ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

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11話

サオリ「くっ。やはり硬い!」

 

イア「ハァッ!!」

 

イアは銃を乱射する。こちらも攻撃を仕掛けてはいるものの、装甲によって阻まれる。

 

“イア!どうしてこんなことを!”

 

イア「今、彼女らを顕現させたままにしておかなければ、もう二度とチャンスは来ないかもしれないのです!!」

 

アツコ「チャンス…?」

 

 

アリウス生「ね、ねぇあれって…。」

 

アリウス生「うん…「聖堂の亡霊」だよね…。」

 

アリウス生「なんで先生と話してるの…?」

 

 

セリナ「きゃあ!」

 

その時、セリナが天使達に襲われ、尻餅をつく。

 

セリナ「あ、ああっ…。」

 

ミネ「危ない!!」

 

その間に、ミネが割り込んだ。

 

ミネ「…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沼。ミネがその空間で初めて感じた感情は、そのようなものだった。

 

ミネ(ここは…?)

 

『それは、異なる解釈によるものだった。』

『彼女たちは、自分たちが「真理を解するもの」だと信じていた。正しさの証明をしたがった。』

 

 

アリウスに、今より永劫の破門を言い渡す。

 

『それが、果てなき迫害の始まりであった。』

 

ミネ(これは…アリウスの…!)

 

『道は無かった。故に我々は、自ら道を切り開いた。』

『ありとあらゆるところから──トリニティは、我々を存在しないものとして扱った。』

『故に生き延びることが唯一の抵抗であり、崇高であった。』

『されど、憎しみは廻り、我々に還る。』

 

銃撃戦。見知らぬ生徒たちが戦っている。

 

『多くの者が消えた。雑兵から英雄まで。』

『その果ては──』

『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』

 

ミネ(…!)

 

『トリニティ達は言った。「お前達は、なるべくして追放された」と。』

『トリニティ達は言った。「お前達は、自らその結果を招いたのだ」と。』

『トリニティ達は言った。「お前達は、そうあるべくして苦しんでいるのだ」と。』

 

『だが、ここに述べる。』

『初めからそうあるべきものなど、どこにも存在しない。』

 

『トリニティ達は答えねばならない。自らの作った過去で、アリウスがどうなったか。』

『トリニティ達は答えねばならない。消えるはずの無かった命の未来を。』

『トリニティ達は答えねばならない。その憎しみがなければ、アリウスにどのような愛が与えられたのか。』

 

子供の声「化け物が…!」

 

子供の声「だから、この復讐は、未来の誰かに任せるよ。」

 

子供の声「…happy Birthday to you…」

 

ミネ(…!)

 

『希望を抱くことが、罪とされる世界がある。』

『幸せを望む子が、罰を受ける世界がある。』

 

子供の声「…俺が、やったのか…?」

 

『その世界では慈悲すらも、意味を失い色褪せる。』

 

 

『答えるがいい。』

『子どもたちを消し去ったその真理に、いかなる威徳が宿ると言うのか。』

『自らを犠牲にして仲間を救おうとした英雄がいた。

自らの手で仲間を殺すことになった子供がいた。

その涙の前で、いかなる正しさが標榜できると言うのか。』

『人生など無意味な苦痛しかない。そう語る子どもの前で、いかなる正義が、公平を語れるというのか。』

 

ミネ「それ、は…。」

 

『答えるがいい!!!』

『お前には答える義務がある。』

『全ての現在は、過去を礎にして築かれる。』

『それはただの異なる解釈だった。しかし、全ての痛みと憎しみの導火線となった。』

『アリウスの子どもは、最も死に近づいた。』

トリニティ(お前)は、何を以て生きていこうとするのか』

 

『答えるがいい!!!』

 

 

 

ミネ「私、には──答えられ、ません。

答えがあってはならない、そういう問い、ですから…。」

 

ミネの目から、涙が流れる。

 

ミネ「ぐすっ…う、ううっ……。」

 

『天の星も月も、己の罪に耐えきれず、その光を隠した。』

『何処に行かれるのですか?』

 

 

沈む意識の中で、ミネは一つのことを思い出した。何でもないあの問い。あの問いに先生は──

 

“その人が信じているもの、かな。”

“人を動かすのは、感情や信念だからね。”

 

“…それが信仰や、自分の内側にある信頼でもね。”

 

ミネ(けれど、先生。私は何を…。

トリニティが生み出してしまった悲しみ、惨禍…私たちには、一体何ができるのでしょうか…。)

 

“『信じることをしなさい。』”

 

ミネ(先生…?そんなことは言っていなかったはず…。)

 

“『信じてきたこと。そして、ミネを支え、歩ませ、生かしてきたもの。それを信じなさい。』”

 

 

ミネ(……いいえ。こんな時、先生ならきっと…。)

 

“私たちは、過去を変えることはできない。”

“でもそれは、「現在」を生きない理由にはならない。”

“その道が間違っていないと思うなら──”

“道を貫くことで、自分を証明しなさい。”

 

ミネ(…私の道。それは……)

 

助けを求める声に、耳を塞ぐなら。自分は何者であるというのか。

 

ミネ(!そうですね…先生ならきっと…!!)

 

ミネは向き直る。

 

ミネ「……失礼いたしました。貴方の問いに、お答えいたします。完璧な答えではありませんが。

 

この世界は、悲しみに満ち溢れています。それは、揺るぎない事実。

現在は、過去を礎に築かれる。それもまた、疑いようもありません。

 

…ですが、私の行動で、たった一人でも救えるのなら。

私はそれ以上、何も望みません。」

 

守るべき物がある。見返りなど望まない。

信じたことを成す。それが、誇りなのだから。

 

ミネ「誇りと信念を胸に刻み──」

 

全員を救うことはできない。自分の体は一つしかないのだから。それでも……ほんの僅かでも。

皆が、より広い世界へと歩み出せるように。

 

ミネ「──救護が必要な場所に救護を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミネ「皆さん、私の後ろに下がって下さい!」

 

ハナエ「団長!?」

 

セリナ「団長!!」

 

ミネ「これより救護騎士団が、皆さんをお守りいたします!!」

 

イア「……させません。ここで顕現が終われば、終わってしまったら…!!」

 

 

 

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