ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

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28話

ベアトリーチェ「お待ちしておりました、先生。」

 

“ベアトリーチェ………!!”

 

ベアトリーチェ「ですが、遅かったですね。儀式は既に進行しています。」

 

サオリ「…!!」

 

ベアトリーチェ「ロイヤルブラッドの神秘を搾取し、キヴォトス外の力を借りて、私は高位の座に至ります。

さあ、私の敵対者よ。私達は各自が望むものを追求しています。あなたも、何にもなれるし、全てを知ることが出来ます。高位の座に至り、子供を支配するのが大人の務め。

 

ええ、この儀式はキヴォトス外の力を利用し、私がより高位の存在になるために用意されたのです。

今まで実験で死んだ子供もいました。ですが、仕方ないでしょう?

あなたなら、全ての生徒を審判する力を持っているあなたならわかるはず…!」

 

“それは違うよ。”

 

ベアトリーチェ「…!?」

 

“私は審判者じゃない。その権利は、私にはない。”

“私は救済者ではない。この世界の苦痛を消し去ることはできない。”

“私は絶対者ではない。この世界の罪悪をなくすことはできない。”

 

ベアトリーチェ「…!!」

 

“私はそんな存在ではないよ。”

 

ベアトリーチェ「では…あなたの存在意義は、価値は何だというのですか!」

 

“生徒たちのための先生だよ。”

 

ベアトリーチェ「…!」

 

“忘れられ、苦しむ生徒に寄り添いたいだけ。”

 

ベアトリーチェ「…ならば、それを証明して見せなさい…!」

目の前で、ベアトリーチェのカタチが変わっていく。

 

サオリ「なっ…!」

 

ベアトリーチェ「さあ、その目にしかと映しなさい!これが私…高位の存在となった姿─偉大なる大人の姿なのです!」

 

“それが正体なんだね、ベアトリーチェ。”

 

サオリ「アレが、本物のマダム…。」

 

ヒヨリ「ただの怪物にしか見えませんが…」

 

ミサキ「そう…私達はあんなものに、ずっと…。」

 

“……皆。”

 

サオリ「ああ。」

 

ヒヨリ「はい。」

 

ミサキ「うん。」

 

“怖がらないで…私がついてるから。”

 

サオリ「…ああ。」

 

ミサキ「うん─あの怪物を倒そう。」

 

ヒヨリ「…はい!姫ちゃんを助けましょう!」

 

 

 

 

 

ベアトリーチェは打ちのめされる。

ベアトリーチェ「ぐっ、ああ…なりません…!!私の権能が…!!まだ儀式が…?それとも、生贄が…?

たかが…たかが貴様ら如きに…!!ミメシス…!私の元に戻って来なさい!」

 

サオリ「くっ、、支援が来る前に早く…!!」

 

ベアトリーチェ「バシリカの兵よ!私を保護しなさい!!」

 

 

しかし、誰も来なかった。

ベアトリーチェ「……?何故来ないのですか?バルバラは?何故まだ誰も…」

 

その時、歌が聞こえてくる。それは、アリウスで聞こえることがなかった……

ミサキ「これは…kyrie eleison…?」

 

かつての、歌であった。

 

“ミカ…!”

 

ベアトリーチェ「なりません!!!私の領地で慈悲を語る歌を響かせるなど!楽器も蓄音機も全て破壊したのに!─奇跡が起きたとでも?

なりません!、生徒は憎悪を軽蔑を…呪いを謳わなければなりません!

 

お互いを騙し傷付け合う地獄の中で、私たちに搾取される存在であるべきなのです!」

 

 

“黙れ。”

 

ベアトリーチェ「…なに!?」

 

“私の大切な生徒に話しかけるな。”

 

ベアトリーチェ「…!!!」

 

“私はあなたを、絶対に許さない。”

 

ベアトリーチェ「よ、よくも私にそのような…

そのような言葉をぉぉぉおおお!!!」

再びベアトリーチェの肉体が変化する。

 

ヒヨリ「ま、また変わり始めましたよ!?」

 

ベアトリーチェ「ああ、そうだサオリ─貴様を新しい生贄として捧げましょう!」

 

サオリ「…!」

 

ベアトリーチェ「ロイヤルブラッドでなく、死んだ実験台どもに比べて確実性は劣りますが─

貴様が私の計画を台無しにしたのですから、その代償を支払うのです!!」

 

サオリ「─いくらでもどうぞ、マダム。」

 

ヒヨリ「り、リーダー!?」

 

ミサキ「…何をバカなこと言ってるの!?」

 

サオリ「私にまだ支払える代償があるのなら…むしろ感謝したいくらいだ。…さあマダム!私はここだ!」

 

ミサキ「くっ、先生…!早く…!」

 

“皆、行こう!!”

 

ヒヨリ「は、はい!!」

 

サオリ「ぐっ、あああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘は終わった。

ベアトリーチェ「ぐああああっ!!何故、どうして…!!私は、私の…!!私の、私のすべてが…」

 

サオリ「はあ…はあ…はあ…。」

 

ヒヨリ「お、おわり、ですか?…あ!姫ちゃんは!!」

 

サオリ「あ、アツコ!」

 

ミサキ「まだ十字架に!」

 

ヒヨリ「早く姫ちゃんを降ろしましょう!!」

 

 

サオリ達はアツコを降ろし、仮面を外す。

サオリ「姫…しっかりしてくれ…。」

 

ヒヨリ「ひ、姫ちゃん…。」

 

ミサキ「…外傷がひどい。」

 

サオリ「姫…アツコ…頼む、目を開けてくれ…」

 

ミサキ「…。」

 

ヒヨリ「…。」

 

 

 

アツコ「サオリ、ちゃん?」

 

サオリ「アツコ…!!」

 

ミサキ「姫…。」

 

ヒヨリ「ひ、姫ちゃん!!気がつきましたか!?」

 

アツコ「うん…みんな、おはよう。」

 

 

サオリはアツコに抱きつく。

サオリ「アツコ…!!」

 

アツコ「あ、サオリ…?」

 

サオリ「良かった…本当に、良かった…。」

 

アツコ「う、うん…?」

 

サオリ「アツコ…生きていてくれて、ありがとう…本当に、ありがとう…。」

 

アツコ「サオリ…泣かないで。私は大丈夫だから。」

 

サオリ「ああ…これで、終わったんだよな…。」

 

アツコ「…うん。大丈夫だよ、サオリ。きっと全部、終わったよ。」

 

 

 

先生は倒れているベアトリーチェに近づく。

ベアトリーチェ「ぐ、ぐうっ…」

 

“終わりだよ、ベアトリーチェ。”

 

ベアトリーチェ「よくも…わ、私はまだ…まだ!私にはバルバラも、ミメシスも…一度の勝利で終わりになど…!!」

 

 

 

 

 

ゾル「お〜お〜無様だなぁ、マダム?」

バシリカの影から、一人の生徒が現れる。それは、間違いなく…

 

ヒヨリ「え、えぇ?」

 

ミサキ「!…まさかこんなところで出てくるなんて…!」

 

サオリ「…何故、このタイミングで……?」

 

アツコ「…生きてたんだね。」

 

“……丹内ゾル。”

 

ゾル「御名答!覚えていてくれて嬉しいなぁ。…それで、「きっと全部、終わったから」、だったか?」

 

アツコ「…。」

 

ゾル「…終わらせねぇ。

 

 

こんなところで、話は終わらねぇ。

いいや、終わらせねぇさ。なぁ、先生?」

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