ドMだからついでに仲間庇ってたら全員病んでた   作:恒例行事

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193 聖剣①

「たのもーっ!!」

「!?」

「!?」

「!?」

 

 くっくせもの!?

 であえであえ! くせものだッ!

 あっでも気持ちよくて動けない……♡

 

「うわぁ……すっご……」

「あ、アリアンロッドさん!? なぜここに!? どうして!?」

「っ……我が使徒! 早く抜きなさい!」

「む、むうっ」

「むうっじゃなくて!! あんっ」

 

 グッ、ペチッ。

 グッ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ……

 

 やばいやばいやばいッ!!

 アリアに見られてるっ!

 アリアに俺がまぐわってる姿見られちゃってる!!

 こんなっこんなのっ、ハァッハァッハァッ……! こ、興奮してやばいと思ってるけど交尾止められないんだけど!!

 

「わ、わぁ……そんなの挿入るんだ? うわぁ〜……」

「〜〜〜〜〜〜ッ……!!?」

「ちょ、フィ、フィンさん!? 止まって! お願いしますっ!」

 

 マリアンヌが抱きついて静止しようとしてくる。

 そんなことをしても俺の精子は止まることを知らない。

 おほほっ今なら闇マリを強引に捩じ伏せてえっちできる! 止まるわけがないッ! 俺はもう止まらないからよ……! マリアンヌッ! アリアッ! 俺は先にイクぞっ!!

 

「ちょっとちょっと、盛り上がらないでよ。ほら、幼馴染のおっぱいだよ?」

 

 !!!!!!?!?!?!??!?!??!

 

 アッアリアのアリアンロッド!?

 

 はわわわ……お、幼馴染が露出!?

 露出狂になっちゃった!?

 

「おお。流石はアリア、この子を止めるには最適だね」

「…………待て。お前、本当にアリアか?」

「ふふん。どう見える?」

 

 思わず腰以外の動きを止めてアリアの顔をじっと見る。

 

 突拍子もない行動を取るのはアリアらしいところだが、アリアは純朴な女の子だ。

 

 マリアンヌのように性的な目で俺を見ていることもあったが、それはかつての話。

 

 うん、昔はまぁ、距離がかなり近くてさ。

 マリアンヌがえっちな目で見ていますと告白してくれたのでピロートークでアリアの話をしたら「それはえっちな目で見られていましたし、セクハラです」とプリプリしていた。抱きついて太ももで股すりすりとかしてたもんな、アイツ……。

 

 あいにくその頃の俺は性欲より殴られマゾだったため、同じように発情することもなかった。

 

 というより毎日疲労でそれどころではなかった。

 

 そして再会して以降はそんな風にしてくることはないし、男女の距離感というものを理解しつつも容易く線を踏み越えてくる気安さがあった。俺はそれを男慣れした結果の非処女特有の動きだと思っていが……ここまで堂々とおっぱいを見せつけるような下品さは持っていなかった。

 

「アリアじゃ……ないな? アリアが俺におっぱいを見せるわけがない。アリアはもっと恥じらいがあって、俺の裸を見ただけで気絶して気を失うほど性的に清楚な女の子なはずだ! 決して他の男と遊んでいたりしないんだ……!」

「うーん……それを聞くとアリアは嬉しいと思うけど、あの、止まるとか……」

「すまないが、それは聞くことができない」

「〜っ、っ、ぅっ、っっ……!!」

 

 闇マリが声を押し殺している。

 顔は真っ赤で涙を流しながら睨みつけてきていて、その、ふふっ♡

 

「それに、明らかにアリアと違うところが一つある」

「……へぇ? なんだろう、私、本物のアリアかもしれないよ?」

「嘘つけ。目の色が違うだろ」

 

 アリアは青目(・・)

 今目の前にいるアリアの姿をした女は赤目(・・)

 パッと見じゃ気が付かないかもしれんが、こんな露骨に偽物かもよ〜? なんて匂わせてきているのにわからないわけがない。

 俺を誰だと思ってる。

 俺はアリアの幼馴染だぞ。

 

 俺がドヤ顔で指摘すると、偽アリアはキョトンとしてから、自分の目元をペタペタ触った。

 

「……え、目の色違うの?」

「えっ、そうだけど……」

「…………そっかぁ。なるほど、そういう変化が出るんだ」

「知らなかったのか……」

「うん。入れ替わるなんて初めてだからね」

 

 偽物のくせにフランクだなこいつ。

 

 緊急事態ではあるのだが、どうにも敵意がない。

 

 扉の前に誰かがいるのはわかってた。

 だがどういうわけか入ってくる様子もなければこちらに干渉しようとする気配もなく、どう考えても部屋の中の音を聞いているだけだったのでそれならいっそ見せつけてやろうと思い盛り上がっていたくらいだ。

 

 盗み聞きするのって大抵アリシアさんだしね。

 

 しかし、まさかアリアの偽物が聞いているとは思わなかった。

 

「それで? 誰なんだ、お前は」

「えっ、本気でこのまま進めるつもりなの……?」

「それで? 誰なんだ、お前は」

「…………ふ、ふふっ、なるほど。これじゃあ、アリアには荷が重いよね」

 

 汗を垂らし緊張した表情で偽アリアが呟く。

 

「私────いや、ボクは、聖剣なのさ」

「なっ……せ、聖剣? あの?」

 

 思わず声を出すと、偽アリアはニヤリと笑う。

 

「そうとも。ずっと君達の近くにいたあの聖剣さ。憎き太陽神に造られた、そこの月女神様とは因縁のある存在だよ」

 

「ぁっ、ぇっ、ぃ、今じゃなっ、う゛っ」

「……ね、ねえ、フィン。お願い、止まってくれないかな? 真面目な話なんだ。ちょっとくらいいいじゃないか」

「無理だ、止まれない。これまでの鬱憤晴らすまで止まる気はない。全て闇マリが悪い」

「…………」

「…………」

「ちょっ、と、止めっ、あっ♡ う、う゛ー!」

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

「えっと、お茶です」

「ああ、これはどうもご丁寧に。幼馴染同盟は破綻したけど、暫くしたらアリアも混ざるからよろしくね」

「あ、はい。……アリアンロッドさんは、今どうされているんですか?」

「寝てるよ。いつでも起こせるけど、もう少しこのままがいいと思う。アリアだとこの臭いに当てられて倒れそうだもん」

「あぁ……確かに」

「た、確かに……? そうなんだ……?」

 

 マリアンヌは疑問を浮かべているが、以前の出来事を知っていれば疑いようもない事実だ。

 

「あはは、まあ、アリアだし」

「……お前は平気なんだな」

 

 正直、アリアの顔で平然とされると違和感がすごい。

 

 アリアがこの淫臭でムワッとしてる室内で顔を顰めてない時点で別人だなと思えてしまうのだ。

 

「剣だからね。と言っても、初めて嗅いだのがこんなやらしい匂いなのはちょっと残念かな」

「普段から五感があるわけじゃないのか」

「そりゃそうさ。剣として扱われてるのに五感なんてあったら拷問だよ」

「そうか? 盾扱いも悪くないぞ」

「…………」

「…………」

 

 エッ、な、なんか場の空気が終わった!?

 

 どんよりした顔になったマリアンヌと、俺を見てなんとも言えない顔をする偽アリアこと聖剣。

 

「あー……ボクはわかってるから大丈夫だけど、あんまりそうやって言うもんじゃないよ? 他の人はほら、キミを盾扱いしてきたことに後悔してたりするから」

「後悔? なんでだ? 俺にとっては天職なんだが……」

「たとえば、今キミの隣にいるマリアンヌなんかはすごく辛そうだよね」

「確かに……」

「たとえキミがマゾヒストで苦痛を快感に感じられても、傍目から見ると人が死にそうになってるわけだから、気分は良くない。たとえばアリアが毎回戦う度に死にかけていて、心配したキミがもう無理はするなと言っても『私は大丈夫だから……』と儚い顔で言っていたらどうする?」

「縛りつけてでも止める」

 

 アリアが死にかける?

 そんなの許さない。

 アリアをそんな目に遭わせたくないから俺は力を求めたんだ。

 だってのに、アリアがそんなことになっていたら……死んでも死にきれない。

 

「だよね? それと一緒で、みんなキミのことを大切に想ってるんだ。少なくとも今はそう見えるよ」

「…………そうだろうか……」

 

 俺には、そうは思えない。

 

 周りが俺を大切に思っているのならば、なぜ俺はこんな人生を歩んできたんだ?

 

「フィ、フィンさん……」

「それはキミが強すぎたんだ。キミは一人の人間として強く、気高かった。ゆえに、誰もが見誤った。キミという一人の人間の限界を」

「俺の、限界……」

「何より、キミ自身、自分の強さをわかっていなかったんだ」

 

 俺が、強い?

 俺が、気高い?

 どこが、何が、どうしてそう思うのか。

 まるで理解できず苛立ちが込み上げるが、深紅の瞳が俺を捉えて離さない。

 

「フィン・デビュラは強すぎた。黒森人に出会い教えを受け、元より存在した善性に魂が染まった。アリアのために、黒森人のために、湧き上がった負の感情を強引に奥底に捩じ込んで、自分は真っ直ぐに進んでいるんだと言い聞かせ続けた。自己暗示どころじゃない。洗脳に近いよ」

「……そう、なのか?」

「そうとも。普通の人間ならとっくの昔に耐えきれずに壊れてる道を、キミは歩んできたんだ」

「どうして、そんなことが言えるんだ? お前は聖剣で、……モノで、人じゃない。俺のことを、どうしてそんなに知ったようなつもりでいられるんだ?」

「ヒッ……フィ、ンさ……」

 

 隣で、マリアンヌが怯えた声を出した。

 

 だが、聖剣はそれでも自信に溢れた表情で告げる。

 

「逆だよ逆。キミを一方的に知ってるだけの存在だから言えるんだ」

「…………どういうことだ?」

「キミと親しければ親しいほど正常な判断は出来なくなる。常識的に考えて、これだけ献身的な盾役が実はマゾヒストでしたなんて誰が思う?」

「それは……そうなんだが……」

 

 きゅ、急に正論で押し込めてくるじゃん。

 

 それを言ったら……おしまいだろうが……!!

 

「盾役として申し分なく、それでいて紳士で仲間思い。逆の立場だったらキミは『お前もしかしてマゾか?』なんて言えるかな?」

「い、言えぬ……」

「だよね」

 

 ぐうの音もでない正論。

 

 なんなら先ほど怯えた表情だったマリアンヌもしきりに頷いている。

 

「言えるわけがありません。もしそれで違ったら、その時点でパーティー解消される未来まであります」

「そ、そんなにか? 別に俺は気にしないし、気持ちよくなってしまうが……」

「なるんですっ!!」

「ハ、ハイすみません」

 

 怒られてしまった。

 

 ううむ、なんという正論……。

 

 言われてみればその通りとしか思えないのだが、いざ俺を当てはめてみると、とてもじゃないが納得できない。

 

 だって、所詮は俺だからなぁ。

 

「……そうであったとして、お前が俺を深く理解している理由にはならないんじゃないか? 明らかにそれ以上に俺を知っているような口ぶりだったぞ」

「それは……ううん、説明しにくいんだけど……」

 

 ちなみに闇マリはすでにダウンしている。

 

 気絶したまま消えていったからね。

 あの感じだと数時間は寝てるはずだ。

 マリアンヌのあわわわって反応も非常に良かった。次に自分が標的にされるとわかって後退りされたのはショックだったが、なんだかイケない快感が込み上げてきて、ふふっ、おほほっ♡

 

 これからも何度かやろう、闇と光のマリアンヌ… …。

 

「そもそもボクがなぜアリアの身体を乗っ取れたのかにも関係するんだ。話が長くなるんだけど、聞いてくれるかな?」

「別に構わないぞ。今はスッキリしてるし」

「……私もかまいません」

「……マリアンヌ、なんか怒ってる?」

「怒ってませんっ!」

「怒ってるじゃん……あてっ」

 

 余計なこと言ってマリアンヌにパンチもらってしまった。

 

 だが闇のマリアンヌと違ってふわふわでぺちっとする程度。

 

 こんなのご褒美だぜ?

 俺を喜ばせているだけだということに気がついているのかいないのか、マリアンヌは頬を膨らませていた。

 

「アリアもそれくらいイチャイチャできればいいんだけどなぁ……」

「ガキの頃の方がよっぽどくっついてきたぞ」

「あれは…………イチャイチャとはちょっと、違うかな……」

「…………やっぱりそうか……?」

「うん……」

 

 本人のいないところで微妙な空気が漂ってしまった。

 

 嫌とかじゃないんだけど、自分がそういう対象として見られてたってのが本当に意外すぎて、うん。現実感がなくてフワフワする。嬉しいっていうか、なんだろな、これ。

 

「……案外、一緒に旅してたらあっという間に手を出してたのかもね」

「……どうだろうな。俺達はともかく師匠が許さないだろ」

「見逃してくれると思うよ。気まずくなるだろうけど」

「……ありうる……」

 

 ありえた未来。

 可能性と言うべきか。

 あそこで我儘言って着いていけば、アリアとだけ結ばれていた可能性があるのか。

 

 …………。

 

 なんだか少し切ない感じがする。

 

「んんっ。アリアの恥ずかしい話はここまでにして、どうしてボクがアリアの身体を乗っ取れたのかを説明するよ。これがフィンのことを知っている理由にもなるんだ」

「わかった。よろしく頼む」

「うん。まず、結論から言うと────キミに取り憑いてる邪女神様の力が混ざっちゃったんだよね」

「……つまり?」

「聖魔入り混じった聖魔剣とでも言うべきかな。半分聖剣、半分モンスターって感じの存在になったんだ」

 

 そこで聖剣は一度言葉を止めた。

 

 言いにくそうに、彼女なりに悪いと思っているのか、すまなそうに紡ぐ。

 

「その時に、キミの記憶を視た。フィン・デビュラの、今に至るまでの記憶を」

「……俺の、記憶?」

「そうだ。キミの主観で、キミの抱いてきた想いも、何から何まで視た。だから、ボクはキミのことがわかる。フィン・デビュラっていう一人の人間がどう生きてきたのか、誰よりも正確にわかってしまうんだ」

 

「ボクにとってキミは……育ての親みたいなもので、愛すべきヒトで、とにかく、大事な人なんだ。アリアにだって、負けないくらいに」

 

 そう言って、聖剣はにこやかに微笑んだ。

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