東方万化録 〜変幻自在なこの世界を〜   作:人間の端

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時は遡り



第二十六話 最強とされる神スサノオ

 

 

「どうした。まだまだ足りないぞ。」

 

閻羅とスサノオ、それぞれが妖刀と宝刀を横に構え、音をも置き去りにする一閃を放つ。

 

「もっとだ。」

 

愉快そうに笑い、まるで遊んでいるかのようにする閻羅に、スサノオは少し顔を強張らせる。

 

「これは遊びではない。」

 

「遊びだ。所詮この程度の戦いには遊び以外に意味はない。」

 

「貴様をここで葬れば、遊びにはならん!」

 

スサノオが閻羅の懐へと一瞬で潜り込むと、閻羅の持つツァナトスとスサノオの持つ天十握剣が弾け合う。

 

天十握剣(あめのとつかのつるぎ)』…数年前に八岐の大蛇の退治に持ち出された剣であり、その内に秘められた破壊力は凄まじく、使いこなせば一太刀で海を割ることすら成すとされる。

 

「やはり、貴様はそこらの妖とはわけがちがう。」

 

「当然だ。俺は『高み』なのだ。」

 

「高み?“妖”風情が喚くな。」

 

「神も妖怪もありはしない。この場であっていいのは力だけだ。」

 

閻羅が刀をさらに一刀取り出す。黒く妖しく輝き、見る者に深い闇夜の恐怖を幻想させる。超刀をスサノオに向けて構える。

 

「来い、スサノオノミコト。」

 

妖気を高め、場を制する。何者をも寄せ付けず、何者も臆させる。

 

だが、スサノオは退くことも臆することもなく、力強く刀を構え、神力を極限まで高める。

 

2つの力がぶつかり合う地は、先程の攻防で踏み場も無くなったなった地面が、力の奔流で吹き飛ばされ、一つのクレーターにまとめられ、木々はへし折れる。

 

だが二人共そんなことはどうでもよかった。

スサノオが今にも飛び出してしまいそうなほど感情を昂ぶらせ、

閻羅はそんなスサノオの目を気にも留めずに薄く笑っている。

 

「その余裕、今に消してやろう。」

 

「やってみろ…」

 

究極の妖刀と神の御剣がぶつかる。刀に込められた神力と妖力が弾け合い、弾け合い、それを幾度と繰り返す。妖しくも堂々とした力と神々しくも荒々しい力がぶつかり合う。

 

不意に閻羅が妖刀ツァナトスを振るい、防御したスサノオを後ろへ吹き飛ばし、距離が生まれる。そのまま今度は超刀混沌深夜を振るい、巨大な斬撃を飛ばす。木々を薙ぎ倒し、スサノオに迫った。

だが、スサノオノミコトはその斬撃をも制す力を持った神なのだ。

 

スサノオの持つ刀“天十握剣”は名刀の中の名刀に他ならない。だが、そんな刀でも、使い手がいなければ意味はない。そして、その使い手は、刀の力に振り回されるようでは務まるものではない。

 

迫る巨大な斬撃を、

山をも、海をも、空をも、断つであろうそれを、

神たるスサノオノミコトは斬り伏せる。友としての未来すら見せた目の前の男に、ただ神として、ただ武人として、勝つために。

だからこそ、

 

スサノオは一気に仕留めにかかる。万物を穿つ一撃。

だが、閻羅は笑みを浮かべて愉しんでいた。汗の一つも見せず、最高のタイミングで、左手に握る超刀の“増幅”という権能を行使する。瞬間、爆発のような妖力の激流が起きる。その技は神の力を完全に殺してみせた。それは神を上回っていた。

そうして生まれた隙に妖しく光る刃が迫る。

 

「終わりだ。」

 

「まだだ!!」

 

スサノオの神力が一つの形を作っていく。

スサノオの胴へと迫る刃との間に煌く一本の刀が現れた。

それは手に持たれることもなく、妖刀を受けとめることは叶わずとも、体を断らせないようにしてしまった。

 

「そういうのもありか。」

 

「俺の奥の手だ、まさか妖相手につかうことになるとはな。」

 

「なるほどな、いいだろう。それすらも崩して俺が勝つ。」 

 

幾度の剣戟が交わされる。

閻羅が左手に持つ超刀を右から左へと凪げば、スサノオはそれをしゃがんで避け、神装剣で上から攻撃する。空を切った超刀でそのまま神装剣を防御し、右手に持つ妖刀を左の脇の下に構える。

互いの体がすれ違う。閻羅が神装剣を弾き飛ばし…

 

全く同じタイミングで振り向きざまの一撃がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

「…。」

 

一人仰向けに倒れ込む。

 

「………届かなかったか。」

 

いっそ清々しいほどの完敗。

自分が負けた時点で、この戦争も負ける。

あれは強すぎる。おそらくこの世であれに勝てる生物はいない。

 

「いづれまた、相見えよう。そのときは、勝たせてもらう。」

 

いずれ最強と謳われる神の、初めての敗北だった。

 

 

 

荒神を打倒せし大妖は、

 

「もう終わりだ諏訪子。上出来だった。と言っておこうか。」

 





投稿できずにこんなに経ってしまいました。

書いていたデータが消し飛んだところで意気消沈してしまい、戻ってくるのに時間がかかりました。
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