ドMだからついでに仲間庇ってたら全員病んでた   作:恒例行事

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96 昼下がりの密室、男女三人、何も起きない筈がなく

 左を見ればアリシアさん。

 右を見ればカルラ。

 二人の生着替は絶景だな。どれほどの地位と名誉、そして金をかけても決して見ることが出来ない奇跡の一枚。

 

 それが今、前の前で起きている。

 

 最高だ……

 男として、これほど嬉しいことがあるか?

 まああるかもしれないが、少なくとも今、俺は人生で十本の指に入るくらいの幸福を噛み締めている。

 

 ああ…………。

 俺、ドマゾでよかった……!!

 

「いたた……ああもう、ほんと最悪。なんで私がやる羽目に……」

「いや、流石はフィンの心を見抜いたお方。私ではまだ到底辿り着けぬ領域におられる。心底驚愕致した……私は、まだまだ未熟だったのだな、と」

「ちょっとカルラ、それやめて。私だってやりたくてやったわけじゃないのよ!」

「しかしなぁ……我が故郷には、嫌よ嫌よも好きのうちという諺があるのだ」

「知らない知らない! やりたくてやったわけじゃないからもう!」

 

 プンスカ起こりながらブラを合わせたアリシアさんに、ズボンを履いたカルラが苦笑しながら言う。

 

「それは無理があるだろう。そもそも、四つん這いになったフィンの尻を容赦なく鞭で叩いた辺りで『もしかしてこの二人は相思相愛なのではないか?』と思ったぞ」

「あっあれはっ! カルラが嫌だって言うから、仕方なく……!」

「──ああ、あれは素晴らしかったな。鞭を肌にくらったのは初めてだったが、これほど心地よいものだとは……」

 

 二人がかりでスケベなことをされた俺は、「は、はひィ」と情けない声をあげ四つん這いになり全てを受け入れる体勢になった。

 

 前回はそれを見て正気になってしまったアリシアさんだったが、今回はカルラという強力な助っ人がいたお陰か、正気を保ち鞭をカルラに渡して唆すいい役割を担っていた。

 いや、あれは普通に楽しんでたな……。

 ドマゾの俺だから間違いなく確信できる。

 あれは楽しんでたよ。

 

 そして鞭を手に握らされたカルラは、恐る恐る鞭を振るい、初めて体験する鋭く熱を帯びた痛みが快楽となって襲いかかる感覚に驚き盛大に喘いだ俺に躊躇してすぐさまアリシアさんに鞭を渡してしまった。

 剣聖の腕から繰り出される鞭の感触……

 

 いや、あれは手加減してもらえなかったらやばかったかも。

 普通にあれで背中にパックリ切り傷出来たからね。

 気持ちいいんだけどカルラが精神的に怯えてしまったので、仕方なくアリシアさんの手に鞭が渡り、『や、やってやろうじゃないの!』と宣言した彼女によって俺の長年の夢であった鞭によるSMプレイが実行された。

 

「自分の手で鞭を振るったアリシアさんならばわかるだろうが、鞭の先が肌を裂き肉に突き刺さるあの瞬間、電撃が奔り傷跡丸ごと絶頂した感覚だった」

「感覚というか、してたわよね」

「あ、ああ……すごい量だった」

「それは、アリシアさんが追撃してきたからだ。やめてと言ったのにやめてくれないから……」

「ねぇ! 自分でやめなくていいって言ったわよね!? なんか私が鬼畜みたいなイメージ作るのやめてちょうだい!」

「……いや、アリシア殿は十分鬼畜の範囲に入ると思うが」

「え!!!!!!?!?!?!?!?」

「自覚、ないのか……?」

「……え、うそ。ちょ、ちょっとまって。もしかしてそれ、本当に言ってる? 冗談とかじゃなく……?」

 

 カルラは、神妙な顔で頷く。

 するとアリシアさんは深く絶望した表情になり、その場に崩れ落ちた。下着姿のままで。

 

「うっ、ううっ、うっ……そ、そう、そっかぁ……私、もう手遅れなのね……」

「お、おお……労しい……」

 

 そなたも苦労しているのだな、なんて言いながら肩をポンと叩く。

 

 闇のマリアンヌ、一ついいか?

 

『どうしましたか? キモドマゾ』

 

 オッ!!!!

 いきなりデザート!!

 

 いや、普通にこれはかなり気持ち悪い男としての気持ちなんだけど。

 

 身体を重ねた女性同士が何か仲良くしてるの、異常な光景すぎて目が慣れないんだよね。

 

 だって冷静に考えてみろよ。

 例えば俺とそこら辺の冒険者が一緒に闇のマリアンヌとエッチなことするじゃん?

 そんでSMプレイ含むエッチの後、ピロートークで女を差し置いて「俺の性癖、歪められちまった……」「お前……可哀想な奴だな……」って慰め合ってたらおかしくね?

 

 どっちも半裸で。

 どう思いますか?

 

『すごくいいですね……』

 

 え?

 

『間違えました。確かにおかしいですね』

 

 そうだよなぁ。

 

『同性愛もまた一つの愛ですが、男女男ではなく女男男は些か歪かと』

 

 ん、ん、ん?

 そういう感じ?

 エスペランサ教って人間は男女同士で結婚しないとダメ、的なこと言ってなかった? 穢れがうんたらかんたらあったじゃん。

 

『エッ、ええ、もちろん。ですが私は聖女ですから、他人の愛を踏みにじるようなことは肯定できません』

 

 ああ、なるほどね。

 確かに光のマリアンヌこと現実マリアンヌはそういうの見ても「はわわ……///」って恥じらって顔を手で覆いながらこっそり指の間から覗いてそう。

 

『その、童貞みたいな女性観直した方がいいですよ?』

 

 あがあああああああぁっ!!

 

 む、胸が痛いっ!!

 不意打ちはらめえええっ!!

 気持ち良くなっちゃうだろ……♡

 

「……ちょうどいいから説明しておくわね。こうやって黙ってる時、大体フィンくんは一人で悲しんだり悦んだりしてるわ」

「は? い、一体なにを……」

「それと、黙ってる時の八割くらいは一人で悦に浸ってると思ってもいいわ」

「失礼だな。半分くらいだ」

 

 カルラの絶望した目がこちらを捉える。

 

 うほほっ、うほほほっ!!

 カルラの失望する瞳に俺が映ってる!!

 そう、そうなんだ! 俺はドマゾでどうしようもない男なんだ! カルラみたいな強くて美しい女に好かれる筈もない底辺なんだッ! ハァッ、ハァッ、こ、興奮する……! そんなカルラが俺のことで一喜一憂してるのも、俺がどうしようもない変態なのも、全部興奮するッ!!

 

「──ところで、これからの話だが」

「!!!!?!?!?」

「ん? どうしたアリシアさん」

「なっ……なな、なんでもないわ、ええ……」

 

 さて、余韻に浸るのはここまでにしておこうか。

 

「カルラ。今回、なし崩し的に抱いた……抱かれた? 訳だが、それでいいのか?」

「む? ……ああ、全く問題ない。むしろこちらこそよろしくと言わせてもらおう」

 

 そう言って、カルラは胸を張る。

 たゆんっ。

 巨乳はいい。

 いいものだ……

 

『……もぐぞ×××が……』

 

 !?

 

「始まる前にも言ったが、私はそなたを愛している。無論、過去のことを忘れたつもりはない。かつて私がそなたにやったことは到底許されざる行為であり、フィンが望むのなら腹を切ることに躊躇いはない」

「そこは躊躇って欲しいが……」

「覚悟として受け取ってくれ。私はそなたを愛している。だがそれはフィンと結ばれて愛し合う男女になりたいのではない。そなたに、幸せになって欲しいのだ」

 

 そう告げるカルラの表情は真剣そのもの。

 

「そなたが不要だと言えばどこへでも消えるし、そなたが欲しいと望むのならば命丸ごと捧げよう。私は、フィンに救われて今ここにいる。ならば救ったそなたが好きに扱うのは道理であろう?」

「…………重っ! カルラ、よく貴女私に斬りかからなかったわね……」

「そんなことをできる立場でもなければ、権利もないのでな」

「潔いのか、ヤケクソなのか……」

 

 えっと……

 つまり、カルラはこれからもエロいことしてくれるってことだよな? 俺のドマゾもバレないってことか。それはそれで惜しい気もするが、まだ全てがバレるのには早すぎる。

 いやそもそもバレちゃいけねーんだよ。

 二人とも受け入れてくれたからって勘違いするなよ、フィン。

 

 俺は気持ち悪いんだ。

 世間一般、常識で考えろ。

 この二人はたまたまめちゃくちゃいい女だったんだ。だから俺のキモすぎる性癖に付き合ってくれているんだ。

 

 だから調子に乗るな。

 そうやって調子に乗ってバレて、次こそドン引きされて【払暁】解散とかになってみろ。俺はもうショックで暫く立ち直れないぞ。鬱間違いなしだ。寝取られなんて……ううっ♡ 寝取られて興奮する俺が恨めしい……!

 

 まあ勃ちはするんですけどね。

 

『死ね』

 

 エッ殺意!?

 物理的な現象だけじゃなく殺意まで!?

 

「まあとにかく──私はそなたに抱かれた事、とても嬉しく思う。私のことなど女として見ていないとすら思っていたくらいだぞ?」

「いやいや、毎度風呂で俺がどれだけ耐えてたと思ってるんだ……。俺は【払暁】のことを思ってだな」

「わかっている。フィンはまことに、良い男だ。……ああ、だが一つだけいいだろうか」

「なんだ?」

「その…………次は、もう少し、手心を加えて欲しい。出来れば、甘い感じに……」

 

 …………。

 

 はぁ~~カルラすき。

 かわいすぎるだろ……。

 

 自分でも少し自覚はある。

 いやだってさァ、これまで一年以上風呂で見せつけられてた最高の女体に突然手が届いたらそりゃあさァ、張り切っちゃうよね。

 

 我慢のしすぎは良くないんだなって改めて実感した。

 

 やっぱ、俺の欲望を満たしつつ仕事をするって姿勢に間違いはなかったんだな。

 

「わかった。でもカルラ、次の話なんて随分気が早いんじゃないか?」

「……存外、いじわるなのだな。そんなの決まってるだろう」

 

 ジトッとした目。

 顔を真っ赤に染めたカルラは、口をもごもごとまごつかせてから、小さな声で呟いた。

 

「…………私にだって性欲はあるし、性癖はあるんだ」

 

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