東方万化録 〜変幻自在なこの世界を〜   作:人間の端

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第二十四話 妖怪山の宴

 

「ああ、前に来た時にいたなお前、名前は?」

 

「覚えていただけているとは、恐悦至極です。私の名は犬走と申します。」

 

「今日は客として来た。案内を頼めるな?」

 

 

山の中へしばらく歩いたところで、上から枝をかき分け、黒い翼を持った天狗妖怪が出てくる。

 

「失礼します。ここから先は、鴉天狗の私がご案内します。」

 

「は?」

 

受け取り方は人それぞれという言葉がある。纏幻閻羅は、囚われる者たちに対しては、高圧的な態度をとる節がある。

 

「お前、俺に指図したのか。俺はここにいる犬走に案内を命じたんだぞ。お前の案内などいらん。」

 

「し、しかし…」

 

「言わないとわからないか?失せろ。」

 

閻羅が圧を強めて言うと、鴉天狗は恐怖に顔を歪ませ、逃げ出す。

血も涙もない。纏幻閻羅は自分より弱いことは許容できても、立ち合うことすらできないくせに気分を損ねてくる存在を嫌っている。

 

犬走に改めて案内を頼み、さらにしばらく歩いたら、大きめの建物に連れてこられる。

 

「こちらに鬼子母神様がいらっしゃります。」

 

犬走に軽く礼を言い、溢れ出るほどの妖力の元へと襖を開け、歩いていく。何も変わっていない。すぐそこでもう一人の鬼が堂々と居座っていることも感じる。

 

 

 

 

 

「そうさ、これからするのは…宴会だ!!

 

宴会と称し、鬼子母神が殴り掛かる。以前よりもさらに力を増した拳は、まるで山のように大きく見えるほどの圧を感じる。。

 

「クハハ、来い!!

 

互いの拳がぶつかり合う。ぶつかりきってもいないのに、辺りを吹き飛ばし、屋根もまるで羽根のように飛ぶ。

 

「クハハハハハ」「ハハハハハハ」

 

 

妖力の量だけなら圧倒的な差がある。

だが鬼子母神は鬼だ。妖力の水準も高いうえで、すべてを凌駕する圧倒的なフィジカルを持つ。

それをもってしても、閻羅は…

 

「無駄ァ!」

 

軽々と鬼子母神を吹き飛ばした。

初めからずっと本気など出してはいないのだ。見えなくなるほど遠くに飛んでいったのを確認し、手をうえに掲げ、視線を左へ向ける。

 

「これは宴だ。だからよ、そこで見てないでかかってこいよ。龕鬼ぃ!」

 

そう言い妖刀を手に大きく踏み込むと、思いっ切り空を裂く。

そうすると極大の斬撃が、圧倒的な圧力と、爆発的・殺人的スピードで飛ばされる。

 

「ふざけやがって、何でもかんでも壊してんじゃねぇよ!!」

 

グギギと音を立て、なんとか斬撃がせき止められる。

 

「衰えたんじゃないか?」

 

「お前等がおかしいだけだ。なんなんだその成長速度。日を重ねるごとに強くなりやがって。」

 

閻羅もルーミアも異常なまでの成長を見せている。閻羅に至っては元の力から強かったうえ、時間が経つことでさらに強くなったのもあるが、数千万年の眠りから覚め、大体一万年が経った。

 

「悔しいか?笑」

 

数多の知識を得たし、数多の技を得た。だがまだ足りない。

 

「呆れてんだよ。」

 

少し龕鬼と話していただけなのに、もう鬼子母神が戻ってきている。

 

「カッカッカッカッ!!」

 

轟音と共に鬼子母神は飛び上がり、拳を地面に叩きつけ叫ぶ。

 

「閻羅ァァ!」

 

一歩踏み込み、一気に間合いを詰める鬼子母神。

すぐに理解し、こちらも一歩目を踏み込む。

 

「受けてみな!」

 

二歩目は同じタイミング、互いに全ての力をを拳に込める。

 

三歩目を踏み込み、それぞれの名を叫ぶ。

 

 

   「 三歩変解(さんぽへんかい) 」  「 三歩壊闢( さんぼかいびゃく) 

 

 





それぞれの三歩必殺のぶつかり合い。ロマンだぁ。
妖怪の山はボチボチの頻度で入れていきます。

投稿がだいぶ遅くなりました。
他にハマっているものができてしまったことだけでなく、この二十四話は、だいぶ悩みながら作ったもので、時間をとってしまいました。ずびばぜんでした…これからも頑張って描いていきます。
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