ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

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過ぎ去りし刻のオラトリオ編 2章
9話


ミネ達は名前を隠し、名もなき奉仕活動部として救護活動にあたることにした。

 

“設営これで終わりかな?”

 

ミネ「ええ。手伝ってくださりありがとうございました。」

 

 

 

先生達はスバルに事情を説明した。

 

スバル「…なるほど。その予感とやらに従ってアリウスまで…」

 

ミネ「…何か、問題でもありましたでしょうか?」

 

スバル「いえ?ただ、勇敢だな、と。

「可哀想だから」それだけの理由で無鉄砲に入り込んでいるのですから。」

 

ミネ「そうですね。確かにそうも言えるでしょう。

しかし、事態はもっと単純です。」

 

スバル「単純…?」

 

ミネ「救護の足りぬ場所に救護を。一人でも多く、悲しみと苦しみから救い出すこと。

それこそが救護活動…危険であるか、どう見られるかなど関係ありません。」

 

スバル「…なるほど。噂に違わぬ方々ですね。

 

──トリニティの救護騎士団の皆さん。」

 

“!?”

 

ハナエ「い、いえ!?私たちはその、そ、その…!」

 

スバル「取り繕わなくてもいいですよ。

…お互い、回りくどい話は辞めましょう。

あなたたちが誰かの回し者でないのなら、私からは何も言うことはありません。それでよろしいですか?」

 

ミネ「はい。その条件ならば。」

 

スバル「…ああ。何か助けが必要であればお教えください。

トリニティの、騎士団さん。」

 

 

 

 

 

ミネ「…。」

 

セリナ「団長…?」

 

ミネ「…先生、少し相談したいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

セリナ「!ハナエちゃん先に準備してよう!」

 

ハナエ「そうだね!じゃあ私たち先に行きます!」

 

 

 

 

“大丈夫?”

 

ミネ「…先生には、伝えておいた方がいいでしょう。

……終わりが見えず、けれど辛うじて抑え込まれている怒り。

それを前にして…果たして、私は何ができるのでしょうか。」

 

“……。”

 

ミネ「憎しみの感情を受け止めるのも、確かに救護なのです。しかし、このまま続けば…。

…過去や感情は、到底他人には分からないものです。たとえ文字上で起こったことを知ったとしても…心は分からない。」

 

“…。”

先生は実験記録のことを思い出す。ただ淡々と書かれた死。そこには、どんな想いがあったのであろうか。

 

ミネ「理解できる、というのは傲慢でしょう。私たちは彼女たちではないのですから。

しかし…私は信じたいのです。人が分かり合える可能性を。」

 

“ミネがそんなに思い詰めてるの、初めて見た。”

 

ミネ「ふふっ。それを言えば先生も、普段と違う気がします。

…先生、一つ聞かせてください。」

 

“……なに?”

 

ミネ「全てに絶望しきった時…それでも自分を支えてくれるもの。それは…なんなのでしょうか。」

 

“………。”

 

先生は少し考え込んで、答えた。

 

“その人が信じているもの…かな。”

 

ミネ「信じているもの…ですか。」

 

“人を動かすのは、感情や信念だからね。”

“たとえそれが信仰や、信頼でも。”

 

ミネ「なるほど。感情は人を縛るものではなく、行動のトリガーとなり得るものである、と。

…そうですね。それこそ、授業なのかもしれません。」

 

“これまでの道が間違っていないと思えるなら…。”

 

ミネ「その道を信じて進めばいい、ということですか?ですが、その道が正しいかどうかなんて…。」

 

“それは…自分で証明するしかない。私もそうだけどね。”

 

ミネ「先生が、何の証明を…?」

 

“生徒の声に背を向けたら、教師失格ってこと。”

 

ミネ「…!ふふっ。先生はそういう方でしたね。

そんな先生に、救われた生徒はたくさんいます。

…本当に、ありがとうございます。」

 

ミネが先生の肩にもたれかかる。穏やかなな時間が永遠に続く…そう思っていた瞬間。

 

 

 

 

フォォォォオオオン…

 

 

ミネ「!?今の音は…?」

 

“うん。何の音だろう?”

 

ハナエたちがテントに戻ってきた。

ハナエ「今のって、ラッパ……でしょうか?凄い音でしたね!

でも…なんだか嫌な予感がします。」

 

セリナ「先輩、どうしますか…?」

 

ミネ「…それでも。私たちは、やるべきことをやりましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーガスタ聖堂。

 

ナラティブ『今の音はまさか…!?』

 

 

 

イア「…フフフ…アッハッハッハ!!

やっと、やっとです!!やっと皆を救うことができる!!」

 

ナラティブ『イア…。』

 

イア「…待っててください、皆。

私が今度こそあなた達を…

 

 

 

()()()()()()()()()。」

 

 

 

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