時は遡り
「どうした。まだまだ足りないぞ。」
閻羅とスサノオ、それぞれが妖刀と宝刀を横に構え、音をも置き去りにする一閃を放つ。
「もっとだ。」
愉快そうに笑い、まるで遊んでいるかのようにする閻羅に、スサノオは少し顔を強張らせる。
「これは遊びではない。」
「遊びだ。所詮この程度の戦いには遊び以外に意味はない。」
「貴様をここで葬れば、遊びにはならん!」
スサノオが閻羅の懐へと一瞬で潜り込むと、閻羅の持つツァナトスとスサノオの持つ天十握剣が弾け合う。
『
「やはり、貴様はそこらの妖とはわけがちがう。」
「当然だ。俺は『高み』なのだ。」
「高み?“妖”風情が喚くな。」
「神も妖怪もありはしない。この場であっていいのは力だけだ。」
閻羅が刀をさらに一刀取り出す。黒く妖しく輝き、見る者に深い闇夜の恐怖を幻想させる。超刀をスサノオに向けて構える。
「来い、スサノオノミコト。」
妖気を高め、場を制する。何者をも寄せ付けず、何者も臆させる。
だが、スサノオは退くことも臆することもなく、力強く刀を構え、神力を極限まで高める。
2つの力がぶつかり合う地は、先程の攻防で踏み場も無くなったなった地面が、力の奔流で吹き飛ばされ、一つのクレーターにまとめられ、木々はへし折れる。
だが二人共そんなことはどうでもよかった。
スサノオが今にも飛び出してしまいそうなほど感情を昂ぶらせ、
閻羅はそんなスサノオの目を気にも留めずに薄く笑っている。
「その余裕、今に消してやろう。」
「やってみろ…」
究極の妖刀と神の御剣がぶつかる。刀に込められた神力と妖力が弾け合い、弾け合い、それを幾度と繰り返す。妖しくも堂々とした力と神々しくも荒々しい力がぶつかり合う。
不意に閻羅が妖刀ツァナトスを振るい、防御したスサノオを後ろへ吹き飛ばし、距離が生まれる。そのまま今度は超刀混沌深夜を振るい、巨大な斬撃を飛ばす。木々を薙ぎ倒し、スサノオに迫った。
だが、スサノオノミコトはその斬撃をも制す力を持った神なのだ。
スサノオの持つ刀“天十握剣”は名刀の中の名刀に他ならない。だが、そんな刀でも、使い手がいなければ意味はない。そして、その使い手は、刀の力に振り回されるようでは務まるものではない。
迫る巨大な斬撃を、
山をも、海をも、空をも、断つであろうそれを、
神たるスサノオノミコトは斬り伏せる。友としての未来すら見せた目の前の男に、ただ神として、ただ武人として、勝つために。
だからこそ、
スサノオは一気に仕留めにかかる。万物を穿つ一撃。
だが、閻羅は笑みを浮かべて愉しんでいた。汗の一つも見せず、最高のタイミングで、左手に握る超刀の“増幅”という権能を行使する。瞬間、爆発のような妖力の激流が起きる。その技は神の力を完全に殺してみせた。それは神を上回っていた。
そうして生まれた隙に妖しく光る刃が迫る。
「終わりだ。」
「まだだ!!」
スサノオの神力が一つの形を作っていく。
スサノオの胴へと迫る刃との間に煌く一本の刀が現れた。
それは手に持たれることもなく、妖刀を受けとめることは叶わずとも、体を断らせないようにしてしまった。
「そういうのもありか。」
「俺の奥の手だ、まさか妖相手につかうことになるとはな。」
「なるほどな、いいだろう。それすらも崩して俺が勝つ。」
幾度の剣戟が交わされる。
閻羅が左手に持つ超刀を右から左へと凪げば、スサノオはそれをしゃがんで避け、神装剣で上から攻撃する。空を切った超刀でそのまま神装剣を防御し、右手に持つ妖刀を左の脇の下に構える。
互いの体がすれ違う。閻羅が神装剣を弾き飛ばし…
全く同じタイミングで振り向きざまの一撃がぶつかり合う。
「…。」
一人仰向けに倒れ込む。
「………届かなかったか。」
いっそ清々しいほどの完敗。
自分が負けた時点で、この戦争も負ける。
あれは強すぎる。おそらくこの世であれに勝てる生物はいない。
「いづれまた、相見えよう。そのときは、勝たせてもらう。」
いずれ最強と謳われる神の、初めての敗北だった。
荒神を打倒せし大妖は、
「もう終わりだ諏訪子。上出来だった。と言っておこうか。」
投稿できずにこんなに経ってしまいました。
書いていたデータが消し飛んだところで意気消沈してしまい、戻ってくるのに時間がかかりました。