東方万化録 〜変幻自在なこの世界を〜   作:人間の端

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どうもおはこんばんにちは。しがない妖怪です。
圧倒的力と絶対的力が交わる。
それでは本編、どうぞ!


第十五話 地獄の女神

 

今日も晴れやかな空を見渡しながら気の向くままに足を進めていく。ルーミアも隣に並んで歩く。ところが、何かを感じ取ったのか、閻羅が足を止め、ルーミアの方へ向く。

 

「ルーミア。影に隠れといてくれ。」

 

一瞬頭にはてなを浮かべたルーミアだったが、すぐに理解したのか、肯定する。

 

「…わかった。…死なないでよ。」

 

ルーミアが閻羅の影に入っていく。

直後、空間が割れた、人が一人はいれるくらいの大きな亀裂が発生したのだ。亀裂の先は見えず真っ暗になっている。そんな亀裂の中へと体が吸い寄せられていく。あえて抗わずに、その亀裂に入る。

 

抜けた先はまさに地獄といえる景色だった。マグマが流れ、草の一本も生えていない。なかでも異質な場所がある。まるで意図して作られたような台地、フィールドがあるのだ。

 

そこに向け中心に目を向けてみれば、赤い髪の女が立っている。

 

 

「何が目的だ、こんなところに呼び寄せて。」

 

「あれ?なんか怒ってない?」

 

「俺はあの時代を生き残った奴が嫌いなんだよ。」

 

閻羅は遥か太古の時代を生きた妖、そしてその時代の終わりには、とてつもなく大きな要因があった。

 

「あなたもその一人でしょ。」

 

「名前は?」

 

「ヘカーティアよ…さて、そろそろ私と、遊んでもらうわよ!」

 

 

そう言い放ち、光弾を飛ばしてくる。

音速を超える速度に山を吹き飛ばせてしまうだろう威力。

そんな小手調べに撃つような代物じゃ決してない。

 

「危ねえなぁ…」

 

身を翻して避ける。避けた姿勢のまま手に妖力を集める。

 

「返してやるよ!」

 

今度は、こちらがレーザー状の光弾を連続で放つ。貫通力を意識した細長いかたちで、一点に集中して撃ち続ける。

 

「はあ…それだけ?」

 

 

無傷。微々たるダメージはあったかもしれないが、気にならない程度なのだろう。ほこりを払うように、肩のあたりで手を動かす。

 

「本気で来なよ。意味無いじゃん。」

 

 

「チッ……本当に、嫌になる。くだらんことで俺が本気になるわけがないだろうが。」

 

 

己の妖力を身に纏い、能力も重ねることで、本来なら余らせてしまう妖力を全て纏い、変化させていく。より強く…

 

 

 

 

「 『ドライグカラミティ』(全てを絶やす大災害) 」

 

 

 

美しく輝いていた髪も、空のようにきれいだった瞳も、どす黒い紫がかった黒に変わってしまい、体のあちこちに、黒い痣のようなものが広がっている。殺意と敵意からなる重圧はどんな生物であろうと、恐怖を感じてしまうだろう。

本来、妖とはそういうものだ。妖力とはそういったものの力なのだ。それを身体に無理やり結びつけた。だからこそ、制御が利かなくなるほどの邪気が生まれてしまう。

 

 

「本気にはならない。だがお前を殺す。」

 

 

「フフフフフフ、楽しませてもらうわ。」

 

 

「アァ…じゃあ、死ね!

 

 

妖力によって、強化された身体での、踏み込みは、地を軽々と踏み砕く。それにより生まれるスピード、さらにそれを利用した拳による打撃。

 

真正面から受け止める。凄まじい衝撃に耐えられず、建物は崩れていく。少し痛みを感じたのか受けた腕をプラプラと揺らす。それだけで済まされているのは、流石に女神と名乗るだけはある。

 

 

「死ねって、酷いね。」

 

「そんじゃ次だ、いくゾォ!!」

 

 

下から潜り込むように接近、拳を握る。ヘカーティアも微妙に体をずらしてカウンターのため拳を握る。拳が振るわれる。片方からのみ…

ヘカーティアの拳が振るわれた。閻羅は拳を振るわなかった。体を大きく回転させ、体を一回転させる回し蹴りを行ったのだ。ヘカーティアの体は吹き飛ばされ、壁にぶつかる。

 

「…………痛い。……痛いね。…やっぱりだ。やっぱりだよ。フフ…見込み違いじゃなかった、あなたは私と遊べそうだ!」

 

 

「余裕そうだな。ヘカーティア・ラピスラズリ!」

 

 

「じゃあ次はこっちから…」

 

 

そのとき、ヘカーティアの体が一瞬ブレる。勘で腕を正面でクロスさせる。それと同時に、腕にすさまじい衝撃がやってき、少し遅れて痛みがやってくる。

 

 

「どう?痛い?まだまだいくわよ!」

 

 

「チッ……化け物が。」

 

「あなたが言う?それ。

 

 

 その姿、一緒に居た子が見たらどう思うのかしら。」

 

「くだらないことを言う。俺はあいつを信用してるのさ。それに、あいつも妖怪だしな。可愛らしいが。」

 

「いいわね〜。そこまで想われているだなんて。」

 

 

 

幾度にも拳や弾幕が交差する。もし地球でこんな事をしたら、島が一つ沈んでしまってもおかしくはない攻防。

 

 

 

「そろそろ…終わらせよう。」

 

ヘカーティアを突き飛ばす。

 

 

妖刀『灼赫』を取り出す。

だが…ただの妖力ではなかったから、だろう。

灼赫の刀身から凄まじい高音が鳴り響く。

とてつもない力で灼赫の刀身が震えているのだ。

…刀身がもはや耐えられない。亀裂が入る。

次の瞬間、刀身が割れた。音は消え去り、異様な雰囲気が空間を支配する。割れた跡が、地面に落ちる。割れ落ちたものに目を向ければ、その形は殻のような形をしていたのだ。

紫の刀身を見せる。黒い靄のようなものを刀身に漂わせる。

 

もはや『灼赫(殻を被りしもの)』などではない。

 

破壊と厄災の像物(アーガイマ・ディス・カタストロフ)

その名を…

 

 

 

ツァナトス()

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…フフ、フフフフフフフフ…………面白い。面白い。面白い面白い面白い面白い。最っ高よ!!!」

 

 

「ツァナトス、ようやくお前を……見つけられた。」

 

 

ツァナトス、それを閻羅は、振るったことがなかった。

そして…見たことがあった。いつだったのか。

近しい存在である何者かが、ツァナトスを振るう姿。

 

「ヘカーティア、悪いが…」

 

 

「フフフ…ええ。今だけは許してあげる。」

 

 

 

死ね!!

 

 

 

両者が同時に地を蹴る。

刀が振るわれる。あらゆる森羅万象に死をもたらす一撃。

軽々と身を翻し避けるヘカーティア、だがそれだけでは終わらない。

大きく振り下ろされた刀を翻し、下から上へ鋭く切り返す。

それすらも避けるヘカーティア、そして懐へ入り込み一撃を繰り出す。

 

「はっ…浅い。緩んでんじゃねえのか。」

 

後ろへと押し出される衝撃を、あえてこらえようとせず、前へと受け流す。

受け流され、前へと進む力を刀に乗せる。

 

三十連撃。

森羅万象を切り裂く技。かすることすら許さぬ連撃。

瞬時に繰り出されるそれは、ヘカーティアでさえ、避けきることは叶わない。

 

 

「ハァァァ」「ぐぅぅゥ」

 

 

「次で最後にしよう。」

 

禍々しさをより一層まさせる閻羅が言う。

 

「これを裂けたら、あなたの勝ち。」

 

片腕を吹き飛ばされたヘカーティアが言う。

 

掌をうえに掲げ、力を集めていく。

突如、巨大なそれはそれは巨大な“それ”を向け…

 

 

 

 

惑星落とし(ほしおとし)

 

 

 

 

 

落としてきた。力の塊。惑星(ほし)そのもの。質量も速度も圧も力も…それの持つすべてがそれを星だと物語る。

 

 

 

ツァナトスを振り上げる。妖力を極限まで高め…

 

 

そして、ただ力強く一寸の狂いもなく振るう。踏み込んだ足はフィールドを砕き、音を置き去りにして空を裂く。

 

 

 

ヘカーティアの渾身の一撃、

星を軽々と砕くほどの出力を持つ一撃。それを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの渾身の一撃が真っ二つに吹き飛ばした。

 

 

 

 

余波でぼろぼろになったフィールドのうえで、残念そうに、けれど少しうれしそうに、話しかけてくる。

 

 

「私の負けかぁ。」

 

「お前が本気を出していたらわからなかったぞ。」

 

「あなたもでしょ、それに最近忙しいのよねえ。」

 

「…まあいい。久々に少し本気を出した。」

 

「どういたしまして。じゃあね〜」

 

空間には裂け目が発生し、それに吸い込まれていく。

そうして…『地獄の女神』との戦いは終わった。




お読みいただきありがとうございました。
とても難しかったです。ヘカーティアとどう戦わせればいいのだろう?というところや、どういった攻撃を取らせるのか。というところで時間を取りました。投稿できてよかったです。


次回、
この先は決めてないので予告はできません。
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