマリアンヌと頭の中でマゾごっこしてた時とはまるで違う。

 

 文句があるわけじゃない。

 

 バレないまま墓まで持っていく未来ばかり考えていた。

 

 そうなることでしか俺の人生はどうにもならないと思っていた。

 

 妄想で味わいつつ、実際にバレることはない……なんなら【払暁】が解散してからのセカンドライフこそが本命だった。

 

 それが、今はどうだ。

 

 師匠とアリアがやってきた。

 アリシアさんにマゾバレして身体の関係になった。

 カルラにバレた。

 アストレアとアリーシャも巻き込んだ。

 闇のマリアンヌの正体がわかった。

 エヴァンジェリンの襲撃があった。

 エヴァンジェリンと和解した。

 師匠に、全てを知られた。

 マリアンヌにも全てを知られた。

 

 だが、受け入れてくれた。

 

 俺は見捨てられなかった。

 

 それどころかエッチな目で見ていたと生々しいことを言われたし、実際の行為中も結構生々しい性欲を向けられて非常に興奮した。フッフッフ……! す、好きだった女の子の、劣情が向けられるとなんだかお、お、オラもう……!

 

「んん……フィンさん……?」

 

 寝ぼけ眼でゆっくりと目を開きながら、俺の隣で寝ていたマリアンヌが覚醒する。

 

「すまん、起こしたか」

「い、え……ふああ…………ファッ!!!?!?」

「!?」

 

 なに!?

 なんで急に叫んだの!?

 

「あ、あ、す、すみませんっ。そ、そうだった、したんだった……」

「……ああ、なるほど。夢じゃないぞ、現実だ」

「……んもうっ! なんでフィンさんはそんなに余裕そうなんですか!」

「余裕そうと言われてもな……ここ一年間でありえない事態に遭遇し続けて慣れたとしか」

 

 アリシアさんから始まりカルラ、アストレア、アリーシャ、更にはエヴァと多種多様な経験を積んできた。

 

 好きな子との初えっちで緊張したものの、それは程よいものだった。

 

 戦いの時に程よい緊張感があるとちょうどいいのと一緒だ。

 

「な、慣れた……それってつまり、えっと……」

「まあ……そういうことになる。汚れた男で申し訳ない」

「う゛っっ!!」

 

 力なく笑うと、マリアンヌは胸を抑えて──もちろん見えていて、えっちだ──呻いた。

 

「ど、どうした?」

「い、いえ……なんだか、胸が痛くて……」

「だ、大丈夫か? おっぱい揉むか?」

「揉まなくていいですっ!」

 

 マリアンヌの方へ身体を向け、腕枕(マリアンヌへの腕枕ではない)の状態で片手をワキワキさせると、ぷんすか怒った様子で頬を膨らませた。

 

「……はぁ。やっぱり、辛いなぁ……」

「……悪いな」

「あ……違うんです。フィンさんがどうとかじゃなくて、その……気が付かなかったと思いますが、フィンさんのことが好きだったので。こうやって結ばれたのは嬉しいんですけど、フィンさんは他にもたくさん相手がいるじゃないですか。今日こうやってエッチしたけど明日になったらカルラさんとかの場所に行くのかなぁと思ったら、切なくて……」

「…………確かに、俺がその立場だったら死にたくなって絶頂するな」

「ェゥッ」

 

 同意を示すと、マリアンヌは怯えた顔になった。

 

 仮に師匠やマリアンヌがそんな状態で、俺がハーレムの男の一人だとする。

 

 ずっと恋心を抱いて来たが、自分の知らないところで周りの男たちが関係を持つようになり度し難い性癖を持っていることを教えられ「そんなんでも良ければ抱いてあげますよ」と言われなし崩し的にエッチしたはいいが、充足感を覚えた後にまた明日になれば他の男と交わっている現実を認識して寝取られを味わえる、と……。

 

 フム……。

 

 ほう……。

 

 なるほど……。

 

「…………悪くない……♡」

「ァッ、ェッ、ヤ、イヤッ! イヤッ!」

「ど、どうしたマリアンヌ」

「う、うううぅっ!! す、すきなひとが寝取られ妄想で悦んでるっ……わあああんっ!」

「な、泣いてしまった……」

 

 つい先程までも鳴いていたわけだが今度は完全に泣いてしまった。

 

 やれやれ、女殺しと全員に言われる俺の実力はマリアンヌにすら効いてしまったか。

 

 このまま世界中の女を俺にするのも可能じゃねえか?

 ヘッヘッヘ、やっちまおうぜ!

 これまで散々下に見られてきたんだ!

 俺みたいな下賤な男が高貴な女と交わって好き放題するッ!

 うほほほほひょほおおっ!!

 これほど興奮することはない!

 手始めに闇マリからだ!

 神だろうがなんだろうが俺のフィンフィンで屈服させてやるッ!!

 

『はいはい』

 

「おほほっ! ……マリアンヌ。残念だが、俺はエヴァとの行為で既に女の子の気持ちも知ってしまったんだ……」

「や、やだあああっ!! 知りたくないっそんなのっ!」

 

 お尻だけにね笑

 

「うおおおっ!?」

「!?」

「す、すまん。闇マリに怒られた」

「や、闇マリ……その呼び方、どうにかなりませんか……?」

「ううむ……マリアンヌには申し訳ないが、闇マリは闇マリだからな……」

「そっ……そうですよね……」

 

 マリアンヌは絶望した瞳で突っ伏した。

 

「う、ううっ……せっかくエッチしたのにっ……神様に名前は奪われるし、好きな人は寝取られ放題だし、う、ううっ、うっ……♡」

「ま、マリアンヌ……」

「わた、私っ、こんなんじゃ、だめなのにぃ……♡」

 

 思わず胸がキュッとする。

 

 マリアンヌが泣いている。

 それも、あんなにつらそうなのは久しぶりに見た。

 そんなマリアンヌの姿を見るだけで苦しくなって、罪悪感でいたたまれない。だけどそれと同時に彼女に嫌われるかもしれない、失望されるかもしれないという恐怖が俺を悦ばせる。更に、彼女の笑顔がそんな風に歪んでいること自体にも、興奮していた。

 

 ハァッ、ハッ、フゥッ、い、いけない!

 これはやはりいけない快感だ!

 俺はマゾ俺はマゾ俺はマゾ俺はマゾ…………よし、俺はマゾだ。闇マリ一発景気づけに頼むよ。

 

『んー、はいはい』

 

 おおおおぉぉおおっお尻が女の子になっちゃう!!?

 

「……その……なんだ…………」

 

 身悶えるマリアンヌに、俺は何も言えない。

 

 俺は所詮度し難い変態なんだ。

 彼女からすれば理解しがたい存在だ。

 だけれども、それでもマリアンヌは俺のことを好きだと言ってくれた。

 

 その言葉に嘘はない。

 嘘だったら、あんなに性欲丸出しだった姿が嘘だったらもう俺は何も信じられないと思う。

 

『あれは、うん。童貞と生娘ほど生々しい性欲見せるんだけど、我が巫女も類に漏れなかったわね……』 

 

 とはいえ、俺は嬉しかったぞ。

 

 なんていうか、あれだけ求められるとさ。

 好きとかそういうのよりもっと先に来る生物としての欲望がむき出しで、ありのままの俺が求められてるんだなって思えた。

 うん。

 結構、興奮したよね。

 清楚な聖女様の本性があんなにドスケベだったなんて……! 

 

「我が巫女ー、我が使徒があなたのことドスケ」

「闇マリッッッッッッ!!!!!」

 

 バッ!!

 

 跳ね上がり闇マリに抱き着く。

 

 ブアッ!!

 

 ブランケットが空に浮く。

 

 ギギュッッッ!! ギュッ、ギュッ、ギュッ……!

 

 ベッドに何度も跳ねる。

 

「え、えっ、フィ、フィンさん突然どうしたんですか……?」

「ハハ、すまない。闇マリが邪神みたいなこと言おうとしてたからな」

「もっご! もごごごごっ!」

「え、えぇ……? め、女神様ぁっ! 私の身体と名前使って変なことしないでください!」

「もごぉっ……!!」

 

 口を抑えた闇マリは、やろうと思えば簡単にほどけるが抵抗を辞めて不服そうな目で俺を睨むばかり。

 

 ────ゾクゾクゾクッッ!!

 

 背筋が震えた。

 身体全体に刺激が奔った。

 思わず、闇マリを抑えつけている手に力が籠るほどに。

 

「…………なぁ、マリアンヌ。ちょっと一つ思いついたんだが」

「えっ……は、はい。どうしました?」

「今なら闇マリに仕返しできるんじゃないか?」

「!?」

「!?」

 

 驚いた顔をする二人。

 

 闇マリが本気で抗えば簡単だが、この感じはそうじゃない。

 

 ていうかアレだよね。

 エヴァの時と一緒じゃないか?

 闇のマリアンヌの行動はあまり読めないのだが、流石にこれはわかる。

 

「これまで闇のマリアンヌはマリアンヌの外側を使って俺の○○○○を○○たり、お尻に○○したりしてたんだ」

「そ、そんなことまでっっ!?」

「むー! むぐーっ!!」

 

 暴露したが、闇マリはそれでも強引に脱出しない。

 

 と、言うことは……。

 

「どうだ、マリアンヌ。今なら神様に好き放題出来ちまうぞ?」

「そ、そそそんなの不敬ですっ!! いけませんよフィンさんっ!」

「でももう俺達ヤっちまってるしなぁ……」

「あ、あうっ……!」

 

 うん、どうやら間違っていなかったみたいだ。

 

 闇マリ、神様だから自分でこうしたいとかあんまり言いたがらないんだよね。

 

 俺への懲罰は気軽にしてくれる分、いつもしてもらって申し訳ない。

 

 だから、うん。

 こうやってね、意図を汲み取ってね、やってあげないとね。

 嫌だったら抵抗するから闇マリは。

 

「…………」

 

 ほら、この目を見てごらん。

 

 どう見ても期待してる目だ。

 

「あ、あ、いや、でも、め、女神様に、そんな……」

「……くくく、良いじゃないか、マリアンヌ……」

「あっ、そ、そんなっ、い、いけませんっ! いけませんっ、んっ……」

 

 闇マリを抱きかかえたままマリアンヌの方へ移動して覆いかぶさると、ダメダメと言いながら目をギュッと瞑って待ち受ける態勢になった。

 

 一度はやってみたかった──光と闇、両方のマリアンヌとのエッチ……。

 

 これで滾らねば男ではない。

 

 二人並んで寝転ぶマリアンヌ。

 

 ウム……。

 ウム……。

 

「あ、あらあら。我が巫女、する気満々よこれ」

「る、ルルクス様ぁ! も、もおおおっ……おおおっ!? ちょっ!? え!? さっきと全然違っ!?」

「我が使徒はさっきものすっごい丁寧にしてたのよねぇ」

「えっ……」

 

 マリアンヌは目を見開き、視線を下に向けた。

 

「さっきまでのは初めての我が巫女を精一杯楽しませるために我が使徒が一生懸命してたの。だからこれからが本番よ」

「…………ゴクッ……」

 

 音だけで唾をのんだと分かった。

 

「初めてじゃ辛いし、そんな風に終わって欲しくないもの。しょうがないから私も一緒にしてあげるわ」

「……る、ルルクス様…………」

 

 ふー……。

 よし、イケるな。

 マリアンヌの覚悟も決まったようなので、全力全開フィンフィン臨戦状態をぐいっと突きつけた。

 

「ふふ……可愛がってあげるわ、我が使徒……♡」

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「うわぁ……そんなことまでしちゃうんだ……」

 

 身体の持ち主が寝てる間にヤっちゃおうと思ったけど、まさかこんなことになってるとは……。

 

 ていうか幼馴染同盟の相方じゃんか。

 普通に出し抜かれてるよ、アリア。

 

 扉の向こう側から聞こえてくる声で大体どんなことをしているのかはわかるけど、いやあ、あの子はすごい男になった。

 

 アリアもさぁ、ちゃんと唾つけとけばよかったんだよ。

 わかりにくい表現せずに「フィンのことが好き、結婚しよ」とでも言っておけば彼は村で待っててくれたと思う。そうでなくても再会した時にしっかり頷いてくれただろうに。

 

 ボクもこんな風に動けるようになったのは神の力に触れ続けた結果だから、あの子がその身に女神を宿してなければこうはならなかっただろうし……ああでも、その内こうなってたのかな? そこはまあ、どうでもいいや。

 

 とにかく、これ以上健気で臆病で一途なアリアが置いてけぼりにされるのは些か哀れだ。

 

 しかも度し難いことにアリアもショック受けすぎて性癖捻じ曲がって来たし、このまま放置しておくと自分だけ相手されない状況に興奮してのぞき見とかで満足しそうで気が気じゃない。

 

 勝手に身体を使うのは申し訳ないけどね。

 でも、あの子と結ばれるために頑張って来たんだ。

 ボクはそれをずっと見てきた。

 アリアが立ち上がれないなら、そのきっかけを作れればいいと思ってる。

 

 ……とはいえ。

 

 いくら道具であっても、男女が激しく過ごしている部屋に入るのは中々怖いなぁ。

 

 女神に作られてるから人格ベースは女だしさ。

 しかも前に浴場で見た時なんて、三本目の足かと思ったもん。

 

 …………アレかぁ……。

 

 剣が鞘になるってのは、不思議な気持ちだなぁ……。

 

「すーっ、はーっ、すーっ、はーっ……よし……」

 

 意を決して、ドアノブに手をかけた。

 

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