ドMだからついでに仲間庇ってたら全員病んでた   作:恒例行事

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204 【超滅】の懸念/衝撃の事実に崩れ落ちる聖女

「……あん? なんか騒がしくねえか?」

「ここんとこ物騒だからねぇ。正直アタシにゃついてけんよ」

「あ、あはは……ついていかないほうがいいと思います」

「そういうわけにもいかんだろ。デビュラも大変だろうし、関係性の薄いおれ達が協力してやんねーとさ」

 

 廊下の外で複数人の足音が聞こえた為に怪訝な表情をしていたアニカの言葉にカトリーナは目を見開く。

 

「え、えっと……な、なぜデビュラさんの名前が……?」

「……? そんなんどう考えてもアイツが中心人物だからだけど」

「そ、そうですか。いえ、ならいいんです」

「……??」

 

 カトリーナが何を警戒しているのかわからないアニカは疑問を浮かべたが、カトリーナは気が気では無かった。

 

 中身がド変態で邪神に魅入られた狂人。

 それが彼女から見たフィン・デビュラの総評である。

 元々神が憑りついていながら平然としていたのに加え、神に不浄の奉仕をさせていたのを見て彼女は心の底から恐怖を抱き、怯えた。

 

 顕現した神の力は絶大だった。

 今や里の祠から出てくることのない己が信奉する神と比べてもあまりにも強く、これが神の本当の力なのかと慄いた。

 

 そして、そんな神に魅入られながらも好き放題操られるわけでもなく、寧ろ、奉仕すらさせてしまうフィンが怖くて仕方なかった。

 

 そして何より、そんな裏事情は表に一切出てこないのだ。

 

 冒険者で最も優れた盾役と言って過言ではなく、白金等級冒険者の弟子にして勇者の幼馴染であり聖女とも仲が良くハイエルフの王女たちにも親しみを持たれている。のだが、その中身が強大すぎる邪神にすら奉仕させるような怪物だとわかっているのは、カトリーナだけだった。

 

 フィンがドマゾで中身がぶっ壊れてることは知らされていないため、カトリーナが一番【超滅】でフィンを理解している。

 

 ゆえに彼女は危機感を抱いていた。

 

(ドレイクとミューズはともかく、アニカはまずい。初顔合わせの時はあんなに露骨な警戒してたのに、今じゃ二人きりで鍛錬するようになっちゃったし……!)

 

 カトリーナがなによりもよろしくないと危険視しているのはアニカのことだった。

 

 そう、アニカは自分がどう見られるかに対してとても無頓着なのである。

 

 そもそもただの村娘のくせに顔立ちは整ってるし、ドレイクに出会ってからは身なりが劇的によくなった。女の子っぽく見られると顔を真っ赤にして恥ずかしがる割にボーイッシュな服装なら嬉々として受け入れる。

 

 ボーイッシュだが、アニカは顔立ちはかわいらしいし、身体つきもいい。

 

 当然女としての魅力は磨かれていく。

 

 そうだというのにアニカはどこかズレているのだ。

 

(ど、ど、どう考えても順当に攻略されている……!)

 

 先日なんて、下着姿で汗まみれでぜえはあと艶めかしい姿を見せた際に注意されたとかなんとか。本人は『大丈夫、デビュラは手ェださないって言ったし! アイツは信用できるって!』などと言っていたが、耳が真っ赤になっていたことをカトリーナは見逃さなかった。

 

 なんなら時折虚空を見つめては頭を抱えてもぎゃああと一人で唸っている姿も目撃している。

 

(他人の恋路に口を挟むのはよくないと里でも言われていましたが──相手が相手です。いくらなんでも、手放しでは喜べません……!)

 

 フィンを巡るライバルはとても多い。

 勇者を筆頭に聖女、剣聖、ハイエルフの姉妹、第二王女……この面子を前にアニカが太刀打ちできるとは思わなかった。海千山千の修羅たちが揃っているのだ。ボーイッシュおれっ娘アニカ、自称前世で男と言い張っている村娘が勝てるわけがない。

 

 初めから負けることがわかっている恋というのは険しい道だし、それに、邪神に奉仕させるような男だ。しかも先日は何の拷問なのか男性器が生えた聖女ともまぐわってきたそうだし、ますますアニカを任せるわけにはいかないとカトリーナは意気込む。

 

(あんなド変態の女たらしの手にかかったら、アニカなんて一瞬で傷物にされて……く、い、一体どうすれば……!)

 

「ま、とりあえず見て来るわ。ドレイクも来るか?」

「……止めとくよ。悪い男じゃないが、火傷じゃすまなそうだし」

「そんな男じゃねえと思うけどなぁ……」

 

 アニカはやや不満げな顔でそう言った。

 

(すっかり篭絡されてる!!)

 

 ドレイクも同じ考えに至ったのか、苦い顔だった。

 

 どう声をかけたものかと悩む二人のことなど気にしてないのか、アニカはそのまま呑気に部屋から出て行った。

 

「……どうしましょう」

「……どうにもならないねぇ、あれは。手痛い失敗する方が早いんじゃないかい?」

 

 生娘が都会の男に引っ掛かった。

 言ってしまえばそれだけのことだが、相手が悪すぎる。

 周囲の女よりアニカを優先される訳が無いのだ。

【超滅】の面々がフィンのシモ事情を知っていればもっとスパッと「やめとけ」の一声が出たかもしれない。巨根の次元を超えた女殺しに常軌を逸した性癖、更には邪神をも交えた複数人でのプレイ。生娘で元男(笑)のアニカが太刀打ちできるわけがない。ありとあらゆる意味で飲み込まれるだろう。

 

 ──だが、【超滅】はパーティーの方針として深く関わり過ぎることを避けていた。

 

 カトリーナがそれとなく警戒し、ドレイクがそれを受け取った。

 

 フィンや邪神関係の話が発覚し暫くはこのままでいようと決まった。

 

 アニカがちょっと入れ込んでるのは、まあ、こう言っては何だが、ちょっとした人生経験のようなものだと判断していた。おれは女らしくしねーと言っていた娘が恋に恋した感じで男にふらふら揺られつつあるのだ。それを面白いと思う感情もあった。ドレイクには。カトリーナにはない。

 

 もしも、二人の内どちらかがドロドロに発展しながらなぜか普通に纏まりつつあるハーレムについて関与していれば──……。

 

 二人は数日後、この時アニカを止めなかったことを後悔することになる。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「たのもう! フィンとまぐわいに来た!」

「????????」

 

 アリアと師匠とイチャイチャしてたら【払暁】の三人が部屋に乗り込んで来た。

 

 しかもカルラに関しては直接的過ぎる誘い文句を叫んでいる。

 

 これには俺も困惑、師匠は遠い目をしてアリアはジト目で俺を見ていた。

 

「は!? ちょ、カ、カルラさん!? いきなりなにを!?」

「フッ、慌てるなマリアンヌ。まずは私から脱ごう」

「脱ごうじゃねえですよ!?」

 

 エッ、マ、マリアンヌさん、ちょっと口調がいつもと違いますね。

 

 まさか……光のマリアンヌに闇の部分が……!?

 

「ま、待て落ち着けカルラ。一体何がどうなって、なんで、なに?」

「そなたのそんな顔を見れたのは貴重だな。うむ。単刀直入に言えば、アリシア殿より諸々の事情を聞いた。そなたの苦痛というものを理解せず、これまでのうのうと生きてきて誠にすまなかった」

 

 そう言ってカルラは頭を下げて、アストレアも一緒に下げて、マリアンヌも慌てて下げた。

 

「そなたのお陰で我らは生きている。今に至るまでそなたにはずっと不愉快な想いをさせてきた。もしそなたが望むのならば、この場で腹を掻っ捌き自刃するつもりだ。顔も見たくないと言うのならば姿を消そう。だが、もしもまだそばにいて、都合のいいように扱っても良いと思ったのならば、我らのことを使い潰し少しでもそなたの心を和らげる材料にしてもらえないだろうか」

 

 カルラの言葉が終わった。

 

 …………えっ。

 なんか滅茶苦茶過激なこと言ってないか?

 

 先程まで俺をジットリ見ていたアリアも、この言葉には目を丸くしていた。

 

「……自刃? 消える? カルラ、なにを言ってる?」

「そなたの心が潰れたままであることを知った。その一因を私が担っていることもわかっている。謝罪はしたが、自分の身体を好き放題切り刻んだ女など、顔も見たくないのではないかと思った。だがうだうだ悩んでそなたに余計なことを考えさせるくらいならば、ハッキリ決めてもらった方がよい」

 

 ……確かに、俺の味方ではなかったという点で、昔のカルラはかなり厳しい人だった。

 

 だがそれは、俺の実力不足が原因だ。

 

 盾役として十分な実力を持っていればカルラもアストレアもそこまで厳しい態度は取らなかっただろう。現に俺の実力が伸びてからは背中からザックリ脇腹グサッという手酷い誤射はなくなった。

 

 何なら尖兵と遭遇して以降は頼れるお姉さんって感じだった。

 

 東方料理とか振舞って貰ったしな。

 一緒に暮らし始めてからはかけがえのない仲間になった。

 今はこう、なんか紆余曲折あってエロいことしてるんだが、どうして俺がそんな風にカルラを切り捨てるだなんて考えたんだ?

 

「あのな、カルラ。嫌いな女とエッチするわけないだろ」

「だが、そなたは【天日の聖女】殿ともまぐわっている」

「あれは半分趣味だ」

「!?」

「!?」

「!?」

「!?」

「!?」

 

 ガタッと扉の向こうからも音がした気がしたが、誰も指摘していないので気のせいだろう。

 

「カルラは知ってるだろ? 俺の内臓が弱ってて定期的に血を吐いたり出したりしてることを」

「あ、ああ……それは、知っているが……」

「……えっ。ちょっとまって、私それ知らないんだけど」

「まあ、誰にも言う気はなかったんだ。内臓が弱ってる盾役なんていつダメになってもおかしくない。流石に職を失うと思って、言い出せなかった」

 

 そう言うと、周りの空気が先程よりも沈んだ。

 

「……フィン。それは、本当かい?」

「でも大丈夫だ。治せはしなかったけど神殿で治療を受けてた。中々、高かったけどな」

「な……なんで、言ってくれなかったんですか!?」

 

 マリアンヌが叫ぶ。

 

 その瞳には涙がにじんでいた。

 

「私、私だって、フィンさんを助けたいのにっ! なんで、なんで言ってくれなかったんですか……?」

「……言えるわけがないだろ。なんの後ろ盾もない俺が、使い物にならないと知れたらどうなるか。三人に捨てられたら、俺の居場所はなくなるんだ。言えるわけがない……」

 

 あと単純にマリアンヌに尻の穴を貫かせる趣味もなかった。

 代わりにセラさんに尻の穴を開発されてしまった。

 

「フィ、フィン、平気なの……?」

「たまに血を吐いたり出したりするだけで基本問題ない。それに、どうせ死なないんだ。放置したってなんの影響もないよ」

 

 そう言うと、アリアは真っ青な顔になる。

 

 重苦しい空気になったが、元々俺がそういう状態だと知っていたカルラが疑問の声をあげた。

 

「……ん? うん? 待てフィン。それと、イチモツの生えた聖女殿とまぐわうことの何の関連性がある?」

「治療の一環で尻に杖をねじ込まれてる内に気持ち良くなってしまったんだ」

「……………………。…………フッ……そうか……」

 

 カルラの目が遠くを見るようになった。

 マリアンヌの顔が絶望に染まり、アリアはとなりでフラフラ頭を揺らして「お、おし、おし、お、お、おおっ……」なんて言っている。見たんじゃなかったのかよ。

 

「それに常識的に考えてパーティーメンバーで異性で同い年で聖女なんて呼ばれてる女の子に『お腹に古傷があって臓器から出血するのでお尻の穴に杖を入れて治療してください』なんて言えるか?」

「い、言えぬ……」

 

 あまりの正論に誰も反論しない。

 

 これは本当にどうしようもなかったんだよ。

 

 仕方なかったんだ。

 そして俺もまた快感を得てしまうのも仕方ないことだった。

 だってマゾだもん。

 お尻の穴ほじくられてたらそりゃあ気持ち良くなってしまいますよ。

 闇マリもそうだもんね笑

 

『えいっ』

 

 おっおごほおおぉおおぉっぉおっ!!!!???!?!?!

 

「……だから、俺が隠れて治療してたのは、そういう訳なんだ」

「……で、でも私、フィンさんのためならっ!」

「いや俺が嫌だよ…………」

「…………そう、ですよね……」

 

 なんでマリアンヌは悲しそうな顔してるの!?

 

 それが一番わからない。

 やはり聖女になるような女の人はあまりにも高潔すぎて他人のお尻の穴に杖をぶちこむことすら躊躇わないのだろうか? それが人を救うことになるのならと覚悟しているのか。もしそうだとすれば、マリアンヌを見誤っている俺が悪い。

 

「……ちなみに、神殿ではどなたが?」

「ああ、セラさんにやってもらってた」

「…………お、おごふっ」

「マリアンヌっ!?」

 

 マリアンヌが白目を剥いて倒れた!

 

 崩れ落ちる前に抱きかかえたカルラと、それを庇う様にアストレアが前に出て言う。

 

「フィン……。それ以上は、武士の情けだ。やめてやれ」

「そ、そうよ。追い詰めるなら私達にしてちょうだい!」

「エッ、べ、別にそんなことないんだが……」

 

 勘違いされていたので視線で師匠に助けを求めると、師匠はため息を吐いた。

 

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