ロイヤルブラッドの失敗作【完結】   作:セルビア

62 / 70
17話

マイアはポルタパシスにスバル達が行ったことを伝えた。

 

“ポルタパシス…?”

 

先生は尋ねる。

 

マイア「…はい……確かそんなことを言ってました。」

 

サオリ「ポルタパシス…「平和の門」。」

 

アツコ「…ずっと続いてきた内戦でも、一つだけ守られ続けてた掟があった。

「ポルタパシスには近づくな」という教え。」

 

サオリ「今思えば、奇妙な話だ。あそこには、何が眠っているのだろうか…。」

 

アツコ「…。」

 

サオリ「伝え聞いた話ではあるが、あそこにはアリウスの過去が眠っているらしい。」

 

“過去?”

 

マイア「私たちが教わったものとは違うんですか?」

 

ミサキ「歴史は語られる者によって変わっていく。現にトリニティのアリウスに対する解釈も、随分違うらしいし。」

 

その時、アツコが口を開く。

 

アツコ「もしもだけど…トリニティとアリウス両方の歴史を知ってる生徒がいたとしたら、どうする?」

 

“何か心当たりがあるの?”

 

アツコ「…たとえ歴史が書き換えられても、真実を探究しようとする人達はいる。

…トリニティの「図書委員会」とかね?」

 

 

 

 

 

先生はウイに電話をかける。

 

ウイ『……私のこと、便利な百科事典だと思ってませんか!?』

 

マイア「ひ、ひぃ……!」

 

ヒヨリ「う、うわああ…。」

 

“ごめん……どうしてもウイの力が必要なんだ。”

 

シミコ『先輩!先生にはいつもお世話になってるじゃないですか!ちょっとぐらい手伝ったらどうです!?』

 

ウイ『で、でも…。』

 

シミコ『…なら、先生の所に「出張」しますか?』

 

ウイ『ええ…!?』

 

 

アツコ「こんにちは。アリウスの秤アツコです。よろしくね。」

 

ウイ『……はぁ。分かりました。古関ウイです……さっさと本題に入りましょう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

先生はポルタパシスのことについて、ウイから聞いた。アリウスの歴史が記憶されている場所。

 

アツコ「…でも、今さら調べても、大したことは何も出てこないと思う。」

 

マイア「なら、なんで先輩達はあそこに…?」

 

アツコ「…あそこには、アリウスの「秘儀」があるから。」

 

ウイ『秘儀…?』

 

アツコ「マダムが、私にだけ教えたから、誰も知らないと思う。」

 

ミサキ「まさか、ユスティナ聖徒会や、ゾルの乗っていたアレも…?」

 

アツコ「今はもう分からない。それが秘儀なのか、ベアトリーチェが作ったものなのか。

でも、アリウスは元々、不思議なことが多く起こる場所だった。あまり頻度は高くなかったんだけどね。」

 

サオリ「確かにアリウスでは、怪奇現象が多発していた。…外に出て改めて、そう思った。」

 

“それは…どうして?”

 

アツコ「私にも分からない。ただ、アリウスはそういう「場所」になってしまっていた。

……きっと、強い思い…怒りや、悲しみみたいなものが積み重なって起こってるんじゃないかな。」

 

サオリ「全てがマダムの仕業だと思っていたが…いや、そう考えることで、アリウスの「裏の真実」から目を逸らしていたのかもしれないな。」

 

アツコ「時々怖くなる。積み重なった強い思いの奥底には、何があるんだろう?」

 

 

シミコ『……では、話を戻しましょう。黙示録のことについてですね。』

 

アツコ「ありがとうシミコさん。」

 

シミコ『それでは、まず概要から。黙示録とは、両学園の経典、その最終章にあたります。』

 

ウイ『トリニティにおいて黙示録は、そこまでつよい意味を持ちません。教訓や助言を集めた箴言集としての意味程度です。』

 

サオリ「だがアリウスでは、黙示録の研究が特に重視されていた。「世界の滅亡」について記されているからな。」

 

“つまりそれって…!”

 

ウイ『失うものがない人にとって…世界の終わりは「救済」を意味していたのかもしれませんね。』

 

シミコ『黙示録には、7人の天使が3組登場します。』

 

アツコ「「ラッパを吹く天使」…今回のはそれかな。」

 

“今の時点では4回…7回目はどうなるの?”

 

アツコ「…黙示録の通りなら、世界は滅ぶかもね。」

 

ウイ『…1つだけ、黙示録の天使に関する文献があります。』

 

“それはどんなの?”

 

ウイ『……たしか、次のような内容でした。』

 

 

 

 

審判の時、7つのラッパが吹き鳴らされる

我ら審判の時を超え、新たな世界で生きるであろう

 

…だが、審判が裏返り、我々に牙を剥く時

我々の()()()()()が、全てを巻き戻す

 

 

 

光輪は、アリウスに隠す

 

“光輪…?”

 

ウイ『詳しいことは分かりません。しかし、天使に対抗する存在ではありそうです。』

 

 

 

 

 

 

ポルタパシス内部。

スバルは、アリウスの外典を見つけ、それを読み進めていた。

 

スバル「次のページは…。」

 

ゲヘナ、トリニティへの怒りの記録。

現在と一致する記述。

そして、天使とアリウスの関係。

 

スバル「…?これは…。」

 

その時、スバルは気づく。()()()()()()()()()()()()()

 

スバル「…これは、誰が…いえ。今はそんなことより。」

 

スバルはそのページに何が書かれていたのか、確かめたくなった。

 

スバル「…。」

 

ページをめくる。

前後のページには無い。

 

周りを見渡す。

ページは落ちていない。

 

そして、目次を見て、ようやく何が書かれていたのか分かった。

 

スバル「『永劫の光輪』?これは一体…。」

 

 

 

瞬間。スバルの目にまばゆいばかりの光が差し込む。

 

スバル「!?これは…!?」

 

 

 

 

 

 

声が聞こえる。

 

『アリウスに、今より永劫の破門を言い渡す。』

 

『道は無かった。故に我々は、自ら道を切り開いた。』

 

『ありとあらゆるところから──トリニティは、我々を存在しないものとして扱った。』

 

『故に生き延びることが唯一の抵抗であり、崇高であった。』

 

『多くの者が消えた。雑兵から英雄まで。』

 

『その果ては──』

 

『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』

 

スバル(!?この声は…!?)

 

『過去は、現在を礎にした建造物だ。すべての過去は、現在と無関係ではない。

もし、公会議で違う結論が出ていたなら。

もし、アリウスが追放されていなければ。

私たちは、どのような生き方をしていただろう?

 

歴史にIfは禁物である。

しかしアリウスは、考え続けなければならなかった。』

 

スバル「あなたは…一体…?」

 

 

 

『我々は、アリウスに残された…』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。