先生達は、カタコンベの入り口に向かって移動していた。
サオリ「まず、何から話すか…先生は、奴が仲間殺しと呼ばれていることは知っているな?」
“……うん、どういう経緯があったのかは知らないけど。”
サオリ「そうか…ではそこから話そう。
丹内ゾル、奴は「彼女」が集めた実験施設の出身だ。」
“実験施設?”
ヒヨリ「詳しいことは、私たちも知りません。ただ、神秘に関することを実験してたとか…。」
サオリ「ある日、実験施設で事件が起こった。
聞いた話によると、実験施設の生徒がアリウスからの脱出を図ったらしい。」
“…それで、どうなったの?”
サオリ「…全員死んだ。正確に言えば、丹内ゾルを除く全員だが。」
“……!”
ミサキ「…噂だと、丹内ゾルが脱出を図った仲間を殺したらしいね。自らの手で。」
“それで仲間殺しって…でも、何で?”
サオリ「…これはあくまで噂だが、丹内ゾルは…
“……そんな、ことで?”
サオリ「…詳しいことは私たちにも分からない。しかし奴も否定しなかった。」
ミサキ「…「彼女」に気に入られるため、ゾルは仲間を殺した。だから、出てくるとしたら、姫を救出するときかな。」
ヒヨリ「っつ!止まって下さい!!」
アリウス生「いたぞ!!」
サオリ「先生、話は後だ。」
“…うん、分かった!”
アリウス生「ぐぅっ……」
サオリ「終わったか。」
“よし、先を急ごう!”
ヒヨリ「入り口はこっちです!!」
サオリ「…話を戻そう。ともかく奴はそういう噂が立っていたものだから、誰も近づかなかった。…私たちが出会った時も、奴から近づいてきたからな。」
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アリウス自治区
サオリ「訓練終了、皆休憩だ。」
あの時私たちアリウススクワッドは、次の作戦に向けての準備を行っていた。
突然、拍手の音が響く。
ヒヨリ「!?」
ミサキ「この音は…?」
アツコ「…。」
サオリ「!誰だ!?」
ゾル「おおっと、撃たないでくれよ?俺も大事な仲間なんだからよ。」
サオリ「止まれ!何の用で来た?」
ゾル「いやぁ、アンタ達騎士さまが守護せしめるお姫様ってのはどんな奴か気になってね。そういや名乗ってなかったか。俺様は丹内ゾル。「仲間殺しのゾルタン」と言えば伝わるかな?」
ミサキ「っ!」
ヒヨリ「な、仲間殺し…?」
ゾル「そんなに警戒しないでくれよ。別にアンタ達をとって食おうって訳じゃねぇんだからな。」
サオリ「…帰れ、ここはお前の……姫?」
ゾルの前に姫が立っていた。
アツコ「…。」
ゾル「ふぅん。アンタが姫様ねぇ。…なるほど。フフッ、そうか、そういうことか。フフッ、ハッハッハァ!」
サオリ「…何がおかしい?」
ゾル「いやぁ、姫様ってのは仲間に守られて楽でいいよなぁ、ってな。」
サオリ「!お前に姫の何が…!!」
ゾル「分かるさ。…俺はお前の
銃声。それは私の銃から放たれたものだった。
サオリ「…次は当てる。今すぐ立ち去れ。」
ゾル「お〜怖い怖い。騎士さまが恐ろしいし、俺はそろそろ退散させてもらおうかな。」
ゾルは背を向け、外に向かう。
ゾル「…また会おうぜ、お姫様よぉ。」
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サオリ「思えばあの時、奴は姫にだけ妙に当たりが強かった。」
“何かあったのかもね…。”
そうこうしている内に、先生達はカタコンベの入り口に辿り着いた。
“やっぱり見張りがいるね…どうする?”
ミサキ「今までのように各個撃破、ってわけには行かないね。」
ヒヨリ「や、やっぱり戦うしか……あれ?」
ヒヨリは違和感を覚える。遠くから、何かが飛んでくる音が聞こえるのだ。
ヒヨリ「!皆伏せて!」
サオリ「!」
ミサキ「!?」
“なに!?”
直後、爆発が起こった。
煙の中に、一人の生徒。それは間違いなく、ティーパーティーの一人、聖園ミカであった。
ヒヨリ「…!!」
ミサキ「…。」
ミカ「ふふっ。やっぱりここに来ると思ってたよ。大当たり!」
サオリ「聖園、ミカ…。」
ミカ「悪役登場✩ってところかな!…まだ覚えててくれたんだね?
会えて嬉しいって顔じゃなさそうだけど、どうしたの?
そんな、魔女でも見たような顔しちゃって。」
ゾルタンの仲間殺しは、ゾルタン自身の意思でした、という風にベアトリーチェは改竄しています。ジャック機能がバレると、指揮にかなりの混乱が起きてしまうので。それに、ゾルタンがマダムの忠実なしもべという風に誤認させておけば、
「脱走すればゾルが同じ目に合わせるぞ」、という威嚇にもなるので。