ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

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ミカとの戦闘はカットしました


25話

ミカの攻撃をくぐり抜けた一行は、アリウス自治区に辿り着いた。

 

 

ミサキ「ここなら警備の手が薄いはず…正解だね。」

 

“ここがアリウス自治区…?”

 

ミサキ「…本当の自治区はもう少し先。でも、私たちが向かっていることがバレてるから、そう簡単には近づけないと思う。」

……それで、これからどうするの?私達だけで戦うの?」

 

 

その時、サオリが倒れた。

 

ヒヨリ「り、リーダー!?」

 

ミサキ「…すごい熱。こんな状態になるまで我慢するなんて…。」

 

ヒヨリ「あ、あわ…ど、どうしましょう?」

 

先生は解熱剤を取り出す。

 

ヒヨリ「く、薬…!?」

 

ミサキ「…持ち歩いてるんだ…良かった、ありがとう。」

 

ミサキはサオリに薬を飲ませる。

 

ヒヨリ「リーダー…。」

 

“ここで少し休もう。”

 

ミサキ「…そうだね。」

 

 

 

 

セイア「先生…聞こえているかい?聞こえているなら、端的に伝える…私は、夢と現実の狭間に閉じ込められている…

私は…過ちを犯してしまった…。

 

私は夢の中でゲマトリア─彼らの会議を識ってしまった…止められていたというのに…

アリウス自治区のベアトリーチェは、バシリカで儀式を行おうとしている…。

 

その儀式の果てに…キヴォトスは終焉を迎えるだろう…。

彼女は恐らく、キヴォトス外の何かを呼び寄せようとしている…。私はその「何か」に触れてしまった…。

 

…そうして、私はミカを傷つけ…ミカの前で…。

ミカは自らを責め、取り返しのつかない過ちを犯そうとするだろう…

 

ベアトリーチェの儀式の過程で、秤アツコは、その命を散らすだろう。

私は、ここから声を投げかけることしかできない。

 

…先生は、もう十分に私たちのため努力してくれている。だから、全ての問題を背負おうとしないでくれ。

先生─できる限り、アリウスから離れてくれ。ミカのことは、私が何とかする。いや、させてくれ。

そうでなければ、先生…は……。」

 

 

 

 

 

ヒヨリ「せ、先生?」

 

ミサキ「ごめん、起こした?」

 

“…皆は何を?”

 

ヒヨリ「リーダーを看てました。あと少し休めば大丈夫そうです。」

 

ミサキ「いつまでも休んでるわけには行かないけどね。あと三十分くらいしたら出発しよう。」

 

“…三十分か。”

 

ミサキ「何かやっておくこと、ある?」

 

“みんなの話を聞かせて欲しい。”

 

ミサキ「そんな話聞いてどうするの…聞いてて楽しい話じゃないよ。

…まぁ、私の知ってる範囲でいいなら話すよ。」

 

ヒヨリ「…。」

 

 

ミサキ「─最初の記憶は、長年続いた内戦の終わりを宣言する「マダム」の姿。

私達はマダムを受け入れた。何も知らなかったから。

もちろん反発する生徒もいたけど、代表的存在がマダムに討ち取られてからは、それもなくなった。

そうしてマダムは自分が新しい生徒会長だと言って、支配を始めた。残っていた生徒に多くのことを教えるようになっていったの。

 

様々な戦闘技術…そして、『全ては虚しいもの』という真理。」

 

ヒヨリ「わ、私たちの苦痛は全てトリニティのせいで、ゲヘナは共存などできない存在だと…。」

 

“……。”

 

ヒヨリ「わ、私達は人殺しで、この自治区以外に居場所はない、とも…。

「彼女」は、自分こそが従い、尊敬すべき大人なのだと言っていました…。

 

みんなその教えに従ってました。反抗すると、怒られるから…アズサちゃんとか、姫ちゃんみたいに。」

 

“………。”

 

ヒヨリ「ひっ…!?先生!?すごい顔になってますが…!?」

 

ミサキ「楽しい話じゃないって言ったでしょ。」

 

“…ごめんね。アツコは何で姫って呼ばれてるの?”

 

ヒヨリ「え、えっと?」

 

ミサキ「姫は…かつての生徒会長の血を継いでるから「ロイヤルブラッド」って呼ばれているみたい。でも、それを知ったのは少し前。

 

私たち4人は、貧民街で碌でも無い生活をしていたの。」

 

ヒヨリ「ま、まさか姫ちゃんが姫だなんて、あの時までは思いませんでしたよ…。」

 

ミサキ「…内戦が終わって、大体半年くらいだったかな。私たちの元にマダムが来て、こう言ったの。」

 

ベアトリーチェ『…そうですか。天然のロイヤルブラッド、こんな所にいたのですね。私の元に来なさい。そうすれば、あなたの仲間を助けてあげましょう。』

 

ヒヨリ「…そういえば、ゾルちゃんの仲間殺しの後だったような…?」

 

ミサキ「…それから少しして、姫が生贄に捧げられるって噂が流れ始めた。」

 

ヒヨリ「…。」

 

ミサキ「リーダーはそれに納得しなかった。だから、生贄の姫を私たちの元に連れてきた。きっとリーダーと彼女の間で、何か取引をしたんだと思う。」

 

“………。”

 

ミサキ「そうして、姫は顔と声を隠して、私たちと一緒に訓練を受けるようになったの。そして私たちはスクワッドと呼ばれるようになった。

…でも、私たちは失敗した。姫は生贄になってしまう。」

 

ヒヨリ「…。」

 

ミサキ「それに、私たちはシャーレの先生と一緒に、裏切り者として戻ってきた。─本当に、笑えない話だね。」

 

 

 

サオリ「面白い話をしているな。」

 

ヒヨリ「り、リーダー!?」

 

ミサキ「…目が覚めたんだ。」

 

サオリ「動けないほどじゃない…助かった。」

 

ヒヨリ「よ、良かったです…へへ…全部終わってしまったと思ってましたけど…。」

 

ミサキ「そう…でも、今が正常なコンディションじゃないことを忘れないでね。」

 

ヒヨリ「そ、それで…今から姫ちゃんを助けに行くんですよね…?」

 

サオリ「ああ。バシリカに向かい、姫を救出する。」

 

ミサキ「…。」

 

ヒヨリ「…。」

 

ミサキ「バシリカにはどうやって潜入するつもり?」

 

サオリ「アリウス分校の旧校舎に向かう。」

 

ヒヨリ「きゅ、旧校舎ですか?あ、あそこはかなり長いこと放置されていた廃墟ですよ…!?」

 

サオリ「姫から聞いた話だが、旧校舎には、かつて作られた地下回廊があるらしい。かなり昔に作られていたものだから、彼女も、ましてや丹内ゾルも知らないだろう。」

 

ミサキ「…いつもならそんな博打はしないんだけど、今は先生もいるし…やれるんじゃない?」

 

“うん。とりあえず行ってみよう。”

 

ヒヨリ「は、はい!」




ゾルの誕生の経緯に合わせてアツコの過去が大分変わっています。
本編ではずっとお姫様でしたが、本小説では一度没落し、本人も言わないように言われてきたので、ベアトリーチェに見つかるまでは知られていません。
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