10話
“…なるほどね。”
ハナコ「はい。これが私がアズサちゃんから聞いたことの全てです。」
トリニティ総合学園の一室。そこに、シャーレの先生、浦和ハナコ、歌住サクラコの三人が集まっていた。
サクラコ「しかし、分からないことが一つあります。」
“それは?”
サクラコ「あの、丹内ゾルと呼ばれた生徒のことです。」
先生はあの時のことを思い出す。丹内ゾル。アリウス生徒。しかし、その通称は、、
ハナコ「仲間殺し。」
サクラコ「…ええ。アズサさんの話では、アリウス生はよく訓練された兵士であるはずです。しかし彼女は、同士討ちも厭わなかった。」
“…違和感があるね。”
サクラコ「それに、仲間殺しと呼ばれているからにはアリウスの中で問題行動を起こしていると思われます。」
ハナコ「なのに、トリニティでの重要作戦に参加させるのは、変ですよね。」
“結局何をどうするつもりだったんだろう。アリウスたちは。”
ハナコ「ですが、顛末は今のところこうなるしかないでしょうね。
ゲヘナ嫌いのミカさんがホストになるためアリウスと協力した。
襲撃指示はミカさん。実行者はスクワッド。そして最終的にセイアちゃんがいた部屋を爆破したのがアズサちゃん。
各々に違う理由と目的があり、その行動の結果が次から次へと連鎖し、誤解と不信が混ざり合い、今ここにたどり着いた……。
…これが結論なのでしょうか。」
“どうなんだろうね。”
“例えばミカも最初はイタズラ程度だと思っていた、とか。”
ハナコ「…それはかなり極端なのでは?」
“もしかしたら、ミカの言い間違いから起こった勘違いかも。”
ハナコ「私たちにはミカさんの本心を察することなどできないということですか?」
“「楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか」……。”
ハナコ「…楽園に辿り着いた者は、楽園の外で観測されることがない。存在することを観測できない……楽園の存在証明に関するパラドックス……」
“証明できないものを、どう証明するのか。”
ハナコ「…もし「他者の本心」なんてものに辿り着いたら、それはもう他人ではありません。辿り着けないなら、やはり本心など分かっていないということで……。
楽園も、だれかの本心も一緒……そういうお話ですか?
…確かに、そうかもしれませんね。私たちは誰かの心に触れる方法も、その真実を証明する術も持っていません。
正に矛盾……不可能なのでしょうか。他者の本心を理解する方法はないのでしょうか……。」
“…無いんだろうね、きっと。”
“それはきっと、不可能な証明……。”
“…だとすればもう、信じるしかないのかもしれない。
そこには楽園がある、って。”
ハナコ「そう、ですね。考えてみれば、先生はこの疑惑と疑念で満ちあふれたお話の初めからずっと、、。」
ハナコ「もちろんミカさんやナギサさんを含め、先生は生徒達を疑わない……そういうことですか?
…たとえその結果、裏切られても?」
“その時はきっと、何か事情があるに違いないから。”
ハナコ「どうして…先生はどうして、そんなに…。」
“先生が生徒を信じないと、何も始まらないから。”
“いつか、きっと。そのために私も、、。”
“…エデン条約が終わったら、皆にまた会いに行くよ。”
ハナコ「…そうですね。全てが終わったら、、
どうなるかは分からずとも……私たちは、お互いに手を伸ばして努力するしかありません。そういうことですよね?」
“きっとそれが、私たちにできる唯一のことだから……。”
ハナコ「…はい。そうですね。」
トリニティ、とある廃墟
エレク「謀殺、ですか。」
ベアトリーチェ『ええ。エデン条約の調印式に合わせ、巡航ミサイルを打ち込みます。貴方はゾルを誘導し、ミサイルで殺しなさい。』
エレク「了解しました。」
ベアトリーチェ『期待していますよ。エレク。』
連絡は終わった。
ゾル「いかんな。エレク。」
エレク「っつ!?」
ゾル「この俺を差し置いて秘密通信とは…」
エレク「ゾル…。」
ゾル「失敗作だって見捨てられりゃ傷つくし、腹も立つんだよ。」
エレク「落ち着いて、私は…。」
ゾル「私は、なんだ?…俺の監視役、それとも、飼い主か?」
エレク「…こうなったら、、」
エレクは自らの銃を取る。
ゾル「させねえよ。」パァン
エレク「あ、、」ドサッ
ゾル「俺はよぉ、エレク。お前とお友達になれたかな〜って思ってたんだぜ?まぁ、、
最後に友達として、俺の身代わりやってくれよ。」