魔導王の帰還【オバロ二次】   作:taisa01

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コミケ107にて本作を頒布予定です。

本日4話投降後 毎日2話投稿します。


プロローグ

 三年という歳月は、長いようでいて、過ぎてしまえばあまりにも一瞬だった。

 黒板。

 机。

 授業。

 昼休み。

 運動会といったイベントの数々。

 そして、耳にこびりついて離れない、騒々しいクラスメイトたちの声。

 異世界に転移した挙句、さらによく分からない世界へ“合流”させられ、同じように異世界転生したモノや異世界の住人たちと机を並べてすごした学園生活──。

 それは、かつて鈴木悟だった男にも、いまやナザリック地下大墳墓の支配者アインズ・ウール・ゴウンにも、まったく予想だにしなかった人生(?)の寄り道だった。

 しかし、どんな異常な日々にも終わりは来る。

 

 ──卒業式の日

 

 礼拝堂の大きな鐘が鳴り、紙吹雪が舞い、教師たちが泣き笑い、騒がしくも不思議に温かい三年間が、ゆっくりと幕を下ろしていく。

 黒板の前には色とりどりの花。

 窓から差し込む光の中、隣で大きな声で笑っている者。

 やれやれと言いたげにため息をつく者。

 照れくさそうにうつむいている者。

 教室の空気には、達成感と名残惜しさが、ごちゃまぜになって漂っていた。

 

 ──卒業証書を受け取り、最後のホームルームが終わり

 

 校舎に別れを告げた時。

 転移させられた時と同じように空間が歪み、天井から光の渦が広がった。白と金色が混じり合ったような眩しい光に包まれ、身体がふわりと浮き、床から足が離れる感覚。一瞬だけ視界がぐるりと反転する。

 光に呑まれる刹那、アインズは心の奥で、必死に祈った。

 

(頼む。戻った後に、何か妙なものがくっついてきていませんように)

 

 その祈りは、いかにもアインズらしいものだった。もはや神に祈れる立場ではないにもかかわらずだが……。

 目を開けたとき──そこは、ナザリック地下大墳墓の玉座の間だった。

 高くそびえる天井に埋め込まれた燐光石が青白い光を放ち、滑らかな石造りの床に反射し、長く伸びる影を作っていた。両脇には、ギルドメンバーそれぞれを象徴する旗が規則正しく並び、この場の意味を無言で語っている。

 玉座の前に立つアインズ本人。そして玉座の前に、守護者たちが跪いていた。

 アルベド、デミウルゴス、シャルティア、コキュートス、アウラ、マーレ。三年前と変わらぬ忠誠を全身で表している。同時に三年間クラスメイトとして育んだ絆のようなものを感じずにはいられない。

 そして、アインズ自身も三年前と違っていた。

 学園生活という異常な“日常”で過ごした三年間は、不死者のため肉体的な変化こそ与えなかったものの、思考の癖や感情の流れを、確実に変えるにいたった。

 

「アインズ様、おかえりなさいませ!」

 

 深く頭を垂れた守護者たちが、一斉に声を上げる。玉座の間に響き渡るその声には、誇りと歓喜──そして、ほんのわずかな安堵が混ざっていた。

 視線。

 仕草。

 声の響き。

 三年前よりも柔らかく、親密に感じられるのだった。

 

(……礼儀正しく、この上ない忠誠心も感じる。根底には打ち解けた空気もある。やはり三年の学園生活で、守護者たちにも“心境の変化”があったのか……。うん。悪いことではないはずだ)

 

 こうして三年ぶりに、ナザリック地下大墳墓の主が帰還した魔導王と最側近たる守護者たちの変化──支配者とNPCたちのわずかなブレが、本来の歴史から大きくずれる「揺らぎ」となることを、この場にいる誰一人として知る由もなかった。

 

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