お腹減ってご飯食べに来たら会っちゃいけない人に会っちゃった……。
どどどどーすんの!?
闇マリとテイア様は部屋でくつろいでいて、俺だけお腹減ったからちょっとつまみに来たのに……!!
「……これ、冷蔵魔導具か? なんで拠点に当たり前のように設置されてんだよ……」
「まあ、そこは師匠だからな」
調理中の俺の様子を見ながらキッチンを観察するフレデリカ。
極めて真っ当な調査という感じだ。
魔導具に調査もクソもない気がするが……。
でもこの人、手あたり次第男の人襲うんですよね?
ひ、ヒイイッ!! やべーぞレ○プだ! 是非とも襲っていただきたい。フィン・ドマゾ・デビュラです! 聖女様方にはいつもお世話になっています! セラさん! 俺がフレデリカに襲われてるところ見ながらお尻治療して!!
「嫌いなものはあるか? 歓迎会とかじゃなく、男の手料理で申し訳ないが……」
「あー……ドロッとしたもんが無理だ」
「わかった」
あんかけとかを出すつもりはないし問題ないな。
夜だし手が込むのはちょっと。
そうなると、茹でて終わりの麺がいいな。
カルラ仕込みの手捌きで適当に具材をカットし、冷蔵庫からトマトソースやら何やらを取り出し具材と合わせてソース作って、最後にゆで上がった麺と混ぜて完成。
「おー、うまそうじゃねえか」
「まずくはないと思う。聖法国でも似たような食文化なのか?」
「大差ねえよ。地域によっちゃ細かい変化はあるが、大本を辿ればお前の師匠だ」
「なるほど、そういうもんか」
味見はしてるが、うむ、問題なし。
ガキの頃に比べればなんでも出来るようになった。少なくともアリアの野営的手料理よりはうまい。だけどね、大事なのは味だけじゃないんだ。愛情……そう、愛情だよ。愛情こそが大事なんだ。
「……普通に美味いな」
「口にあったなら何よりだ。流石に、作り置きの軽食を食べさせるわけにもいかないだろ?」
「私は別に気にしねえよ。毒だろうがなんだろうが、自分で治せちまうからな」
ニヤリとフレデリカが笑う。
「フィン・デビュラ。女に囲まれたパーティーで男一人。さぞかしいい思いしてんだろうな」
「よく言われるよ。無能を痛感する日々だ」
「……はぁ? 無能?」
「所詮、俺はただの盾役だからな。毎日尻叩かれて尻に敷かれてるよ」
嘘は何一つ言っていない。
毎日お尻を叩かれたり叩いたりお尻に敷かれたりしている。
「ハッハッハ! なんだそりゃ! お前、そんなんなのか!?」
「当たり前だろ? 女傑揃いの中で、そんな大それたこと出来ないさ」
「しかも、あの怪物ババアの弟子だろ? く、くっくっく、なるほど、なるほどなぁ……お前も苦労してんだな、デビュラ」
実際、フレデリカに爆笑されている姿は過去の俺の真実だ。
「はぁー、いや、すまんすまん。てっきりいい思いばっかりしてると思ってたんだよ」
「いい思いはしてるぞ? なにせ、美人揃いだ」
「くくっ、そうだなぁ……」
よし、これだけ言っておけば俺がエロハーレム作ってるとは思われないだろ。師匠に言われたのは二つ。俺がエロハーレム作ってることと、神様関係のことを隠すこと。
この二つは聖女二名の地雷になりうるかもしれないそうだ。
そんなことを言われてしまっては、全身全霊で隠し通すしかない。
セラさんに嫌われたら……?
そんなの、考えただけで死にたくなる。
「まあ、いくらなんでも、ありえねえことだとは思ってたよ。怪物ババアが男にいいようにされてるなんざ、ありえるわけがねえ」
「フレデリカは魔王軍討伐に出向いてたんだったか」
「ああ。あんな怪物がいんのかよって、心底震えたね」
しみじみと彼女は呟く。
「でもまあ、あの矛先は向けられなかったワケだ。だからこうして生きてる。そんな怪物たちが、まさか一人の男に好き放題されてるなんて……考えにくいだろ?」
「ハハ、ソウダナ」
全くその通りだ。
何をどう考えたら俺がみんなとエッチし放題出来るようになるんだ? 全ての元凶はアリシアさんだ。俺じゃない。
「それで……実際のところ、どうだったんだ?」
「どうだったって、なにが?」
「あの聖女のことだ。【天日の聖女】は、どうだった?」
はい、おちん○んが素晴らしいであります!
巨乳に巨根! ありえない組み合わせで頭がおかしくなりそうです!
「そうだな……逞しい人だと思った」
「逞しい……」
「ああ。芯が硬くて骨太。まさに序列一位の聖女だと思ったな」
そう言うと、フレデリカは納得したような、してないような表情になる。
「それでいて大らかで、俺を丸ごと包み込むような母性もある」
「……そうか……?」
「男の視点だからな。女から見たら、バカみたいなものかもしれん」
苦笑しながら言うと、フレデリカも同じように苦笑した。
「そういうもんか?」
「そういうもんだ。……その、フレデリカも少しヤンチャしてるって聞くが……」
そう聞くと、フレデリカは僅かに眉を顰めた。
「ああ……そうだな。ヤることはヤってるよ」
「聞いていい話か?」
「別に構いやしねえよ。そっちの話ばっかり聞いて、こっちの話をしねえのは変だろ」
「話したくなければフレデリカの好きなものとかでいいぞ?」
誰にだって言いたくないことはある。
噂で広まってようが本人に直接聞いたらいけないことはいくらでもあるからな。そう思って気遣ったのだが、フレデリカはなんともいえない顔をした。
「……なんだそりゃ。見合いかよ」
「ほう。経験があるのか?」
「チッ、思い出させんな。そりゃあ、これでも聖女だ。生まれも育ちも醜い私でも、今の立場には価値がある。バカな男共ばっかりが寄ってきやがるよ」
「そりゃあ災難だ」
不愉快そうに吐き捨てる。
「お前は?」
「……俺か? 見合いなんてしたことないぞ」
「そうじゃねえ。誰が本命なんだって聞いてんだよ」
少し真剣な表情になって、フレデリカが言う。
「お前が難しい距離感を保ってるのはなんとなくわかる。男一人で女に囲まれて、しかも女に抵抗できねえときた。そりゃ、おいそれと女を選ぶこともできねえだろ」
「……まあ、そうだな」
「それで理性を保ち続けてんのは尊敬に値するが──お前だって男だ。困ってんじゃねえのか?」
エッ、いや、そうでもないです。
今は特に困っては無いです。
寧ろありすぎて困ってるって言うか……。
というかなに?
誘われてる?
童貞の頃の俺だったら既に絶頂してそうなエッチな会話だぞ。くそっ、会話だけで男を弄ぶのか!? これが男食いの聖女……!? 童貞じゃなかったから耐えられた。困ってんじゃねえか? フレデリカはそう言いながら我慢に我慢を重ねた童貞の俺を脱がせ瞬く間に裸に剥き、むき出しのフィンフィンに蹴りを…ハッ!!
い、いかん。
エロが溢れかえっている!
闇マリ!! 戻ってこい! 俺の頭のエロを吸い取ってくれ!!
フレデリカは、そのまま俺に対し、試すような口調で言う。
「私が相手してやろうか?」
口元には笑みが浮かんでいる。
だが、目は一切笑っていなかった。