ナラティブ『さて、何から話そうか。
…まず、私たちがどうやって死んだのかは、分かってくれた?』
アツコ「…ネオジオング…。」
ナラティブ『そうね。アタシたちはそれによって操られたゾルの手で死んだ…その後彼女が感じた絶望は、察するに余りあるわ。』
“………。”
ナラティブ『そして、ゾルはエデン条約の時に再度ネオジオングを起動させ、地上を焼き払おうとした…
だが、この話には続きがある。今までの話には、その後が語られなかったものがある。』
“それは一体…?”
ナラティブ『…実験台たちの遺体の、その後。』
アツコ「…!」
ナラティブ『…あのベアトリーチェが、たとえ死んだからといって、遺体を墓に入れるほど、殊勝な人間に見えたか?』
先生は考える。そして、一つの可能性に行き着いた。
“………まさか…!”
ナラティブ『…そう。
先生は怒りを覚える。あのベアトリーチェは、生徒をいたぶるだけではなく、その死体まで、自らのために利用していたのだ。
だが、その怒りも、ナラティブの次の話に塗り潰された。
ナラティブ『かつて百合院セイアは、夢の中で干渉を受け、現実の肉体もダメージを受けたという…。
だから、魂は肉体であり、肉体は魂なんだよ。』
アツコ「…ちょっと待って。それは…。」
ナラティブ『そして、私たちの意識は混ざり合っている。これが何を意味するか、分かるだろう?』
先生は再び考え、再び結論に辿り着く。
“……死体が、繋がっている…?”
アツコ「死体が…?」
ナラティブ『概ね正解だ。私たちの死体は、何かの装置に並列で接続されているらしい。死んだ後のことだから、詳しいことは分からないがね。
ただ…。』
“ただ?”
ナラティブ『…本能でわかる。装置が姿を現す時。それは…
アツコ「!?」
“まさかイアは…!?”
ナラティブ『…そうだよ。あの娘はそのために、あなた達に銃を向けた。
私たちの遺体を取り戻すために。』
アリウスのどこか。
イア「…まだだ…まだチャンスは…
せめて遺体だけでも取り戻さないと…皆は…!」
機械はまだ動き続ける。その後ろ姿ほど悲しいものはなかった。
ナラティブ『…先生、お願いがある。』
“……なに?”
ナラティブ『イアを…いや、アリウスの子たちを救ってやってくれ。過去に囚われず、もっと自由な人生を…私たちが送れなかった分まで、生きてほしい。
私たちの遺体なんて、取り戻さなくてもいい。
だから、アリウスを、イアを救ってやってください、先生。』
“………分かった。”
サオリ達の下に、先生とアツコは戻った。
サオリ「先生…大丈夫か?」
“うん…とりあえず、イアが襲ってきた理由は分かった。”
ヒヨリ「わ、私には見えませんでしたけど…先生と姫ちゃんが見えたって言うなら、信じます。」
ミサキ「それで、これからどうするの?彼女が襲ってきた理由が分かったところで…」
先生は、ミネとナラティブの言葉を思い出す。
ミネ『どうか──アリウスの生徒たちの「日常」を、守ってはいただけませんか?』
ナラティブ『私たちが送れなかった分まで…』
“とにかく、やることがある。”
ミサキ「それは?」
“明日の授業の準備。連絡もしておかないとね。”
ミサキ「……はあ?」
アツコ「……ふふっ。」
ヒヨリ「なんだか先生らしいですね…!」
サオリ「…ああ。そうだな。こういう時だからこそ、日常を守るため、日常的に過ごすべきなのかもしれない。」
バシリカ。
アリウス生「ふざけてるの!?」
アリウス生達に届いたメール。明日の授業の日程。
アリウス生「やっぱり先生は私たちのことなんて…。」
スバル「皆さん、気にする必要はありません。」
アリウス生「先輩…!」
スバル「あの人達に、もはや言うことはありません。早く寝なさい。」
アリウス生「で、でも先生やスクワッドに抗議とか…。」
アリウス生「それにマイアのことだって…。」
スバル「さっさと、寝なさい。」
アリウス生「!?」
アリウス生がスバルから感じたのは、威圧感。その一言に尽きるものだった。
スバル「…行きましたか。はぁ…嫌な気分ですね…。
死してなお、眠れないような…あの感覚…。」