デート・ア・ライブ春野ナイト   作:蒼穹ノ昴

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第2章 推測

 

 「で?精霊はどんなカンジだったの?」

 

 〈フラクシナス〉に帰ってくると、琴里が「私は不機嫌です」オーラを出しながら言ってきた。

 もちろん、精霊を逃がし、大した情報も手に入れられなかったからだろう。

 

 「聞 い て る の?」

 

 「あっ…あぁ」

 

 「まったく…また無茶して…心配させるんじゃないわよ…」

 

 「何か言ったか?」

 

 「何も言ってない!早く説明しなさい!」

 

 「あ、あぁ」

 

 士道は一通りの説明をする。

 

 精霊の姿のこと。武器のこと。反転体である可能性のことを。

 

 反転体という言葉を発したとき、琴里やクルーたちは訝しげに眉をひそめたり、何かを確認するように目の前のモニターに目を向けたりしていた。

 

 「反転体……椎崎、霊力値は?」

 

 「は、はい。霊力値はマイナスを示していません。反転体ではないと思われますが…」

 

 「そうよね…。アラームも鳴らなかったわ。…そういうデザインなのかもしれないわね」

 

 「あ、あの。司令…ですが、少し気になることが」

 

 「何?」

 

 「士道くんの言う〈黒い騎士〉…。3年程前に現れた精霊の〈フェンリル〉と酷似してはいませんか?」

 

 それを聞いて、琴里は、はっとしたように目を開く。

 思い当たる節がある。そんな表情だった。

 だが、士道はそんな精霊の名前は初めて聞く。

 

 「琴里、〈フェンリル〉って?」

 

 「…〈フェンリル〉は、3年程前に現れた、狂三と同じく「最悪の精霊」と呼ばれている精霊よ。当時出撃したASTが、ことごとく全滅したわ 」

 

 「AST が?!」

 

 「そうよ。全員殺されたわ。黒い甲冑、仮面。確かに〈フェンリル〉に似ているけど…」

 

 「どうした?」

 

 琴里は何かを考えるように黙りこくる。

 やがて、口を開いたのは琴里ではなく、副司令官である神無月だった。

 

 「士道くん。その精霊の武器は槍だったんですよね?」

 

 「はい。でも耶倶矢みたいな槍じゃなくて、もっと細身で…。先端に槍がついていました」

  

 「…そうですか。やはり違いますね、〈フェンリル〉とは違うのでしょうか?」

 

 と、神無月が琴里に尋ねる。やはり何か腑に落ちない点があるようだ。

 琴里はチュッパチャプスをコロコロと口の中で転がしながら天井を見上げる。

 

 「そうね…。今回の精霊と〈フェンリル〉は違う種類だとして考えましょう。そうだ、彼女はもう一人の私を見付けろって言ってたわよね?その意味も気になるわ…」

 

 「そうですね。ということはその精霊が二人いる。ということでしょうか?」

 

 「な、なぁ!琴里!〈フェンリル〉とその精霊はどう違うんだよ?」

 

 「え?あ、説明してなかったわね。違うのは武器よ。〈フェンリル〉は変形型の剣が武器なの。

 変形型…というか、剣が狼みたいになる。

 外見は似ているけど、武器が全く違う。何より、〈フェンリル〉は反転体なのよ」

 

 反転体。世界に絶望した精霊。士道が大嫌いなモノ。

 

 「そうだとしても」

 

 士道は固く決意する。

 

 「あの黒い騎士の精霊も〈フェンリル〉って精霊のことも」

 

 拳を強く握り、声に出す。

 

 「絶対、俺が救ってやる!」

 

 そう言うと、琴里は、

 

 「えぇ、そうよ。分かってるじゃない」

 

 片唇を上げ、生意気に笑った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 後悔の中で、それは生まれた。

 

 殺意の中で、それは覚醒した。

 

 血の海の中で、それは高らかに笑った。

 

 いつしか心はすり減って、自分は誰なのか。

 

 何のために存在し、何のために生きているのか。

 

 それすらも分からなくなった。

 

 ただ、己の中にあるのは破壊衝動のみだった。

 

 「……す」

 

 感情など無意味なモノだ。

 

 「……ろす」

 

 ただひたすらに壊し続けたい。

 

 「殺すッッッ!!!」

 

 すべてを無に還すその時まで。

 

 

 

 

 

  

 

     自分の身が朽ちるその時まで。

 

 

 




 はい出た。

 オーディンときたらやっぱフェンリルですよね。

 さぁ、次も頑張ります。
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