根拠
1.身体能力が高い 格闘タイプであるリオルならば二足歩行での身体能力の高さも納得
2.ポケモンとすぐに仲良くなれる 元ポケモンならばポケモンとの意思疎通も容易
3.人間離れした耐久力 レベルが高いリオルならば弱点2倍の攻撃を受けても数発は耐えられる
4.肝の据わりよう 世界を2度救い、命の危険がありそうな場面を何度も潜り抜けてきた歴戦の探検家ならば反社の脅しなど子どものお遊びに見えるはず
5.面倒ごとに首を突っ込んで解決する 探検家も面倒ごとに首を突っ込んで解決して報酬を貰うのが仕事
6.ダンジョンの探索が手慣れている 不思議のダンジョンを探索するのが生業な探検家ならばダンジョン化している地下水路などの探索も容易
Q.E.D 証明終了
※不思議のダンジョン世界と広く知られるポケモン世界のクロスオーバー作品です。後、当然の事ながらネタバレ注意です
続くかどうかは未定。
眩しい光が瞼という防壁越しに自分の網膜を揺さぶる。意識が少しずつ現実に引き戻されて、瞼を開いた。
周囲を見回す。思わず言葉を失う。ここ何処だよ。思わず口から溢れそうになった言葉を抑えて観察。自分はトレジャータウン1の探検家であるリオル。こんな事で慌てない動揺しないうろたえない。
まずは自分の置かれた状況を確認。そう、自分は死んだはずだ。老衰で。後の事はクレセリアに頼みながら、娘同然に育てたラルトスに見送られながら死ぬのだから悪くはない死に方だったはず。
ならばここは天国か? はたまた地獄か? いや、その両方とは違うな。地獄にしては明るすぎるし天国にしては美しいトゲキッスがいるという訳ではない。
観察……そう、観察こそがどんな探検においても基本……! 未知のポケモンと戦う時も、不思議のダンジョン内にあるトラップもよーく観察すればわかる……!
まずは窓の外。どこかの田園。どこまでも続く田園風景とその奥に見える霞がかった山の姿は長い事生きてきた自分の心を揺さぶる。まぁ自分を乗せている何かはすぐにトンネルの中に入っていってその風景は見えなくなったが。
次に自分を乗せている何かの中。人がたくさんいる。……。
「うそだろ」
思わずつぶやいてしまった、おち、落ち着いて、慌てない、動揺しない、うろたえない。この三原則はギルドに所属してる駆け出しの探検家たちにも口を酸っぱくして言ってきたことだ。おやかたである自分がそれを守らずしてどうする。
確かに人間からポケモンの姿になってから、元同族を見ることは無かった。それでも世界は広いのだからこれほどまでに人が多い場所も確かにあるだろう。そう、自分に言い聞かせる。
クールになれと自分に言い聞かせながら改めて窓の外を見る。トンネルの中に突入したせいで外は何も見えないが、ピカピカに磨かれた窓越しに自分の顔を確認することができた。
「うそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
人間だった。人間が窓越しに叫んでいる。いや、現実逃避はやめよう。どうやら自分は人間になってしまったらしい。
リオルがルカリオになるのはまだ分かる。ひかりのいずみ無しで進化することも稀にあるかもしれないからだ。だがリオルが人間になるという話は聞いたことはない。
いやまぁ自分は元々は人間でジュプトルやセレビィと共に時間改変しようとしてはいたのだが。自分ってこんな顔だったっけ……?
「ラル? ラル……ラルトー!」
「ラルトス……? どうしてここに……? というかここどこなの?」
突然自分が叫んだせいで微妙な空気になった室内から目を逸らし、自分のものと思わしきカバンの中へと視線を向けると、たまごから育てたラルトスが顔を出した。と思ったら抱き着いてきた。
周囲の視線がより冷たいものになった気がする。ラルトスがさめざめと涙を流しているからなおさらだ。別にひどいことしてるわけではないぞ。
……なんでこんな場所にいるのか物凄く気になるし、ギルドの仕事はどうしたのかと問いただしたいが今は置いておこう。
「ラル」
「パルキアが協力してくれてここに来た? 目が覚めたらカバンの中にいて、私もここがどこなのか分からない、と」
そんな事だろうとは思っていたがやはり
財布の中には見たことのない紙幣。1万円……? この場所でどれほどの価値があるのかは分からんな。
「ラル~」
「こっちの姿を見たらお腹が空いてきた? しょうがないな……そこのカートを押してるお姉さん、そのオレンフルーツサンドを1つください」
「はい、こちら500円になります」
……可及的速やかに資金を稼ぐか、この姿で食料を集める方法を探さないと待っているのは餓死かもしれない。1万円を渡しておつりとして渡された小銭と紙幣を財布に戻しながら、オレンの果肉を生クリームがたっぷり塗られたパンに挟まれたサンドイッチをラルトスに渡す。そして機械端末に目を向ける。
「??? え、この端末の中にポケモン入ってるの?」
「お客さん、スマホロトム知らないんですか?」
「……実は田舎から出てきたばかりでして」
「このスマホの中にはロトムというポケモンが入っていて、ロトムが色々とサポートもしてくれるんです! これで動画を見たりカメラを撮影したりできるんですよ」
パチリスが木の実を頬張るようにサンドイッチを頬張るラルトスを見てスボミーのような穏やかな表情を浮かべていたお姉さんが答えてくれた。お姉さんの指先で頬を撫でられるラルトスも上機嫌そうだ。そんな穏やかな雰囲気とは裏腹に、自分の心中は穏やかとは言い難かった。
分からないことが多すぎる。
なので聞くとしよう。スマホ端末の中に入ってるロトムに。小声でこの世界の事を教えて欲しいと聞いてみると快く教えてくれた。
結局ミアレにつくまでロトムにこの世界の事を教えてもらうことになった。とりあえず自分たちが乗っているのは『列車』と呼ばれるものらしい。これだけの人を載せながら走れるとかかがくのちからってすげー。
◇◆◇◆◇◆
「ラルぅ……」
「眠いのなら無理せず寝ていればいい。人間の姿になったと言えども探検家として磨いた技は衰えてないからね」
お腹がいっぱいになって眠そうにしているラルトスのほっぺについてる生クリームをポケットの中に入っていたハンカチで拭い、片手で抱き上げながらもう片方の手でカバンを握りしめる。
そしてミアレに到着したことを知らせるアナウンスを聞きながら列車から降りてミアレでの第一歩を踏みしめる。第一歩を踏み出した最初の感想は甘い匂いがするだった。寝息を立て始めたラルトスの口から生クリームの匂いがする。
ミアレの地に降り立った乗客たちで賑わうホーム、と呼ばれる場所を尻目に改札へと向かう。ロトムに教えられた通りにチケットを改札に通して外へと出る。
「……。これほどまでに発展している街を見るのは初めてかもしれない」
分類上ではムックルの仲間と思われるポケモンが街中を自由に飛び、道へと視線を向けるとカイリキーと共に歩く作業着を身に着けた男性の姿も見える。そして何より目立つのはそびえたつ巨大な塔。不思議のダンジョンになれば攻略に苦労したかもしれない。
……この世界では不思議のダンジョンが確認されてないと聞いて寂しさを覚えたが、まぁ仕方ない事だろう。
「そこの人! ミアレ駅に着いたばかりでしょ? しかもそのでっかい旅行カバン! そして抱きかかえてるラルトス! ずばり、観光客!」
「観光客……まぁ観光客なのかな? 多分きっとそうじゃないかな、うん」
「何その煮え切れない態度ー!? まぁいいや、助かったよ」
この金色の髪色が特徴的な少女の目的は一体何なのか測りかねてる所で、こちらの身長やらを図ってきて。
「ん~ 身長もあたしと同じぐらい! この方が並んだ時のバランスもいいね! ちょっと協力してくれない? 本当にちょっとでいいから~」
ポケダンズのかつての相棒とは比べ物にならないほどの押しの強さ、これがコミュニケーション強者だというのか。
そして彼女はこちらの返答を待たずに言葉を続ける。
「あたしのカメラに向かって『ミアレに来たらホテルZ』っていってね! できるよね?」
「いいよ」
「本当!? やっさしー! 宣伝してくれたらどこのホテルに泊まってくれてもいいからさっ! じゃ、撮影するねー」
こほん、と一つ咳払いして教えられた通りにカメラに向かって口上を述べようとした所で駅前に設置された巨大スクリーンから音が鳴る。かがくのちからってすげー。
「って、CMかー。これじゃあ音が入るから撮影できないね」
CMの内容を要約するとクェーサー社という企業の偉い人がポケモンと人との絆を深める都市計画を推進したいという話だった。
自分はどっちの枠に含まれるんだろうか、ポケモンか、それとも人間か。もしポケモンとして扱われるんだったらワイルドゾーンで寝泊まりする事になるんだろうか、もしそうなら嫌だな。
1人で野宿なら良いけどラルトスも一緒だし。
「撮影の邪魔をされちゃったけど、あの人良い事言ってるよね~ ミアレに来た人はこの街とポケモンが好きになるよ!」
少なくともこの少女は自分の事を人間としてカウントしてくれるらしい。やったぜ。
そして自分の鞄を持ち去ろうとする不届き者のポケモンの気配を感じるけど、街中で技を使っても良いんだろうか。そんな事を考えてるうちに見たこともないポケモンに荷物を持っていかれてしまう。
幸いなことにスマホロトムと財布はポケットの中に入れてるから問題ないけどミアレの警察はポケモンによる窃盗被害を受け付けてくれるんだろうか。
「という訳で、撮影を続けよっか! ……あれ? 旅行鞄は? あれがないと観光客に見えないでしょう?」
「あの小さいポケモンに持っていかれたんだけど、警察ってポケモンによる窃盗は調査してくれるの?」
「のんきな事言ってる場合じゃないでしょう!? ポケモンを追いかけよっ」
やはり元々いた世界と同じように人間だろうがポケモンだろうが最低限自衛できる力は必要らしい。次からは何か盗まれそうになったら攻撃するとしよう。
◇◆◇◆◇◆
「アンリだよ! ZAロワイヤルの事忘れてる!?」
「オレはアンドレ! オレたちは昨夜同じ場所にいたよ」
自分の鞄を盗んだポケモン……ヤンチャムと言うらしい、彼を追いかけてみると路地裏には観光客風のトレーナーたちがいて、彼らの話から察するに、こっちの金色の髪の少女はタウニー。そしてタウニーと彼らには因縁があるらしい。
「なんだ、昨日のトレーナーたちかぁ。弱すぎて完全に忘れてたよごめんね」
「悔しい……! でも負けたから言い返せないっ」
「あのー」
「わかった! カバンは返してやる! 代わりにここでポケモン勝負しろ!」
「どういう理屈なの? 再戦したいなら夜まで待ちなよ」
「うるせぇ! 負けたヤンチャムがリベンジしたがってるんだよ! だからカバン持って来たんだよ、たぶん」
「すいません」
「そうか、それはいい話だね。でも2人がかりはずるいでしょ!」
「自分の話聞いてもらって良いですか!!!」
思わず声を張り上げる。自分抜きで勝手に話を進めるな。そもそもトレーナーとかロトムに聞きそびれた単語も出てきたし。
「え、えーと、何かな? 名前は……」
名前を聞かれる。正直にリオルと答えても、この世界、そしてこの場所だと少々気が狂ってる人間だと思われるのは間違いなし。さっきのジェットって人はポケモンとの共生とか言っていたような気がする。ここから取るか。
「キョウヤ、と呼んでほしい」
「キョウヤ! キョウヤね、どうしたの?」
「まず、トレーナーってなんですか?」
トレーナーってなんだよ(哲学) いや本当。名前から察するにポケモンを鍛えて育てる人達なんだろうか?
自分の問いを聞いて、自分以外の人達、ついでにヤンチャムも未開の土地に住むポケモンを見るかのような視線を向けてきた。そ、そんなにおかしなこと聞いたのかな……?
「トレーナーというのはポケモンと一緒に他のトレーナーと戦ったり冒険したりする人……かな? 野良のポケモンをモンスターボールで捕まえて、育てて、戦わせる! そういう人たちの総称!」
「野良のポケモンを捕まえる」
「というかラルトスを連れてるのにトレーナーじゃなかったんだ……」
さらっと元ポケモンである自分の耳を疑いそうなことをいっていたような気がするけど、相手のヤンチャムと、タウニーが連れてる子たちは別に不満そうな様子はないのでそこには触れないでおこう。
「あたしは人助けが趣味だから貴方に道を示してあげる! あれは貴方のカバンだからね、どうすればいいのか分かるかな?」
「顔面にいわくだきぶち込む」
「トレーナーが戦うのはポケモンバトルではご法度だよ!? こほん。ラルトスは起きる様子はないし。代わりに貴方のそばに3匹の頼れるポケモンがいるね!」
早くしろという向こうのトレーナーの言葉を聞きながら3匹のポケモンへと視線を向ける。チコリータとワニノコは分かる。この丸っこいのは誰だ? ……まぁ、誰にするかは決まっている。
ラルトスを抱きかかえながらチコリータへと視線を向ける。
「戦ってくれるか?」
「チコ!」
「『盗人の顔面をへこませてやる』、か。やる気十分、気に入った」
すりすり、と自分の言葉の意味が分かって嬉しいのかチコリータがこちらに頭を寄せてきた。……この世界ではポケモンと意思疎通が完璧にできるというのは特殊な技能なのかもしれない。向こうのアンリという旅人らしい装いの人もヤンチャムとは完璧に意思疎通できてないみたいだし。
因みにあのヤンチャムが言っていたことを要約すると概ねアンリの言ってる通り。そして勝負に勝ったらご褒美としていつも貰ってるオボンの実が欲しいらしい。
「ご褒美としてオボンの実が欲しいか。そこのチコリータがオボンの実の代わりに顔面に体当たりをプレゼントするよ」
そうして自分のトレーナーとして初のポケモンバトルが始まった。
◇◆◇◆◇◆
相手のポケモンの耳元でなきごえを張り上げて怯ませた所に顔面に体当たり。ダンジョンでの戦闘の基本はこちらの世界でも有用だった。その後自分と同じように勝利したタウニーとグータッチしてチコリータを託されることになった。嬉しいは嬉しいが食わせないといけない子が増えた。早く食い扶持探さないとなー。
そんな事を考えていると夜になってバトルゾーンと呼ばれる謎のゾーンが生み出されてしまった。そこではポケモンバトルを挑まれまくるらしい。
……。
ちょっと待ってくれ近隣住民の安眠やポケモンの技によるトレーナー(人間)への流れ弾への配慮は万全なのか? まぁ人間も頑丈なのだろうし後者はあまり考えなくていいかもしれないけど。壁とか崩れたらどうするんだ?
1つわかったのやはり自分が元いた世界と同じように生きる上に腕っぷしの重要性が上位に来そうなことだ。
荷物をタウニーの手持ちに預けて先に目的地に向かって貰いつつ、タウニーの誘導に従って安全な場所とやらへと向かっていると案の定ポケモン勝負を挑まれたが先ほどと同じように耳元でなきごえ+体当たり戦法で問題なく勝利。……若干可哀そうな事をしたかもしれないが勝負を仕掛けてきたのは向こうだから仕方ない。
「そのラルトス、さっきからずっと寝てるね。……疲れてたのかな?」
「あー……うん、泣きつかれたんじゃないかな。それとお腹もいっぱいになって眠たかったんだろうね」
結構派手に戦闘音響いてる割にはラルトスは寝たままだ。……自分が死んだ後にずっと泣きっぱなしだったのかもしれない。まぁ今は人間として転生してトレーナーというものになってしまったが。
「っ……これはまずいかもね」
タウニーが足を止める。そしてその視線の先には出入り口と思わしき場所に佇むポケモントレーナーたち。治安悪くないかここ?
相手は3人、こちらは2人。最悪自分が戦う必要はあるかもしれない。
「通してよ、お客さんを案内中だよ?」
「お客さんだろうがなんだろうがバトルゾーンにいれば勝負の相手だよ」
「……しょうがない、あたしが戦うか」
――キュルル!!
空から降りてきたのはこれまた知らないポケモン。ただ探検家としての直感が告げている。
――このポケモンは伝説のポケモンとも劣らないほどの猛者であると。言葉遣いは丁寧だがその言葉の節々に気品と、自信感じられる。
「黒い花のフラエッテ? 珍しいポケモンが相手してくれるんだね」
「あの……その、あまりその子を怒らせない方が……。身内同然の子が囲まれてることに対して現時点でも物凄く怒ってるんで……」
「はん、ポケモンの言葉が分かるって言うのかい?」「新手の詐欺師かな?」「ビビってんのかあーん!?」
一瞬だけ首筋にじゃあくな爪が押し付けられたかのような凄まじい寒気を感じる。この寒気の正体が殺気であるという事に彼女が持つ黒い花の先端に光が集まり始めた所で気が付いた。
「「当てないでね!(殺さないでくださいね!)」」
思わずタウニーと言葉を発するタイミングが重なってしまう。その言葉を聞いて狙いは僅かに空中に逸れて……そこから夜空を切り裂く極光が放たれた。
「綺麗だな~」
その極光を見て逃げ出していくトレーナーたちを見ながらそう呟く。いやぁ~、綺麗だった。……あれが直撃したら人間だろうがポケモンだろうが命を奪いかねない殺意の塊みたいな技であることを忘れてしまうぐらいには。
「キュルル!!」
「流石フラエッテ! でも『はめつのひかり』はやめときなよ、貴女にとってスペシャルな技でしょう?」
「えー……『タウニーちゃん、早く帰りましょう? AZが待ってるわよ』 と言ってるけどAZって誰なの?」
「……さっきから気になってたけどポケモンの言葉分かるの?」「うーん、まぁ地元だと必須の技能というかなんというか」「キョウヤの地元って凄い場所なんだね」
こちらに向けて来る羨望の眼差しが痛い。嘘は一言も言ってないけどこの世界から自分の地元に向かう方法なんてパルキアの力を頼るぐらいしか思いつかないぞ。
「AZさんって言うのはこの3000年生きてるって言われてる特別なポケモンであるフラエッテのパートナーなんだよ。ホテルZのオーナーさん! あたしもお世話になってるんだ 目的地はすぐそこだよ」
タウニーに連れられて路地裏にある古びたホテルへと向かう。道中、芝居がかった動作でホテルの紹介もされて、その後に客も1人もいないと言われた。ふむ。
意外と立派な建物だけどこの目立たない場所なら確かにお客さんは1人も来ないかもしれない。
足を踏み入れてみると、受付にはポケモンがいた。いや、あまりの背の高さにポケモンと見間違えてしまいそうになったが人間だ。……かなりお年を召しているようだけど、彼がAZさんだろうか。
「……そこの旅行鞄の持ち主か?」
「そう、この人はキョウヤ! ミアレに来ていきなりトラブルに巻き込まれちゃったけど、チコリータとのばっちりのコンビネーションで切り抜けたんだよ! だから、あたしのチコリータを託したの!」
チコリータを託してくれて感謝はしてるけど、旅行鞄の中に何時の間にか入りこんでいた謎のポケモンが鞄から這い出てるのが気になる。駅に出る前から気配には気が付いてたけど悪意は無さそうだからスルーしてたんだよな。まぁ変な事するつもりはないだろうしまだ放置でいいか。
「よい判断だ……。 ポケモンと『人』は出会うべくして出会う」
「そう、まさに運命の出会い! で、夜になってZAロワイヤルが始まったでしょう? 危ないからここに連れて来たんだ」
「どうも、ラルトス共々拾われました」
「鞄だけが届いたのが気になったのでフラエッテを向かわせたが、そうか、杞憂だったか」
「そんな事ないよ、さすがは自称3000歳。 AZさんの判断も最高! フラエッテの技『はめつのひかり』も最高! お陰で助かったっ」
「自分からもお礼を言わせてください。ありがとうございます」
フラエッテの『はめつのひかり』を褒められてAZさんの方は一瞬凄く微妙な顔をしたような気がするけど過去に何かあるんだろうか? ……というより自分の方を見ながら『人』という単語を強調していたような。まさか気が付いてるのか?
「キョウヤよ……。君は何か大きなものに導かれ、このホテルZに来るべくして来たようだ」
「それはそうかもしれません」
「うむ……。私はAZ、当ホテルのオーナーとして君を歓迎する。……少し、話をしよう」
そういって彼は杖を握りしめながら背筋をただす。こちらも自然と背筋が伸びる。……彼が何かを喋る前に寝相が現代アートのようになっているラルトスをタウニーに預ける。ラルトスのほっぺをムニムニするなタウニー。気持ちよく彼女が寝てるのに起きてしまうだろう。
「こほん。……オーナーである私の想いとして聞いてくれればいい。タウニーから譲り受けたことで、君はチコリータの親。すなわち、ポケモントレーナーとなった」
こっちの世界だと親方じゃなくて親になるのか……チコリータもラルトスと同じように接してやらないとな。
「よいかな、キョウヤ。ポケモンは不思議な生き物だ。どのポケモンも強い力を持ちながら信じるポケモントレーナーのために力を発揮してくれる素晴らしい存在だ」
どこか、遠い目をしながらそう語り。いったん言葉を区切り。目を瞑って。
「だからこそ、君はチコリータのことを決して裏切らずに、いつもいつでも大切にしてあげてほしい。……まぁ、君には今更説明するまでもないかもしれないだろうがな、ふふ。私からの話は以上だよ」
「――ポケモンたちを導く立場ではありましたから、ポケモントレーナーという立場ではありませんでしたが。信じてくれるポケモンたちの為に絶対に裏切りません」
「うむ、その言葉を聞けてよかった。……部屋は202号室を使うといい。
鍵を受け取る。……結局、自分がこの場所にやってきた理由はまだ分からないけど……。
「今日はもう休みなよ、明日起きたらロビーに集合してね」
折角のもう一度の人間としての生なんだ。ポケモントレーナーとして生きていこう。
因みにその後タウニーとミアレの夜景を見てグータッチをした後にスマホロトムを使って調べたが、ポケモントレーナーの中には大企業の社長、はては世紀の極悪人まで幅広い癖が強い人物が揃っているらしい。
ポケモントレーナーってなんだよ(哲学)
主人公のポケモン時のステータスと役職とラルトスについてのあれこれ
リオル ♂ レベル80 職業:プクリンのギルド二代目おやかた
先代が引退した後にギルドを引き継ぎ長年にわたってギルドを運営し、トレジャータウンの運営にも関わっていたが、パートナーに先立たれ自らも老衰で亡くなる。
ラルトスはリオルが亡くなる何年か前に災害に巻き込まれた地域の救助に向かった際に拾った卵から孵化した子。性別は♀。実の娘のように育てた。
ラルトスはパルキアに導かれて別の世界へと渡った際に不思議な石(サーナイトナイト)を彼から受け取っている。
書いてて楽しいネタなんでもしかしたらブラッシュアップしてリメイクすることになるかもしれません。