マイアはポルタパシスにスバル達が行ったことを伝えた。
“ポルタパシス…?”
先生は尋ねる。
マイア「…はい……確かそんなことを言ってました。」
サオリ「ポルタパシス…「平和の門」。」
アツコ「…ずっと続いてきた内戦でも、一つだけ守られ続けてた掟があった。
「ポルタパシスには近づくな」という教え。」
サオリ「今思えば、奇妙な話だ。あそこには、何が眠っているのだろうか…。」
アツコ「…。」
サオリ「伝え聞いた話ではあるが、あそこにはアリウスの過去が眠っているらしい。」
“過去?”
マイア「私たちが教わったものとは違うんですか?」
ミサキ「歴史は語られる者によって変わっていく。現にトリニティのアリウスに対する解釈も、随分違うらしいし。」
その時、アツコが口を開く。
アツコ「もしもだけど…トリニティとアリウス両方の歴史を知ってる生徒がいたとしたら、どうする?」
“何か心当たりがあるの?”
アツコ「…たとえ歴史が書き換えられても、真実を探究しようとする人達はいる。
…トリニティの「図書委員会」とかね?」
先生はウイに電話をかける。
ウイ『……私のこと、便利な百科事典だと思ってませんか!?』
マイア「ひ、ひぃ……!」
ヒヨリ「う、うわああ…。」
“ごめん……どうしてもウイの力が必要なんだ。”
シミコ『先輩!先生にはいつもお世話になってるじゃないですか!ちょっとぐらい手伝ったらどうです!?』
ウイ『で、でも…。』
シミコ『…なら、先生の所に「出張」しますか?』
ウイ『ええ…!?』
アツコ「こんにちは。アリウスの秤アツコです。よろしくね。」
ウイ『……はぁ。分かりました。古関ウイです……さっさと本題に入りましょう。』
先生はポルタパシスのことについて、ウイから聞いた。アリウスの歴史が記憶されている場所。
アツコ「…でも、今さら調べても、大したことは何も出てこないと思う。」
マイア「なら、なんで先輩達はあそこに…?」
アツコ「…あそこには、アリウスの「秘儀」があるから。」
ウイ『秘儀…?』
アツコ「マダムが、私にだけ教えたから、誰も知らないと思う。」
ミサキ「まさか、ユスティナ聖徒会や、ゾルの乗っていたアレも…?」
アツコ「今はもう分からない。それが秘儀なのか、ベアトリーチェが作ったものなのか。
でも、アリウスは元々、不思議なことが多く起こる場所だった。あまり頻度は高くなかったんだけどね。」
サオリ「確かにアリウスでは、怪奇現象が多発していた。…外に出て改めて、そう思った。」
“それは…どうして?”
アツコ「私にも分からない。ただ、アリウスはそういう「場所」になってしまっていた。
……きっと、強い思い…怒りや、悲しみみたいなものが積み重なって起こってるんじゃないかな。」
サオリ「全てがマダムの仕業だと思っていたが…いや、そう考えることで、アリウスの「裏の真実」から目を逸らしていたのかもしれないな。」
アツコ「時々怖くなる。積み重なった強い思いの奥底には、何があるんだろう?」
シミコ『……では、話を戻しましょう。黙示録のことについてですね。』
アツコ「ありがとうシミコさん。」
シミコ『それでは、まず概要から。黙示録とは、両学園の経典、その最終章にあたります。』
ウイ『トリニティにおいて黙示録は、そこまでつよい意味を持ちません。教訓や助言を集めた箴言集としての意味程度です。』
サオリ「だがアリウスでは、黙示録の研究が特に重視されていた。「世界の滅亡」について記されているからな。」
“つまりそれって…!”
ウイ『失うものがない人にとって…世界の終わりは「救済」を意味していたのかもしれませんね。』
シミコ『黙示録には、7人の天使が3組登場します。』
アツコ「「ラッパを吹く天使」…今回のはそれかな。」
“今の時点では4回…7回目はどうなるの?”
アツコ「…黙示録の通りなら、世界は滅ぶかもね。」
ウイ『…1つだけ、黙示録の天使に関する文献があります。』
“それはどんなの?”
ウイ『……たしか、次のような内容でした。』
審判の時、7つのラッパが吹き鳴らされる
我ら審判の時を超え、新たな世界で生きるであろう
…だが、審判が裏返り、我々に牙を剥く時
我々の
光輪は、アリウスに隠す
“光輪…?”
ウイ『詳しいことは分かりません。しかし、天使に対抗する存在ではありそうです。』
ポルタパシス内部。
スバルは、アリウスの外典を見つけ、それを読み進めていた。
スバル「次のページは…。」
ゲヘナ、トリニティへの怒りの記録。
現在と一致する記述。
そして、天使とアリウスの関係。
スバル「…?これは…。」
その時、スバルは気づく。
スバル「…これは、誰が…いえ。今はそんなことより。」
スバルはそのページに何が書かれていたのか、確かめたくなった。
スバル「…。」
ページをめくる。
前後のページには無い。
周りを見渡す。
ページは落ちていない。
そして、目次を見て、ようやく何が書かれていたのか分かった。
スバル「『永劫の光輪』?これは一体…。」
瞬間。スバルの目にまばゆいばかりの光が差し込む。
スバル「!?これは…!?」
声が聞こえる。
『アリウスに、今より永劫の破門を言い渡す。』
『道は無かった。故に我々は、自ら道を切り開いた。』
『ありとあらゆるところから──トリニティは、我々を存在しないものとして扱った。』
『故に生き延びることが唯一の抵抗であり、崇高であった。』
『多くの者が消えた。雑兵から英雄まで。』
『その果ては──』
『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』
スバル(!?この声は…!?)
『過去は、現在を礎にした建造物だ。すべての過去は、現在と無関係ではない。
もし、公会議で違う結論が出ていたなら。
もし、アリウスが追放されていなければ。
私たちは、どのような生き方をしていただろう?
歴史にIfは禁物である。
しかしアリウスは、考え続けなければならなかった。』
スバル「あなたは…一体…?」
『我々は、アリウスに残された…』