ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

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過去編 3

エラン「逃げよう、ここから。」

アインとファラが死んだ日の夜、エランは皆を集めてそう言った。

 

プル「…。」

 

ルガ「逃げる…?そんなことができるのか?あのマダムから…?」

ルガは疑問を口にする。それは、皆が思っていることだった。

 

フォウ「…それに、ファラの言葉だってある。外に出ても、薬で死んでしまうんじゃないの?私は反対よ。」

 

ファラ『ベアトリーチェに改造された奴の中には、奴に投薬された奴らもいる。…今奴を殺したら、薬の在処や治療法が分からなくなって、禁断症状で死ぬ奴らが出る。』

 

ステラ「し、死ぬ…!?」

 

ファラが言ったことは、的を射ている。

実際、ルガ、クロト、シャニ、テグ、アウル、ステラの6人は、過剰なまでの投薬をされている。

 

プル「…でも、このままじゃマダムに殺されるよ。」

 

フォウ「…!」

 

ルガ「…ああ、そうだな。」

 

アウル「…どうせなら、僕は外を見てから死にたいよ。」

 

ステラ「…わ、私も死にたくない!」

 

クロト「僕もマダムの毒牙で死ぬのはごめんだね!」

 

シャニ「ああ、俺もだ。」

 

テグ「俺達は投薬されちゃいるが、しばらくの間なら動ける。俺達が出られなくても、仲間が出られるならそれでいい。」

 

フォウ「あなた達…!」

 

ロザ「…ねぇ、フォウお姉ちゃん。もういいんじゃない?」

 

フォウ「ロザ…!」

 

ロザ「マダムは私達を生かすつもりは無いよ。ファラお姉ちゃん達のことを考えたら分かるでしょ?」

 

フォウ「…でも…!」

 

ゾル「…俺達は元々は違う所の奴らだ。…しかし、皆の願いは一緒、「自由が欲しい」そうだろ?

だったら、一人でもその願いを叶えてくれるなら、俺は乗るぜ。」

 

フォウ「…はぁ、分かったわ。皆、覚悟は出来てるのよね?」

全員が、首を縦に振る。それは、その作戦に乗る、という意思標示であった。

 

 

 

 

 

エラン『作戦はこうだ。僕がバシリカを破壊し、その混乱に合わせて全員がカタコンベに向かう。もし爆発が無くても、時間になったら皆でカタコンベに向かってくれ。

僕もすぐに合流する。皆、また後で。』

 

エランは立てた作戦通り、バシリカの近くに接近していた。

 

エラン「…ここで爆発させれば…っ!」

物音。その方向を覗き込むと、マダムと見知らぬ大人がいた。

その後ろには、なにか巨大な物がある。

 

ベアトリーチェ「なるほど、これがそのⅡネオジオングですか。」

 

デカルコマニー「そういうこった!」

 

ゴルゴンダ「ええ。まだ未完成ですがね。後はジャック機能をテストして…」

 

エラン(…なんだ、あれは…?)

 

ベアトリーチェ「…そこ、誰か見ていますね、出てきなさい!」

 

エラン「しまっ……!」

 

 

ゴルゴンダ「彼女は?」

 

ベアトリーチェ「伝えたロイヤルブラッドの実験台の一人です。…ああ、なるほど。大体察しがつきました。」

 

ゴルゴンダ「?」

 

ベアトリーチェ「ゴルゴンダ、あなたのテスト、できるかもしれませんよ。」

 

 

 

 

 

時間になった。しかし、爆発はまだない。

プル「エラン…」

 

フォウ「…時間ね、皆、行きましょう。」

 

ゾル「!エランを置いていくのか!?」

 

フォウ「エランの言葉を忘れたの?…私だって助けに行きたいわよ…」

 

ルガ「…とにかく行こう。それが、エランの望みだから…」

 

ゾル「…ああ、分かっ……っつ!?」

 

その時、ゾルは違和感を覚えた。自分が自分で無くなるような、そんな感覚。

プル「ゾルタン?どうしたの…?」

 

ゾル「ぐっ!来るな!これはきっとマダムの…!」

 

ステラ「ゾルタン!?」

 

ゾル「離れ……

 

 

 

 

 

 

目が覚める。死体。死体。死体。

ゾル「…は?」

 

プル「ゾルタン、元に戻ったんだね…良かった…。」

プルは倒れ込む。ゾルの手には、血の着いた1本のナイフ。

 

ゾル「あ…?」

ゾルはそれを見て、理解した。いや、理解してしまった。

 

 

ゾル「()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

フォウ「ゾル…」

フォウを。

 

 

 

 

 

ロザ「見つけた…お姉ちゃん…!」

ロザを。

 

 

 

 

 

 

ルガ「クソッ……!」

ルガを。

 

 

 

 

 

クロト「僕は…僕はねぇ…?」

クロトを。

 

 

 

 

 

シャニ「うわぁぁぁぁああ!!!」

シャニを。

 

 

 

 

 

テグ「馬鹿な…」

テグを。

 

 

 

 

 

アウル「母さん…」

アウルを。

 

 

 

 

 

ステラ「皆、好き…」

ステラを。

 

 

 

 

 

ゾル「あ、あああ、ああああ……!」

 

 

 

 

プル「…。」

プルを。

 

 

 

 

 

 

ゾル「▓▓▓▓▓▓▓▓▓ッ!!!!!!

 

言葉にならない叫び。叫んでみても、戻ってくるのは、悲しい現実。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

エラン「………ぐぅっ……!」

 

ベアトリーチェ「おや、目が覚めましたか。」

エランは拘束されている。

 

エラン「…マダム。」

 

ベアトリーチェ「ええ。よくも私から逃げようと思ったものです。しかし、これではっきりしましたね。」

 

エラン「…?」

 

ベアトリーチェ「実験台は一人でいい。無駄な反抗を防ぐためにもね。」

 

エラン「…まさか。」

 

ベアトリーチェ「ええ。ロイヤルブラッド実験台は、丹内ゾルを除いて処分しました。あとはあなただけです。」

エランの頭上に光が灯る。

 

エラン「…最後に一つ、いいですか?」

 

ベアトリーチェ「いいでしょう。冥土の土産に、なんでも答えましょう。」

 

エラン「…今日は、何日ですか?」

 

ベアトリーチェ「?2月9日ですが、それが何か?」

 

エラン「そうですか…それは、良かった。」

 

ベアトリーチェ「…何故ですか?」

 

エラン「…今日は、あの子、ゾルタンの

 

 

誕生日ですから。」

 

 

ベアトリーチェは装置のスイッチを入れる。

エラン「…happy Birthday to you…

…happy Birthday to you…

…happy Birthday Dear ゾルタン…

…happy Birthday to you.…」

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