軍貫使いはZEXALで寿司を握る   作:Dの軍貫 シンキハヨ・チョーダイナ

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1か月も空けてしまって申し訳ないです。





グランドクロス(下)

アンナと俺、赤司寿が他愛のない会話を楽しんでいた時だった。俺の意識の底で、先ほどまで沈黙を守っていたデュガレスが鋭く唸った。

 

『主よ、外だ。我が飢えとは別の……不穏な騒乱の気配が、塔の入り口で渦巻いているぞ』

 

デュガレスが指し示す先――磨き上げられた巨大なガラス越しの光景に、俺は思わず眉をひそめた。

重厚なエントランスの入り口で、警備員たちに囲まれながら必死に食い下がっている一人の少年がいる。遊馬だ。身振り手振りから察するに、どうやら入場に必須の招待状を紛失したか、部屋に忘れてきたらしい。

 

「……やれやれ。どこまで行っても賑やかな奴だ」

 

曲がりなりにも友人であり、俺は彼に迷惑をかけてしまったらしい身だ。あのままではつまみ出されるのがオチだろう。

助け舟を出すべく、俺は皿に残っていた最後のチキンを口に放り込み、ナプキンで手早く口元を拭う。チキンに夢中なアンナに適当な言葉を残し、俺は華やかなホールを背にしてエントランスへと向かった。

 

その脇にある薄暗い廊下の影から、聞き慣れた重厚な足音が響く。

 

「随分と忙しそうな歩き方だな、大将」

 

立ち止まると、そこには腕組みをして悠然と壁に寄りかかるゴーシュの姿があった。彼は鋭い視線を俺に向けたまま、入り口で騒ぐ遊馬を顎でしゃくった。

 

「お久しぶりですね、ゴーシュさん。先日店に来ていただいて以来ですか。……遊馬のことはご存じで?」

「ああ。あいつとは一度、刃を交えた相手でな。見ての通り、招待状をどこかに落としてきたらしい。警備規則上、あそこを通すわけにはいかん」

 

ゴーシュは努めて警備責任者としての厳格な表情を作っている。だが、その不器用な眼差しには、遊馬に対する奇妙な親愛と、俺に対する妙な期待が透けて見えていた。彼はわざとらしく視線を外し、周囲に聞こえないよう声を潜める。

 

「俺の立場からは何も言えん。だが、あいつが来なければ今夜は少しばかり退屈になりそうだ。……大将、お前から上手く声をかけてやれ」

 

ええ、そうさせてもらいますよ。ゴーシュは俺の肩をポンと力強く叩くと、そのまま踵を返して歩き出した。去り際に残したその言葉は、大会運営者としての冷徹な命令ではなく、かつて激闘を繰り広げた決闘者としての個人的な願いだった。

 

「ところで、お前。仕事が忙しいとか言ってWDCを嫌がっていた癖に、しれっと予選突破しているんだな?」

「ははは……」

 

――ただの悪あがきの、言い訳に過ぎなかった言葉ですよ。

そう口に出すまでもなく、俺は小さく息を吐き出し、警備員たちに厳しく拒絶されて肩を落とす遊馬の背中へと歩み寄った。

 

「おい、遊馬。……少し騒ぎすぎだぞ」

 

背後からの声に、遊馬が弾かれたように振り返る。その表情には、絶望と救いが入り混じった、ひどく間の抜けた安堵が浮かんでいた。

 

「寿……! お前、なんでそこにいんだよ!」

 

予選を突破したからだが?

 

「ああもう、せっかくここまで来たのに、このおっさん達がどうしても入れてくれねぇんだよ!」

 

遊馬は俺の顔を見るなり堰を切ったようにまくし立てた。後ろには、申し訳なさそうに身を縮める小鳥や、頭を抱える等々力委員長とキャッシー、腕組みをして渋い顔の鉄男の姿もある。どうやら、入り口での押し問答に相当な時間を費やしていたらしい。

 

「すみません、赤司さん。遊馬が招待状をうっかり忘れちゃったらしくて……」

 

小鳥が慌てて頭を下げる横で、遊馬は地団駄を踏みながら、煌びやかな光が漏れるガラス張りのエントランスを未練がましく覗き込んでいる。

 

「仕方ないだろ。ルールはルールなんだからな」

「で、でもよぉ……」

「だが、同伴者枠ならまだ空きがある。警備員さん、ツレ5人追加だ」

 

俺はそう言って、胸ポケットから自身の招待状を抜き出した。警備員たちの目にそれが写ると同時、彼らは一礼し、道をあける。そして俺は振り返り、呆然とする遊馬の肩をぽんと叩いた。

 

「よかったな。お前ら、ついてこい」

「マジかよ寿! かっとビングだぜ!」

 

遊馬はパッと満面の笑みを浮かべ、俺の後に続いて堂々とゲートをくぐり抜けた。彼らの後ろ姿を見送りながら、俺は数メートル先の物陰で腕を組むゴーシュと視線を交わす。ゴーシュは何も言わず、ただ小さく顎を引いて見せた。それは「恩に着る」という、不器用な男なりのサインだった。

 

「……しかし、徳之助はいねぇか。親父のタキシードを汚さないようにしないとな」

 

俺は小声でそうつぶやきながら、遊馬たちを連れて再び熱気に包まれた会場へと足を踏み入れた。

 

エントランスを抜けた先には、先ほどと変わらぬ光景があった。シャンデリアの光は依然としてホールを豪華に照らしている。遊馬は招待状の件など瞬時に忘却したかのように、目を輝かせて会場を見渡していた。俺は隣で呆れ果てている鉄男の肩を叩き、遊馬を窘めようとする。小鳥が申し訳なさそうにペコリと頭を下げるが、遊馬は聞く耳を持たず、山積みにされたローストビーフのカウンターへと一直線に突撃していく。

 

その時だった。

 

俺の視界の端で、シャンデリアの光が一瞬だけ、音もなく明滅した。

ただの接触不良か、それとも何らかの演出か。もしくは――幻覚か。

 

思わず俺は反射的に足を止め、会場の全景を見渡した。先ほどまで、アンナが座っていた場所。ピンクのドレスが騒がしく揺れていたはずのその場所には、今は無人の空席が一つあるだけだった。

 

「……アンナ?」

 

俺の呼びかけは、ホールを包む軽快なピアノの旋律に虚しくかき消される。俺の食べっぷりに呆れ、文句を垂れていた弟子の姿が、忽然と消え失せている。ただ、彼女が先ほどまで座っていた椅子の手すりには、一枚の不穏なメモだけが墓標のように静かに置かれていた。

 

「どうしたんだ寿? 飯、食わないのか?」

 

両手に山盛りの皿を抱えて戻ってきた遊馬が、不思議そうに首を傾げる。だが、俺は遊馬の問いに答えることもできず、そこにある紙切れへとゆっくりと手を伸ばした。

 

……なるほどな。

 

「いや、なんでもねぇさ。ちょっと野暮用を片付けてくる」

 

 

 

####

 

 

 

「……ようやく来たか、赤司寿」

 

人気のない冷たい空間。開口一番、静寂を切り裂いて俺にそう告げたのは、銀髪を地面に届くほど長く伸ばし、長身を見覚えのある意匠の装いで包んだ青年だった。

 

「……はじめまして。初対面にして随分と強硬手段に出られたら、こちらも動かない訳にはいかないもので。……あなたにお会いするのは、ここが初めてだと思っていたのですけれど?」

 

そう、トロン一家の長男にして、不動の男――Ⅴである。

 

「それは勘違いだな」

 

俺は当然、彼についての知識を持っている。しかし、彼が俺という人間に直接接触してくる理由は見当がつかない。ⅢとⅣに対面したことはあるが、あの場に彼の姿はなかったはずだ。

 

「私は君に二度、会っている」

 

え? 一度ならずとも、二度も?

 

「一度目は、卓上だったな」

 

卓上?

 

「あの寿司は旨かった。……何分、久々の人間らしい食事だったからな」

 

ああ、そういうことか。その淡々とした口ぶりから察するに、普段は研究室に引きこもってサプリメント漬けの生活でも送っているのだろう。勝手な推測だが、彼の食生活には目に余るものがあるらしい。人間らしくない食事を日常的に行うなんて、サプリメントのメーカーだって想定していないはずだ。

 

「それで、二度目はどこでお会いしたんです?」

 

俺が握った寿司を彼が食べたという事実が、「顔を合わせる」という行為と同義に当たるのかどうかは検証しないでおく。そう言うのなら、そういうことにしておこう。

 

「そうだったな、赤司寿。今、私が君をこうして呼び出し、会話の場を持ったのは、決してそんな世間話をするためではない。明確な理由がある。……当然だな?」

 

当たり前だ、としか言いようがない。

 

「私が、君の弟子にあたる……」

「……神月アンナ、です」

「そうだ。神月アンナを少しばかり預からせてもらったのは他ならぬ、そのためだ」

 

冷徹な瞳が、俺を真っ直ぐに射抜く。

 

「二度目。私が君と出会った場面は……」

「Ⅲと遊馬のデュエル。……そこですね?」

 

まさか、遠隔からの観測まで出会いにカウントするとは。とことん独自の理屈で動く男だ。

 

「察しが良いな。私の弟子とは大違いだ。……ああ、正解だ。もっとも、あの場には君たちや九十九遊馬なども居たが、一番私の胸を引っ掻き回したのは他ならぬ、お前なのだ、赤司寿」

 

どういう……ことだ? やはり、あの場でのデュエルが原因か。

それはもはや、彼らの中で揺るぎない事実として処理されているらしい。

 

俺はあの時、単なるデュエルの範疇に収まらない「何か」をしでかした。

その詳細を後で遊馬に尋ねた時、彼は珍しく口ごもり、意図的に話を濁して流した。デュガレスは怒っていたが、俺はてっきり、それが「彼自身の扱いの酷さ」に対する不満だとばかり思っていた。

 

「私はこう見えて、含みのある物言いが苦手でな」

 

いや、違う。あいつが怒っていたのは、それだけじゃない。それに加えて……。

 

「単刀直入に言わせてもらう」

 

張り詰めた空気を、Ⅴの低く重い声が叩き割った。

 

「『ライゼオル』、だ」

 

その単語が落ちた瞬間、張り詰めていた部屋の空気がさらに数度下がったように感じられた。俺の心臓が、警鐘のように冷たく跳ねる。

 

「あのデュエル、流石は一馬さんの息子というべきか。あそこまでナンバーズの力を取り込んだⅢを倒しただけはある」

 

Ⅴはわずかに目を伏せ、当時の光景を思い返すように言葉を紡ぐ。

 

「いや、その事実だけでも十分感嘆に値した。だが……君はそれを、あたかも更地にするほどの衝撃を与えてくれた」

 

再び持ち上げられた彼の視線には、明らかな警戒の色が滲んでいた。彼から放たれるプレッシャーが、物理的な重さを持って俺の全身にのしかかる。

 

「ナンバーズを渡せ、とは言わない。だがあの力は、お前が扱ってよい力ではない。……理解しているのか?」

 

俺の胸中で、その響きが黒い炎のようにチリチリと燻り始める。だが、いくら記憶の糸を手繰り寄せても、その核となる部分には分厚い靄がかかっていた。

 

「……俺が扱ってよい力ではない、か。随分と親切な忠告をどうも。だが生憎と、俺自身、当時の記憶がすっぽりと抜け落ちていてね」

「なんだと? まさかここにきて陳腐な嘘を吐くつもりではないだろうな?」

 

Ⅴの眉間が微かに険を帯びる。その整った顔立ちに初めて浮かんだ苛立ちという感情が、彼の警告が決してブラフではないことを証明していた。

 

「ここで嘘八百を吐けるような度胸は持ち合わせていませんよ。むしろ、あんたの言葉の真意を測りかねているところだ」

 

俺は全身の筋肉を強張らせないよう平静を装いながら、努めて低い声で応じた。だが、Ⅴの冷徹な眼差しは、俺のハッタリなど容易く見透かしているようだった。

 

「記憶がない、か。なるほど……精霊に意識を明け渡した代償か、あるいは力自身が器を拒絶しているのか。はたまた、別の何かか。どちらにせよ、実に滑稽で危険な状態だ」

「なんでもいい。講釈はもう十分だろ」

 

俺は一歩、Ⅴとの距離を詰めた。親父のタキシードの窮屈さなど、もう気にもならない。俺の胸元で、デュガレスが警戒するように重い熱を放ち始めるのを感じる。

 

「アンナを返せ。俺と話をするためだけに連れ出したんだろ? ならば、これ以上彼女を留め置く理由はないはずだ」

 

俺の言葉に対し、Ⅴは小さく鼻を鳴らした。それは嘲笑ではなく、純粋な確認作業を終えたような響きだった。

 

「……無論だ。無関係な者をこれ以上巻き込む趣味は持ち合わせていない」

 

いくら正論を言おうと、しらばっくられてしまっては会話が成立するはずもない。彼は俺の記憶を修正しにきた訳ではないのだ。

Ⅴが静かに視線を送ると、部屋の奥、暗がりに置かれた豪奢なソファの上に、アンナが横たわっているのが見えた。気づかなかった。やはり、トロン一家は一筋縄ではいかない。しかしここで安心したのは、彼女はどうやら催眠効果のある何かで眠らされているだけらしく、胸元が規則正しく上下していることだった。俺は安堵の息を、悟られないように細く吐き出した。

 

「勘違いするな、赤司寿。私はお前を警告しに来ただけだ。あの炎を御しきれぬまま試合に上がるというのなら、お前は我々の悲願を阻む危険なイレギュラーとなり得る。あるいは、自ら焼かれて消えるか、だ」

 

Ⅴはゆっくりと背を向けた。長い銀髪が、冷たい空気の中で静かに揺れる。

 

「今夜はここまでにしておこう」

 

Ⅴが背を向け、暗闇へと足を踏み出そうとしたその時。

何か言わなければ気が済まなかった俺は、あえて彼の背中に向けて冷ややかな声を投げつけた。

 

「……しかし、随分と舐められたものだな」

 

ピタリと、Ⅴの足が止まる。

 

「なんだと?」

 

肩越しに振り返った冷徹な瞳には、微かな不快感と疑念が混じっていた。

 

「舐めてんのかって言っているんですよ」

 

俺はタキシードの懐から自らのデッキケースを抜き出し、そこからカードの束を掴み出すと、静かに、だがはっきりと通る声で言い放った。

 

「あんたがどんな光景を見て、何を感じてどう思ったのかは知りませんがね。俺が握っているデッキは、ライゼオルじゃない。――『軍貫』だ」

 

張り詰めていた氷のような空気が、パキリと音を立てて砕け散った気がした。

俺が誇りを持っているカードたちは、ライゼオルじゃない。軍貫だ。その事実を、言うなれば盛大に勘違いしている彼に、あくまでもただ伝えるために。

 

俺が突きつけたカード――束の一番上に鎮座する《しゃりの軍貫》の前に、無機質だったⅤの表情が、わずかに、だが確かに硬直した。

 

「……寿司、だと?」

「ええ。あんたが先日美味いと言って食べた、まさにアレですよ。俺がこの大会に持ち込んでいるのは、軍艦巻きの化身たちだ。どこをどうひっくり返せば、ライゼオルなんて物騒なテーマに見えるんです?」

 

沈黙。

 

「誓いますよ。俺はライゼオルを持っていないし、使わない。あなたが二度と目にすることはない」

 

Ⅴが絶句するのも無理はない。彼の中では、俺は「ナンバーズを所持している事実すらも後回しにするべき、時代錯誤の恐るべきカードの使い手」として認識されているのだ。それが蓋を開けてみれば、タキシード姿の男が真顔で寿司のカードを掲げているのだから、彼が抱いていたであろう壮大な警戒心は完全に行き場を失ってしまったに違いない。

 

「……」

 

Ⅴは数秒間、その冷たい瞳で俺の手元のカードと、俺の顔を交互に見比べた。

やがて、彼はふっと短く息を吐き、静かに目を閉じる。

 

「……なるほど。どうやら君は、本当に己の深淵を理解していないらしい」

「何?」

「君のそのカードが、あのデュエルにおいてライゼオルとして形を変えて顕現し、盤面を焼き尽くした。それが揺るぎない事実だ。君に巣食うナンバーズが、君自身の認識すらも喰らって改竄しているのか、あるいは……」

 

Ⅴは再び目を開き、今度は哀れみすら孕んだような視線を俺に向けた。

 

「器である君自身が、無意識に日常という名の幻覚に縋っているに過ぎないのかもしれないな」

「……幻覚?」

「信じるか信じないかは君の自由だ。だが、いずれ欺瞞は破綻する。その時、君は相当の報復を食らうことを覚悟するのだな」

 

それだけを言い残し、今度こそⅤの長身が文字通り闇の中へと溶け込んでいく。空間を歪めるような現象とともに彼が完全に消え去った後、部屋には完全な静寂だけが残された。

 

「……勝手なことばかり言いやがって」

 

俺は手に持っていたデッキをケースにしまい直し、大きく溜め息をついた。

幻覚だの、認識の改竄だの。Ⅴの言葉はオカルトじみてはいるが、遊馬の不自然な態度や、デュガレスの底知れない怒りを思えば、完全に無視できるものでもない。

 

だが、俺は心中で固く決めているんだ。

この世界で生きていて、ここからでは計り知れない未来を知っている身だからこそ、決して悪目立ちはしないと。ハンデってわけじゃない。俺はズルい存在であるがゆえに、自らが自制すべき責任があると、そう確信しているからだ。

 

軍貫でさえもこの時代ではギリギリのオーバースペックなのに、ライゼオルなんてバケモノを使えるわけないだろ。

 

『……主よ』

 

不意に、胸の奥でデュガレスが低く囁いた。

 

「なんだ。お前、何か隠してるんじゃないだろうな」

『我はただ、我自身の渇望を満たしたに過ぎん。……それよりも、急がなくてよいのか?』

「急ぐ?」

 

俺が訝しげに眉をひそめた瞬間。

壁の向こう――晩餐会のメインホールの方角から、「ドォォォン!!」という派手な爆発音と、招待客たちの凄まじい悲鳴が響き渡った。

 

『あやつらが何かしでかしたそうだが。行かなくていいのか?』

 

ああ、徳之助がやはりケーキタワーを崩落させたのか。ということは、俺がⅤと話している間にトロンがそこにいた、ということか……。まぁ、原作通りだし、別にどうということはないか。

ただ、遊馬たちをあの場に残してきたのは、俺の最大の失敗だったかもしれないな。

 

「忘れているかもしれないがなデュガレス、俺は元来、トラブルは避けたい性分なんだよ」

 

俺はソファに駆け寄り、眠りこけているアンナを背中に担ぎ上げる。タキシードに深い皺が寄ることなど、もはや気にしてはいられない。

 

「……帰るか」

 

辺りに散乱したケーキにまみれて体を汚す市長など、目も当てられそうにないからな。

かくして、何とも甲乙つけがたい形で、晩餐会は終了したのだった。







MDのコード入力に協力してくださった方、ありがとうございました。今後も募集する機会があるかもしれませんがその時もどうぞよしなに。

次回、WDC本選開始。
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