桐谷遥に外堀を埋められたい   作:ハルカチャンカワイイ!

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ハルカデート・オンライン

 

 

「フェニランのチケット?」

『うん。この前、同じ学校の知り合いから貰ったんだ。二枚あるんだけどもし良かったらどう?』

 

 

 スマホの向こうからの問いに少しの間悩む。…遥に一緒に行かないか誘われたのは今度の土曜、その日はちょうど部活もないし……

 

 

「分かった。行こう」

 

 

 今までの経験上、これはデートとかそういう類のものではない。恐らくは、知り合いを誘ったけど皆なにかしら都合が悪かったのでチケットの消費役に選ばれたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、椛」

「……おはよ」

 

 

 当日、待ち合わせ場所である遥の家の前で挨拶をした際にどこか違和感を覚えた。

 

 いつも通りの青いショートカットの髪、普段はつけていないイヤリング、プライベートで出かける時にはいつもしている黒縁の伊達メガネ、それとマッチするように少なめの色合いでコーディネートされたシャツとフレアスカート。いつもより幾分か落ち着いた印象を与えるという点では普段とは違うが、先程感じた違和感はそれでは………ああ、メイクか、納得。

 

 

「どうしたの?そんなにこっちばっかり見て」

「いや、なんでも…」

「もしかしてこういうふわふわした服好き?」

 

 

 はっきり言ってタイプです。………って違う。確かに好きだけど。

 

 

「そんなに照れなくていいのに。こっちまで恥ずかしくなってきちゃう」

「別に照れてなんか!」

「…ふふっ、そうだね。それじゃあ行こっか」

 

 

 ……拝啓、お母様、お父様、俺はいつになったら歳下の異性の手玉に取られる情けない男から卒業できるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

「わんだほーい!」

 

 

 わん…なに?

 入り口で謎の言葉を発しながらブレスレットを配るフェニーくんの着ぐるみが発した謎の言葉に呆気にとられつつ、フェニーくんに心を奪われて歩けなくなった遥の腕を引き摺ってアトラクションの方へと向かっていく。

 

 

「なんか人少なくない?」

「あれ、言ってなかったっけ?今日は関係者からチケット貰った人……招待客だけが入れる日だよ」

 

 

 なにそれ聞いてないんですけど。

 

 

「とは言っても特別なショーがあるくらいでやれること自体は普段とほとんど変わらないんだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああ!!!回る回る回る回る!!!」

「あっはははは!!驚きすぎ!」

 

 

 

「うわ、このゾンビの造形結構リアルだな」

「ミイラフェニーくん…いいなぁ…」

「お前は平常運転だな…」

 

 

 

「残りのコースに対してこの差…この勝負、私の勝ちだね」

「甘いな、遥!」

「そのスピードでコーナーに突っ込む気?…そんな自滅行為……うそ、慣性ドリフト!?」

「……あっ、やばい、曲がり切れなっ!!」

「椛!だ、大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

 

 ジェットコースターにお化け屋敷、ゴーカートだったりと、フェニランをそれなりにエンジョイしつつ、昼はフェニラン内に備え付けられているレストランでフェニーくんの限定ぬいぐるみ付きのメニューを頼んだ。なお、遥は本日はチートデイらしくデザートもそれなりの数を食べていた。

 

 

 そんなこんなで既に夕方と言うには少し遅い時間になってきた。

 現在地は観覧車のもうすぐ頂上にたどり着きそうな微妙な地点。遊園地の〆と言ったらこれだろうということで遥に半ば押し切られる形で乗ることになった。

 

 

「ごめんね、椛」

「なにが?」

「ほら、急に誘っちゃってさ…迷惑じゃなかった?」

「いや、元から今日は暇だったし…俺も楽しめたから」

「そっか……ありがとう」

 

 

 それはなんに対してのお礼なのだろうか。

 

 

「……全部だよ。私がアイドル辞めるって言った時とか『MORE MORE JUMP!』の活動に迷ってる時とか…もちろん、それよりもずっと前のことも」

「この雰囲気で言うのもどうかと思うけどさ…ナチュラルに心読むのやめない?」

 

 

 その後は、夜間用にライトアップされたフェニランを眺めながら地上に戻り、件の特別なショーを見た。そのショーキャストの中にいた知り合いに手振ったら気付いてくれた。これぞ友情の勝利だ。

 

 

 

 

 

 

 

「来週って椛の誕生日だったよね?」

 

 

 そして、別れ際───別れ際って言っても家が目の前だからほぼ自分家の前なのだが───に、遥がふと思い出したようにそんなことを言ってきた。

 

 

「あ?…あー、そういえばそっか」

 

 

 すっかり忘れていた。ちょうどその日が少し遠めの場所で行われる部活の試合でそちらにばかり気を取られていた。

 

 

「そっか……よし…ちょっと待ってて」

 

 

 家の中に早足で戻り、数分と経たない内に遥は1つのラッピングされた箱を持ってきてた。

 

 

「まだ一週間前だけど当日会えなさそうだから。はい、おめでとう」

「……開けてみてもいい?」

「…少し恥ずかしいからできれば家に戻ってから開けてもらえると助かるな」

「分かった。それならそうする」

「ありがとう…それからおやすみ。またね」

「ああ、またな」

 

 

 なお、誕生日プレゼントが宝石のついた指輪を加工したネックレスとかいう思ってたより高そうなやつで、遥との財力の違いに少しビビったのはまた別の話になる。

 

 

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