天界で働く天音かなたが地上にいる桐生ココと会う話です。

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どうも、あすたわしです。

こんな日にかなたその小説投稿しておいてなんですが、ストーリーが暗めなのであんまり今日見るべきでないのかもしれないとも思っています。まあ今日出さないと出すタイミングなくなるので今日出しますが。



ある天使とドラゴンの話

 日常が壊れて終わるのは、いつだって突然だ。独特な浮遊感の中、意識が途切れる直前にそう感じた。

 

 

 

 目を覚ますと、見知らぬ天井が見える。どうやら見知らぬ部屋のベッドの上にいるらしい。ここはどこだ。体を起こそうとすると、全身に激痛が走る。そうだ。僕はあの時——

 

 その時、ドアが開いて誰かが入ってきた。人間の姿をしているが角と尻尾が生えている。

 

「おーおー、やっと起きたか天使公」

 

「ひいっ!…だ、誰…」

 

「おいおい、名前を聞く時はまず自分からだろ?」

 

 こいつを信頼してもいいのだろうか。何をされても今はほとんど抵抗できないし、下手すると僕の力を悪用されかねない。

 

「………」

 

「…しゃーねーな。あたしは桐生ココだ。お前が空から降ってきたのを見つけたから受け止めてやったんだよ。そしたらすげえボロボロだったからよ、とりあえずあたしの家に連れ込んだって訳だ」

 

 優しいやつ…なのだろうか。今ここで保護されているのは事実だし、信じていいのかもしれない。

 

「…ありがとう。僕は天音かなた。…えっと、桐生…さん?」

 

「ココでいいぞ。あたしもかなたって呼んでいいか?」

 

「うん。…で、ココ、僕が落ちてきたとき、どんな状況だった?他に何か見たりしなかった?」

 

「いや、みてねーな。空飛んでたらたまたま雲の間から落ちてきてんのを見つけたって感じだ。かなたは何か知らないのか?」

 

「羽に何かがぶつかってきて落ちたのは覚えてるんだけど、詳しくは…」

 

「そうか…」

 

 

 これが事故なのか、あるいは誰かの仕業なのかも分からないのが不安だ。もし命を狙われているのであれば、一刻も早く天界に帰らなければ。

 

「あれ?ていうかココは天使を見ても驚かないの?」

 

 特別な儀式の時でない限り、天使は普段地上に降りる際には下界の人に見えないよう魔法をかけている。故に天使という存在は地上の人からすれば特別な存在なのだ。

 

「最初は驚いたけど、普通の人と大して変わってなさそうだし、今はそんなだな。むしろお前の回復力に驚いてるよつい昨日まで目を覚ますかどうかも分からないくらいボロボロだったんだぜ?」

 

「僕は天使だから、地上の人達よりは怪我の治りが早いんだよね」

 

「そっか。この調子なら明後日には動けるようになるだろうし、それまでゆっくりしていきな」

 

「うん、ありがとね」

 

 

 

 そのままベッドの上で約二日間を過ごし、ココの予想通り動けるようになるまで回復した。なんならこのまま全力疾走できそうなくらいには完全回復した。………一箇所を除いて。

 

「どうしたんだ、かなた?そんなに浮かない顔して。あたしと別れるのがそんなに寂しいのか?」

 

「いや、みんなに迷惑かけちゃってるから早く体を治して天界まで帰らないとって思って」

 

「え?あたしには健康そのものにしかみえないぜ?まだどっか具合悪いのか?」

 

「体調は万全なんだけど…これが…」

 

 ベッドから体を起こし、ココに背中を見せる。そこには、ひとつの美しい羽ともうひとつ、中央に大きな穴が空いた羽が生えていた。

 

「なんでまだ穴が空いてんだ?羽だけ治りが遅いのか…?あ、もしかして羽を撃たれたときにはほぼ全部吹き飛んじまってたのか?」

 

「いや、どっちも違う。…たぶん、攻撃に高濃度の魔力が含まれていたせいで傷口に魔力が残っているんじゃないかと思ってる。たとえるなら、傷口にウイルスが入って化膿しているような状態かな」

 

「そうか…」

 

「…もう、飛べないのかな…」

 

 再びココの方に向き直ると、ココが沈痛な表情を浮かべていた。

 

「ココがそんな顔する必要はないよ。」

 

「…そう、だな。あ、うちにはいつまで居てもいいからな。治す方法を探してみようぜ」

 

「…うん。ありがとう」

 

 すると、その時、ドアをノックする音が聞こえた。

 

「ん?誰だ?はーい…」

 

 ドアの前には、天界での後輩、大鳥ライトが立っていた。

 

「あれ?誰も居ねえじゃん。クッソ、イタズラかよ」

 

 例の魔法をかけているせいでココには見えていないらしい。ライトはココの横を通り過ぎ僕の元まで駆け寄ってきた。

 

「…なんで、ライトがここに…」

 

「かなた先輩…ずっと探してたんすよ。急にいなくなるからずっと心配してたんすよ」

 

「ごめんね、迷惑かけちゃって」

 

「まあかなた先輩が生きててよかったっす。じゃあ、戻りましょうか」

 

「待って!実は…その…」

 

「おい、かなた。お前さっきから一人でぶつぶつ何言ってんだ?」

 

 そうだ。ココにライトが見えていないことをすっかり忘れていた。

 

「あ、ライト。ここでは姿を隠さなくてもいいよ」

 

 ライトは一瞬不服そうな顔をしたが、すぐに魔法を解いてココに姿を見せた。

 

「うおっ⁉︎なんだお前⁉︎」

 

「この子は大鳥ライト。ライト、こっちは桐生ココだよ。僕を助けてくれた命の恩人なんだ」

 

「…どうも」

 

「…おう。…で、かなた。こいつはお前を連れ戻しにきたって訳か?」

 

「あ、そうだ。その話だった。ライト、じつは今、羽が…」

 

 ライトに背中の羽を見せる。

 

「そ、んな…」

 

 やはり、かなり衝撃を受けているようだ。

 

「……かなた先輩、先輩を撃った犯人の顔は分かりますか?」

 

「いや、雲の下から狙撃されたから分からないんだ」

 

「じゃあ、犯人がいたであろう場所は?」

 

「それなら分かるけど、どうして…?」

 

「…僕がかなた先輩を10分の間だけ過去に戻すので、かなた先輩は犯人を殺してきてください。そうしたら、かなた先輩が撃たれた未来はなくなって、また一緒に仕事ができます!」

 

 すると、そこまで黙って聞いていたココが急に口を開いた。

 

「…お前、自分の言っていることが分かってんのか?」

 

「そうだよ。羽を治すためだけに人の命を犠牲にするなんて…」

 

「ん?それに一体なんの問題があるんすか?かなた先輩の羽を傷つけたやつの命なんて、かなた先輩のためなら喜んで差し出すべきなんすよ」

 

「ふざけんな…お前…それ、本気で言ってんのか…?」

 

 ココから圧を感じる。空気がピリつく。

 

「かなた先輩ができないなら、僕がやります」

 

 そう言ってライトは懐から拳銃を取り出した。

 

「それは?」

 

「天界で一級品と呼ばれる高威力拳銃です。ホーミング機能が付いているので、相手の撃ちたい部位を念じながら撃つだけで正確に飛んでいくんですよ」

 

「………やっぱり、僕が行くよ」

 

「覚悟が伝わったんすか?とにかく、分かってくれてよかったっす!じゃあ、これどうぞ!」

 

「おい!何言ってんだかなた!」

 

「ありがとう。…これって、自分から見えないところにいる相手でも対象にできる?」

 

「相手が半径100km以内で、かつ障害物に囲まれた空間の中にいなければ概ね可能だと思います。あ、でも対象の姿を想像する必要があるので対象を知らないなら一度は見なきゃいけないと思います」

 

「分かった。じゃあ、いつでもいいよ」

 

「おい!待て!無視すんじゃねぇ!」

 

「ごちゃごちゃうるさいですね。あなたは関係ないでしょ。かなた先輩の羽を傷つけた大罪人をかなた先輩の手で罰しに行く。それだけの話です。それとも、誰か犯人に心当たりでもあるんですか?」

 

「そんなんじゃねぇよ!……チッ、好きにしろ」

 

「じゃあ、かなた先輩。もう一度言っておきますが、制限時間は10分です。それまでに必ず成功させてください。じゃ、次は天界の方でお会いしましょう」

 

 すると、視界が光に包まれ、身体の全ての感覚がなくなるような不思議な感覚に襲われる。

 

 

 

 …どうやら到着したようだ。早速、犯人がいるであろう場所に向かおう。

 

 草原を20分ほど移動すると、目的の場所に到着する。………()()()、誰もいないようだ。

 

 拳銃をゆっくりと持ち上げ、そのまま銃口を空に向ける。そして、目を閉じ、対象のことを詳細に思い浮かべる。

 

 震える手をどうにか抑える。…覚悟は決めた。たとえ、どんな結果になっても僕は後悔しない。

 

 しっかりと目を見開き、静かに引き金を引いた。

 

 

 

「ただいま〜」

 

「………え…?かなた先輩…?」

 

「一体どうなってんだ…?お前、天界に戻ったんじゃねぇのか?…それに…お前、羽が元に戻ってねぇじゃねぇか」

 

「何か間違えたんですか⁉︎別の方法を考えないと…」

 

「いや、…もう、これでいいんだよ」

 

「…どういうことですか?」

 

「あの時に僕を撃ったのは…僕だったんだ。

 

ずっと、犯人について考えていた。僕の羽をすぐに再生できないほど傷つけられるなんて、並大抵の魔力じゃできない。ココレベルの力があったとしても全力で撃たないと無理だ。しかも、地上の人から見えない僕を的確に撃ち抜くなんてなおさ不可能理だ。

 

ライトから拳銃をもらった瞬間、これで撃たれたんだってすぐに分かったよ。僕がなんで撃ったのか、もね。

 

最近…といっても、ここ1年くらいかな。羽を動かすたび、背中が痛むんだ。最初は違和感があるくらいだったけれど、今ははっきりと痛みが残るほどになってる。このままだと、絶対いつか限界がくるって分かってた。

 

だから、地上に落ちたとき、少しだけよかったと思っちゃった。最低だよね、みんなに迷惑をかけちゃってるのに」

 

「そんなことは——」

 

「大丈夫。分かってるから。…ねえ、ライトは、僕がここに残ることと天界に戻って身体の限界が来るまで働くこと、どっちを応援してくれる?」

 

「天界にかけあって仕事を減らしたりできないんですか?もしくは、僕がかなた先輩の分も手伝いますから」

 

「無理だよ。それなら、僕が辞めて新しい人員を入れた方がいい。もう、選択肢は二つしか残ってないんだ。さあ、ライトの意見を聞かせて」

 

「……かなた先輩の幸せは…僕の幸せですから。……もち…ろ…ううっ………………かなた先輩…辞めないでくださいよ…先輩がみんなを笑顔にして、先輩自身も輝いている姿をもっと見たいんです」

 

 ライトが泣き崩れる。後輩をここまで悩ませて、泣かせて。本当に最低な先輩だ。

 

「……いや、すみません。かなた先輩が決めたことを変える権利は僕にはありませんから。……これからも、幸せに過ごしてください」

 

「…ありがとう」

 

 

 

「…それでは。また、いつか会えるといいですね」

 

「……そうだね」

 

 そして、ライトは飛び立っていった。一度もこちらを振り返らずに、けれども確実に、普段よりもゆっくりと。

 

「かなた、本当に後悔しないのか?」

 

「後悔がないわけじゃないよ。でも、どの選択肢を選んでも絶対に後悔はあったから。結局、最後の手段しか残ってなかったってことだよ」

 

「そうか。…じゃ、とりあえずその羽が治せないか、旅でもしてみるか?」

 

「そうだね。ゆっくり旅をしてまた羽が治ったら、そのときはもう一度天界にもどるかもね」

 

「じゃあ、おまえがさっさといかねぇように100年、いや、500年はかけて旅しねぇとな」

 

「どれだけ時間かけるんだよ!はははっ!」

 

 日常が崩れるのは突然だ。でも、それは終わりではない。少しだけ浮き立つ心の中で、確かにそう感じた。




感想、評価いただけると嬉しいです。

普段と書き方を変えすぎて別人が書いたみたいになってしまった。もちろん同じ人が書いてます。

ちなみに途中ででてくるよく分からんポジのオリキャラライト君ですが、漢字で書くと「大鳥 来十」と書きます。無理矢理感がありますね。

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