過去編です
…俺が産まれたとき、アリウスはすでに内戦状態だった。
そりゃあもうひどいもんだったぜ?同じ人間同士が殺し合うんだ。しかも長年。ちょっとやそっとじゃ消えねぇ恨み抱えて殺し合いだ。
家族が死んだ。ある仇によって。
仇が死んだ。仲間の手によって。
よそから見りゃあくだらん争いだったが、俺たちにとっちゃ生きるか死ぬかの大真面目な戦いだった。
ある日、内戦が終わった。ベアトリーチェと名乗る女の手で。
最初は「何にも関係ねぇ第三者が勝手に入ってくるな」って噛み付いた奴らもいたが、皆負けた。
最後の戦いは、打ち捨てられた聖堂で行われた。相手は「鉄仮面」と呼ばれた勇猛な戦士だった。
…だが、負けちまった。
その時皆が思ったんだよ。「ああ、内戦は終わったのか」って。
それからは、ベアトリーチェによる支配が始まった。
ベアトリーチェは自ら生徒会長とかいう役職につき、アリウスの生徒に『教育』を施した。
『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。』
何かの聖典の一節らしいが、今思えばくだらねぇ内容だ。
…だが、内戦で疲弊しきったアリウスにはよく効いた。
ある日のこと。俺を含めた何名もの生徒が、ある施設に集めさせられた。
最初は戦闘訓練でもさせられるのかと思った。
…瞬間、視界が暗転した。
『痛い痛い痛い痛いぃぃぃ!』
『助けて!キラキラが!?』
『やめ、、やめて!』
…実験のことは思い出したくもない。実際、俺は覚えていない。正確には、記憶を失っている。
この実験は、死んだロイヤルブラッドの髄液を注入し、神秘を宿すことができるかの実験だった。
…結果、集められた奴らの半数以上が死んだ。拒絶反応でな。
ロイヤルブラッドが定着した奴らは、ある施設に集められた。
オーガスタ聖堂。そこが俺たちの家であり、墓場だった。
施設での生活は、地獄だった。クソみたいな教育を受けさせられるのはもちろんのこと、毎日のように神秘の実験をされる。それも死なないギリギリを狙ってな。実際死者はいなかった。
…それよりひどいことになった奴は、いたがな。
施設の仲間は、案外いい奴らだった。
フォウは末っ子のくせに、この施設で一番大人びていた。姉たちは全員死んだっていうのに、気丈に振る舞って。
ロザは皆の妹だった。実際あいつ自身もそう思い込んでいたしな。死んだ姉を重ねていたのかなぁ。
プルは一番年下のくせに、中々筋の通った奴だった。あいつがいなかったら、俺はともかく、あいつらの心は折れていただろう。
ファラは頼れる姉御だった。自分の家系は処刑人だから、どんな苦痛にも屈しない、ってな。
ルガは三馬鹿の中ではリーダー気質だった。あいつは小説をよく読んでいたから、もしかしたら小説家になれたかもな。
クロトは三馬鹿の中で一番、元気だった。正気を保っている時は、アリウスの外のことについて他の奴と話していた。
シャニは、、三馬鹿の中では一番正気を失っていた。だが、珍しく正気のある時には、自分の好きな音楽を聴かせてくれた。
テグは、ファッションに気を遣っていたな。ボロ布を持ってきては、どんな服にするか想像してた。
アウルは、子供だった。一番年下のプルがあれだから、皆の末っ子のような扱いだったな。
ステラは、ビビリだった。死を怖がって、テグやアウルの布団によく潜り込んでた。そういや、俺のとこにも来たことがあった。
イアは、頑固だった。仲間思いで、俺のことも慕ってくれていたっけな。
エランは、一番頭が良かった。いつも冷静だった。だがしかし、他人の誕生日には、真っ先に祝う優しさもあった。
俺達は、皆で支えあって、いつか救いが来ることを待ってた。
…あの事故が起こるまではな。
次回からはまた先生視点です。