サオリ「くっ。やはり硬い!」
イア「ハァッ!!」
イアは銃を乱射する。こちらも攻撃を仕掛けてはいるものの、装甲によって阻まれる。
“イア!どうしてこんなことを!”
イア「今、彼女らを顕現させたままにしておかなければ、もう二度とチャンスは来ないかもしれないのです!!」
アツコ「チャンス…?」
アリウス生「ね、ねぇあれって…。」
アリウス生「うん…「聖堂の亡霊」だよね…。」
アリウス生「なんで先生と話してるの…?」
セリナ「きゃあ!」
その時、セリナが天使達に襲われ、尻餅をつく。
セリナ「あ、ああっ…。」
ミネ「危ない!!」
その間に、ミネが割り込んだ。
ミネ「…!?」
沼。ミネがその空間で初めて感じた感情は、そのようなものだった。
ミネ(ここは…?)
『それは、異なる解釈によるものだった。』
『彼女たちは、自分たちが「真理を解するもの」だと信じていた。正しさの証明をしたがった。』
『それが、果てなき迫害の始まりであった。』
ミネ(これは…アリウスの…!)
『道は無かった。故に我々は、自ら道を切り開いた。』
『ありとあらゆるところから──トリニティは、我々を存在しないものとして扱った。』
『故に生き延びることが唯一の抵抗であり、崇高であった。』
『されど、憎しみは廻り、我々に還る。』
銃撃戦。見知らぬ生徒たちが戦っている。
『多くの者が消えた。雑兵から英雄まで。』
『その果ては──』
『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』
ミネ(…!)
『トリニティ達は言った。「お前達は、なるべくして追放された」と。』
『トリニティ達は言った。「お前達は、自らその結果を招いたのだ」と。』
『トリニティ達は言った。「お前達は、そうあるべくして苦しんでいるのだ」と。』
『だが、ここに述べる。』
『初めからそうあるべきものなど、どこにも存在しない。』
『トリニティ達は答えねばならない。自らの作った過去で、アリウスがどうなったか。』
『トリニティ達は答えねばならない。消えるはずの無かった命の未来を。』
『トリニティ達は答えねばならない。その憎しみがなければ、アリウスにどのような愛が与えられたのか。』
子供の声「化け物が…!」
子供の声「だから、この復讐は、未来の誰かに任せるよ。」
子供の声「…happy Birthday to you…」
ミネ(…!)
『希望を抱くことが、罪とされる世界がある。』
『幸せを望む子が、罰を受ける世界がある。』
子供の声「…俺が、やったのか…?」
『その世界では慈悲すらも、意味を失い色褪せる。』
『答えるがいい。』
『子どもたちを消し去ったその真理に、いかなる威徳が宿ると言うのか。』
『自らを犠牲にして仲間を救おうとした英雄がいた。
自らの手で仲間を殺すことになった子供がいた。
その涙の前で、いかなる正しさが標榜できると言うのか。』
『人生など無意味な苦痛しかない。そう語る子どもの前で、いかなる正義が、公平を語れるというのか。』
ミネ「それ、は…。」
『答えるがいい!!!』
『お前には答える義務がある。』
『全ての現在は、過去を礎にして築かれる。』
『それはただの異なる解釈だった。しかし、全ての痛みと憎しみの導火線となった。』
『アリウスの子どもは、最も死に近づいた。』
『
『答えるがいい!!!』
ミネ「私、には──答えられ、ません。
答えがあってはならない、そういう問い、ですから…。」
ミネの目から、涙が流れる。
ミネ「ぐすっ…う、ううっ……。」
『天の星も月も、己の罪に耐えきれず、その光を隠した。』
『何処に行かれるのですか?』
沈む意識の中で、ミネは一つのことを思い出した。何でもないあの問い。あの問いに先生は──
“その人が信じているもの、かな。”
“人を動かすのは、感情や信念だからね。”
“…それが信仰や、自分の内側にある信頼でもね。”
ミネ(けれど、先生。私は何を…。
トリニティが生み出してしまった悲しみ、惨禍…私たちには、一体何ができるのでしょうか…。)
“『信じることをしなさい。』”
ミネ(先生…?そんなことは言っていなかったはず…。)
“『信じてきたこと。そして、ミネを支え、歩ませ、生かしてきたもの。それを信じなさい。』”
ミネ(……いいえ。こんな時、先生ならきっと…。)
“私たちは、過去を変えることはできない。”
“でもそれは、「現在」を生きない理由にはならない。”
“その道が間違っていないと思うなら──”
“道を貫くことで、自分を証明しなさい。”
ミネ(…私の道。それは……)
助けを求める声に、耳を塞ぐなら。自分は何者であるというのか。
ミネ(!そうですね…先生ならきっと…!!)
ミネは向き直る。
ミネ「……失礼いたしました。貴方の問いに、お答えいたします。完璧な答えではありませんが。
この世界は、悲しみに満ち溢れています。それは、揺るぎない事実。
現在は、過去を礎に築かれる。それもまた、疑いようもありません。
…ですが、私の行動で、たった一人でも救えるのなら。
私はそれ以上、何も望みません。」
守るべき物がある。見返りなど望まない。
信じたことを成す。それが、誇りなのだから。
ミネ「誇りと信念を胸に刻み──」
全員を救うことはできない。自分の体は一つしかないのだから。それでも……ほんの僅かでも。
皆が、より広い世界へと歩み出せるように。
ミネ「──救護が必要な場所に救護を。」
ミネ「皆さん、私の後ろに下がって下さい!」
ハナエ「団長!?」
セリナ「団長!!」
ミネ「これより救護騎士団が、皆さんをお守りいたします!!」
イア「……させません。ここで顕現が終われば、終わってしまったら…!!」