死んで若返ったら色んな人がヤンデレだった   作:かわうそ☆ゆう

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12.平和?な水族館デート〜裏〜

夏樹と結衣の号令で集められた響と柊は、朝の4時という非常識な時間から翔の家の近くで張り込みをしていた。

 

「お前ら、さすがに早すぎだろ。絶対」

 

柊が欠伸混じりにそう言うと、夏樹は即座に言い返す。

 

「甘いわね。菜々は私達と同類よ?」

 

「つまり?」

 

「ワクワクしすぎて、この時間から動き出すタイプ」

 

「……なるほど、確かに」

 

アホのアホ理論に、何故か納得してしまうアホ柊。

そして何が面白いのか、ずっとテンション高めで今か今かと待ち続けるアホ響。

 

果たしてこの4人のアホ達は、無事に尾行を成功させられるのだろうか。

 

――1時間後。進展なし。

――2時間後。進展なし。

――3時間後。進展なし。

 

「クッソ……完全に騙されたじゃねぇか!アホ女共が!ぜんっぜん同類じゃねぇじゃねぇか!」

 

ついに痺れを切らした柊が噛みつく。

 

「うっさいわね!ちょっと計算違いだっただけよ!」

 

「そうだそうだ!念には念を、ってやつだろーが!」

 

アホ2人がアホ理論で対抗する中、唯一、何故かずっとワクワクしたままの響。

 

そして――

さらに1時間後。

 

ようやく、翔と菜々が姿を現した。

2人は翔の母親に「行ってきます」と声をかけ、仲良く並んで駅の方へと歩き出す。

 

「……出た」

 

「事前情報だと、行き先は水族館よね。響?」

 

「イェッサー!」

 

「よし、なら駅に――」

 

夏樹の言葉が途中で止まる。

それも当然だった。

彼女の視界に、手を繋いで歩く翔と菜々の姿が映ったからだ。

 

「……え、いつの間に……?」

 

結衣も同じく言葉を失う。

一瞬の沈黙。

そして次の瞬間。

 

「「ぶっっ殺してやる!!!」」

 

「待て待て待て待て!尾行だろ!?尾行!バカかお前ら!」

 

慌てて2人を抑える柊と響。

この2人がいなければ、間違いなくこの時点で事件が起きていた。

 

 

なんとか暴走する2人を押さえ込み、アホ4人は水族館前へと到着していた。

時刻は9時。開店まであと1時間。

翔達がチケットを購入するのを確認し、4人もこっそり後を追う。

 

「……1時間待ちか。今日、待ち時間長すぎじゃね?」

 

「人多いし、菜々ちゃんの提案なんじゃない?」

 

文句を言いつつも、翔達からギリギリ見つからない距離で待機する柊と夏樹。

 

一方、待ち時間に耐えられなかった響と結衣は、近くのガチャガチャコーナーへ消えていった。

 

……まとまりがなさすぎる。

 

やがて開店。

4人は人混みに紛れ、スパイミッションを開始した。

最初に翔達が向かったのは、入口すぐの巨大水槽。

 

「うおー!すげぇー!」

 

「バッカ!声デケェんだよ!」

 

スパイの自覚ゼロな響と、それを同じ音量で止める結衣。

 

「……お前ら2人とも静かにできねぇのか」

 

「無理だね……」

 

翔達が先へ進むのを確認し、4人も後を追う。

 

やがてふれあいコーナー。

 

「すっげぇ!結衣!エイだぞエイ!」

 

「え!マジ!?本物!?」

 

完全に観光客モードの2人を横目に、柊と夏樹は観察を続ける。

ヒトデの前で盛り上がる翔と菜々。

 

それを見つめる周囲の視線は、どう見ても仲の良いカップルを見る目だった。

その視線に、夏樹の胸が僅かに締め付けられる。

 

その後も昼食、イルカショーと順調に進む尾行。

翔達は最前列。

4人は少し後ろの席。

 

「……あそこ、バカ濡れるけど大丈夫か?」

 

響の言葉に視線を向けると、周囲がカッパ姿だらけなのに、翔と菜々だけが完全無防備。

 

「翔くんが濡れるのはいいけど……菜々ちゃんはちょっと可哀想かも」

 

「でも今さら声かけられねぇしな……見守るしかないな」

 

そして――

 

イルカショー、クライマックス。

複数のイルカが客席へ向かって泳ぎ、跳ね、着水。

凄まじい水しぶき。

無防備な2人は、想像の3倍ビショビショになった。

 

「「「「うおおおおお!!!!」」」」

 

気づけば4人全員、立ち上がって拍手していた。

嫉妬心という感情は、人をここまで正直にする。

だが、その歓声とは裏腹に、翔と菜々の距離は確実に縮まっていた。

 

その後、Tシャツ事件で腹を抱えて笑い、

水族館を出た頃には夕日が街を染めていた。

 

「……流石に疲れたな」

 

柊の言葉に、3人も同意する。

朝4時からの尾行。疲れないわけがない。

それでも最後まで尾行を続け、翔達が家へ向かうのを確認するため、朝集合した場所へ先回りした。

 

そこで――

 

異変が起きる。

 

「……あれ、誰?」

 

夏樹が指差す先。

翔の家の前で、スーツ姿の男が落ち着きなく徘徊していた。

 

「怪しすぎだろ……締めるか?」

 

「待て。翔くんの父親だったらどうすんだ」

 

だが、家に入らないのは明らかにおかしい。

迷っている間に、翔と菜々が帰ってきた。

男も気づき、近づく。

 

「ほら、やっぱり知り合――」

 

「ぶっ殺してやる!!!!」

 

住宅街に響く翔の怒声。

 

初めて見るその姿に、4人は言葉を失う。

 

――そして。

 

一番最初に動いたのは、柊だった。

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