IF〜亡命者   作:名無し名人

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IF〜オフレッサー3章

―― オフレッサー上級大将亡命 ――

 

この報がハイネセンのヤン艦隊に届いた時、事後処理に追われていたヤンはすぐさま幕僚達を招集し会議を開いた。

 

「………あのミンチメーカーが亡命とは、何かの冗談ですかな?」

 

最初に発言したのは薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊連隊長のワルター・フォン・シェーンコップ准将であった。シェーンコップ自身は直接対峙した事は無いが白兵戦のエキスパートとしてオフレッサーの名は同盟にも知れ渡っており、その凶暴性もさることながら典型的な帝国軍人でもあるオフレッサーの亡命はシェーンコップとしても信じられないのは無理からぬ事であった。

 

「いや、准将気持ちは判るが私がキャゼルヌ少将に聞いたがどうやら本人らしい。今イゼルローン要塞に入って大人しく此方の指示に従っているという話だ」

 

首席幕僚のムライ少将がシェーンコップの疑問に答えた。ムライ自身も珍しく困惑した顔をしており、今回の亡命騒ぎは如何に意外性の塊であるかが伺えた。

 

「しかし、ヤン提督を頼っての亡命ですか……一体何があったのでしょう?」

 

次に次席幕僚のパトリチェフ少将が発言した。その疑問にムライが答えた。

 

「まだ詳しい話は判ってないが、どうやらローエングラム公に嵌められたらしい。それで身の危険を感じ亡命を決意したと本人が言ったそうだ……」

 

「それは……また」

 

ムライの言葉に主要幹部は言葉を失った。

 

「ヤン提督のお考えはどうなのでしょうか?」

 

ヤン艦隊の副司令官のフィッシャー少将は黙っているヤンに問うと幕僚達もヤンに注目した。

 

「そうだね……私としては受け入れても問題無いと思っている」

 

「……理由を伺っても?」

 

その発言に幕僚達はざわめくがムライが代表して問う

 

「理由としてはオフレッサー上級大将が反ローエングラム公の急先鋒の塊みたいな人物だからさ、そんな人物が今更ローエングラム公に降る事を良しとするはずも無いし、公も彼を用いるとは思えないからね。これからのローエングラム公の体制の中では彼の居場所は無いと思うよ」

 

ムライは成る程と頷いた。

 

「では受け入れる前提で動くと?」

 

ヤンは頷いて肩を竦めた。

 

「私はおだてに弱くてね」

 

 

オフレッサーの亡命を受け入れる事にしたヤンであったがその直後に再びイゼルローンから急報が飛び込んできた。それは帝国軍の宿将ウィリバルトヨアヒム・フォン・メルカッツ 上級大将も亡命してきたとの報が入った。

 

 

 

 

 

―――イゼルローン要塞―――

 

「……同盟の料理も馬鹿に出来んな、この豚の角煮とやらは美味いな」

 

「確かに、儂はこのアジフライというのが気に入った」

 

同盟軍から用意された個室でオフレッサーとメルカッツが対面で食事を取っていた。

 

「まさか卿が亡命を決意したとはな、オフレッサー……意外だった」

 

「それを云うなら卿こそ亡命するとは思わなんだ。メルカッツ……卿なら金髪の小僧に降るかと思っていたが」

 

「……確かに或いはそんな道もあったかも知れんが、儂とて武人。恥くらいはあった。だが、シュナイダー少佐に諭されてな」

 

「成る程……メルカッツ、レンテンベルクが失陥した後はどうなった……?」

 

「……あの後ローエングラム公が卿の部下の公開処刑を行った。広域放送を流してな、それを見たブラウンシュヴァイク公は卿が処刑されなかったのをローエングラム公と内通したに違いないと怒り狂っていた」

 

「……俺の部下全員が、か?」

 

メルカッツは頷いた。

 

「……そう、か」

 

 

 

宇宙暦488年8月ヤン提督の尽力によりオフレッサー、メルカッツ両名の亡命は認められ中将待遇でのイゼルローン要塞の顧問として迎え入れられた。これがどの様な結末が待っているか誰にも解らない、只一つ言えるのはこれからも戦争が続いていくという現実である。   銀河の歴史がまた1ページ……

 

 

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