スバル「それでは皆さん、拍手をお願いします。」
拍手が巻き起こる。その拍手は、アリウスに帰還してきたマイアに向けてのものだった。
マイア「あ、あはは…もうボロボロなんですけどね…。」
スバル「それでも、無事で帰ってきたじゃないですか。後のことは、きっと何とかなります。私たちには、時間があるのですから。」
マイア「…!」
スバル「マイア…おかえりなさい。」
マイア「た、ただいまです…先輩!」
スバル「マイア、そういえば「外」はどうでしたか?」
マイア「はい!それはすごかったです!
電気が灯って夜も明るい建物とか…美味しい食べ物が並ぶ屋台とか…。」
スバル「…。」
マイア「…でも、私たちの居場所は、どこにも無かったように思うんです。」
スバル「その気持ち、私もよく分かります。」
マイア「…ゾル達がアリウスで思っていた気持ちと、同じなのかもしれません。」
スバル「…その心は?」
マイア「「私だけ違う」とか、「仲間がいない」とか…とにかくそんな、寂しさといいますか…。」
スバル「この世界には満ち足りた者がいて、しかしその一方で私たちのような者もいる。」
マイア「…どうしたらいいか分からない、ってことだったのかもしれません。
生き方なんて、誰も教えてくれませんでしたから。」
スバルはマイアを抱きしめる。
スバル「お疲れ様でした…マイア。」
マイア「先輩…。」
スバル「その気持ちは皆が理解できます。…ここには、外から帰ってきた子が何人もいますから。
トリニティに行って帰ってこなかった子も居ますが。」
マイア「トリニティ…。」
スバル「…マイアも、行ってみたいのですか?」
マイア「い、いえ!そんなことは…!」
スバル「…私はまだ、トリニティを許せそうにないんです。
…そうです、トリニティだけじゃない。
やりたい放題やって、私たちに負債をもたらした丹内ゾルに…
全てを導ける立場にありながら、ただ消えるという選択をしたスクワッド…
特に錠前サオリ、彼女のことを。」
スバル「…ふぅ。」
スバルはハーモニカを置く。
マイア「先輩すごいです!…他にも何か」
アリウス生「た、大変です!」
スバル「落ち着いて下さい。何があったのです?」
アリウス生「…スクワッドが、アリウスに入りました。シャーレの先生と一緒です。」
アリウス生「スクワッドが…?」
アリウス生「どの面下げて…!!」
スバル「…はぁ、そうですか。
皆さん。スクワッドだけでは問題にはなりませんでした。
問題は、シャーレの先生というあの大人です。」
アリウス生「シャーレの先生…!」
アリウス生「ゾルの巨大兵器さえ破壊したっていうあの…?」
スバル「皆さん、ひとまず落ち着いて下さい。とりあえず…
お出迎えに、出てみましょうか。」
先生はスクワッド達と合流し、共にアリウス自治区を訪れていた。
アリウス生「やっぱりスクワッドだよ…。」
アリウス生「何でここに…。」
アツコ「…やっぱり、嫌われてるね。」
先生達の前に、一人の生徒が現れる。
サオリ「…スバル。」
スバル「錠前サオリ…単刀直入に聞きます。ここには何の用で?」
サオリ「そうだな、仕事だ。」
スバル「残念ですが、このアリウスにあなた達の戻る場所などありませんよ。」
サオリ「そうとも限らない。ただ…ふふっ。」
スバル「何がおかしいのですか…!」
サオリ「いや、すまない。今から話す内容を考えるとな。」
スバル「…見ないうちに、人の神経を逆撫でするようになりましたね。元々でしたが。」
サオリ「そうか?それはすまない。過去は消せないが…」
スバル「そういうところだって言ってるんです!!!
…話を戻しましょう。アリウスに、何の用です?」
サオリ「それは…
皆で、試験を受けるためだ!!」
スバル「………はい?」
アリウス生「試験…?」
アリウス生「スクワッドは外で頭がやられたの…?」
スバル「話が見えてこないのですが…
そもそもなぜそんな試験を受けなければならないのです?」
サオリ「うーん。
生徒だから?」
スバル「どこまでコケにするんですか、錠前サオリ!」
“少しだけ、助け舟を出そうかな。”
サオリ「せ、先生…?」
スバル「…あなたが、シャーレの先生ですか。始めまして。」
“皆から、スバルの話は聞いてるよ。”
スバル「…まぁいいでしょう。ともかく、突然来て試験など、納得しかねます。」
“前提の話がしたいんだ。生徒の本分は勉強だからね。”
スバル「それが、アリウスでも同じだと?」
“うん。だって君たちも生徒だから。”
アリウス生「私たちも生徒…?」
アリウス生「確かにそうなるけど…。」
スバル「そもそも、全ての生徒に勉強が必要とは限りません。」
“それも答えの一つだね。でも…”
“1回やってみたらどうかな?”
スバル「なぜ、そんなことをしなければならないのです?
…挑戦するのも青春?とんだ理想論ですね。」
“先生はね、夢見がちなくらいがちょうどいいんだよ。”
スバル「……はぁ、分かりました。」
“じゃあ…!”
スバル「私たちの議論は平行線だということがね。
…露骨にガッカリしないで下さいよ。これからあなた達を試します。」
スバル達は銃を構える。
“………え?”
スバル「スクワッド…アリウスの裏切り者!!私たちの認識は、あの日から変わっていない!もう一度アリウスに入りたいと言うのなら、その価値を示せ!!」
サオリ「……やはり、こうなるか。」
サオリ達は戦闘態勢に入る。
“皆、何してるの!?”
ミサキ「心配無用だよ。これがアリウスのやり方だし。」
アツコ「子供は喧嘩しながら育つってよく言うでしょ?」
ヒヨリ「な、なんだか懐かしいですね…。」
サオリ「アツコ、マスクは付けなくてもいいのか?」
アツコ「うん。私は皆に守られるだけのお姫様じゃないからね。」
スバル「我らはアリウス!」
アリウス生達「「我らはアリウス!!」」
スバル「己の意見は、己の力で押し通せ!!」
アリウス生達「「ウォォォォォ!!」」
スバル「力なき正義は空虚な叫びに過ぎず!己の人生に責任を持てるのは、己を置いて他にはいない!」
サオリ「……アリウススクワッド。
応戦準備!!」